大義 杉本五郎中佐遺著
第十二章 神 勅
皇祖皇宗の賜へる 聖詔乃至聖言聖行は、総べて 神勅ならざるなきも、 天照大神の下し賜える 肇國の神勅は、実に世界の斉しく依るべき神典なることを宣言し、同時に國體の無比なる所以を明徴にせんとす。
神 勅
天照大神勅 皇孫 曰葦原千五百秋瑞穂国是吾子孫可王之地也宜爾皇孫就而治焉行矣宝祚之隆当与天壌無窮矣 (日本書紀)
古事記にある所を要約すれば
「天照大御神 太子天忍穂耳命ニ詔リタマワク、今葦原ノ中ツ国平ケ訖ヘヌト白ス、カレ言依シ賜ヘリシマニマニ降リマ シテ知ロシメセト詔リタマイキ。
天忍穂耳命ノ白シタマハク
僕ハ降リナム装束セシ間ニ御子生レマシツ、
御名ハ日子番能邇邇芸命、
コノ御子ヲ降スべシト白シタマヒキ。
是ヲ以テ白シタマフ随ニ
日子番能邇邇芸命ニ詔科セテ
コノ豊葦原水穂国ハ汝知ラサン国ナリト言依サシ 給フ、カレ御命ノ随
ニ天降リマス可シト詔リタマヒキ」
古語拾遺に記しあるところを要約すれば、
「天祖天照大神 高皇産霊尊乃チ相語テ曰ク、夫レ 葦原ノ瑞穂国ハ吾ガ
子孫ノ王タルべキノ地ナリ。皇孫就デマシテ治給 ヘ、宝祚ノ隆
ナルコト当ニ天壌卜窮リ無カルべシ、即チ八咫鏡 及草薙剣二種ノ神宝
ヲ以テ、皇孫ニ授ケ賜ヒテ永ク天璽ト為ス、矛玉自 ラ従フ。」
大日本は神国なり。 天祖始めて基を開き、日神長く統を伝え給ふ。大
義天地を貫き、君臣の分炳乎として日星のごとし。
君無窮なれば、扶翼の臣また無窮ならざるべからず。七生滅賊以て 皇統
を無窮に扶翼すべきはこの 神勅に瞭々明白に包含す。
神 勅
天照大神手持宝鏡授天忍穂耳尊而祝之曰
吾児視宝鏡当猶視吾可与同床共殿以為斎鏡
又勅曰
以吾高天原所御斎庭之穂亦当御於吾児
(日本書紀古語拾遺)
古事記の記述を要約すれば、
「此ノ鏡ハ専ラ我ガ御魂トシテ吾ガ御前ヲ拝クガゴト斎キマツレ」日夜 天照大神と御同座、誠に戒律の極致、無上信仰なり。 天照大神其の儘の御心に成らせられ、即ち 天皇は真に現人神として万民を統べさせ給ふ、祭政一致とは実にこの謂ひにして、これ神の政治なり。
借問す、大命を奉じ、閣班に列し、綱紀を紊乱して、平々洒々職を辞するも敢て死せず、而かも何事ぞ、再び政権を強奪せんと狂奔し、以て政治の常道なりとす。知らず、神域を犯すは何れの夷人ぞ。
現人神を中心に神集ひに集ひ、以て 皇運を無窮に扶翼する、是れ 皇國の政道なり。断じて私利私党の存在を許さざるなり。
無窮の 皇運扶翼を以て、教育の淵源となし給へる 大御心を深く拝し奉れ、 神勅顕現が教育の根源なることを銘記せよ。
殉皇は宝鏡に一元化する最高道徳にして、無上信仰なり。神化するの唯一道なり。
天照大神は復た吾々に肉体を養うて行くべき道をも教へ給へり。斎庭之穂の神勅是れなり。日本書紀巻一に「天照大神喜びて曰く『是ノ物ハ則チ顕見蒼生ノ食ヒテ活クヘキモノナリ』とのたまいて、乃ち粟・稗・麦・豆を以て陸田 種子と為し、稲を以て水田種子と為す」
とあり、実に国民の生活を保証遊ばし給ひしがこの 神勅なり。
明治天皇の国威宣揚の御詔勅の中に
「今般朝政一新ノ時ニ膺リ、天下億兆一モ其ノ所ヲ得 ザルトキハ、皆
朕ガ罪ナレバ」
と宣はせられたる 大御心、全く 天照大神の御精神、神勅に昭々乎たり。物心共に偏在し、浮浪の民あるは、神勅冒涜なり。国民斉しく恐懼慚死すべし、何の面目ありて 祖宗の神霊に相見せんとはする。無比の國體も観念に終らんとするか、生活に具現せずして、何の國體明徴ぞ。心も身も悉く 天皇より賜はりたる恩賜品なり、仏前に茶菓浄膳を日夜に供御すれども、 天祖の御前に供御せざる忘恩の徒、正に罪科彌天餓死せよ。「普天の下、率土の浜、皇臣皇土に非ざるなし」の一句、
「一人の天下にして、万人の天下に非ざる」の意、共に共に此の 神勅に明白に拝察し得るなり。万邦無比の國體歴然として此の 神勅に顕はる。
神 勅
高皇産霊尊因テ勅シテ曰ク(古語拾遺ニハ天照大神勅セラレタルゴトク解セラル)
吾則起樹天津神籬及天津磐境当為吾孫奉斎矣、汝天児島根命・天
太玉命宜持天津神籬降於葦原中国亦為吾孫奉斎焉(日本書紀巻巻二
古語拾遺)
神籬とは霊籠木、霊の寵る木、神霊の鎮ります木といふ義にて、榊へ紙又は麻布などを附けたるものにして、神様が天降つて御宿り遊ばす木という義なり。
磐境とは祭場祭壇なり、神籬を安置せる所が磐境なり。従つて、神籬と磐境とは心と身、二にして一つ、不二一体なり。
心は是れ 天照大神、身は是れ高天原、心身一体、君国一元、君臣一如なり、滅我殉皇の大精神を以て 皇孫に帰一し奉れ、しかして「マツラン」「マツル」とは、「マツラフ」ことにして、大君に合一し奉ることなり。即ち天も地も挙げて 皇孫を寿(ことほ)ぎ、天壌無窮の 皇運を扶翼せんこと、是れ此の 神勅の真実義なり。
神籬磐境の思想は不二一体の妙所を指針せるものにして、更に別言すれば、神籬は人、磐境は境、即ち人境不二の妙境、無我境を以て事に当り、以て 皇運を無窮に扶翼せよとの義なり。人境不二の妙境把握、決して容易の見をなす勿れ。 日神に於かれて尚且「同床共殿」の行事を励み給ふことを思へ。不二妙境の極致、況んや凡庸幾十百度か蒼龍の窟に下るの苦練を積め。行し難きを能く行し、忍び難きを能く忍び、以て鍛錬せざるべからず。軽信慢心の徒の能くする所に非ず。乞う更に第三章及第七章を看取せよ。
然り而して、三つの 神勅を綜合謹察するに、 天皇は 天照大神に在しまし、幽顕一貫、唯一最高の現人神にして、天地の太祖、万物の根源、従つて無窮の宝祚は絶対無条件の神定の大事実、万古実に不動不変、天神地祗乃至一切衆生山川草木皆悉く 天皇の彌栄を寿ぎ、無窮扶翼の聖行に帰一没入するの 神想、三勅を通貫す。誠に世界浄化の根基、宗教道徳の大本は、茲にあることを教へ賜ひたるものなり。
独断に非ず、専断に非ず、盲信に非ず、霊眼を活開して此の 三神勅に参せよ。此の 神勅こそは無上真理宇宙法則の成文化なることを徹見せん。大地は打ち外づすことあるも、此の言に疑ひなし。
自己を救ひ、他を済ひ、乃至世界を救済せんと念願するものは、 神勅顕彰に没我精進せよ。「詔ヲ承ケテハ必ズ謹メ」神勅顕彰は即ち世界維新なり、天孫民族捨身の大使命は全く茲にあり。 天業侠弘 皇道宣布といふも、将又八紘一宇といふも、神勅成就の異名なり。
皇祖皇宗 神勅具現に日夜の聖闘を続け給ひ、祖先亦血戦死闘をなして、 神勅成就に邁進せり。吾等又 神勅のために何んぞ喪身失命を避けんや。伏はぬもの即ち 神意に合一せざるものを討平 皇化せられたる
神武御東征は、実に維新の規範なり。
今や正に 神武御東征再挙の秋、 神勅体得は方今喫緊の急務なり。茲に 聖詔を掲げて更に 神勅に徹底し、國體を不惑に立せんとす。
神武天皇建国の大詔
(上略)上ハ則チ乾霊国ヲ授クルノ徳ニ答ヘ、下ハ則チ皇孫正キヲ養
フノ心ヲ弘メ、然ル後六合ヲ兼ネテ都ヲ開キ八紘ヲ掩ヒテ宇トナサソ
コト、亦可カラズヤ(後略)
是れ古今に通じて謬らず、中外に施して悖らざる「養正」の道義を以て
する世界維新の大皇謨、 天皇親帥の下大和民族の大進軍なり。
明治天皇皇威宣揚の大詔
(前略)表ニハ朝廷ヲ推尊シテ、実ハ敬シテ是ヲ遠ザケ、億兆ノ父母ト
シテ絶エテ赤子ノ情ヲ知ルコト能ハザルヤウ計リナシ、ツイニ億兆ノ君
タルモ唯名ノミニ成リ果テ、其ガ為ニ今日朝廷ノ尊重ハ古ニ倍センガ
如クニテ、朝威ハ倍々衰ヘ、上下相離ルルコト霄壌ノ如シ。カカル形
勢ニテ何ヲ以テ天下ニ君臨センヤ。今般朝政一新ノ時ニ膺リ、天下億
兆一人モ其ノ所ヲ得ザルトキハ、皆朕ガ罪ナレバ、今日ノ事、朕自ラ身
骨ヲ労シ心志ヲ苦シメ、艱難ノ先ニ立チ、古列祖ノ尽サセ給ヒシ蹤ヲ履
ミ、治蹟ヲ勤メテコソ、始メテ天職ヲ奉ジテ億兆ノ君タルニ背カザル
べシ。往昔列祖万機ヲ親ラシ不臣ノ者アレバ自ラ将トシテ之ヲ征シ給
ヒ、朝廷ノ政総テ簡易ニシテ、此(カク)ノ如ク尊重ナラザルユヱ、君臣相親ミ、
上下相愛シ、徳沢天下ニ洽ク、国威海外ニ輝キシナリ(中略)
朕ココニ百官諸侯卜広ク相誓ヒ、列祖ノ御偉業ヲ継述シ、一身ノ艱難
辛苦ヲ問ハズ、親ラ四方ヲ経営シ、汝億兆ヲ安撫シ、遂ニハ万里ノ波
涛ヲ拓開シ、国威ヲ四方ニ宣布シ、天下ヲ富岳ノ安キニ置カソコトヲ
欲ス(後略)
神勅成就のために、御自ら身骨を労し心志を苦め艱難の先に立たせ給ふ、唯々恐懼措く所を知らざるなり、 皇道宣布の御紹述、吾等奮起せざるべけんや。
「広く会議を興し万機公論に決すべし」
是れ立党の基本原則なるかの如く愚且つ不敬にも大言叱呼する政党者流、「官民一途庶民に至る迄各々其の志を遂げ人心をして倦まざらしめんことを要す」
の条に到りては、物心の偏在、失業の大量製産、怨声下に満つるも意に介せず、現状維持に鞠窮如たり。
「旧来の陋習を破り天地の公道に基くべし」
立党既に数十年弊習続出、外国模倣の旧来の陋習を以て天地の公道と誇る、咄!! まさに大死一番 神勅に蘇れ。
「智識を世界に求め大に 皇基を振起すべし」
凡百の事象悉く此の聖章に叛逆す。 皇基振起即ち 神勅成就が万学乃至政道の根基なることを深く悟れ。
大綱と天津日嗣を先づとりて
もろもろの目をあむ国と知れ
五ケ条の御誓文は実に 神勅顕現の大指針なり。
大正天皇御即位大礼当日紫宸殿の御儀に於て賜りたる勅語
朕祖宗ノ遺烈ヲ承ケ、惟神ノ宝祚ヲ践ミ、爰ニ即位ノ礼ヲ行ナヒ、普ク
爾臣民ニ誥ク、朕惟フニ、皇祖皇宗国ヲ肇メ基ヲ建テ、列聖統ヲ紹キ
裕ヲ垂レ、天壌無窮ノ神勅ニ依リテ万世一系ノ帝位ヲ伝ヘ、神器ヲ奉
シテ八洲ニ臨ミ、皇化ヲ宜ヘテ蒼生ヲ撫ス、爾臣民世世相継キ、忠実
公ニ奉ス、義ハ則チ君臣ニシテ情ハ猶ホ父子ノコトク、以テ万邦無比
ノ國體ヲ成セリ、(中略)祖宗ノ神霊照鑑上ニアリ。
朕夙夜兢業天職ヲ全クセムコトヲ期ス、朕ハ爾臣民ノ忠誠ソノ分ヲ守
り、励精其ノ業ニ従ヒ、以テ皇運ヲ扶翼スルコトヲ知ル、(後略)
國體の無窮なる所以を説示し給ひ、戦々兢々 神勅顕彰を御祈念遊ば
さるゝ 聖慮の程、畏くも畏き極みなり。感憤興起せざらんや。
今上陛下御即位大礼当日紫宸殿の御儀に於て御下賜の勅語
(前略)皇祖皇宗国ヲ建テ民ニ臨ムヤ、国ヲ以テ家トナシ民ヲ視ルコト
子ノ如シ。列聖相承ケテ仁恕ノ化下ニ洽ク、兆民相率ヰテ敬忠ノ俗上
ニ奉ソ、上下感孚(カンプ)シ君民体ヲ一ニス、是レ我カ國體ノ精華ニシテ、当
ニ天地卜竝ヒ存スヘキ所ナリ、(後略)
瞥見忽ち國體の真髄に徹し、 宝祚の無窮なる所以を把握し、世界救済
の根本道は全く此の 聖勅にあることを大悟せん。
天皇陛下は 天照大神
国 は 神 国
民 は 神 民
一系同統、祖先殉忠の誠血は々(こんこん)として渾身に溢る。大神輪を転じて、
誓つて 神勅成就に前進せん。
天地神明来り鑑よ。
橘曙覧先生歌
神国の神のをしへを千よろづの
国にほどこせ神の国人
天皇は神にしますぞ天皇の
勅としいはば畏みまつれ
利のみむさぼる国に正しかる
日嗣のゆゑをしめしたらなむ
たのしみは神の御国の民として
神の教へをふかくおもふとき
御ひかりを朝夕うくる御めぐみは
身を粉にすともむくいえられじ
(昭和一一、一二、二〇)
神 勅
天照大神勅 皇孫 曰葦原千五百秋瑞穂国是吾子孫可王之地也宜爾皇孫就而治焉行矣宝祚之隆当与天壌無窮矣 (日本書紀)
古事記にある所を要約すれば
「天照大御神 太子天忍穂耳命ニ詔リタマワク、今葦原ノ中ツ国平ケ訖ヘヌト白ス、カレ言依シ賜ヘリシマニマニ降リマ シテ知ロシメセト詔リタマイキ。
天忍穂耳命ノ白シタマハク
僕ハ降リナム装束セシ間ニ御子生レマシツ、
御名ハ日子番能邇邇芸命、
コノ御子ヲ降スべシト白シタマヒキ。
是ヲ以テ白シタマフ随ニ
日子番能邇邇芸命ニ詔科セテ
コノ豊葦原水穂国ハ汝知ラサン国ナリト言依サシ 給フ、カレ御命ノ随
ニ天降リマス可シト詔リタマヒキ」
古語拾遺に記しあるところを要約すれば、
「天祖天照大神 高皇産霊尊乃チ相語テ曰ク、夫レ 葦原ノ瑞穂国ハ吾ガ
子孫ノ王タルべキノ地ナリ。皇孫就デマシテ治給 ヘ、宝祚ノ隆
ナルコト当ニ天壌卜窮リ無カルべシ、即チ八咫鏡 及草薙剣二種ノ神宝
ヲ以テ、皇孫ニ授ケ賜ヒテ永ク天璽ト為ス、矛玉自 ラ従フ。」
大日本は神国なり。 天祖始めて基を開き、日神長く統を伝え給ふ。大
義天地を貫き、君臣の分炳乎として日星のごとし。
君無窮なれば、扶翼の臣また無窮ならざるべからず。七生滅賊以て 皇統
を無窮に扶翼すべきはこの 神勅に瞭々明白に包含す。
神 勅
天照大神手持宝鏡授天忍穂耳尊而祝之曰
吾児視宝鏡当猶視吾可与同床共殿以為斎鏡
又勅曰
以吾高天原所御斎庭之穂亦当御於吾児
(日本書紀古語拾遺)
古事記の記述を要約すれば、
「此ノ鏡ハ専ラ我ガ御魂トシテ吾ガ御前ヲ拝クガゴト斎キマツレ」日夜 天照大神と御同座、誠に戒律の極致、無上信仰なり。 天照大神其の儘の御心に成らせられ、即ち 天皇は真に現人神として万民を統べさせ給ふ、祭政一致とは実にこの謂ひにして、これ神の政治なり。
借問す、大命を奉じ、閣班に列し、綱紀を紊乱して、平々洒々職を辞するも敢て死せず、而かも何事ぞ、再び政権を強奪せんと狂奔し、以て政治の常道なりとす。知らず、神域を犯すは何れの夷人ぞ。
現人神を中心に神集ひに集ひ、以て 皇運を無窮に扶翼する、是れ 皇國の政道なり。断じて私利私党の存在を許さざるなり。
無窮の 皇運扶翼を以て、教育の淵源となし給へる 大御心を深く拝し奉れ、 神勅顕現が教育の根源なることを銘記せよ。
殉皇は宝鏡に一元化する最高道徳にして、無上信仰なり。神化するの唯一道なり。
天照大神は復た吾々に肉体を養うて行くべき道をも教へ給へり。斎庭之穂の神勅是れなり。日本書紀巻一に「天照大神喜びて曰く『是ノ物ハ則チ顕見蒼生ノ食ヒテ活クヘキモノナリ』とのたまいて、乃ち粟・稗・麦・豆を以て陸田 種子と為し、稲を以て水田種子と為す」
とあり、実に国民の生活を保証遊ばし給ひしがこの 神勅なり。
明治天皇の国威宣揚の御詔勅の中に
「今般朝政一新ノ時ニ膺リ、天下億兆一モ其ノ所ヲ得 ザルトキハ、皆
朕ガ罪ナレバ」
と宣はせられたる 大御心、全く 天照大神の御精神、神勅に昭々乎たり。物心共に偏在し、浮浪の民あるは、神勅冒涜なり。国民斉しく恐懼慚死すべし、何の面目ありて 祖宗の神霊に相見せんとはする。無比の國體も観念に終らんとするか、生活に具現せずして、何の國體明徴ぞ。心も身も悉く 天皇より賜はりたる恩賜品なり、仏前に茶菓浄膳を日夜に供御すれども、 天祖の御前に供御せざる忘恩の徒、正に罪科彌天餓死せよ。「普天の下、率土の浜、皇臣皇土に非ざるなし」の一句、
「一人の天下にして、万人の天下に非ざる」の意、共に共に此の 神勅に明白に拝察し得るなり。万邦無比の國體歴然として此の 神勅に顕はる。
神 勅
高皇産霊尊因テ勅シテ曰ク(古語拾遺ニハ天照大神勅セラレタルゴトク解セラル)
吾則起樹天津神籬及天津磐境当為吾孫奉斎矣、汝天児島根命・天
太玉命宜持天津神籬降於葦原中国亦為吾孫奉斎焉(日本書紀巻巻二
古語拾遺)
神籬とは霊籠木、霊の寵る木、神霊の鎮ります木といふ義にて、榊へ紙又は麻布などを附けたるものにして、神様が天降つて御宿り遊ばす木という義なり。
磐境とは祭場祭壇なり、神籬を安置せる所が磐境なり。従つて、神籬と磐境とは心と身、二にして一つ、不二一体なり。
心は是れ 天照大神、身は是れ高天原、心身一体、君国一元、君臣一如なり、滅我殉皇の大精神を以て 皇孫に帰一し奉れ、しかして「マツラン」「マツル」とは、「マツラフ」ことにして、大君に合一し奉ることなり。即ち天も地も挙げて 皇孫を寿(ことほ)ぎ、天壌無窮の 皇運を扶翼せんこと、是れ此の 神勅の真実義なり。
神籬磐境の思想は不二一体の妙所を指針せるものにして、更に別言すれば、神籬は人、磐境は境、即ち人境不二の妙境、無我境を以て事に当り、以て 皇運を無窮に扶翼せよとの義なり。人境不二の妙境把握、決して容易の見をなす勿れ。 日神に於かれて尚且「同床共殿」の行事を励み給ふことを思へ。不二妙境の極致、況んや凡庸幾十百度か蒼龍の窟に下るの苦練を積め。行し難きを能く行し、忍び難きを能く忍び、以て鍛錬せざるべからず。軽信慢心の徒の能くする所に非ず。乞う更に第三章及第七章を看取せよ。
然り而して、三つの 神勅を綜合謹察するに、 天皇は 天照大神に在しまし、幽顕一貫、唯一最高の現人神にして、天地の太祖、万物の根源、従つて無窮の宝祚は絶対無条件の神定の大事実、万古実に不動不変、天神地祗乃至一切衆生山川草木皆悉く 天皇の彌栄を寿ぎ、無窮扶翼の聖行に帰一没入するの 神想、三勅を通貫す。誠に世界浄化の根基、宗教道徳の大本は、茲にあることを教へ賜ひたるものなり。
独断に非ず、専断に非ず、盲信に非ず、霊眼を活開して此の 三神勅に参せよ。此の 神勅こそは無上真理宇宙法則の成文化なることを徹見せん。大地は打ち外づすことあるも、此の言に疑ひなし。
自己を救ひ、他を済ひ、乃至世界を救済せんと念願するものは、 神勅顕彰に没我精進せよ。「詔ヲ承ケテハ必ズ謹メ」神勅顕彰は即ち世界維新なり、天孫民族捨身の大使命は全く茲にあり。 天業侠弘 皇道宣布といふも、将又八紘一宇といふも、神勅成就の異名なり。
皇祖皇宗 神勅具現に日夜の聖闘を続け給ひ、祖先亦血戦死闘をなして、 神勅成就に邁進せり。吾等又 神勅のために何んぞ喪身失命を避けんや。伏はぬもの即ち 神意に合一せざるものを討平 皇化せられたる
神武御東征は、実に維新の規範なり。
今や正に 神武御東征再挙の秋、 神勅体得は方今喫緊の急務なり。茲に 聖詔を掲げて更に 神勅に徹底し、國體を不惑に立せんとす。
神武天皇建国の大詔
(上略)上ハ則チ乾霊国ヲ授クルノ徳ニ答ヘ、下ハ則チ皇孫正キヲ養
フノ心ヲ弘メ、然ル後六合ヲ兼ネテ都ヲ開キ八紘ヲ掩ヒテ宇トナサソ
コト、亦可カラズヤ(後略)
是れ古今に通じて謬らず、中外に施して悖らざる「養正」の道義を以て
する世界維新の大皇謨、 天皇親帥の下大和民族の大進軍なり。
明治天皇皇威宣揚の大詔
(前略)表ニハ朝廷ヲ推尊シテ、実ハ敬シテ是ヲ遠ザケ、億兆ノ父母ト
シテ絶エテ赤子ノ情ヲ知ルコト能ハザルヤウ計リナシ、ツイニ億兆ノ君
タルモ唯名ノミニ成リ果テ、其ガ為ニ今日朝廷ノ尊重ハ古ニ倍センガ
如クニテ、朝威ハ倍々衰ヘ、上下相離ルルコト霄壌ノ如シ。カカル形
勢ニテ何ヲ以テ天下ニ君臨センヤ。今般朝政一新ノ時ニ膺リ、天下億
兆一人モ其ノ所ヲ得ザルトキハ、皆朕ガ罪ナレバ、今日ノ事、朕自ラ身
骨ヲ労シ心志ヲ苦シメ、艱難ノ先ニ立チ、古列祖ノ尽サセ給ヒシ蹤ヲ履
ミ、治蹟ヲ勤メテコソ、始メテ天職ヲ奉ジテ億兆ノ君タルニ背カザル
べシ。往昔列祖万機ヲ親ラシ不臣ノ者アレバ自ラ将トシテ之ヲ征シ給
ヒ、朝廷ノ政総テ簡易ニシテ、此(カク)ノ如ク尊重ナラザルユヱ、君臣相親ミ、
上下相愛シ、徳沢天下ニ洽ク、国威海外ニ輝キシナリ(中略)
朕ココニ百官諸侯卜広ク相誓ヒ、列祖ノ御偉業ヲ継述シ、一身ノ艱難
辛苦ヲ問ハズ、親ラ四方ヲ経営シ、汝億兆ヲ安撫シ、遂ニハ万里ノ波
涛ヲ拓開シ、国威ヲ四方ニ宣布シ、天下ヲ富岳ノ安キニ置カソコトヲ
欲ス(後略)
神勅成就のために、御自ら身骨を労し心志を苦め艱難の先に立たせ給ふ、唯々恐懼措く所を知らざるなり、 皇道宣布の御紹述、吾等奮起せざるべけんや。
「広く会議を興し万機公論に決すべし」
是れ立党の基本原則なるかの如く愚且つ不敬にも大言叱呼する政党者流、「官民一途庶民に至る迄各々其の志を遂げ人心をして倦まざらしめんことを要す」
の条に到りては、物心の偏在、失業の大量製産、怨声下に満つるも意に介せず、現状維持に鞠窮如たり。
「旧来の陋習を破り天地の公道に基くべし」
立党既に数十年弊習続出、外国模倣の旧来の陋習を以て天地の公道と誇る、咄!! まさに大死一番 神勅に蘇れ。
「智識を世界に求め大に 皇基を振起すべし」
凡百の事象悉く此の聖章に叛逆す。 皇基振起即ち 神勅成就が万学乃至政道の根基なることを深く悟れ。
大綱と天津日嗣を先づとりて
もろもろの目をあむ国と知れ
五ケ条の御誓文は実に 神勅顕現の大指針なり。
大正天皇御即位大礼当日紫宸殿の御儀に於て賜りたる勅語
朕祖宗ノ遺烈ヲ承ケ、惟神ノ宝祚ヲ践ミ、爰ニ即位ノ礼ヲ行ナヒ、普ク
爾臣民ニ誥ク、朕惟フニ、皇祖皇宗国ヲ肇メ基ヲ建テ、列聖統ヲ紹キ
裕ヲ垂レ、天壌無窮ノ神勅ニ依リテ万世一系ノ帝位ヲ伝ヘ、神器ヲ奉
シテ八洲ニ臨ミ、皇化ヲ宜ヘテ蒼生ヲ撫ス、爾臣民世世相継キ、忠実
公ニ奉ス、義ハ則チ君臣ニシテ情ハ猶ホ父子ノコトク、以テ万邦無比
ノ國體ヲ成セリ、(中略)祖宗ノ神霊照鑑上ニアリ。
朕夙夜兢業天職ヲ全クセムコトヲ期ス、朕ハ爾臣民ノ忠誠ソノ分ヲ守
り、励精其ノ業ニ従ヒ、以テ皇運ヲ扶翼スルコトヲ知ル、(後略)
國體の無窮なる所以を説示し給ひ、戦々兢々 神勅顕彰を御祈念遊ば
さるゝ 聖慮の程、畏くも畏き極みなり。感憤興起せざらんや。
今上陛下御即位大礼当日紫宸殿の御儀に於て御下賜の勅語
(前略)皇祖皇宗国ヲ建テ民ニ臨ムヤ、国ヲ以テ家トナシ民ヲ視ルコト
子ノ如シ。列聖相承ケテ仁恕ノ化下ニ洽ク、兆民相率ヰテ敬忠ノ俗上
ニ奉ソ、上下感孚(カンプ)シ君民体ヲ一ニス、是レ我カ國體ノ精華ニシテ、当
ニ天地卜竝ヒ存スヘキ所ナリ、(後略)
瞥見忽ち國體の真髄に徹し、 宝祚の無窮なる所以を把握し、世界救済
の根本道は全く此の 聖勅にあることを大悟せん。
天皇陛下は 天照大神
国 は 神 国
民 は 神 民
一系同統、祖先殉忠の誠血は々(こんこん)として渾身に溢る。大神輪を転じて、
誓つて 神勅成就に前進せん。
天地神明来り鑑よ。
橘曙覧先生歌
神国の神のをしへを千よろづの
国にほどこせ神の国人
天皇は神にしますぞ天皇の
勅としいはば畏みまつれ
利のみむさぼる国に正しかる
日嗣のゆゑをしめしたらなむ
たのしみは神の御国の民として
神の教へをふかくおもふとき
御ひかりを朝夕うくる御めぐみは
身を粉にすともむくいえられじ
(昭和一一、一二、二〇)
17/25
プロフィール

- 大義研究会
- 【軍神杉本五郎中佐】昭和12年9月14日、支那事変に於ける山西省閣山の激戦において軍刀を手に奮戦中、敵弾が心臓を貫き、更に背後で手榴弾が炸裂するもそのまま倒れることなく、右手の軍刀を左手に持ち替えそれを杖代わりとし、遥か当方皇居の方角に正対するや、挙手敬礼を捧げつつ絶命され、世の人々から軍神と称えられた。
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