小説:真・恋姫無双 白の銀紅
序章
その二
一時の邂逅
「よっ、と」
少し険し目の山道を下る。所々にせり出している木の根に気をつけながら、下っていく。
街を出てから、約二日ほどたっていた。その二日はこの山の踏破に費やしている。
「…以外に熊が出るんだな…この山…」
そう。この山は高さはそれほどではなく、簡単に登れ、下れるはずの山だった。しかし、運が良いのか悪いのか、今までに七回ほど熊に襲われている。
「…食べ物に困らないのは良い事なんだけどさ…」
その所為で二日もかかって山を踏破している、と言う訳である。
だが、標高も低くなるにつれ、平坦な、楽な道になり一心地つく。
そこからは、当たり前だがひたすら歩く。途中で狩った時に出た、熊肉を干して出来た干し肉をかじる。でも―――
「…くっさ…。やっぱ、ちゃんと作らないと臭みが残るな…」
強烈な臭いを放っていた。だが、食料は食料。我慢してでも食べないと、餓死してしまえば元も子もない。
それを口に咥えて再び歩き出す。そんな時、遠くから声が聞こえてきた。
「ウオオオォォォォ!!!!」
「うわっ!」
突然荒野に響き渡った叫び声に、口に咥えていた肉を取り落としてしまう。
そしてその声がした方角から、無数の足音と、凛とした女性の声が響き渡る。
「行け!我が有能たる将兵達よ!無垢なる民草達を苦しめる賊を、我らの手で討ち取るのだ!!」
「ウオオオォォォォ!!!!」
キイン、ガンッ、グサッ、ドカッ!
その声と共に、明らかな戦闘の音が聞こえてくる。先程の声も、賊の討伐に来た勅使か何かの号令だろう。
・・・
その音は真っ直ぐにこちらに向かってくる。
「え!?ちょ!まっ!!」
「撃てえぇぇ!!」
「うわーーー!!」
目の前に大量の矢が降ってきた。矢の雨、そんな言葉では片付けられないほどの量。矢の壁、と言った方が良いかもしれない。
そこから逃げるように走る。それはもう全力で。だが、逃げる方角からも絶望の声が聞こえてきた。
「う、うわーー!」
「に、逃げろーー!」
矢を撃ったのが間違いでなければ、そこに討伐するべき対象の賊はいる訳で…。
その群れに、白い髪の少年は、見事に突っ込んでいった。
「な、何だこいつ!?」
「一人で突っ込んできやがった!?」
「まあいい!殺しちまえ!」
すでに矢の壁からは遠ざかっていた者達が、口々にそんな事を口走る。だが、まだ逃げ切れていない者も多数おり、叫んだ者も、わざわざ自らの命を投げ出すかのような事はせず、安全圏にて武器を構えるだけだった。
「ああ、もう!死ねるかーーー!『旋廻狼斬』!」
一本の剣を腰から抜き、すぐさま腰ダメに構える。そのまま力を込め、振り抜く。
紅い光を纏った剣閃が、空を覆う無数の矢を吹き飛ばした。
2/14
- 柳の硫流TOP
- 管理人の?
- 日記帳
- 小説:アクレニア戦記2 ~叶えた夢の終わり~
- 小説:焔 凉華の五つの約束
- 小説:猫の恩返し~取り憑いたのは猫の神様!?~
- 小説:フェデルフィア国物語
- 小説:獣たちの舞踏会2~拾い者と捜し者~
- 小説:守護霊は神様!?
- 小説:―Legurus―
- 小説:アクレニア戦記 ~二つの決意~ (完結)
- 小説:獣達の舞踏会1~目覚める狼~ (完結)
- 小説:あの虹の麓で
- 小説:真・恋姫無双 白の銀紅
- 小説:真・恋姫無双 双璧の番
- 小説:短編集
- 詩:思いつき
- オリジナルキャラクター紹介
- アルバム
- リンク集
- 要望、感想掲示板
- メールBOX
携帯用QRコード
- アクセス数

- ページビュー数
