楽天市場
[無料でホームページを作成] [通報・削除依頼]

小説:真・恋姫無双 双璧の番

序章
その五

街へ 三姉妹の話し合い




「ねーねー、螢ー。どこに向かってるの?」

「んー、とりあえずは町を探してる。飯も食べないといけないし」

賊を討伐した後、二人は山道を下っていた。新たな町に移動し、情報を手にいれるために。

旅をしたままだと、世間には必ず鈍くなる。それを避けるために、こうして急いでいるのだが…。

「螢ー、おっきな熊だよー。大勝利ーってね」

「螢ー、猪だよ、猪! 食べていいよね!?」

「螢ー、スッゴい色のキノコ見つけたよ! なんかね? 七色に光ってるの!」

「螢ー、なんかあっちに筋肉がものすごく付いた、吐き気がする生き物がいたんだけど…」

「だー、もう! 熊と猪は食えるからいいとして! 七色に光るキノコって何!? 絶対に触っちゃダメだから! それに

最後のは良くわかんないけど絶対に目のゴミだから! 毒だから!!」

「はーい…」

この有り様である。

嵐は、基本的に面白そうなことに首を突っ込みたがる癖がある。

先程の熊は、突然現れた熊と素手で格闘して勝利し、熊を持ち上げながら螢に無邪気な笑みを向けた。

猪は、ふらっといきなり嵐がいなくなったと思うと、顔に血をつけながら猪を引きずってきた。その時も、螢に向かって笑

っていたのだが、血をつけたままだったので螢は少々引いた。

キノコは、少し盛り上がった地面に生えているのを、嵐が見つけたのである。その下には、人がいたとかいなかったとか。

最後の筋肉がものすごく付いた気持ち悪い人は、嵐がちらっと見ただけなので、螢は知らなかった。いや、知らない方が良

かったのかもしれない。

そして、呆れきった螢が嵐を叱ると、少し項垂れながらきちんと返事をする嵐。根は真面目ないい子なのである。

「ふぅ…。お、見えてきたな」

少しやつれた表情の螢が指差したのは、新たに見える町。遠目から見ても繁栄している事が良く分かる。

「おー! ふかふかの寝床でようやく寝れるー! ご飯ー!」

町が目に入った途端、嵐が目を輝かせながら走り出す。

やはり女の子。途中途中にあった川などで水浴びはしているが、やはり色々と格別なものがあるのだろう。

そんな事を思いながら、螢は嵐の後を追いかけていった。























「愛紗ちゃーん、鈴々ちゃーん。待ってよー」

走り出した嵐を、螢がようやく追いかけ始めた頃、町の中で少女の声が響いた。

綺麗な桃色の髪を腰まで伸ばし、胸の部分は十二分に育っている。

そんな少女が、町の中を走っている。

目の前にいる、黒髪の少女と赤毛の少女を追いかけて。

「しかし桃香様。すぐそこまで賊が迫っていると言うのです。これが急がずにいられますか」

黒髪の少女が、桃香と呼んだ桃色の髪の少女に向かって諭すように言う。

「でも、愛紗ちゃん。策もないのに闇雲に突っ込んだりしたら…」

「しかし…!」

桃香は愛紗と呼んだ黒髪の少女を心配そうに見つめる。

そんな桃香の視線に耐えられなくなった愛紗は、抗議の声をあげる。

「愛紗もお姉ちゃんも、心配しすぎなのだ。鈴々と愛紗がいれば、大丈夫な事間違い無しなのだ」

そんな二人を見かねて、赤毛の少女が声をあげる。

自信に満ち溢れているようで、腰に両手を当ててえっへんと胸を張っている。

「確かに鈴々の言う通りだな。私は桃香様の一の矛。賊などには遅れはとりませぬ」

愛紗は鈴々と呼んだ赤毛の少女の言葉に納得し、桃香に向かって臣下の礼を取る。

「そうなのだ! 愛紗と鈴々がいれば百人力、いや千人力なのだ!」

鈴々もそれに習うように元気のいい声で答える。

そんな二人の言葉に、桃香は意を決して二人に言う。

「…分かった。なら、行こう? 愛紗ちゃん、鈴々ちゃん」

「はい!」

「おうなのだ!」

そして、三人の少女は決意を新たにし、腕を組み合った。


5/8