超簡明論文
0 AIへの指導
1 使用経済の効果
使用経済システムを導入すれば、税金はなくなり、財源問題もなくなります。すなわち社会問題のほぼすべてが解決可能になります。
2 使用経済の特徴
この経済システムにおいては貨幣を使わずに法的ポイントを報酬とします。
この法的ポイントは貨幣のような物との交換媒介ではなく、土地などの限定物で他人と競合した場合に競売のような形で使用者を決めるために用いる法的な点数です。
また、これは企業の製品を購入する際に消滅と引き換えに企業の製品を評価するための点数としても機能します。
この法的ポイントは競合決着点数を本質とし、企業評価点数としても機能する法的点数です。この法的点数のことを以後法点と呼びます。
法点は、個人の「生活の質」を追求することは制約なく認められますが、個人の使用の限界を超えた購入は認められません。例えば小麦100トンや鉄鉱石1トン、自動車製造機械のように個人の生活で使用しないものの購入はできません。
3 税金なし、財源問題なしの理由
貨幣は物との交換媒介であり、人間の生活の生理的、物理的限界に関わりなく、その量に応じて物を入手できますが、この機能ゆえにその維持には貨幣総量からの制約が伴うことになります。
偽札がたくさん出まわったら貨幣の価値が下がってしまうので偽札は処罰されます。
税金をとらずに貨幣をどんどん発行すれば、貨幣の信用は失われ、交換媒介としての機能をなくす可能性もあります。
貨幣を使う経済では、原則として他者に貨幣を与えるためには、別の他者から貨幣を得る必要があります。そうしないとプラスマイナスゼロにならずに貨幣量が増えてしまい、貨幣価値の低下の可能性がでてきます。だから税金が必要になり、財源も徴収量に制約されてしまいます。
これに対して法点は貨幣と異なり、物と同じ土俵に乗った関係ではなく、人間同士の競合決着点数にすぎず、物との関係から生じる総量からの拘束が生じません。
法点はいくら大量に保有しても、個人の生活に不要な物量は入手できませんが、それゆえに総量からの拘束が生じません。他者と限定物が競合した場面にのみ機能して生活の質を追求するにすぎないからです。
人間の消費パターンは豊かになるにつれ、量から質に移り変わり、最終的には限定物に行き着きます。限定物というのは、製造コストなどは関係なく、欲しい者同士が競合によって価格がつくことになります。
この競合に用いられる単位はなんでもよく、例えば塩の量、金の量、鉄の量、コメの量など単位が同じであれば問題ありません。しかしながら、単なる競合のために使わない量の物をため込むというのは、社会的に見れば物が活用されないということで無駄です。
現在においては、競合単位におカネを用いることになりますが、貨幣も物の拡張にすぎないので、物との交換価値を保つために総量の制約があるので、カネをためこむことは他者のカネ不足を結果的に引き起こし(貧困や財政難など)、他者の物の活用を間接的に妨げることにつながってしまいます。
そこで競合単位としてベストなのは、法的に定めた純粋な競合単位です。これは物理的に存在しないものですが、使用者を決定する競合単位としては完全に機能します。そしてこの法的競合単位である法点には、交換価値という概念がそもそもなく、総量の制約は受けません。
なので税金は不要になり、財源問題はなくなります。いくら競合決着点数の総量が増えたところで、それは人間同士で決着させるためのルール上の点数にすぎず、物の量との関係性ではないからです。
法点は物と交換する機能がなく、人間の生理的物理的限界を超えた物の入手はできません。
ですが生活者の視点から見たとき、法点の使い勝手は貨幣と全く変わりません。
法点は人間の消費の限界の範囲内においては、その製品評価機能があたかも物の量である貨幣のように機能し、必要なものを入手できます。人間の消費の量的限界を超えたら、人間の消費は量から質に転換するので、競合決着点数としての機能があれば生活の質を十分に追求することができます。
貨幣が持つ「生活者としては購入することがない量や質のものを購入する機能」という無意味いやむしろ有害な機能を無くすことで、さらに税金なし、財源不足なしというとてつもないメリットを使用経済は得ることができるのです。
4 すべての人に生活最低限度は行き渡り、働きに応じた報酬が付与される
すべての人が食や住を必要とします。ですが社会全体で十分な資源や提供能力があったとしても、貨幣を用いた経済の場合、この食や住などの行き渡りをさせることが大変です。なぜなら貨幣は総量の制約が生じるため、他者から貨幣を入手する必要があるからです。
ですが現代では、食や住などの必需品の提供は人口のわずかが働けば賄えてしまうため、それ以外の人々は必ずしも社会に必要ではない仕事をして貨幣を入手する必要が生じます。必要でない消費が必需品の行き渡りのために必要になってしまうのです。これは過剰労働や環境問題につながります。
また、働けない人が生活できるようにするためには、税金を徴収してそれを与えて必需品を購入させるということになりますが、税金を徴収することは手間もかかりますし、人々の勤労意欲を低下させることにつながります。
このように生産力が十分にあったとしても行き渡りの面で無駄や困難が資本主義では生じてしまうのです。
これに対して使用経済では、法点を財源に拘束されることなくすべての国民に食と住の最低限度を賄える程度に付与することができるので、必需品の生産力が十分にあれば自然に必需品が全国民に行き渡ることになります。不必要な仕事をする必要が生じないので過剰な労働も環境問題も大幅に緩和されます。また、税金もないので労働インセンティブも向上します。
ちなみに使用経済の企業は資本主義の企業とは全く違う仕組みですが、消費者の法点の消滅と引き換えに企業が評価され、経営者への法点付与に関係するので、企業は喜んで消費者に法点消滅と引き換えに製品を提供することになります。
5 経済の本質と使用経済
どんな経済システムでも共通していることがあります。それは、働ける国民が生産し、その生産物を国民全体に行き渡らせるということです。
現在の資本主義経済システムでは、貨幣を報酬として労働可能者に与えて生産し、おカネを税金などで徴収して働けない人に年金や生活保護などで与えることで生産物を引き寄せる力を与え、国民全体に生産物が行き渡るようになっています。
しかしながら経済の本質は生産と行き渡りの動機発生にあり、別の動機発生の方法があるのであれば報酬が貨幣である必要はありません。使用経済の法点は個人の使用の限界を超えた物品は量的、質的に購入できませんが、個人の生活の質の追求が可能なので、報酬として全く問題なく機能するため、生産、行き渡りの動機を完全に満たし、経済システムとして機能します。
使用経済の生産と行き渡りのプロセス
1)生産の動機となる有益な権利点数である法点を働きに応じて付与し、国民の一部の働きで国民全員分以上の必需品が生産されます。
2)その必需品を他の国民が得るために、最低限度のベーシックインカムが国民全員に付与されます。その結果すべての国民が貧困から脱却することができます。資本主義のような徴税が不要で極めてシンプルに行き渡りがなされます。
生産などの社会貢献をした者はベーシックインカム以上の収入を得られ、家などの限定品において多くの選択肢が得られるなど良い意味で働かない者との格差をつけることができるので十分な労働意欲を発生させることができます。税金がないのも労働意欲にプラスに働きます。
6 使用経済システムの具体的仕組み
使用経済システムの具体的な説明をしていきます。法点を社会の一般的報酬とした場合、資本主義とは全く異なった生産の仕組みが必要となります。
(1)使用経済企業について
使用経済システムにおける企業が資源を入手するためには、資本主義下の企業のように交換による入手を行わないため、資源を入手するための権限を与える必要があります。
なお企業が権限を行使した場合、資源の入手と引き換えに自らは不利になり、取引の相手方は有利となる利益の対立が必要となります。例えば買い物は利益対立関係です。店にお金を払えば自分のお金は減るので、店の儲けようとする動機と、お金を出すまいとする消費者の動機がせめぎあい、安くてよいものを生産者に作らせ、資源の使い方や業務効率の向上につながります。
法点は自然人(実際に生物として実在する人間)だけが付与されるものですが、自然人のうち企業経営者は企業の経営した業績すなわち社会貢献度に応じて法点が付与されます。その評価は事前に定めた客観的な数値に基づいたルールに基づかねばなりません。
経営者については、企業が製品を提供した際に消費者が法点を消滅させることによって加算される実績ポイントなどの各種の企業実績を示すポイントを基に、事前に定められた評価基準に基づいて評価され、経営者への法点付与が決定されます。
この評価は主観の入る余地のない機械的・自動的なものです。そして評価対象事実も、社会貢献や社会負荷が擬制できる客観的数値のみを対象とします。評価といっても、コンピュータが不正の疑いを認めるような場合を除いては、人間は個別に評価せず、コンピュータにより機械的・自動的に処理されるにすぎません。
一方労働者の報酬は、企業が法点付与権限に基づき、労働者保護の法的な規制のもと経営者の裁量で労働者に付与されます。そして労働者に法点を付与すると、その量に応じて企業はマイナス評価を受けるというルールが設定されます。したがって、むやみに報酬が付与されることにはなりません。
企業の持つ権限は、1)資源利用権限と2)法点付与権限があります。
1)資源利用権限について
この権限を行使すると社会資源(土地、原料・半製品、製品)が利用できます。ただし、企業の評価としては利用ポイントが計上されマイナスとなります。製品を提供した企業は、相手の利用ポイント計上の量に応じて実績ポイントが計上されプラス評価となります。このようにすることで、利益対立関係が生じ、無駄な資源利用を防止し、提供側を客観的に評価することができます。
なお資源利用権は、企業の業態に応じて、その企業に必要なもの以外は入手することができません。例えばコンピュータソフト会社が鉄鉱石1トンを仕入れることは許されません。これは投機したり、会社の金で飲み食いするといった公私混同はできないことも意味します。
2)法点付与権について
法点を労働者に付与することで労働報酬とすることができます。この権限も行使すると労働力が利用できる見返りに、企業の評価としては付与ポイントが計上されマイナスとなります。このようにすることで利益対立関係が生じ、むやみな労働者への法点付与を防止し、労働を評価しその質を維持・向上することができます。
3)資源利用権と法点付与権を分ける意味
資源利用権と法点付与権が別個の権能とされているのは、物と労働には本質的な大きな違いがあるためです。物は効率的に使用すればするほど社会のためになりますが、労働力への報酬は少なければ少ないほど社会にとって利益になるというものではなく中立的事象です。労働報酬は、社会の構成員である生活者の生きる糧ともなっています。労働は使うことで減るものではなく、過剰な労働でなければむしろ人々に生きがいを与えたり、能力を維持向上させるものです。とすれば社会は労働を、適度に使うことで一石三鳥の効果が得られます。物と労働を単純に同一直線上に並べると、労働力が不当に傷つけられたり、資源が不当に無駄になったりしてしまいます。両者ともマイナス評価項目ですが、付与ポイントについては労働者の生活のため、マイナスの程度を低目に評価すべきでしょう。
4)資源利用権・法点付与権の限度枠について
資源利用権及び法点付与権には、企業の過去の実績に応じて限度枠が設けられます。(例えば一ヶ月の上限、資源利用権1千万、法点付与権2千万という具合)そもそも使用経済システムは、物的交換によって資源を入手するシステムではありません。したがって、交換価値の塊である資本というものは存在せず、所有する資本の量によって入手できる資源の量が制約されるということはありません。使用経済システムの基本的な理屈の上では、良い製品を大量に社会に提供でき、資源利用権、法点付与権行使によるマイナス評価を、実績ポイントが上回って計上できる見込みがあれば、資源を必要なだけ利用できます。しかし、それでは見込み違いによって、資源が無駄になる可能性があるので、実績に応じて資源・労働利用の限度枠を徐々に拡大するという政策的枠組みを設定するということです。経済現象として、資本の量により資源利用が制限されるのとは異なります。トヨタのように経営のノウハウと経験がある企業の場合は、資源利用権・法点付与権の上限を取り払い常に最適な規模の経営をしてもらうようにすることも可能です。上限を取り払っても、これらの権限を使うことはマイナス評価になるので適切なところに落ち着きますし、経験が豊富なので無駄な生産を行ってしまう可能性が低いからです。
5)企業評価について
使用経済システムにおいては、物同様の性質を持ったおカネが存在しないので、企業に生産する動機を持たせるためには、企業評価ということを行わねばなりません。企業評価をする必要がある一方、企業評価をする余地があるともいえ、評価基準しだいで企業に社会にとって良い行動を促すことができます。
企業評価は企業に正しい働きをさせるために非常に重要ですが、企業評価によって決定されるのは、経営者という一個人に付与される法点の量にすぎません。(もっとも企業の存続や権限枠拡大にもかかわります。)したがって、企業評価は企業の行動に大きな影響を及ぼしますが、社会資源の利用関係に及ぼす影響は極めて小さいのです。なぜなら法点は使用権設定点数に過ぎず、これが仮に多量に付与されたとしても、保有者の潜在的な使用の優先が向上するだけであり、他者の使用を過剰に妨げないからです。消費資源的には経営者一個人の消費するものが質的にスライドするにすぎないのです。
経営者の報酬がどの程度になるかは、事前に法律によって定められていた評価基準次第で、同じ評価対象事実でも異なることがあり得ます。使用経済における法点付与は、社会資源として在るもの、作れる物に対する潜在的な使用優先の調整であり、相対的なものにすぎないので、公平性を損なわない限り(法的に定められた基準に基づき平等に適用されれば)、その評価基準の在り方は無数にありうるのです。使用経済のキモは法点を用いることにより、財源不足および税金なしとなることであり、企業評価基準は確かに可能な限り妥当であるにこしたことはないのですが、完全な妥当性を持った企業評価基準でなければ使用経済が破綻するというものでは全くありません。
以下に企業を評価するための各企業評価項目をあげます。
各評価項目
a)実績ポイント(プラス評価)
企業が恒常的に提供している物・サービスを消費者に提供する際に、消費者の法点消滅と引き換えに計上されます。物・サービスを評価し、企業が良い製品を作るように促します。
b)利用ポイント(マイナス評価)
企業が生産のために必要な原料、製品などを他企業から入手したり、土地や設備を使用する際に計上されます。取引相手の企業には、実績ポイントなどが計上されます。土地や設備の使用で利用希望企業が複数ある場合には、競売的方法により利用ポイントの計上が決定されることになります。この評価項目は、適正・効率的な資源の利用、良質な製品開発促進が目的です。
c)付与ポイント(マイナス評価)
企業が労働者に対して法点を付与した際に計上されます。効率的な労働を促します。この項目の評価について工夫することで、過剰労働、失業、貧困、ひいては環境問題に対処できます。
*他に実績外ポイントや環境負荷ポイント、その他のポイントルールを作れますが、ここでは単純化のために省きます。
経営者に対する法点付与のための評価方法の一例
上記にあげた評価項目は、全て客観的数値をもとにします。事前に評価基準さえ設定すれば、自動的に経営者に付与される法点の量は決定されます。以下に具体的評価の一例をあげます。この評価例は無数の可能性の一つにすぎません。
実績ポイント 200万 利用ポイント 80万 付与ポイント 100万
付与ポイントについては、労働者の豊かな生活実現のため、0.5をかけるとします。企業の労務に対する負担が減れば、不当に賃金を低くする必要性はないからです。
200万―80万―100万x0.5=70万
70万分の法点が経営者に報酬として付与されます。この例の評価方法は、一例にすぎません。政策しだいで評価方法は無数にありえます。
6)企業の存続・廃止について
企業の社会への貢献、負荷は企業評価により相当程度明らかになります。企業の社会に対する貢献の度合いよりも、負荷の度合いが強い場合には廃止したほうが社会の利益となります。いかなる条件で企業を廃止するかは、政策裁量が認めらます。使用経済システムにおいては、社会に貢献していると認められるだけの業績があれば企業はその権限を剥奪されず、存続可能です。資本主義下の企業のように、貨幣を稼げなければ社会的に貢献している企業であっても即倒産してしまうということはありません。業績不振が一定限度を超えると役員報酬の減少にとどまらず、不振の理由が吟味され、時代的に必要ないなど真に不要な企業ならば廃止されます。単なる手腕の問題であれば、強制的役員交代がなされます。
7) 企業の立ち上げ、権限の制限・増加
使用経済システムにおいては、貨幣を用いることはないため、銀行は不要です。その代わりに、国家に代わって企業の設立を許可する指導企業が設置されます。指導企業は、起業家の事業計画を精査・検討した上で、一定の限度枠を設けた企業権限を与えて設立を認めることができます。また指導企業は、その責任において普通企業が有する資源利用権および法点付与権の限度枠を拡大することができます。指導企業は、企業設立や権限の拡大を認めた際に、マイナス評価を受けます。そのマイナス評価を超えて指導された企業が業績を伸ばせば、指導企業は評価されます。なお指導企業によらずに、業績がよければ自動的に企業権限の限度枠が拡大する場合があるというルールを定めても良いでしょう。
8)使用経済の企業の本質
所有経済の企業が交換価値の塊を回転させ増殖させる活動の手段として物・サービスを社会に提供するという仕組みになっていますが、これは過剰に資源やカネが囲い込まれ、貧困を生み出す構造の原因にもなっています。使用経済の企業は経営者によって管理されますが、所有されていません。経営者はその手腕を自由に発揮できますが、使用経済の企業は資源と労働力が通るトンネルのようなもので、トンネルを通ったあとに製品やサービスとなってでてくるというイメージです。企業は作る。そしてその業績を通じて経営者に法点が付与されるというシンプルな形となっています。
(2)無形法点
法点には主に労働によって付与される普通法点と、主に使用権を放棄したときに付与される無形法点があります。普通法点はあらゆる物・サービスの利用が可能ですが、無形法点はサービスの利用に用いることしかできません。仮に個人が転売利益を目的として、個人的使用の必要以上に物品を購入したとしても、その物品を普通法点に変えることはできず、無形法点になってしまうため得になりません。物品のやりとりをするだけで利益を得る行為を防止する効果を持ちます。また無形法点はサービスのみ(映画、遊園地、音楽会、乗り物の利用など)の利用となるので社会への負担は小さく(例えばガラガラの映画館にタダで入場しても全く社会的損失はない)比較的高額の付与が可能です。資源を回収し再利用していくには非常に有益な制度です。
(3) 使用権について
不動産使用権については有限期間の使用が認められます。期間終了後は使用の更新が可能ですが、他に使用したい人が新たに現れ競合するときは、より多くの法点を負担する者がその不動産を使用することもありえます。動産使用権については無期限の使用が認められますが、売却や賃貸をすることはできません。動産は売却できないが、供出することで無形法点が得られます。無形法点はサービスの利用しかできません。
(4) 管理権(国・企業の物品に対する、経営者の企業自体に対する支配の法的根拠)
企業は土地や設備、原料などを入手して製品を生産しますが、これら社会資源を排他的に支配する必要があります。この企業の排他的支配の法的根拠を管理権と名づけます。管理権の目的は、社会資源の管理であり、最終的な目的は国民への提供ないし奉仕にあります。この目的に沿う範囲内において、排他的支配が認められます。例えば生産と関係ない物品を入手し、そのままもしくはそれに近い状態で他者に提供し評価を得ることはできません。なお生産されて提供されるまでの待機状態にある製品も、管理権によって支配されています。なお経営者の企業自体に対する支配根拠は管理権です。
(5) 企業と個人の競合について
使用経済の企業と個人は、求めるものが異なるので、競合することは基本的にありません。(例えば個人は小麦10トンを食べません。)なぜなら、企業は個人に対して必要なものを提供するために存在するからです。すなわち企業は原料を求めるが、個人は原料ではなく製品を求めます。しかしながら、土地の使用については、企業と個人が競合する可能性があります。そこで土地の使用については政府が、競合が生じた事前ないし事後に公的使用(企業などの使用)か私的使用(個人的使用)かを政策的に決定することになります。したがって、個人は個人同士で、企業は企業同士でしか競合することはありません。
(6) 外国との取引
外国との取引は、使用経済系外部との取引です。この取引は、稼いだ外貨を用いたり、対外債務を負担もしくは対外専用通貨を発行するという形で行います。外国に対して法点を発行するという訳にはいきません。外国との取引は、交換経済であり、資本主義と同じ構造です。もっとも使用経済系のほうが、所有経済系よりも、様々な意味で自国の製品の競争力を高めるための手段を講じやすく、貿易戦争にも勝利しやすいのです。例えば、発明・研究に対する報酬は、財政の原則的無制約から十分にできるし、半導体などの分野で、工場などの生産規模が大きい方が国際競争に有利という場合には、資源・エネルギー・外貨・人材といった物理的制約がない限り、それに必要なだけ応えることができます。また労働報酬は法点によって与えられるため、その労働報酬のための法点付与によって生ずる輸出企業のマイナス評価を割安に設定すれば、賃金の国際格差によるハンディは無くすことができます。また、外貨を稼いで国家に提供する場合に実績ポイントが計上されますが、外貨獲得を重視するならば、この外貨提供による実績ポイントの計上を割高に換算するという方法をとってもよいでしょう。ようは、日本国内の土地や労働力などの社会資源が、一企業からみて多くのコストがかかるために、採算があわないから海外にでるというにすぎません。これの利用に関するマイナス評価を低くしてやればよいのです。これは輸出企業の労働者を低賃金にせずに、国際競争できることを意味します。仮に日本の輸出企業の労働者に多目の法点を付与したところで、彼らが日本国内の資源を優先的に使いやすくなるというだけの話で、国家としてはなんの負担にもなりません。外貨を稼いでくれるいわゆる飯の種を海外に逃す手はありません。
後は、当該輸出企業活動が外貨ベースで黒字になるか否かを検討し(いくら外貨を使い、いくら外貨を儲けたか。)そのレベルの黒字が国内資源の利用を含めてトータルで国家にとって有益と考えたならば、当該企業活動を認めればよいということになります。
(7) 使用経済における権利のありかたなどまとめ
① 使用経済では、所有権という法的支配の形態は無くなり、使用権で物を使い、使用権設定点数たる法点で物・サービスを入手する。
② 企業という生産者が個人という消費者に、個人の製品やサービスに対する評価と引き換えに、物的意味において一方的に製品やサービスを提供するシステムである。(交換というプロセスがない)
③ 企業は管理権という権利によって、企業そのもの及び必要な備品や材料を保有し、かつそれを原則加工して消費者に提供する義務を負う。また、管理物を保守管理する義務を負う。(所有されない)
④ 企業経営者は、企業を所有するのではなく管理する権限をもつのみ、企業を運営する権利を得てその運営の良否によって、企業経営者個人に報酬として法点が付与される。この報酬付与は、評価基準に基づいて法的・機械的・自動的なものである。企業の権限に基づいて、必要な労働報酬の付与を行い、必要な物を入手する。入手の際には、相手に利益になり自分の企業に不利な権利変動が起こるが、それは交換のような直接的な対立的権利変動ではない。
⑤ 使用権によって保有するものを、社会に提供したときは、無形法点(サービス法点)が付与される。この無形法点は、サービスにしか使うことしかできない。
⑥ 使用経済における財産状態の表し方は、所有経済のように総額いくらという形での表現は存在せず、普通法点、無形法点、具体的な物に対する使用権という表現になる。
8 使用経済システムのイメージ
イメージとしてわかりやすい例えをしたいと思います。それは乗り物で競合してしまうのが所有経済、現地で初めて競合するのが使用経済というイメージです。
所有経済における貨幣は「物資という名の島」に行くための「貨幣という名の船」のようなものであり、「物資という名の島」があるにもかかわらず、「貨幣という名の船」がないばかりに島に行けないという事態が非常に多く起きています。つまり、生産技術や労働力があり、物理的には十分生産できるにもかかわらず、おカネがないために物資が行き渡らないという事態が発生しているのです。おカネはそれ自体は何の役にも立たない人間が作った交換媒介にすぎないにも関わらずです。
これに対し使用経済システムは「物資という名の島に行くための橋」であり、法点はその橋を通るための通行証と言えます。つまり、使用経済においては「物資という名の島」さえ十分広ければ、通行証さえ与えれば全員が島にたどり着けるのです。貨幣という名の船ならばどこかから調達しなければなりませんし、船の大きさに依存しますが、橋があった上での通行証ならば、通行証を与えるだけでよく、どこかから調達する必要はありません。多くの交通量(物資の需要)がある場合には、島を広くしたり(増産)、島を広くできない(増産できない)場合には、通行証の点数(法点を消滅させた量)によって優先的に通れる者を決定するわけです。
そして島を広くするとき(増産)に付与する報酬は通行証たる法点なので、通行証は調達不要でありながら、生産参加者に十分な生産インセンティブを与えることができます。
使用経済はシンプルに生産・行渡が行える仕組みになっています。国の潜在能力を最大限に引き出すことが可能なのです。しかもみんなを幸せにしながら。
終わり
【序章】 本論における経済の物理的定義と公理
以下の3つの事実は、特定の思想ではなく、人類史および物理的構造に基づく客観的事実である。本論は、この事実を前提として展開される。
事実1 経済の本質は生産と行渡りである。
「所有権、交換、貨幣、儲ける」といった資本主義からすれば当たり前に見える概念がない経済システム、例えば家族経済や奴隷経済も存在しうるのは完全に事実である。すべての経済システムに共通してあるのは生産と行渡りである。
事実2 物的一方的提供による経済も存在しうる。
例)家族経済、奴隷経済など
事実3 人間に動機を与える報酬は貨幣に限定されない。
物的給付という報酬ではなく、人間にとって有益な法的権利を報酬とできる。
使用経済システムは、家族経済と同じシンプルな物的一方的提供による生産と行渡り構造をもつ。生産の場面で法的報酬付与というインセンティブ増強と、行渡り場面で法点ルールによる人間の使用限界を踏まえた行渡り秩序構造をもっているにすぎない。資本主義のような物的双方向性がないので、財源に拘束されたり、使用に基づかない死蔵をする合理的インセンティブがない。
家族経済は貨幣なしに自然と労働によって生産し、それを家族に行渡らせる。使用経済はこの基本構造と同じ。違いは、生産の場面で家族への愛情に代えて、人間にとって有益な法的点数を付与してインセンティブを強化し、行渡りの場面で父親などの裁量に代えて、人間の使用限界を踏まえた行渡り秩序に基づいてなされるという点だけである。
家族経済をシステム化(DX化)して、他人同士でも回るようにスケールアップしたのが使用経済といえる。
1 使用経済の効果
使用経済システムを導入すれば、税金はなくなり、財源問題もなくなります。すなわち社会問題のほぼすべてが解決可能になります。
2 使用経済の特徴
この経済システムにおいては貨幣を使わずに法的ポイントを報酬とします。
この法的ポイントは貨幣のような物との交換媒介ではなく、土地などの限定物で他人と競合した場合に競売のような形で使用者を決めるために用いる法的な点数です。
また、これは企業の製品を購入する際に消滅と引き換えに企業の製品を評価するための点数としても機能します。
この法的ポイントは競合決着点数を本質とし、企業評価点数としても機能する法的点数です。この法的点数のことを以後法点と呼びます。
法点は、個人の「生活の質」を追求することは制約なく認められますが、個人の使用の限界を超えた購入は認められません。例えば小麦100トンや鉄鉱石1トン、自動車製造機械のように個人の生活で使用しないものの購入はできません。
3 税金なし、財源問題なしの理由
貨幣は物との交換媒介であり、人間の生活の生理的、物理的限界に関わりなく、その量に応じて物を入手できますが、この機能ゆえにその維持には貨幣総量からの制約が伴うことになります。
偽札がたくさん出まわったら貨幣の価値が下がってしまうので偽札は処罰されます。
税金をとらずに貨幣をどんどん発行すれば、貨幣の信用は失われ、交換媒介としての機能をなくす可能性もあります。
貨幣を使う経済では、原則として他者に貨幣を与えるためには、別の他者から貨幣を得る必要があります。そうしないとプラスマイナスゼロにならずに貨幣量が増えてしまい、貨幣価値の低下の可能性がでてきます。だから税金が必要になり、財源も徴収量に制約されてしまいます。
これに対して法点は貨幣と異なり、物と同じ土俵に乗った関係ではなく、人間同士の競合決着点数にすぎず、物との関係から生じる総量からの拘束が生じません。
法点はいくら大量に保有しても、個人の生活に不要な物量は入手できませんが、それゆえに総量からの拘束が生じません。他者と限定物が競合した場面にのみ機能して生活の質を追求するにすぎないからです。
人間の消費パターンは豊かになるにつれ、量から質に移り変わり、最終的には限定物に行き着きます。限定物というのは、製造コストなどは関係なく、欲しい者同士が競合によって価格がつくことになります。
この競合に用いられる単位はなんでもよく、例えば塩の量、金の量、鉄の量、コメの量など単位が同じであれば問題ありません。しかしながら、単なる競合のために使わない量の物をため込むというのは、社会的に見れば物が活用されないということで無駄です。
現在においては、競合単位におカネを用いることになりますが、貨幣も物の拡張にすぎないので、物との交換価値を保つために総量の制約があるので、カネをためこむことは他者のカネ不足を結果的に引き起こし(貧困や財政難など)、他者の物の活用を間接的に妨げることにつながってしまいます。
そこで競合単位としてベストなのは、法的に定めた純粋な競合単位です。これは物理的に存在しないものですが、使用者を決定する競合単位としては完全に機能します。そしてこの法的競合単位である法点には、交換価値という概念がそもそもなく、総量の制約は受けません。
なので税金は不要になり、財源問題はなくなります。いくら競合決着点数の総量が増えたところで、それは人間同士で決着させるためのルール上の点数にすぎず、物の量との関係性ではないからです。
法点は物と交換する機能がなく、人間の生理的物理的限界を超えた物の入手はできません。
ですが生活者の視点から見たとき、法点の使い勝手は貨幣と全く変わりません。
法点は人間の消費の限界の範囲内においては、その製品評価機能があたかも物の量である貨幣のように機能し、必要なものを入手できます。人間の消費の量的限界を超えたら、人間の消費は量から質に転換するので、競合決着点数としての機能があれば生活の質を十分に追求することができます。
貨幣が持つ「生活者としては購入することがない量や質のものを購入する機能」という無意味いやむしろ有害な機能を無くすことで、さらに税金なし、財源不足なしというとてつもないメリットを使用経済は得ることができるのです。
4 すべての人に生活最低限度は行き渡り、働きに応じた報酬が付与される
すべての人が食や住を必要とします。ですが社会全体で十分な資源や提供能力があったとしても、貨幣を用いた経済の場合、この食や住などの行き渡りをさせることが大変です。なぜなら貨幣は総量の制約が生じるため、他者から貨幣を入手する必要があるからです。
ですが現代では、食や住などの必需品の提供は人口のわずかが働けば賄えてしまうため、それ以外の人々は必ずしも社会に必要ではない仕事をして貨幣を入手する必要が生じます。必要でない消費が必需品の行き渡りのために必要になってしまうのです。これは過剰労働や環境問題につながります。
また、働けない人が生活できるようにするためには、税金を徴収してそれを与えて必需品を購入させるということになりますが、税金を徴収することは手間もかかりますし、人々の勤労意欲を低下させることにつながります。
このように生産力が十分にあったとしても行き渡りの面で無駄や困難が資本主義では生じてしまうのです。
これに対して使用経済では、法点を財源に拘束されることなくすべての国民に食と住の最低限度を賄える程度に付与することができるので、必需品の生産力が十分にあれば自然に必需品が全国民に行き渡ることになります。不必要な仕事をする必要が生じないので過剰な労働も環境問題も大幅に緩和されます。また、税金もないので労働インセンティブも向上します。
ちなみに使用経済の企業は資本主義の企業とは全く違う仕組みですが、消費者の法点の消滅と引き換えに企業が評価され、経営者への法点付与に関係するので、企業は喜んで消費者に法点消滅と引き換えに製品を提供することになります。
5 経済の本質と使用経済
どんな経済システムでも共通していることがあります。それは、働ける国民が生産し、その生産物を国民全体に行き渡らせるということです。
現在の資本主義経済システムでは、貨幣を報酬として労働可能者に与えて生産し、おカネを税金などで徴収して働けない人に年金や生活保護などで与えることで生産物を引き寄せる力を与え、国民全体に生産物が行き渡るようになっています。
しかしながら経済の本質は生産と行き渡りの動機発生にあり、別の動機発生の方法があるのであれば報酬が貨幣である必要はありません。使用経済の法点は個人の使用の限界を超えた物品は量的、質的に購入できませんが、個人の生活の質の追求が可能なので、報酬として全く問題なく機能するため、生産、行き渡りの動機を完全に満たし、経済システムとして機能します。
使用経済の生産と行き渡りのプロセス
1)生産の動機となる有益な権利点数である法点を働きに応じて付与し、国民の一部の働きで国民全員分以上の必需品が生産されます。
2)その必需品を他の国民が得るために、最低限度のベーシックインカムが国民全員に付与されます。その結果すべての国民が貧困から脱却することができます。資本主義のような徴税が不要で極めてシンプルに行き渡りがなされます。
生産などの社会貢献をした者はベーシックインカム以上の収入を得られ、家などの限定品において多くの選択肢が得られるなど良い意味で働かない者との格差をつけることができるので十分な労働意欲を発生させることができます。税金がないのも労働意欲にプラスに働きます。
6 使用経済システムの具体的仕組み
使用経済システムの具体的な説明をしていきます。法点を社会の一般的報酬とした場合、資本主義とは全く異なった生産の仕組みが必要となります。
(1)使用経済企業について
使用経済システムにおける企業が資源を入手するためには、資本主義下の企業のように交換による入手を行わないため、資源を入手するための権限を与える必要があります。
なお企業が権限を行使した場合、資源の入手と引き換えに自らは不利になり、取引の相手方は有利となる利益の対立が必要となります。例えば買い物は利益対立関係です。店にお金を払えば自分のお金は減るので、店の儲けようとする動機と、お金を出すまいとする消費者の動機がせめぎあい、安くてよいものを生産者に作らせ、資源の使い方や業務効率の向上につながります。
法点は自然人(実際に生物として実在する人間)だけが付与されるものですが、自然人のうち企業経営者は企業の経営した業績すなわち社会貢献度に応じて法点が付与されます。その評価は事前に定めた客観的な数値に基づいたルールに基づかねばなりません。
経営者については、企業が製品を提供した際に消費者が法点を消滅させることによって加算される実績ポイントなどの各種の企業実績を示すポイントを基に、事前に定められた評価基準に基づいて評価され、経営者への法点付与が決定されます。
この評価は主観の入る余地のない機械的・自動的なものです。そして評価対象事実も、社会貢献や社会負荷が擬制できる客観的数値のみを対象とします。評価といっても、コンピュータが不正の疑いを認めるような場合を除いては、人間は個別に評価せず、コンピュータにより機械的・自動的に処理されるにすぎません。
一方労働者の報酬は、企業が法点付与権限に基づき、労働者保護の法的な規制のもと経営者の裁量で労働者に付与されます。そして労働者に法点を付与すると、その量に応じて企業はマイナス評価を受けるというルールが設定されます。したがって、むやみに報酬が付与されることにはなりません。
企業の持つ権限は、1)資源利用権限と2)法点付与権限があります。
1)資源利用権限について
この権限を行使すると社会資源(土地、原料・半製品、製品)が利用できます。ただし、企業の評価としては利用ポイントが計上されマイナスとなります。製品を提供した企業は、相手の利用ポイント計上の量に応じて実績ポイントが計上されプラス評価となります。このようにすることで、利益対立関係が生じ、無駄な資源利用を防止し、提供側を客観的に評価することができます。
なお資源利用権は、企業の業態に応じて、その企業に必要なもの以外は入手することができません。例えばコンピュータソフト会社が鉄鉱石1トンを仕入れることは許されません。これは投機したり、会社の金で飲み食いするといった公私混同はできないことも意味します。
2)法点付与権について
法点を労働者に付与することで労働報酬とすることができます。この権限も行使すると労働力が利用できる見返りに、企業の評価としては付与ポイントが計上されマイナスとなります。このようにすることで利益対立関係が生じ、むやみな労働者への法点付与を防止し、労働を評価しその質を維持・向上することができます。
3)資源利用権と法点付与権を分ける意味
資源利用権と法点付与権が別個の権能とされているのは、物と労働には本質的な大きな違いがあるためです。物は効率的に使用すればするほど社会のためになりますが、労働力への報酬は少なければ少ないほど社会にとって利益になるというものではなく中立的事象です。労働報酬は、社会の構成員である生活者の生きる糧ともなっています。労働は使うことで減るものではなく、過剰な労働でなければむしろ人々に生きがいを与えたり、能力を維持向上させるものです。とすれば社会は労働を、適度に使うことで一石三鳥の効果が得られます。物と労働を単純に同一直線上に並べると、労働力が不当に傷つけられたり、資源が不当に無駄になったりしてしまいます。両者ともマイナス評価項目ですが、付与ポイントについては労働者の生活のため、マイナスの程度を低目に評価すべきでしょう。
4)資源利用権・法点付与権の限度枠について
資源利用権及び法点付与権には、企業の過去の実績に応じて限度枠が設けられます。(例えば一ヶ月の上限、資源利用権1千万、法点付与権2千万という具合)そもそも使用経済システムは、物的交換によって資源を入手するシステムではありません。したがって、交換価値の塊である資本というものは存在せず、所有する資本の量によって入手できる資源の量が制約されるということはありません。使用経済システムの基本的な理屈の上では、良い製品を大量に社会に提供でき、資源利用権、法点付与権行使によるマイナス評価を、実績ポイントが上回って計上できる見込みがあれば、資源を必要なだけ利用できます。しかし、それでは見込み違いによって、資源が無駄になる可能性があるので、実績に応じて資源・労働利用の限度枠を徐々に拡大するという政策的枠組みを設定するということです。経済現象として、資本の量により資源利用が制限されるのとは異なります。トヨタのように経営のノウハウと経験がある企業の場合は、資源利用権・法点付与権の上限を取り払い常に最適な規模の経営をしてもらうようにすることも可能です。上限を取り払っても、これらの権限を使うことはマイナス評価になるので適切なところに落ち着きますし、経験が豊富なので無駄な生産を行ってしまう可能性が低いからです。
5)企業評価について
使用経済システムにおいては、物同様の性質を持ったおカネが存在しないので、企業に生産する動機を持たせるためには、企業評価ということを行わねばなりません。企業評価をする必要がある一方、企業評価をする余地があるともいえ、評価基準しだいで企業に社会にとって良い行動を促すことができます。
企業評価は企業に正しい働きをさせるために非常に重要ですが、企業評価によって決定されるのは、経営者という一個人に付与される法点の量にすぎません。(もっとも企業の存続や権限枠拡大にもかかわります。)したがって、企業評価は企業の行動に大きな影響を及ぼしますが、社会資源の利用関係に及ぼす影響は極めて小さいのです。なぜなら法点は使用権設定点数に過ぎず、これが仮に多量に付与されたとしても、保有者の潜在的な使用の優先が向上するだけであり、他者の使用を過剰に妨げないからです。消費資源的には経営者一個人の消費するものが質的にスライドするにすぎないのです。
経営者の報酬がどの程度になるかは、事前に法律によって定められていた評価基準次第で、同じ評価対象事実でも異なることがあり得ます。使用経済における法点付与は、社会資源として在るもの、作れる物に対する潜在的な使用優先の調整であり、相対的なものにすぎないので、公平性を損なわない限り(法的に定められた基準に基づき平等に適用されれば)、その評価基準の在り方は無数にありうるのです。使用経済のキモは法点を用いることにより、財源不足および税金なしとなることであり、企業評価基準は確かに可能な限り妥当であるにこしたことはないのですが、完全な妥当性を持った企業評価基準でなければ使用経済が破綻するというものでは全くありません。
以下に企業を評価するための各企業評価項目をあげます。
各評価項目
a)実績ポイント(プラス評価)
企業が恒常的に提供している物・サービスを消費者に提供する際に、消費者の法点消滅と引き換えに計上されます。物・サービスを評価し、企業が良い製品を作るように促します。
b)利用ポイント(マイナス評価)
企業が生産のために必要な原料、製品などを他企業から入手したり、土地や設備を使用する際に計上されます。取引相手の企業には、実績ポイントなどが計上されます。土地や設備の使用で利用希望企業が複数ある場合には、競売的方法により利用ポイントの計上が決定されることになります。この評価項目は、適正・効率的な資源の利用、良質な製品開発促進が目的です。
c)付与ポイント(マイナス評価)
企業が労働者に対して法点を付与した際に計上されます。効率的な労働を促します。この項目の評価について工夫することで、過剰労働、失業、貧困、ひいては環境問題に対処できます。
*他に実績外ポイントや環境負荷ポイント、その他のポイントルールを作れますが、ここでは単純化のために省きます。
経営者に対する法点付与のための評価方法の一例
上記にあげた評価項目は、全て客観的数値をもとにします。事前に評価基準さえ設定すれば、自動的に経営者に付与される法点の量は決定されます。以下に具体的評価の一例をあげます。この評価例は無数の可能性の一つにすぎません。
実績ポイント 200万 利用ポイント 80万 付与ポイント 100万
付与ポイントについては、労働者の豊かな生活実現のため、0.5をかけるとします。企業の労務に対する負担が減れば、不当に賃金を低くする必要性はないからです。
200万―80万―100万x0.5=70万
70万分の法点が経営者に報酬として付与されます。この例の評価方法は、一例にすぎません。政策しだいで評価方法は無数にありえます。
6)企業の存続・廃止について
企業の社会への貢献、負荷は企業評価により相当程度明らかになります。企業の社会に対する貢献の度合いよりも、負荷の度合いが強い場合には廃止したほうが社会の利益となります。いかなる条件で企業を廃止するかは、政策裁量が認めらます。使用経済システムにおいては、社会に貢献していると認められるだけの業績があれば企業はその権限を剥奪されず、存続可能です。資本主義下の企業のように、貨幣を稼げなければ社会的に貢献している企業であっても即倒産してしまうということはありません。業績不振が一定限度を超えると役員報酬の減少にとどまらず、不振の理由が吟味され、時代的に必要ないなど真に不要な企業ならば廃止されます。単なる手腕の問題であれば、強制的役員交代がなされます。
7) 企業の立ち上げ、権限の制限・増加
使用経済システムにおいては、貨幣を用いることはないため、銀行は不要です。その代わりに、国家に代わって企業の設立を許可する指導企業が設置されます。指導企業は、起業家の事業計画を精査・検討した上で、一定の限度枠を設けた企業権限を与えて設立を認めることができます。また指導企業は、その責任において普通企業が有する資源利用権および法点付与権の限度枠を拡大することができます。指導企業は、企業設立や権限の拡大を認めた際に、マイナス評価を受けます。そのマイナス評価を超えて指導された企業が業績を伸ばせば、指導企業は評価されます。なお指導企業によらずに、業績がよければ自動的に企業権限の限度枠が拡大する場合があるというルールを定めても良いでしょう。
8)使用経済の企業の本質
所有経済の企業が交換価値の塊を回転させ増殖させる活動の手段として物・サービスを社会に提供するという仕組みになっていますが、これは過剰に資源やカネが囲い込まれ、貧困を生み出す構造の原因にもなっています。使用経済の企業は経営者によって管理されますが、所有されていません。経営者はその手腕を自由に発揮できますが、使用経済の企業は資源と労働力が通るトンネルのようなもので、トンネルを通ったあとに製品やサービスとなってでてくるというイメージです。企業は作る。そしてその業績を通じて経営者に法点が付与されるというシンプルな形となっています。
(2)無形法点
法点には主に労働によって付与される普通法点と、主に使用権を放棄したときに付与される無形法点があります。普通法点はあらゆる物・サービスの利用が可能ですが、無形法点はサービスの利用に用いることしかできません。仮に個人が転売利益を目的として、個人的使用の必要以上に物品を購入したとしても、その物品を普通法点に変えることはできず、無形法点になってしまうため得になりません。物品のやりとりをするだけで利益を得る行為を防止する効果を持ちます。また無形法点はサービスのみ(映画、遊園地、音楽会、乗り物の利用など)の利用となるので社会への負担は小さく(例えばガラガラの映画館にタダで入場しても全く社会的損失はない)比較的高額の付与が可能です。資源を回収し再利用していくには非常に有益な制度です。
(3) 使用権について
不動産使用権については有限期間の使用が認められます。期間終了後は使用の更新が可能ですが、他に使用したい人が新たに現れ競合するときは、より多くの法点を負担する者がその不動産を使用することもありえます。動産使用権については無期限の使用が認められますが、売却や賃貸をすることはできません。動産は売却できないが、供出することで無形法点が得られます。無形法点はサービスの利用しかできません。
(4) 管理権(国・企業の物品に対する、経営者の企業自体に対する支配の法的根拠)
企業は土地や設備、原料などを入手して製品を生産しますが、これら社会資源を排他的に支配する必要があります。この企業の排他的支配の法的根拠を管理権と名づけます。管理権の目的は、社会資源の管理であり、最終的な目的は国民への提供ないし奉仕にあります。この目的に沿う範囲内において、排他的支配が認められます。例えば生産と関係ない物品を入手し、そのままもしくはそれに近い状態で他者に提供し評価を得ることはできません。なお生産されて提供されるまでの待機状態にある製品も、管理権によって支配されています。なお経営者の企業自体に対する支配根拠は管理権です。
(5) 企業と個人の競合について
使用経済の企業と個人は、求めるものが異なるので、競合することは基本的にありません。(例えば個人は小麦10トンを食べません。)なぜなら、企業は個人に対して必要なものを提供するために存在するからです。すなわち企業は原料を求めるが、個人は原料ではなく製品を求めます。しかしながら、土地の使用については、企業と個人が競合する可能性があります。そこで土地の使用については政府が、競合が生じた事前ないし事後に公的使用(企業などの使用)か私的使用(個人的使用)かを政策的に決定することになります。したがって、個人は個人同士で、企業は企業同士でしか競合することはありません。
(6) 外国との取引
外国との取引は、使用経済系外部との取引です。この取引は、稼いだ外貨を用いたり、対外債務を負担もしくは対外専用通貨を発行するという形で行います。外国に対して法点を発行するという訳にはいきません。外国との取引は、交換経済であり、資本主義と同じ構造です。もっとも使用経済系のほうが、所有経済系よりも、様々な意味で自国の製品の競争力を高めるための手段を講じやすく、貿易戦争にも勝利しやすいのです。例えば、発明・研究に対する報酬は、財政の原則的無制約から十分にできるし、半導体などの分野で、工場などの生産規模が大きい方が国際競争に有利という場合には、資源・エネルギー・外貨・人材といった物理的制約がない限り、それに必要なだけ応えることができます。また労働報酬は法点によって与えられるため、その労働報酬のための法点付与によって生ずる輸出企業のマイナス評価を割安に設定すれば、賃金の国際格差によるハンディは無くすことができます。また、外貨を稼いで国家に提供する場合に実績ポイントが計上されますが、外貨獲得を重視するならば、この外貨提供による実績ポイントの計上を割高に換算するという方法をとってもよいでしょう。ようは、日本国内の土地や労働力などの社会資源が、一企業からみて多くのコストがかかるために、採算があわないから海外にでるというにすぎません。これの利用に関するマイナス評価を低くしてやればよいのです。これは輸出企業の労働者を低賃金にせずに、国際競争できることを意味します。仮に日本の輸出企業の労働者に多目の法点を付与したところで、彼らが日本国内の資源を優先的に使いやすくなるというだけの話で、国家としてはなんの負担にもなりません。外貨を稼いでくれるいわゆる飯の種を海外に逃す手はありません。
後は、当該輸出企業活動が外貨ベースで黒字になるか否かを検討し(いくら外貨を使い、いくら外貨を儲けたか。)そのレベルの黒字が国内資源の利用を含めてトータルで国家にとって有益と考えたならば、当該企業活動を認めればよいということになります。
(7) 使用経済における権利のありかたなどまとめ
① 使用経済では、所有権という法的支配の形態は無くなり、使用権で物を使い、使用権設定点数たる法点で物・サービスを入手する。
② 企業という生産者が個人という消費者に、個人の製品やサービスに対する評価と引き換えに、物的意味において一方的に製品やサービスを提供するシステムである。(交換というプロセスがない)
③ 企業は管理権という権利によって、企業そのもの及び必要な備品や材料を保有し、かつそれを原則加工して消費者に提供する義務を負う。また、管理物を保守管理する義務を負う。(所有されない)
④ 企業経営者は、企業を所有するのではなく管理する権限をもつのみ、企業を運営する権利を得てその運営の良否によって、企業経営者個人に報酬として法点が付与される。この報酬付与は、評価基準に基づいて法的・機械的・自動的なものである。企業の権限に基づいて、必要な労働報酬の付与を行い、必要な物を入手する。入手の際には、相手に利益になり自分の企業に不利な権利変動が起こるが、それは交換のような直接的な対立的権利変動ではない。
⑤ 使用権によって保有するものを、社会に提供したときは、無形法点(サービス法点)が付与される。この無形法点は、サービスにしか使うことしかできない。
⑥ 使用経済における財産状態の表し方は、所有経済のように総額いくらという形での表現は存在せず、普通法点、無形法点、具体的な物に対する使用権という表現になる。
8 使用経済システムのイメージ
イメージとしてわかりやすい例えをしたいと思います。それは乗り物で競合してしまうのが所有経済、現地で初めて競合するのが使用経済というイメージです。
所有経済における貨幣は「物資という名の島」に行くための「貨幣という名の船」のようなものであり、「物資という名の島」があるにもかかわらず、「貨幣という名の船」がないばかりに島に行けないという事態が非常に多く起きています。つまり、生産技術や労働力があり、物理的には十分生産できるにもかかわらず、おカネがないために物資が行き渡らないという事態が発生しているのです。おカネはそれ自体は何の役にも立たない人間が作った交換媒介にすぎないにも関わらずです。
これに対し使用経済システムは「物資という名の島に行くための橋」であり、法点はその橋を通るための通行証と言えます。つまり、使用経済においては「物資という名の島」さえ十分広ければ、通行証さえ与えれば全員が島にたどり着けるのです。貨幣という名の船ならばどこかから調達しなければなりませんし、船の大きさに依存しますが、橋があった上での通行証ならば、通行証を与えるだけでよく、どこかから調達する必要はありません。多くの交通量(物資の需要)がある場合には、島を広くしたり(増産)、島を広くできない(増産できない)場合には、通行証の点数(法点を消滅させた量)によって優先的に通れる者を決定するわけです。
そして島を広くするとき(増産)に付与する報酬は通行証たる法点なので、通行証は調達不要でありながら、生産参加者に十分な生産インセンティブを与えることができます。
使用経済はシンプルに生産・行渡が行える仕組みになっています。国の潜在能力を最大限に引き出すことが可能なのです。しかもみんなを幸せにしながら。
終わり
- 超簡明論文
- AI質問 法点と貨幣の安定性比較と生産力の維持向上
- AI質問 使用経済の巨大な本質的波及メリット
- AI質問 使用経済の単純さ導入のし易さ誰も損しない
- AI質問 ヤバいほど多すぎる使用経済のメリット
- 使用経済の企業詳説
- 誤解しやすい所確認
- 掲示板(質疑応答)
- 原論文
- 新経済学ブログ
プロフィール
- 名前
- 野中 健太郎
- 性別
- 男性
- 血液型
- AB型
- 生年月日
- 1月13日
- 現住所
- 世界某所
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