小説:守護霊は神様!?
2章 僕と不良と神様と
5時限目、体育。
稲羽の所属する2年2組の体育の授業では、異様な空気が流れていた。
クラスの人間を真っ二つに分断するように君臨する二人の少女。
体操服に着替えた咲耶と澪は、それぞれ臨戦態勢を取るように準備運動を行っていた。
澪はいつものポニーテールを気合を入れ直すように結び直し、咲耶は長い黒髪をまとめ、不恰好ながらもツインテールにしている。
そんな二人は、入念に体をほぐした後向かい合った。
「よし、勝負と行こう! ルールは簡単、3戦して先に2勝した方が勝ち! どうだ!?」
「悪くない。余は楽しみじゃな。このような事はしたことがないのでのう」
「…あの…二人とも…授業中なんだけど…」
教科担任である小太りの男の言葉もなんのその。
咲耶と澪はお互いの闘志をぶつけあっていた。
ちなみに、この戦いの発端、と言うか景品である稲羽はと言うと―――
「ちょっと、なんで椅子ごと持って担いでるのさ! どこにそんな力があったの!?」
「オラー! 野郎ども、上げろ上げろー! 稲羽様はもっと揺らして欲しいそうだぞ!」
「ちょっ、誰もそんなこと言ってな―――」
「「「「「わっしょい! わっしょい!」」」」」
「ぎゃぁぁぁーーー!!!」
遊ばれていた。
どこからか持ってきた少し豪華な椅子に稲羽を座らせ、神輿のような掛け声をかけているのは憲太郎。
とても楽しそうに神輿の音頭を紡ぎながら、下でそれを支える男子たちも楽しそう。
そして、それを見ている女子たちも何とも楽しそうにしていた。
「きゃー! 滝宮君頑張れー!」
「男子なんかに負けるなー!」
「稲羽君、私の彼女になって―!」
ほとんどがおかしい応援だが、それでも全員が楽しんでいるようである。
「…まずは一つ目…テニスだ!」
「てにすとな? なんだそれは」
ズルッ
咲耶の発言に、クラス全員がずっこける。
その息のぴったりと合った素晴らしさに、咲耶は何もわからずただ賞賛を送った。
「おお、中々に面白いではないか。じゃが、これは余も倒れなければなかったのかの?」
「いや、そんな訳ないから。って言うか咲耶ちゃん、テニス知らないの? こう、ぽーんってやる奴だよ?」
「ん? ああ、ラケットとか言うのを使ってボールを打つ奴だな。やったことはあるぞ」
怪訝そうに首をかしげる咲耶に、稲羽がフォローを入れるようにジェスチャーを行う。
それで理解が出来たのか、咲耶は大きくうなずきながら稲羽の真似をする。
だが、稲羽は咲耶のやったことある発言に違和感を感じられずにはいられなかった。
「…神様がテニス?」
「…言ってみただけじゃ。なに、安心せい。なるようになる」
「…本当かなー…?」
「…信じろ。余は神、お主の守護霊じゃ。勝手にいなくなりはせぬよ」
「…いや、僕としてはその守護霊って言うのが怪しさ満点なんだけど」
他の人には聞こえないように、小声で話を始める稲羽と咲耶。
色々と聞きたいことがある稲羽だが、今この場で聞けるような時間はない。
咲耶からの?しか浮かばない言葉を受け取りながら、稲羽はおとなしく退く。
そして、その間に澪がテニスコートのセッティングを終えたようで、腕組みをしながら待っていた。
「では始めよう。先にやってくれて構わんぞ?」
「じゃあ遠慮なく行くぞ!! はぁっ!!」
置かれていたラケットを手に取り、その握りを確かめるように3回ほどくるくると回した後、咲耶は澪に向かって開始を促した。
それを受けた澪は、いつもより本気で、と言うよりこの学校に入学してから初めてのきちんとした授業で出す、本気を繰り出す。
ドスッ
この場にいた誰もが見えなかったであろう速度で、澪のサーブが繰り出される。
着弾と言っても過言ではない音が地面から聞こえ、その後を咲耶が覗いてみると、そこには小さなクレーターが出来上がっていた。
「おいおいおいおい…なんだよありゃ…ほとんど大砲じゃねーか」
「うん…。やっぱり澪ちゃんは力凄いね」
「いや、それで片づけられるわけねーだろ、普通」
その威力を見た憲太郎は、呆れかえると言うものを通り越して無感動になっていた。
稲羽はそんな憲太郎を見ながら言葉を返すが、無感動になっていたせいか、憲太郎の返しが意外に早かった。
「さぁ! どんどん行くぞ!」
「…ふむ…これは余も本気で行くしかないようじゃの…」
再び振り被り、次のサーブを放とうとしている澪を見ながら、咲耶は誰にも聞こえないような声で呟いた。
そして、亜音速と言ってもいいぐらいに早いサーブが、再び咲耶の人知に向かって繰り出される。
「ハッ!」
それに反応し、ラケットを振りかぶる咲耶。
ズドン!
所謂フォアハンドと言う形で、思いっきり振り抜いた先には、今度はクレーターではなく綺麗な穴が出来ていた。
「「「「「えええぇぇぇーーー!!!」」」」」
「ふむ。こんなものかの。すまぬ、あれではボールが取れんゆえ、どういう扱いになるのじゃ?」
「え? えーっと、初めて見る事例なので…なんとも…」
審判を務めていた女子に、咲耶は結果がどうなったのかを質問する。
だが、ギャラリーの面々と同じように、その奇怪すぎる現象に度肝を抜かれていた審判の女子としては、判断できかねていた。
ガランッ
「あたしの負けだ! 勝てる訳ないだろ、あんなの!」
―――いや、お前のも十分勝てないから―――
ラケットを投げ捨てるように落としながら負けを認めた澪に、その場にいる全員がこう思っただろう。
コートにクレーターを作ることが出来る人間と、コートにボールを埋め込むことが出来る人間。どちらも人間離れと言う観点から外れきっている。
「次だ次! 次は負けないし負けられないからな! 女、覚悟してろ!」
「うむ。次も楽しませてくれよ」
稲羽の所属する2年2組の体育の授業では、異様な空気が流れていた。
クラスの人間を真っ二つに分断するように君臨する二人の少女。
体操服に着替えた咲耶と澪は、それぞれ臨戦態勢を取るように準備運動を行っていた。
澪はいつものポニーテールを気合を入れ直すように結び直し、咲耶は長い黒髪をまとめ、不恰好ながらもツインテールにしている。
そんな二人は、入念に体をほぐした後向かい合った。
「よし、勝負と行こう! ルールは簡単、3戦して先に2勝した方が勝ち! どうだ!?」
「悪くない。余は楽しみじゃな。このような事はしたことがないのでのう」
「…あの…二人とも…授業中なんだけど…」
教科担任である小太りの男の言葉もなんのその。
咲耶と澪はお互いの闘志をぶつけあっていた。
ちなみに、この戦いの発端、と言うか景品である稲羽はと言うと―――
「ちょっと、なんで椅子ごと持って担いでるのさ! どこにそんな力があったの!?」
「オラー! 野郎ども、上げろ上げろー! 稲羽様はもっと揺らして欲しいそうだぞ!」
「ちょっ、誰もそんなこと言ってな―――」
「「「「「わっしょい! わっしょい!」」」」」
「ぎゃぁぁぁーーー!!!」
遊ばれていた。
どこからか持ってきた少し豪華な椅子に稲羽を座らせ、神輿のような掛け声をかけているのは憲太郎。
とても楽しそうに神輿の音頭を紡ぎながら、下でそれを支える男子たちも楽しそう。
そして、それを見ている女子たちも何とも楽しそうにしていた。
「きゃー! 滝宮君頑張れー!」
「男子なんかに負けるなー!」
「稲羽君、私の彼女になって―!」
ほとんどがおかしい応援だが、それでも全員が楽しんでいるようである。
「…まずは一つ目…テニスだ!」
「てにすとな? なんだそれは」
ズルッ
咲耶の発言に、クラス全員がずっこける。
その息のぴったりと合った素晴らしさに、咲耶は何もわからずただ賞賛を送った。
「おお、中々に面白いではないか。じゃが、これは余も倒れなければなかったのかの?」
「いや、そんな訳ないから。って言うか咲耶ちゃん、テニス知らないの? こう、ぽーんってやる奴だよ?」
「ん? ああ、ラケットとか言うのを使ってボールを打つ奴だな。やったことはあるぞ」
怪訝そうに首をかしげる咲耶に、稲羽がフォローを入れるようにジェスチャーを行う。
それで理解が出来たのか、咲耶は大きくうなずきながら稲羽の真似をする。
だが、稲羽は咲耶のやったことある発言に違和感を感じられずにはいられなかった。
「…神様がテニス?」
「…言ってみただけじゃ。なに、安心せい。なるようになる」
「…本当かなー…?」
「…信じろ。余は神、お主の守護霊じゃ。勝手にいなくなりはせぬよ」
「…いや、僕としてはその守護霊って言うのが怪しさ満点なんだけど」
他の人には聞こえないように、小声で話を始める稲羽と咲耶。
色々と聞きたいことがある稲羽だが、今この場で聞けるような時間はない。
咲耶からの?しか浮かばない言葉を受け取りながら、稲羽はおとなしく退く。
そして、その間に澪がテニスコートのセッティングを終えたようで、腕組みをしながら待っていた。
「では始めよう。先にやってくれて構わんぞ?」
「じゃあ遠慮なく行くぞ!! はぁっ!!」
置かれていたラケットを手に取り、その握りを確かめるように3回ほどくるくると回した後、咲耶は澪に向かって開始を促した。
それを受けた澪は、いつもより本気で、と言うよりこの学校に入学してから初めてのきちんとした授業で出す、本気を繰り出す。
ドスッ
この場にいた誰もが見えなかったであろう速度で、澪のサーブが繰り出される。
着弾と言っても過言ではない音が地面から聞こえ、その後を咲耶が覗いてみると、そこには小さなクレーターが出来上がっていた。
「おいおいおいおい…なんだよありゃ…ほとんど大砲じゃねーか」
「うん…。やっぱり澪ちゃんは力凄いね」
「いや、それで片づけられるわけねーだろ、普通」
その威力を見た憲太郎は、呆れかえると言うものを通り越して無感動になっていた。
稲羽はそんな憲太郎を見ながら言葉を返すが、無感動になっていたせいか、憲太郎の返しが意外に早かった。
「さぁ! どんどん行くぞ!」
「…ふむ…これは余も本気で行くしかないようじゃの…」
再び振り被り、次のサーブを放とうとしている澪を見ながら、咲耶は誰にも聞こえないような声で呟いた。
そして、亜音速と言ってもいいぐらいに早いサーブが、再び咲耶の人知に向かって繰り出される。
「ハッ!」
それに反応し、ラケットを振りかぶる咲耶。
ズドン!
所謂フォアハンドと言う形で、思いっきり振り抜いた先には、今度はクレーターではなく綺麗な穴が出来ていた。
「「「「「えええぇぇぇーーー!!!」」」」」
「ふむ。こんなものかの。すまぬ、あれではボールが取れんゆえ、どういう扱いになるのじゃ?」
「え? えーっと、初めて見る事例なので…なんとも…」
審判を務めていた女子に、咲耶は結果がどうなったのかを質問する。
だが、ギャラリーの面々と同じように、その奇怪すぎる現象に度肝を抜かれていた審判の女子としては、判断できかねていた。
ガランッ
「あたしの負けだ! 勝てる訳ないだろ、あんなの!」
―――いや、お前のも十分勝てないから―――
ラケットを投げ捨てるように落としながら負けを認めた澪に、その場にいる全員がこう思っただろう。
コートにクレーターを作ることが出来る人間と、コートにボールを埋め込むことが出来る人間。どちらも人間離れと言う観点から外れきっている。
「次だ次! 次は負けないし負けられないからな! 女、覚悟してろ!」
「うむ。次も楽しませてくれよ」
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