小説:真・恋姫無双 白の銀紅
序章
その十二
誕生
「いたたたた…」
吹き飛ばされた夏蓮が腹を押さえながら戻ってきた。
「母様?大丈夫?」
雪蓮が心配そうに問いかける。結構な距離を吹き飛ばされたのだ、心配しない方がおかしいだろう。
「なんとかね…。しっかし、あれだけ吹き飛ばされるとは思わなかった。咄嗟に氣で強化してなかったら死んでたね…」
殴られた腹を擦りながらぼやく夏蓮。
「腹が硬かったのはその所為…?」
「一応、祭直伝だからな」
「なるほど。じゃ、これで試合は終わりだよなー」
背伸びをしながら確認を取る瞬。
「そうね。…瞬、正式にウチに入るつもりは無いか?」
「正式に?どういう意味?」
夏蓮の突然の問いに首を傾げる瞬。
「つまりだな……難しい事はよく分からん」
ズルッ
「ちょっ!それは無いんじゃ…」
盛大にこける瞬。この場の誰もがその擬音を聞き取れるぐらいの、見事なこけっぷり。
「…難しい事は冥琳にでも聞いてくれ。まあ、なんだ!…あたしらの家族にならんか?そういう意味だ!」
「夏蓮様…。適当すぎますよ…」
「うるさい。あたしはうちの連中は家族だと思ってる。部下や上司みたいな関係はごめんだね。あれは肩がこって仕方が無いんだ」
悪態を吐く冥琳を、肩を回しながら軽くいなす夏蓮。
「…家族…」
「そう。家族だ。皆が笑っていれればそれで良い。あたしが戦う理由は、この素晴らしき江東の民と共に笑っていたい。ただそれだけさ」
「笑って…か。それもいいな…」
「どうだい?瞬」
「…一つ聞きたい。俺は権力を笠に生きる奴、人を物として扱う奴は大っ嫌いだ。夏蓮は?」
「…あたしも嫌いさ」
・
「…そうか…。はははっ!いいや!家族、群れの中に入るよ。夏蓮様。これでよろしい?」
「ああ!歓迎するよ!」
ここに、新たな呉の将、彪鴻雅が誕生した。
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