2019年7月 アーカイブ
2019年7月26日 11時52分07秒 (Fri)
世界的景教研究家・佐伯好郎博士 その一七 キリスト教とローマ法
更に、佐伯好郎博士は次のように述べています。「さて私が一ばん調べたかったのは唐の太宗から七百五十年を経てあとかたなく宗教が滅んだ原因いかんということだ。キリスト教は本国政府がないと広まらないという歴史的事実がある。東京のニコライも革命でロシアが倒れると滅び、景教もペルシャが、唐が倒れたので一緒に滅んだ例でも分かる。景教が中国で根を下ろさなかった原因に、唐の文化が高かったこと、唐の有識階級に広まらず傭兵に信じられ、中国人から見れば、外人の宗教すなわち野蛮人の宗教とみられたこと、唐の朝廷が保護しなかったこと、キリスト教が教主を許さなかったこと、などがあげられる。それにローマ法とキリスト教との密接な関係がある。ローマ法では「第三者債務引き受け」ということがある。AがBに借金し、Aが払わなければAの兄か弟らが引受けるというもの。これをキリスト教が利用し、十字架のキリストを信ずることにより罪を引受けてもらうことができるとした。これは明らかにキリストの債務引受けに外ならぬ。またローマ法では戸主の命令には絶対に従わねばならぬことになっている。たとえ肉親でも戸主に従はぬものは家族とはみなされなかったわけだ。これをキリスト教は利用し、神のみたまに導かれないものは家族でないとし、家族=信徒という理論に結びつけた。ところがローマ法の通用する地域ではキリスト教の教えが筋の通ったものとして広まったが、東洋ではローマ法は通用するはずがなく、キリスト教が広まらぬ理由となっている。」(『佐伯好郎遺稿並傳』一六七二、一六七三ページ)同博士は九一歳で早稲田大学名誉博士を贈られ、九二歳の時の対談記事が中国新聞に掲載されました。その中での同博士の発言です。「ローマ法の発展としてキリスト教研究にはいったともいえる。私の考えではキリスト教はローマ法でできた宗教だ。仏教は仏陀の教えだが、キリスト教はローマ法ででっち上げたドグマなのだ。それでローマ法の支配を受けぬ国民の間では、キリスト教は決して盛んにならぬ。日本でも、なんだかんだ言っているが、キリスト教は伸びっこないよ。」(『佐伯好郎遺稿並傳』五六ページ)この主張には驚愕と共に深い失望を覚えます。キリストの十字架をローマ法と結びつける暴挙は、同博士が旧約聖書を理解しないための誤解・偏見としか言いようがありません。
2019年7月19日 18時26分32秒 (Fri)
世界的景教研究家・佐伯好郎博士 その一六 景教の中国への伝来と衰微の理由
ある事典は景教を次のように説明しています。「五世紀、コンスタンチノープル (現イスタンブール) の司教ネストリウスによって唱えられたキリスト教の一派の中国名。シリア、メソポタミアからイラン、トハリスタン (現アフガニスタン北部)、中央アジアなどを経て七世紀初め中国に伝わり、寺院は波斯寺、のちには大秦寺と呼ばれて、一時はかなりの信者があったが、武宗の迫害追放にあってまもなく衰えた。建中二 (七八一) 年に唐の都、長安 (西安) に建てられた『大秦景教流行中国碑』はその教勢を物語る。その後、元の時代にモンゴル地方に信者がいたことも、発掘された墓碑などによってうかがわれる。 二〇世紀初め以来の各国の中央アジア探検隊により、ソグド語、トルコ語に訳されたネストリウス派の経典の断簡が東トルキスタンで発見されている。」さて、佐伯好郎博士は自著の出版記念会で景教について持論を展開しています。「中国へ入ったキリスト教=景教は東方教会に属するものである。景教がローマから追放されたのが西暦四二八年で、当時ローマとペルシャは戦争中だった。そこで景教は敵方のペルシャに逃げ込んだ形となった。ところがペルシャはフイフイ教<回回教=イスラム教>にカク乱される羽目になり中国へ流れて来たわけだ。その頃の中国は唐の太宗の時代で二百年間保護を受け楊貴妃で知られている玄宗皇帝の時代まで盛んであった。フビライの母サラクタミバミも景教徒でフビライ兄弟にもたくさん景教徒がいたことは実証されている。北方民族の元が中国を支配した時もっとも困ったのは税金の取り立てである。そこで“模売”という制度を設けて、税金を取り立てる権利をアラビア人に売り、元の八十年間の財政をアラビア人にまかせてしまった。それにアラビア人の信ずるフイフイ教は一夫多妻で景教の一夫一婦は好まれず、元はフイフイ教に軍配を上げたことになった。それでも元寇のときにはフイフイ教と景教は仲がよかったらしく、後世博多で銀の十字架をつけたカブトが発掘された。余談だがもともとフビライは日本よりは欧州を攻めるつもりだった。ところが、北条時宗が使いを斬ったばかりに十万の兵が押し寄せ、舟もろとも滅亡したもので、これで一ばん助かったのは欧州なのである。」(『佐伯好郎遺稿並傳』一六七二ページ)
2019年7月6日 21時59分15秒 (Sat)
世界的景教研究家・佐伯好郎博士 その一五 最後は仏教葬儀とは?
佐伯好郎博士は昭和四〇(一九六五)年六月二六日に「老衰の上に肺炎を併発して逝く」、そして六月三〇日に「菩提寺の蓮教寺に於いて葬儀並に告別式を執行(葬儀委員長広島大学教授池田末利)」と記されています。(『佐伯好郎遺稿並傳』三二、三三ページ)この事実は私にとっては衝撃的でした。なぜなら、青年時代にキリスト者となり、セブンスデー・アドベンチスト教会信徒として日本の宣教を熱く論じた人物が、最期は仏教で葬儀をされたと言うことは、何という矛盾・皮肉でしょうか。しかし、別な見方をすれば、佐伯好郎博士にとっては、それほどキリスト教と仏教の教えは似ているのであって、元は同じだと考えてそのように遺言していたのでしょうか。その一方で、高瀬恒徳・日本聖公会主教による「佐伯先生の思い出」と言う記事の中に次のように書かれています。「大正十六年四月、宗教団体法の施行に呼応して日本聖公会第二十総会は、満場一致で作成した日本聖公会教団規則を可決し、文部省を通して政府に提出した。然し、幸か不幸か信徒数の少ないこと、海外からの補助金を多く受けすぎているとの理由から教団としての認可を受け得なかった。必然、政府から、日本基督教団との合同か、さもなくば単立教会になるか、宗教結社になるか、三つの在り方を選ぶように迫られていた。右の何れかを選ぶか激論が討かわされたが、結局、合同を主張する者と単立教会で行こうとする者との二つに分裂した。この際、信徒側の代表者の一人として、教団との合同を高調されたのは佐伯先生であった。・・・この際、われわれは教会の永遠の悲願である教会合同に踏み切るべきではないかと。私の意見と佐伯先生の主張とはこの点においておのずから軌を同じうした。先生と固い握手をしたのはこの時であった。『頼むぞ君!』と先生が言われたで『頑張ります』と答えた。・・・先生の革新的で、霊的意欲的な信仰は常に教会の生命的新展開を求めてやまなかった。にもかかわらず、当時の教会の躊躇低迷した無気力さにしびれを切らし、遂に失望してしまったと言うのが、先生の信仰生涯の最後ではなかったかと想像される。信仰的にも終りを全うさしてあげたかった。何とも申し訳ない次第である。」(同八二~八五ページ)同博士がセブンスデー・アドベンチスト教会を去ったのも同じ理由からであったと思う。
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プロフィール

- 性別
- 男
- 現住所
- 愛媛県今治市波方町郷乙404₋32
- 職業
- 牧師・宣教師
- 自己紹介
- ●新名(しんみょう) 忠臣(ただおみ)
●実践神学博士(米国アンドリューズ大学神学院)、元親業インストラクター
●札幌、小樽、苫小牧、仙台、東京・天沼で牧師を歴任。
●セブンスデー・アドベンチスト教団北海道教区長、青年部長、コミュニケーション部長、宗教自由部長、ラジオ牧師、総務局長等を歴任。
●宣教師としてシンガポールと韓国に在住し、副総務、コミュニケーション部、宗教自由部、出版部、ラジオ・テレ部等の部長としてアジア太平洋地域を巡回指導。
●最近まで、北アジア太平洋支部宣教部副部長。
●著書『夫と妻のコミュニケーション』(キリスト新聞社)『親と子のコミュニケーション』(キリスト新聞社)『わが青春は主のために』(三五堂)『暮らしの中のキリスト教』(新教出版社)『地球家族と聖書の言葉』(福音社)等。
- Self Introduction in English
- Full Name: Tadaomi Shinmyo
Sex: Male
Nationality: Japan
Citizenship: Japan
Education:
●B.A. in Theology in 1966 (Japan Missionary College)
●M.A. in Philosophy and Religion in 1972 (Philippine Union College Graduate School)
●Ordination: March 1973
●Doctor of Ministry in 1987 (Theological Seminary of Andrews University in USA)
Vocation:
●Pastor of the Japan Union Conference since 1966.
●Departmental Director of the Japan Union Conference for over 14 years.
●Radio Speaker and Japan Union Conference Secretary for a while.
●Missionary assigned to Departmental Director of Communication, Religious Liberty, Publishing Ministries, TV & Shortwave Radio Ministries, and Associate Secretary to Asia Pacific Division based in Singapore and Northern Asia-Pacific Division based in Korea for all together 9 years and 7 months.
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