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小説:短編集


未来から始まるストーリー

一人目 未来から来た子とのラブストーリー

彼女は言った。

「私ね、未来から来たんだー。未来人だけど、日本人だからね」

そんな唐突な言葉に、俺は全く反応できなかった。

そんな目も丸くしていないし、口もあんぐり開けていない、俺の普通の反応に不満があるのか、彼女は今度は動いた。

「でさでさ、私、君のことが好きなの。未来から見て、君が大好きになったの」

俺の体にすりより、そんな妖艶な告白をする彼女。

だが、俺の頭は先程の衝撃から抜けきっていない。

次に起こした彼女の動きにさえ、俺はノーリアクションだった。

「だからさ、私をお嫁さんにして?」

更なる告白。

本当にビックリだ。心の中だけど。

でも、ようやく俺の表情筋が反応したのは、人生初めての経験をしたときだった。

「…んっ…っぅ…」

触れ合う唇。

その感触でようやく、俺の表情は動いた。

まあ、瞼だけだが。

彼女の熱い唇が、俺を貪る。舌を絡ませ、唾液を絡ませる。

その柔らかくて熱くて気持ちいい感覚に、俺の頭は麻痺していた。

「…んぅ…美味しかった…」

離れた唇から、銀色の糸が伸びる。

それすらも愛おしそうに、それを指で絡ませて舐めた。

妖艶な微笑みで俺を誘い、更なる境地へ俺を導こうとする彼女。

名前も知らない、先ほど出会ったばかりの彼女に、俺は一言も発せなかった。

「…むぅ…もう少し慌ててほしいなー。手慣れてる感じだしさー」

そんなことはない。

俺のファーストキスだ。さっきのディープがな。

「ま、いいや。もっともーっと、君を好きになって、君をメロメロにしてあげる。それまで、誰にも奪われちゃダメだからね?」

「何をだ何を」

お、初めて声が出た。

上擦ってないし、かなり普通の声だ。

だけど、その切り返しは今は必要なかった。

そう、あとで酷く後悔している。

「…貞操///」

顔を真っ赤にしてそういう彼女は、とても可愛かった。
4/10