小説:アクレニア戦記 ~二つの決意~ (完結)
二章 遥かなる旅
「いつまで眠るの、こいつは……」
「……すー……すー……すー……」
「…………」
「こら。寝てる奴の頬をツンツンしない」
「…………ん」
シオンたちが駆け出してから、ユフィーは眠ってしまったメアを膝枕しながら待ちこけていた。
辺りが静かになったことに安心したのか、なぜかコロナが外に出てきており、今はメアの頬をその小さな手で突いていたのだ。
その事をユフィーが注意すると、コロナは渋々と言った様子でその手を引っ込めた。
「まったく……。あいつらはいつになったら帰ってくる……言ってるそばからね……」
再度愚痴ろうとしたとき、ユフィーの目にこちらに向かってくる二人の姿が見えた。
「……遅いじゃない。いつまで待たせ……何があったの?」
泣きながら帰ってきたリィナの姿を見て、ユフィーが心配げに声をかける。
「ユフィーさん! 聞いてくださいよー! 剣が、剣が、剣がぁ!」
その声を聞いたリィナは、ユフィーに抱きつきながら声を荒げて泣く。
「ええい黙れ! まとわり、つくな!」
ドガッ。
「あいたっ」
その抱きつきをユフィーはリィナの頭を殴ることで静める。
頭を抑えておとなしくなった所で、ユフィーはシオンに聞く相手を切り替えた。
「で? 本当にどうしたのよ。何でこんなに泣いてるわけ?」
「さっきの戦闘で、リィナの剣が真っ二つにね……。思い入れのある剣だったらしくて、こんな風に……」
「……打ち直さないの? 大抵の鍛冶屋ではやってくれるでしょう?」
「いや、折れた断面を見たけど、かなり特殊な製法で作られていると思う。形も特殊だし、作った人がいる鍛冶屋にいかないとなんとも……」
「はぁ……これで王国に行く理由が増えた訳ね」
「うん。……で、こっちからも質問。……この状況はなに?」
ため息を吐いてはいるが、納得した様子のユフィーに、シオンも場の状況の説明を要求する。
「ああ、これね。メアは疲れて眠ったのよ。なんでも、ビルスティアが魔剣を扱うのには無理があるからとか何とか。コロナについては知らないわ。勝手に出てきたみたい」
「なるほど……」
特に質問することもなかったのか、一言呟いただけで黙り込んでしまった。
そのシオンに、思いも寄らない人物が声をかける。
「…………王国、行くの?」
コロナがシオンの服の裾を引っ張りながら聞く。
その事に若干驚きながらも、シオンはコロナの目線に合わせてしゃがみ込みながら答える。
「うん。僕達は王国に向かって旅してるんだ。王国の王様に、伝えたいことと聞きたいことがあってね」
「…………なら、あげる」
「? 何をくれるの?」
「…………帆船、コロナの所の」
「いいのかい? 随分高い物のはずなんじゃ……」
「…………いい」
「……そっか。なら、ありがたく使わせてもらうことにするよ」
コロナの頭を優しく撫でながら、シオンは立ち上がる。
そしてユフィーとリィナを見ながら話を進めた。
「よし。なら、これで王国に向かう手筈は整った。帆船はコロナちゃんが出してくれるから、もうここから行けると思う。リィナが言っていたことも、これで確かめられるし」
「そうね。まあ、でも今日は休まない? 誰かさんは塞ぎ込んでるし、誰かさんは人の膝の上で寝たまんまだし」
「……そうだね……」
リィナにも話を振ろうとしたシオンだったが、ユフィーの言う通り何かをブツブツと呟いているリィナに近寄ることは、到底出来なかった。
「じゃあ、僕がメアを運ぶよ。コロナちゃん、メアの部屋まで案内して」
「…………ん」
連絡する事は無理だと思ったのか、シオンは逃げるようにしてメアの体を担ぎ上げる。
そして、屋敷の住人であるコロナに案内を頼むと、屋敷の中に消えていった。
「……で? あたしにこいつをどうしろっていうのかしら」
「……うぅ……」
残された二人は、しばらくその場で固まっていたままだったとさ。
・・・
・・
・
「……すー……すー……すー……」
「…………」
「こら。寝てる奴の頬をツンツンしない」
「…………ん」
シオンたちが駆け出してから、ユフィーは眠ってしまったメアを膝枕しながら待ちこけていた。
辺りが静かになったことに安心したのか、なぜかコロナが外に出てきており、今はメアの頬をその小さな手で突いていたのだ。
その事をユフィーが注意すると、コロナは渋々と言った様子でその手を引っ込めた。
「まったく……。あいつらはいつになったら帰ってくる……言ってるそばからね……」
再度愚痴ろうとしたとき、ユフィーの目にこちらに向かってくる二人の姿が見えた。
「……遅いじゃない。いつまで待たせ……何があったの?」
泣きながら帰ってきたリィナの姿を見て、ユフィーが心配げに声をかける。
「ユフィーさん! 聞いてくださいよー! 剣が、剣が、剣がぁ!」
その声を聞いたリィナは、ユフィーに抱きつきながら声を荒げて泣く。
「ええい黙れ! まとわり、つくな!」
ドガッ。
「あいたっ」
その抱きつきをユフィーはリィナの頭を殴ることで静める。
頭を抑えておとなしくなった所で、ユフィーはシオンに聞く相手を切り替えた。
「で? 本当にどうしたのよ。何でこんなに泣いてるわけ?」
「さっきの戦闘で、リィナの剣が真っ二つにね……。思い入れのある剣だったらしくて、こんな風に……」
「……打ち直さないの? 大抵の鍛冶屋ではやってくれるでしょう?」
「いや、折れた断面を見たけど、かなり特殊な製法で作られていると思う。形も特殊だし、作った人がいる鍛冶屋にいかないとなんとも……」
「はぁ……これで王国に行く理由が増えた訳ね」
「うん。……で、こっちからも質問。……この状況はなに?」
ため息を吐いてはいるが、納得した様子のユフィーに、シオンも場の状況の説明を要求する。
「ああ、これね。メアは疲れて眠ったのよ。なんでも、ビルスティアが魔剣を扱うのには無理があるからとか何とか。コロナについては知らないわ。勝手に出てきたみたい」
「なるほど……」
特に質問することもなかったのか、一言呟いただけで黙り込んでしまった。
そのシオンに、思いも寄らない人物が声をかける。
「…………王国、行くの?」
コロナがシオンの服の裾を引っ張りながら聞く。
その事に若干驚きながらも、シオンはコロナの目線に合わせてしゃがみ込みながら答える。
「うん。僕達は王国に向かって旅してるんだ。王国の王様に、伝えたいことと聞きたいことがあってね」
「…………なら、あげる」
「? 何をくれるの?」
「…………帆船、コロナの所の」
「いいのかい? 随分高い物のはずなんじゃ……」
「…………いい」
「……そっか。なら、ありがたく使わせてもらうことにするよ」
コロナの頭を優しく撫でながら、シオンは立ち上がる。
そしてユフィーとリィナを見ながら話を進めた。
「よし。なら、これで王国に向かう手筈は整った。帆船はコロナちゃんが出してくれるから、もうここから行けると思う。リィナが言っていたことも、これで確かめられるし」
「そうね。まあ、でも今日は休まない? 誰かさんは塞ぎ込んでるし、誰かさんは人の膝の上で寝たまんまだし」
「……そうだね……」
リィナにも話を振ろうとしたシオンだったが、ユフィーの言う通り何かをブツブツと呟いているリィナに近寄ることは、到底出来なかった。
「じゃあ、僕がメアを運ぶよ。コロナちゃん、メアの部屋まで案内して」
「…………ん」
連絡する事は無理だと思ったのか、シオンは逃げるようにしてメアの体を担ぎ上げる。
そして、屋敷の住人であるコロナに案内を頼むと、屋敷の中に消えていった。
「……で? あたしにこいつをどうしろっていうのかしら」
「……うぅ……」
残された二人は、しばらくその場で固まっていたままだったとさ。
・・・
・・
・
17/40
- 柳の硫流TOP
- 管理人の?
- 日記帳
- 小説:アクレニア戦記2 ~叶えた夢の終わり~
- 小説:焔 凉華の五つの約束
- 小説:猫の恩返し~取り憑いたのは猫の神様!?~
- 小説:フェデルフィア国物語
- 小説:獣たちの舞踏会2~拾い者と捜し者~
- 小説:守護霊は神様!?
- 小説:―Legurus―
- 小説:アクレニア戦記 ~二つの決意~ (完結)
- 小説:獣達の舞踏会1~目覚める狼~ (完結)
- 小説:あの虹の麓で
- 小説:真・恋姫無双 白の銀紅
- 小説:真・恋姫無双 双璧の番
- 小説:短編集
- 詩:思いつき
- オリジナルキャラクター紹介
- アルバム
- リンク集
- 要望、感想掲示板
- メールBOX
携帯用QRコード
- アクセス数

- ページビュー数
