小説:真・恋姫無双 白の銀紅
序章
その七
玉座の間にて
そんなこんながあって、今は黒燕の上で孫策と共に揺られている。
「ねえ、瞬って今までいろんな所を旅してきたの?」
「生まれてこの方旅しかしてないからなー。雪蓮はずっと呉の中に?」
「ええ。ま、そんなに外の世界を見てみたいとは思わなかったけどねー」
「そりゃそうだろ」
さっきからずっとこんな会話が続いている。何故真名で喋っているかと言えば、最初に雪蓮が親は?と聞いてきたから、素直にいないと答えると、一気に沈んでしまった事が始まりだった。
それにはいい言葉が見つからず、とりあえず同情だけはするなと言ったら、案外素直に聞いてきた。
で、そこから客将になるからとか。先程の礼だとか何とかかんとかで、真名を預ける運びになってしまった。
「瞬は客将止まりで良いの?」
「?どういう意味?他にもなんかあんのか?」
「あ、そう言えばよく分かってないんだったわよね…」
「なんだよ」
「なんでもない!あ、ほら、見えてきたわよ!」
雪蓮が声を上げる。その声に従い前をよく見てみると、確かに城や街が見えてきた。全般的に少し紅くなった町並み。
「でっかい所だなー」
「まあ、ここらでは一番だとは思うけど、それだからこそ厄介な事もあってね…」
「厄介な事?」
「そう。全部に政策が行き渡らないとかねー」
「ふーん。よく分かんないや」
その間にも行軍は続き、呉の町へと入っていく。
「へー、活気があっていいなー」
「ふふ。ありがとう♪」
物珍しさのあまり、辺りを見渡しながら感嘆の息をつく。なまじ幼い頃から旅はしていないので、こういう雰囲気には敏感だ。
「策殿ー。夏蓮殿がまずは玉座に来るようにと」
「分かったわ、祭」
「玉座?ここに王様なんているのか?」
「うーん。王様じゃなくて…まあ、偉い人がいる所って意味!行くわよ!」
「お、おい!待てって!」
またも腕を引っ張られながら、俺は城の中へと連れて行かれた。
所変わりまして玉座の間。
そこには、今までいた三人に加え、三人ほどが控えていた。
一人は、真っ赤に染まった赤い髪を、肩口でバッサリと切った快活そうな女性。もう一人は、孫堅、雪蓮と同じような風体の少女。おそらく妹か何かだろう。最後の一人は、その少女の後ろ側にいて、すこしぽやっとした風の緑の髪の少女。
「お。来たね、彪夾。…雪蓮、その格好はなんだい?」
孫堅が、客人をその手に引きずってやってきた雪蓮を咎める。
「え?だって、瞬が動かないから」
「嘘をつくな。勝手に雪蓮が連れて行っただけだろう?」
頬を膨らまして抗議する。すると、なぜか雪蓮や孫堅が顔を赤くしてしまった。
「そ、それより、雪蓮とはもう真名を交わしたのかい?」
顔を赤くしながら、孫堅が確認してくる。親としては、ハッキリさせて置かないといけないんだろう。
「なんか、真名の預ける基準がよく分かんなかったけど…」
「そうか。皆、こいつが新しく客将として迎える事になった、彪夾だ。働きがよければ、正規にも組むつもりだ」
いきなり立ち住まいを正し、そう宣言する。もう知っていた者以外の三人の反応はまちまちだった。
曰く、何も反応しない。曰く、こちらを睨み付け、真意を測ろうとしている。曰く、ただ笑っている。
「特に文句は無いね。じゃあ改めて、あたしは孫堅。真名は夏蓮だ」
「なら、わしも名乗ろうかの。わしは黄蓋。真名は祭じゃ。よろしく頼むぞ!若いの!」
「私は周瑜。真名は冥琳だ。分からない事があれば聞きに来て」
「…私は太史慈。…後で、手合わせをお願いする」
「…孫仲謀だ」
「私は陸遜ですー。よろしくお願いしますねー」
「俺は彪夾。真名は瞬。それより、手合わせって、やらないと駄目?」
さっきの自己紹介で一番気になった、と言うか、気にしなければいけない事を口にする。
「あー、佳澄がやるんだったら、私もやりたーい」
「そうじゃな。わしも混ぜてもらおうかの」
「あたしもやるよ。興味あるしね」
戦闘大好きな三人が、我先にと声を上げる。
「めいりーん。助けてくれー」
「!……///ま、まあ、頑張ってくれ///」
助けを求め、冥琳の方に顔を向けると、顔を赤くして逃げられた。
それに首を傾げていると、もう完全に手合わせをする事は確定したみたいで、腕を獲られて引きずられていった。
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