2016年10月 アーカイブ
2016年10月28日 9時47分55秒 (Fri)
ユダヤ人のルーツ その一三 反ユダヤ主義 その二
反ユダヤ主義は旧約聖書のみならず、新約聖書にも窺えるのです。使徒行伝一八章一~二節に次のような記録があります。「その後、パウロはアテネを去ってコリントへ行った。そこで、アクラというポント生れのユダヤ人と、その妻プリスキラとに出会った。クラウデオ帝が、すべてのユダヤ人をローマから退去させるようにと、命令したため、彼らは近ごろイタリヤから出てきたのである。」この聖句の前半は、ローマの市民権を持つユダヤ人パウロがギリシャの都アテネから港町コリントへ移動して、黒海に面したポント出身のユダヤ人アクラとその妻プリスキラに出会ったことを述べています。そして、後半はパウロがアクラとプリスキラに遭遇した理由を説明しています。それは、ローマ皇帝クラウデオがユダヤ人に対してイタリヤのローマから退去するように命令したためです。そのために、この夫婦はイタリヤのローマを去ってギリシャのコリントに来ていたと言うわけです。さて、ここにはユダヤ人追放の命令がローマ皇帝によって出されていたことが分かります。クラウデオ(クラウディウス)はローマ帝国の第四代目皇帝(在位期間紀元四一~五四)です。このクラウデオが、どうしてユダヤ人をローマから退去させたかの理由については次のようなことが考えられます。当時、ローマにはユダヤ人居住区が存在していて、上流階級に影響を与えていたようです。又、ユダヤ人らは会堂(シナゴク)や祈りの場所を持ち、アッピア街道沿いには彼ら自身の墓地も持っていました。そして、彼らの間でイエス・キリストを救い主(メシヤ)として認めるか否かで騒動がピシデヤのアンテオケ、ルステラやテサロニケ等のローマ帝国内で発生していました。同様の事件がローマ市内で勃発することを懸念してクラウデオはユダヤ人を追放したと言えましょう。ところで、クラウデオの養子ネロが第五代目ローマ皇帝であり、六四年のローマの大火の犯人としてキリスト教徒(クリスチャン)を迫害しました。このため彼は暴君と言われています。キリスト教は元々ユダヤ人から始まっていて、ユダヤ人はローマを含め世界中に離散していました。ユダヤ人クリスチャンは同胞のユダヤ人及び異邦人であるローマ人を含む外国人へイエス・キリストを熱烈に伝えたのですが、民衆の間で賛否両論があり、騒乱にもなり、それを不快に思ったのがクラウデオでありネロでありました。
2016年10月21日 12時25分15秒 (Fri)
ユダヤ人のルーツ その一二 反ユダヤ主義 その一
反ユダヤ主義、又は反セム主義と言う言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、ユダヤ人やユダヤ教に対して否定的、憎悪的、更に攻撃的な考え方です。では、いつ頃からこのような思想が芽生えたのでしょうか。聖書の中で最初の反ユダヤ主義が登場するのはエジプトに於いてであると言えます。ユダヤ(イスラエル、ヘブル)人が当時のエジプト王の奴隷とされ、建設業の重労働に酷使されていました。そのいきさつについて、旧約聖書の出エジプト記一章八~一二節、二二節に次のような記録があります。「ここに、ヨセフのことを知らない新しい王が、エジプトに起った。彼はその民に言った、『見よ、イスラエルびとなるこの民は、われわれにとって、あまりにも多く、また強すぎる。さあ、われわれは、抜かりなく彼らを取り扱おう。彼らが多くなり、戦いの起るとき、敵に味方して、われわれと戦い、ついにこの国から逃げ去ることのないようにしよう』。そこでエジプトびとは彼らの上に監督をおき、重い労役をもって彼らを苦しめた。彼らはパロのために倉庫の町ピトムとラメセスを建てた。しかしイスラエルの人々が苦しめられるにしたがって、いよいよふえひろがるので、彼らはイスラエルの人々のゆえに恐れをなした。」「そこでパロはそのすべての民に命じて言った、『ヘブルびとに男の子が生れたならば、みなナイル川に投げこめ。しかし女の子はみな生かしておけ』。」これは、紀元前一四四五年の出エジプトと言う大事件の直前の出来事です。旧約聖書のエステル記にも反ユダヤ主義が顕著に描写されています。そのことについては、「メド・ペルシャ時代のユダヤ人」シリーズの中で既に書いています。メド・ペルシャは紀元前五八六~三三一年の帝国です。この時代に、ペルシャ王の側近によってユダヤ人全滅の陰謀が企てられました。旧約聖書のエステル記三章一三節に次のように記録されています。「そして急使をもってその書を王の諸州に送り、十二月すなわちアダルの月の十三日に、一日のうちにすべてのユダヤ人を、若い者、老いた者、子供、女の別なく、ことごとく滅ぼし、殺し、絶やし、かつその貨財を奪い取れと命じた。」しかし、神の数奇な介入により王の妃に選ばれていたユダヤ人女性エステルによりユダヤ人は守られるのです。従って、反ユダヤ主義は聖書の時代から既に存在していたと言えましょう。
2016年10月14日 12時15分13秒 (Fri)
ユダヤ人のルーツ その一一 タルムード
ユダヤ教の全教派共通の聖典は旧約聖書であると言えますが、その旧約聖書の最初のモーセの五書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)はヘブライ語でトーラー(律法)と呼ばれています。このトーラーは、預言者モーセによって神の霊感を受けて紀元前一五世紀に書かれたもので成分律法です。ところで、ユダヤ教でトーラーと言う場合、三種類の意味があるそうです。第一は、既に述べましたモーセの五書です。第二は旧約聖書全体です。第三はユダヤ教の教え全体です。ですから、ユダヤ教でトーラーが話題になる時には、どのトーラーかを文脈から判断する必要があります。さて、ユダヤ教では、モーセはシナイ山で四〇日四〇夜を過ごして神から律法を授かり、それを祭司と長老に伝えたのが成分律法であると言うのです。「モーセは主と共に、四十日四十夜、そこにいたが、パンも食べず、水も飲まなかった。そして彼は契約の言葉、十誡を板の上に書いた。」(出エジプト記三四章二八節)更にモーセは、それらの律法を生活の中で実践していくための口伝律法を、モーセの後継者となるヨシュアに託したと言われています。モーセがシナイ山に長期間滞在していた理由は、成分律法と共に口伝律法も授かっていたためであると解釈されています。さて、この口伝律法が紀元二世紀末頃からラビたちによって書物として体系的に記述化され始め、遂に出来上がった文書群がミシュナと呼ばれています。そして、このミシュナに対する詳細な解説がラビたちによって加えられるようになり、その結果出来た膨大な解説文のことを最初はタルムードとしていました。しかし、この解説部文は後にゲマラと称せられるようになり、ミシュナとゲマラの全体を併せた文書群をタルムードと呼ぶようになりました。タルムードは六部構成、六三篇から成っており、ラビの教えを中心とする現代のユダヤ教主要教派の多くでは聖典として認められていて、ユダヤ教徒の信仰及び生活の基礎となっています。なお、ミシュナに対して詳細な解説文、即ちゲマラの成立過程に於いて内容の全く異なるエルサレム(又はパレスチナ)・タルムードとバビロニア・タルムードの二種類のタルムードが存在するようになります。しかし、現在、タルムードとして認識されているのは後者で、紀元六世紀頃に今日の形になったと考えられています。
2016年10月7日 12時12分32秒 (Fri)
ユダヤ人のルーツ その一〇 ユダヤ教の教派
キリスト教は旧約聖書と新約聖書の両聖書を合わせて聖典とします。一方、ユダヤ教は一口で言えば旧約聖書を聖典とする宗教です。ユダヤ教では旧約聖書をタナハ或いはミクラと呼んでいます。イエス・キリストが救世主として出現してキリスト教が始まり新約聖書が書かれるのですが、イエス・キリスト御自身は地上で御在世中は旧約聖書を使用されました。その当時、旧約聖書を聖典として、いくつかの教派に分かれていました。つまり、ユダヤ教の教派があったのです。律法学者を抱え律法遵守のパリサイ派(マタイによる福音書五章二〇節参照)、神殿で奉仕する祭司を擁し復活は信じないサドカイ派(使徒行伝四章一節、二三章八節参照)、律法に厳格で禁欲主義的なエッセネ派です。現在のユダヤ教も幾つかに分かれていますが、アメリカの場合には三つの主要な教派になると言われます。各派の相違点は、律法の解釈度の厳格さにあると言うのです。先ず、正統派(オーソドックス)ユダヤ教は、律法を文字通りに実践し、指導者(ラビ)は男性しか認めません。一方、改革派(リフォーム)ユダヤ教は、道徳律法以外の律法はかなり柔軟に解釈し、女性も同性愛者でもラビになれると言います。そして、保守派(コンサーバティブ)ユダヤ教は正統派と改革派の中間の位置にあると言われています。アメリカでは正統派は少数で、保守派と改革派が多数派だそうです。ある百科事典によれば、二〇〇四年のイスラエルの人口の約七六・二%がユダヤ教であり、イスラム教が一六・一%、キリスト教が二・一%、ドルーズ教が一・六%、その他が三・九%です。同国のユダヤ教の中では、正統派が圧倒的に多数で独裁体制を保持し、保守派と改革派は非常に少数とのことです。又、ラビ的ユダヤ教と言う場合には、イエス・キリスト御在世当時のパリサイ派的であり、モーセの五書(トーラー)の他に口伝トーラーとラビによる口伝トーラーの解説を含むタルムードを聖典とするユダヤ教の多数派・主流派のことです。他方で、ラビもタルムードも認めず、ただモーセの律法のみを聖典とするカライ派は紀元九世紀に出現しています。シャブタイ(サバタイ)派もタルムードを完全否定です。これらは双方とも少数派です。
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プロフィール

- 性別
- 男
- 現住所
- 愛媛県今治市波方町郷乙404₋32
- 職業
- 牧師・宣教師
- 自己紹介
- ●新名(しんみょう) 忠臣(ただおみ)
●実践神学博士(米国アンドリューズ大学神学院)、元親業インストラクター
●札幌、小樽、苫小牧、仙台、東京・天沼で牧師を歴任。
●セブンスデー・アドベンチスト教団北海道教区長、青年部長、コミュニケーション部長、宗教自由部長、ラジオ牧師、総務局長等を歴任。
●宣教師としてシンガポールと韓国に在住し、副総務、コミュニケーション部、宗教自由部、出版部、ラジオ・テレ部等の部長としてアジア太平洋地域を巡回指導。
●最近まで、北アジア太平洋支部宣教部副部長。
●著書『夫と妻のコミュニケーション』(キリスト新聞社)『親と子のコミュニケーション』(キリスト新聞社)『わが青春は主のために』(三五堂)『暮らしの中のキリスト教』(新教出版社)『地球家族と聖書の言葉』(福音社)等。
- Self Introduction in English
- Full Name: Tadaomi Shinmyo
Sex: Male
Nationality: Japan
Citizenship: Japan
Education:
●B.A. in Theology in 1966 (Japan Missionary College)
●M.A. in Philosophy and Religion in 1972 (Philippine Union College Graduate School)
●Ordination: March 1973
●Doctor of Ministry in 1987 (Theological Seminary of Andrews University in USA)
Vocation:
●Pastor of the Japan Union Conference since 1966.
●Departmental Director of the Japan Union Conference for over 14 years.
●Radio Speaker and Japan Union Conference Secretary for a while.
●Missionary assigned to Departmental Director of Communication, Religious Liberty, Publishing Ministries, TV & Shortwave Radio Ministries, and Associate Secretary to Asia Pacific Division based in Singapore and Northern Asia-Pacific Division based in Korea for all together 9 years and 7 months.
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