楽天市場
[無料でホームページを作成] [通報・削除依頼]

小説:真・恋姫無双 白の銀紅

拠点の章
その二

策





バフッ!

「うわっ!」

鍛冶屋から城に帰ると、いきなり後ろから飛びつかれた。

「な、なんだ!?」

「瞬ー」

後ろからしなだれかかって来る雪蓮がいた。

「雪蓮か。後ろから飛びついてきて、どうするつもりだ?」

「うーん、特には無いんだけどね」

「特にはって……ん?」

そこで瞬は、寄りかかってくる雪蓮から漂う香りに気付く。

「雪蓮…。酒臭いぞ」

「んー?そうー?」

言い当てられたためか、軽く呂律も怪しく、顔も赤くしている。

「冥琳とかに怒られるんじゃないのか?」

「いいじゃない。飲みたいから飲む!何も悪い事はして無いわよ?」

「そう言う事言って…。仕事サボりたいからでしょ」

「むー。瞬が冥琳みたいに見えるー。…って言うか、瞬は仕事して無いわよね?」

「うん。そうだけど…」

瞬が仕事をしていない理由は、夏蓮に一先ずは武官からやるといわれたので、ただぶらぶらとしているだけなのだ。

「それなら手伝ってよ♪」

「何で…。ぐぇっ」

いきなり顔が満面の笑みに変わった雪蓮に、襟首を掴まれて連れて行かれる瞬だった。
















「たっだいまー!」

バン!

扉を押しのけながら威勢の良い声を上げる雪蓮。そしてその後ろからは服を掴まれた瞬がついて来る。

「雪蓮…。その手に持ってるものは何?」

「冥琳…。ひどくないか?」

「んー?瞬にも仕事させようと思って」

「そうか。そう言えば、まだ確認をしてなかったわね」

瞬の首根っこを掴んだまま、そんな会話がなされている。

「確認?」

「そうよ。どれぐらいの智があるのか、とかね」

「ふむふむ。…字は読めないぞ?」

サラッと重大な報告をする瞬。

「え?字が読めない?」

「ああ。だって、必要ないだろ」

事実その通りなのである。

城の中にいる者や、その道に進む者なら学問に触れる機会はあるが、それ以外なら筆に触れる事すらないのだ。

それに、瞬は幼い頃から独りで、まず第一に勉強という物に触れていない。瞬の見解は『賊を潰せば飯が手に入る』という物だったので、山賊等々の考え方とほぼ同じだったのだ。

「あ、一応お金がどうのの大切さは分かるぞ」

賊を潰す→飯が手に入る→金品が手に入る、その構図だったので、お金の概念は理解しているらしい。

「…前途多難ね…」

頭を抱える冥琳。

「あはは…。まあ、何とかなるんじゃない?…ほら、瞬。これを見てみて?」

雪蓮が取り出したのは、この周辺の地図。それを机に広げ、真ん中にある絵を指差す。

「これは群議の時に使う地図なんだけど、あ、ここが本陣で、これが相手」

「ほーほー」

「さて、どういう位置取りで相手に攻め入ればいいでしょうか!?」

胸を張ってどうだと言わんばかりに主張する雪蓮。はっきり言ってしまえば、たったこれだけの情報で思い付く策など、たかが知れているのだが…。

「うーん。前戦った時みたいな立地で良いんだったら…。まず真ん中に少数の兵を突撃。その隙に弓隊を半分ずつに分けて右翼と左翼に移動。三つが同じ行軍速度になるようにして、突撃隊は一当てしたらすぐに退却。その代わりに、本隊が突撃。それと同時に両翼の弓隊は狙撃。みたいな?」

「「………」」

「で、本隊が当たってる最中に突撃隊は二手に分かれて弓隊と合流。そこからは本隊が少し下がって、将達で踏ん張って両翼がその幅を狭めて潰す。……適当だけどこんなの?開けた場所だと無理だけど…」

「…凄いわね…」

「へー。瞬って頭いいじゃないのよー」

「ちょっ!雪蓮、酒臭いって!」

二者二様の感想が帰ってくる。冥琳はその策について考え、雪蓮は嬉しそうに瞬にしな垂れかかっている。

「これは…相当良い人材が来たかもしれないわね…」

そう冥琳が呟いたその先には、酔っ払いに絡まれる新しい呉の武将がいた。


14/14