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小説:アクレニア戦記 ~二つの決意~ (完結)

二章 遥かなる旅



 まだ日が高い、そんな時間帯のフォーゲルノート帝国のとある街で、真っ黒なローブに身を包んだ人が歩いていた。
 その足取りは遅く、殆どの者が避け、その人を抜き去っていく。
 ローブを頭の先まで被っているため、まったく身なりが分からない。性別すらも分からぬ人影は、そのゆっくりとした足取りのまま、薄暗い路地へと入った。
「……首尾はどうだ?」
 すると、人影が入った路地に、暗く重い、そんな印象を与える声が響く。
 突然響いた言葉に、人影は特に驚く様子も見せずにこう言った。
「……問題ありません。今すぐにでも決行できます」
「……そうか。なら、貴様はこのまま待機していろ。動いてもいいが、見つかるな」
「……了解しました」
 それだけを言うと、路地の中を支配していた重苦しい空気が霧散する。
 そして、呟くように言った人影は、またその重い足取りで歩き出す。
 しかし、その人影が数歩歩いたとき、その人影は元からそこにいなかったかのように消え去ってしまった。
・・・
・・
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