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小説:フェデルフィア国物語

2章 出会いを求めて。


コンダクト契約。

人ならば誰しもが持っている生命力、魔力とも呼ばれるそれを共有し増幅する契約の儀式。それに際し行わなければならないものは1つだけ。粘膜接触によるお互いの魔力交換である。

契約が終わった者たちは、その名の通りコンダクトと呼ばれ、普通の人間では扱えない魔法を行使することができる。

そのため、誰しもが夢見る行為なのだが、契約は一種の呪いであるために実質敬遠されていた。

呪いと言われる所以。それはお互いがお互いを想っていなければ成立しないと言うこと。お互いの魔力を共有し増幅する。つまり、相手の事を知り、認め、好意を抱いていなければならない。

好きあっているもの同士でしか出来ないのだ。まあ、粘膜接触と言う時点で同性はまず行わないし、異性であればそこが一番のネックになるだろう。

そして、コンダクト契約を交わす事は一生に一度きり、1人の相手と一生に1回きりなのだ。たとえ相手に何があってもコンダクトを破棄する事は出来ず、他にコンダクトを増やすことは不可能と言われているのである。

「い、いいからしなさいよ! あ、アタシにこんな恥ずかしいことしたんだから!」

「いやいやいや、恥ずかしい事ったってそんなにか? ……初心な奴だなぁ」

「だ、誰が初心ですって!?」

「そんなに目くじら立てるなよ。怒ってると小動物にしか見えないぞ?」

「くのっ!」

ひゅんっ!

「あぶねっ! いきなり短剣を投げるなよ! 危ないだろ!」

「短剣じゃない、ナイフよ」

「そのしたり顔はどういう事だ! ってか投げるな!」

そのコンダクト契約を要求したエイリアは、要求相手であるレヴィンに対し細身のナイフを投げまくっている。

どんなに小さくとも凶器は凶器。刃物は刃物である。レヴィンは自らの体に当たらないように必死に動き回る。だが、それでも飛来するナイフを持っている外套を犠牲にすることでしか助かることが出来ないでいた。

「おとなしく捕まりなさい! それでいてアタシとキ……キ……きぃ……ぐすっ」

「泣きながら顔真っ赤にすんなよ……。なんか俺が悪者みたいじゃん? 俺、アンタを助けに来たカッチョいい人のはずなのに」

「う、うるしゃい///。……君が本当にかっこいいから困ってるんだよ……」

またもや俯きながらもじもじしだしてしまうエイリア。

その掠れ行く語尾の言葉はレヴィンには聞こえていなかったようで、俯いて頭の先から首の根っこまで真っ赤なエイリアの頭をレヴィンは優しく撫でた。

「ま、なんだ。アンタの気持ちは嬉しいよ。すごく。でも、俺はあんたとコンダクトにはならない。……なれないんだ」

「なれない? それって、君にはもうコンダクトがいるの? アタシ以外に?」

少し引っかかるように言葉を口にしたレヴィンの最後の台詞に、エイリアは反応する。自分の他にこの少年にコンダクトを申し込んだものがいたのかと。

だが、レヴィンは少し悲しそうな声音でエイリアの言葉に答えた。

「いるってか、いたって言った方がいいかな。俺のコンダクトは、もういないんだ」

「そう……なんだ。ごめん、変な雰囲気になっちゃって」

「気にすんな。俺は気にしてないから。もう3年になるしな」

どこか遠い目をしながら、レヴィンはエイリアの頭を撫でるのを止める。

「あ……」

撫でられていた手が離れたことに、エイリアは少し悲しそうな顔をするがレヴィンはそれに気づかない。

エイリアの顔がそうなる前に前を向いたのだ。普通は気づくはずもないのだが、それでもエイリアは少し頬を膨らませる。

「ほら、こんな所からはさっさと出て行こうぜ。俺はこれから首都に向かうんだけど、アンタはどうする?」

「アタシも行くわ。あんな事聞いたけど、アタシは君の事、気に入っちゃったし」

「……わーお。なんともまあ、色んな意味で頼もしい事で」

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