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どちらが、先?

2011年6月24日 9時00分28秒 (Fri)

Newton七月号購入。今回取り上げられている「分子標的治療薬」が興味深いと感じたからだ。

ぼくが最近読んだ作品、伊藤計劃さんの『虐殺器官』。近未来世界における文学的な軍人の戦いの顛末を扱うお話なんだけれども、登場するガジェットが恰好良くて、それだけでも一読の価値がある。「フライングシーウィード」や突入用のポッド、人工筋肉のポーターなどなど。倫理の話にも繋がっていて、さすが!と思わされた。主人公、文学的な軍人だから。倫理的なことも考えてしまうわけです。

その軍周りの技術も面白かったのだけれど、特にぼくの興味を惹いたのは、医療周り。医療用ナノマシンの存在であった。それは、身体のあらゆる機能の代替をやってのける。まさに身体機能のアウトソーシングといって間違いない技術だ。

伊藤計劃さんの作品は人体という、どうしようもなく抗いがたい、人間の限界たる自然を扱っている印象がある。『虐殺器官』でも『ハーモニー』でも、身体を起点として発生する意識という現象を扱っていた。そして、それを越えようと人間は挑戦するのだ。

なんだか、「分子標的治療薬」と似ていると思う。「身体を、デザインする」という発想。

Newtonの「分子標的治療薬」の記事にはこんな見出しがあった。

発見される薬から、意図的に設計する薬へ

こういう発想はSFで初めになされて、現実を覆うのだろうか。それとも、お医者さんや薬学の学者さんが先なのかな。


悪いことではないのかもしれないけれど、人間はそこまでやってもよいのかな。なんて伊藤計劃さんを読むと思ってしまうわけです。

ぼくたちは目を逸らしているだけではないのか。是非の議論が必要なのではないか。全ての人が考えるべき問題ではないのか。

先とか後とかじゃなくて、文学にはそういう問題意識の拡散効果があるということは分かった。

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