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日韓友好に向けて


下関ー釜山

最初の韓国訪問の目的地は、慶州という多くの史跡が残っていることで有名な地方都市である。
韓国に行くには、当然飛行機ということが考えられるが、今回の交通手段としては下関からフェリーを利用し釜山から入国することとした。
 下関ー釜山の間は、毎日、関釜フェリーと釜関フェリーという二隻のフェリーが相互に行き来している。
 夕方に双方の港を出て、朝には双方の港に到着する。
フェリーの中では、大広間で雑魚寝(ざこね)をすることになるが、それが苦にならない人であれば、結構快適な船旅ができるかもしれない。
私が下関国際港に午後三時に到着し、フェリーへの搭乗を待っていると、一人のおばさんがいきなり韓国語で話しかけてきた。
「下関は日本でありながら韓国人の治外法権が成立しているのか」と思いながら、「日本人だ」と答えると、今度は日本語で話し始めた。
「荷物を持って船に乗ってほしい」という。
 見れば、そのおばさん、周囲にものすごい大荷物を置いている。
 そういう大荷物のおばさんは、一人ではない。
周囲に何人か似たような大荷物のおばさんがいる。
これは、たんにたくさんおみやげを買って韓国に帰るというようには見えない。
 明らかに日常生活用品などを買い占めて運ぶ商売をしている様子だ。
一人が船に持ち込める荷物には重量制限があるのだろう。
 それゆえに、その重量を超える分を自分の荷物として乗ってくれということなのだと思えた。
「荷物を持つぐらいたやすいこと」と思いながら、ちょっとためらっていると、千円札が差し出された。
 この千円札を差し出されたことで、「これは、危険なことかもしれない」と逆に思い、断ってしまった。
後日、調べたところによると、下関ー釜山の間を荷物を担いで行き来する「担ぎ屋」といわれるおばさんたちがいるとのことであった。
 このおばさんたち、毎日、フェリーに乗って行き来しているので、フェリーの中が生活の場となっている。
 「荷物を持ってくれ」と言ってくることもあるが、荷物の中身について責任を持たなくてはいけなくなるので、断ったほうが無難とのことだった。
午後五時にフェリーに搭乗する。先ほどのおばさんたちもいっしょに乗り込む。
 フェリーの中は、四、五人が雑魚寝するようなスペースに区切られている。
 日本人も韓国人もいっしょだ。
 フェリーに乗るとすぐに夕食の準備ができたとの放送が流れた。
 フェリーには、食堂も風呂もあり、生活するのに困ることはない。
 日本円も使うことができる。船内で働いているのも日本人だった。
 下関ー釜山の間を行き来している二隻は、一方が日本籍で、もう一方が韓国籍だという。
 従って、その従業員も一方が日本人で、もう一方は韓国人ということになるらしい。
夕食を食べて、すぐ部屋でごろ寝したが、さすがにフェリーが揺れて熟睡はできなかった。
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