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小説

猫の声

昔飼っていた猫を思い出して書いた内容です。 体験談に近いかも。

昔から「猫は家につき、人にはつかない」と言うけれど、
本当にそうだと思う。

モイもそうだ。

うちで飼っている猫のモイは、全然僕に懐かない。

「モイ、ご飯だよ。」

そう言っても、モイはチラッと僕の方を見ただけで
さっきからずっと窓の外を見ている。

「全然、猫まっしぐらじゃないじゃん・・・。」

僕は誰に聞かせるわけでもなく愚痴を言うと、
モイが何を見ているのかが気になって、窓に近づいてみた。

そうするとモイはすっと窓から離れて、
お母さんのいる台所の方に行ってしまう。

『何だよ、逃げやがって・・・。』

モイがいた窓から外を見ると、いつもと変わらない昼間の庭の景色。

「なんだ、何もないじゃん。」

そう言って台所に目を向けると、モイはお母さんの足に擦り寄って、
にゃーと鳴いている姿が見えた。

『お母さんには懐くくせに!』

なんだか、モイにバカにされているような気がして、
ムッとしてしまう。

『モイを拾ってきたのは僕なのに!恩知らず!』

*********************

1年前、モイは近くの公園で泣いている女の子に抱えられていた。

僕はちょうど、友達の雄大と公園に遊びに来ていて、
雄大がその女の子に話かけたのだ。

事情を聞くと、女の子は川原で子猫を拾い、家に連れて帰ったけれど、
『家がマンションだからペットは飼えない』『元の場所に置いてきなさい』
とお母さんに言われたらしい。

でも、また川原に置いてくる事が出来ずに、
家を出てからずっと公園にいるのだそうだ。

それを聞いて僕が『う~ん、どうしよう?』と思っていると、

「お前ん家、1軒家だから猫飼えんじゃん」と雄大が言い出した。

「えっ、無理だよ!そんな突然!!僕、猫飼った事ないし・・・。」

「大丈夫だって!お前んとこのおばさん優しいから、
 事情を話したら飼って良いって言うって!」

僕は正直、自分で飼うつもりは全くなかったけれど、
雄大に押し切られる形で、子猫を家に連れて帰る事になった。

そう考えると、厳密にはモイを拾ったのは雄大かもしれない・・・。

子猫を家に連れて帰り、「うちで飼って良い?」とお母さんに聞くと
お母さんは反対した。

「この子は飼い主が見つかるまで、うちで預かってもいいけれど、
 うちで飼う事はできないわ。」

「なんで?」

「生き物を飼うのは大変な事よ。
 毎日、ご飯をあげてうんこやおしっこの掃除もしないといけない。
 病気になるかもしれない。
 そうなったら、病院に連れて行って、看病もしなくちゃいけなくなるの。
 毎朝、お母さんに起こしてもらって、歯磨きもお母さんに言われないと出来ない
 しょうちゃんに生き物の世話なんて無理でしょ?」

『う・・・、確かに・・・。』

子猫はさっきからずっとお母さんが上げたミルクを飲んでいた。
その姿を見ながら、僕は子猫を連れて帰る途中、
想像した色々な事を思いだしていた。

『毎日、この子が僕を起こしてくれたら素敵だろうな~。』
『一緒にお風呂に入ったら楽しいかな?』
『一緒に寝たら温かそうだな・・。』

その想像の中には、うんこやおしっこの掃除や病気になった時のことは
含まれていなかった。

『お母さんが言ったとおりかもしれない・・・。

 でも・・・

 でも・・・

 他の人に渡すなんて嫌だ・・・。』

「僕、ちゃんと猫の世話できるよ!
 毎日、ご飯もあげるし、うんこやおしっこの掃除もする。
 病気になった時は僕がちゃんと面倒みる。
 これからは、毎朝も自分で起きるし、歯磨きもする!
 だから、お願いします!」

僕はそう言いながら、泣いていた。
どうしてもお母さんに判って欲しいという感情が溢れて、
涙になってしまっているようだった。

お母さんは
「もしできなかったら、もう一生、しょうちゃんのご飯は作らないから。」
と言うと、一緒に猫の餌やトイレなんかを買いに行ってくれた。

そして、その時に大音量で鳴る目覚まし時計も一緒に買ってもらった。


*********************


「おばあちゃんの体調が良くないんですって。
 様子を見に行かなきゃ。」

金曜日の夜、おばさんからの電話を切るとお母さんは言った。
今は、忙しそうに色々とかばんに荷物を詰めている。

「しょーちゃん、明日は学校お休みだから、
 みんなでおばあちゃんの家に行くわよ。」

「モイは?」

「1日くらい、誰もいなくても大丈夫だろう。」

お父さんが、洗面所からか髭剃りや歯ブラシのお泊りセットを
準備しながら言った。

「お婆ちゃんのところにモイは連れて行けないから、
 モイにはお留守番をしてもらいましょう。」

そう言うと、お母さんは1日分とは思えないような量の荷物を
かばんに詰める。

『確かに、今日、トイレを掃除して、明日の分のご飯を
入れておけば大丈夫かもしれない。』

そう思った僕は、その夜お父さんとお母さんと一緒に、
モイを置いて、お婆ちゃんの家に向かう事にした。

おばあちゃん家に着くと、おばあちゃんは風邪で寝込んでいたけれど、
僕達の顔を見ると『元気が出たよ』と言ってくれた。

しかも、翌朝にはおばあちゃんは誰よりも早く起きて、
みんなのために朝ごはんを作ってくれた。

いつもの朝ごはんはパンだけど、おばあちゃんが作ってくれた
ご飯の朝ごはんもおいしかった。


*********************

土曜日、家に帰ってくるとモイの姿がなかった。

お母さんは『まだ心配だから』とおばあちゃんの家に残ったんだけれど、
日曜日に仕事のあるお父さんと、モイの世話がある僕だけ帰って来たのだ。

「モーイ」

呼んでも気配がない。

『2階かな~?』と思って、階段からも呼んでみるが
物音一つしない。

「あっ、翔太!窓、開いてるぞ!!」

お父さんに言われて、窓の方を見てみると、
モイがギリギリ通れるほどの分だけ窓が開いていた。

「急いでたから、鍵をかけ忘れたんだな。」

そう言うと、お父さんは窓の方に行き、窓を開けるとモイを呼んだ。

僕も窓に行き「モーイ!」と呼んでみる。

呼びながら外を見回してみるが、近くにモイがいるような
様子はない。

外は夕焼け色に染まっていて、いつもなら
モイは家にいる時間だ。

「う~ん、近くにはいないみたいだな。」

お父さんはそう言うと、窓を閉めて鍵をかけた。

『迷子になったのかもしれない!』

「僕、モイを探してくるよ!」

そう言うと、お父さんも『一緒に探す』と言ってくれたので、
2人で探しに行く事になった。

「モーイ!モーイ!」

モイが行きそうな公園や、近所の家に行ってみるが
どこにもモイの姿はない。

『モイが事故にあっていたらどうしよう?』
『誰かに連れて行かれたのかも知れない。』

モイを探している内に、あたりは暗くなりだして、
周りも見えにくくなる。
それと同時に、僕の不安も大きくなっていく。

僕は学校の隣にある林までモイを探しに来ていた。

「モーイ!」と呼ぶと、どこかで猫の鳴き声がする。

暗くてあまり良くは見えないけれど、
確かに猫の鳴き声が聞こえる。

鳴き声の方に近づいていくと、
声は頭の上からしてくる事に気がついた。

見上げてみると、『どうやって登ったのか?』と思うほど
木の上の方にモイはいた。

「モイ!お前、何やってるんだよ!」

「おいで!」

そう呼んでも、モイは降りて来ない。
ずっと木の上で「ナァ~ゴ、ナァ~ゴ」と、
僕にうったえかけているみたいに鳴いている。

『まさか・・・。』

「モイ、降りれないのか?」

「ナァ~ゴ、ナァ~ゴ」

僕は仕方なく、木に登る事にした。
でもモイは木の大分上の方にいて、僕もそこまで上るのは無理だ。

僕は自分が登れる限界の高さまで木に登ると、
もう一度モイを呼んだ。

「モイ!怖くないからおいで!」

『しょーちゃん!!』

誰か呼ばれたような気がした瞬間
ガシッという背中の衝撃。

「痛い!」

背中を針で刺されたような痛み。

爪を立てたモイが僕の背中に飛びついたのだ。

「モイ!痛い!!」

そう言ってもモイは離れず、結局、モイは僕の足が地面に着くまで、
背中に爪を立てて僕から離れなかった。

*********************

「お前、さっき『しょーちゃん』って言った?」

帰り道、モイを抱っこしながら
モイに話しかけてみたが、モイは大人しく抱っこされているだけだった。

家に帰ると、モイはよっぽどお腹をすかせていたのか、
ご飯をガリガリ食べた。

「猫まっしぐらだ・・・。」

僕はその様子をみて、CMの宣伝文句が間違いでなかったことを
悟った。

*****************************


「モイ、何見てるの?」

今日もモイは窓の外を見ていた。
僕が話しかけても、相変わらずチラッとしかこちらを見ない。

『返事なんてするわけないか』と諦めて、
テレビを見ようとした時、ふと声がした。

『光』

「えっ?」

『庭の植物が太陽に照らされて、キラキラしているの見るのが面白いんだ。』

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プロフィール

プロフィール画像
占い師名
叶(かな)
性別
女性
血液型
A型
生年月日
1979年3月11日
現住所
東京
所在地
自宅兼職場orカフェ
職業
占い師

占術:西洋占星術・霊感タロット・オーラ診断
好きな言葉
銃が人を殺すんじゃない。
退屈が人を殺すんだ。
自己紹介
こんにちは。
個人で占い活動をしています叶(かな)です。
鑑定方法は、対面鑑定・メール鑑定・チャット鑑定・web音声(映像)をやっています。

お笑い大好き!
占いは当たる事と笑わせる事をモットーに行っております。

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