2015年8月 アーカイブ
2015年8月28日 10時19分07秒 (Fri)
ロザリオと数珠
カトリック教会では、聖母マリアへの祈り(アヴェ・マリア)を繰り返して唱える場合に、数珠(じゅず)状の祈りの用具を使って祈りを捧げます。その用具と祈りがロザリオと呼ばれています。ロザリオはラテン語に由来し、「バラの冠」という意味があり、珠を繰りながら唱える祈りがバラの花輪を編むような形になるからだという説があります。「アヴェ・マリア」を繰り返しながら、新約聖書の福音書に記録されているイエス・キリストの生涯の主要な場面を黙想しつつ祈るのですが、これは教会の公的集会で行われるのではなく、信者の私的な信心の行為であると言われています。今日の「ロザリオの祈り」の形式をまとめ、普及させたのは聖ドミニコ(一一七〇~一二二一)であると言われています。日本には一六世紀にイエズス会宣教師によってロザリオが伝えられ、キリシタン時代から「コンタツ」(ポルトガル語で「数える」の意味)とも呼ばれてきたそうです。さて、カトリック教会のロザリオは仏教の法具の一つである数珠に酷似しています。数珠は穴を貫通させた多くの珠に糸の束を通して輪にしたものです。仏を念ずる際に使用する珠の意味から「念珠(ねんじゅ)」とも呼ばれています。仏教の場合の数珠は、念仏の時に音を立てて揉(も)んだり、真言・念仏の回数を数えるのに珠を爪繰(つまぐ)る目的で用います。但し、念仏の回数を問題にしない浄土真宗では、数珠を爪繰ったり、擦り合わせて音を出さず、仏前での崇敬の念の表れとして使用するとのことです。ところで、数珠の起源については諸説があると言われ、その一つが古代インドのバラモン教で使用されていた道具を原型とするという考えです。それが釈迦によって用いられ、後に中国に伝わり、そして仏教と共に飛鳥時代に日本に伝来し、鎌倉時代の浄土教の流行に乗って一般にも普及したと言われています。このように、ロザリオと数珠は用途及び外観が似ているために、キリスト教圏では「仏教徒のロザリオ」と呼ばれることがあると言うのです。では、ロザリオと数珠はどちらが先に出現したのでしょうか。あるインド学者は数珠が西洋に伝えられロザリオになったという説を展開しています。一方で、ロザリオはインドからの借用ではなく、キリスト教が浸透していった各地において独自に工夫がなされた結果として、現在のロザリオに発展し、定着したという主張があります。写真(上と下)説明:ロザリオ(ウェブサイト 楽天市場より転載)と数珠(ウェブサイト 京仏壇はやしより転載)
2015年8月19日 21時05分57秒 (Wed)
マリア像と観音像
新約聖書のマタイによる福音書一章一八節に、イエス・キリストの誕生の次第が次のように記録されています。「イエス・キリストの誕生の次第はこうであった。母マリヤはヨセフと婚約していたが、まだ一緒にならない前に、聖霊によって身重になった。」ここには、イエス・キリストが神でありながら人間の体をお取りになられたこと(受肉)が明記され、誕生の時の母はマリヤであり、父はヨセフでありました。聖書は救世主イエス・キリストを中心テーマとしており、救世主を胎内に宿したからといって、母マリヤを救世主の母として特別扱いはしません。つまり、マリヤは確かに救世主の母ではあるが、他の人間以上の功徳があるとは考えません。その一方で、聖書と教会会議によって教理を確立するカトリック教会では、イエス・キリストの母マリヤを「聖母マリア」と呼び、「聖母マリアは、キリスト信者の霊的母として、天国において全教会とすべての信者のために取りなしてくださいます」(カトリック要理)と主張しているのです。そして、通常は白色のマリア像を教会堂の内外に設置しています。ですから、そのキリスト教会がカトリック教会であるか否かはマリア像の有無によってわかるほどです。カトリック教会では、神に願い事をする場合に、聖母マリアを経由して神に頼めば効果があるという教えです。さて、仏教において成仏を求める修行者を菩薩と呼びますが、修業中ではあっても人々と共に歩み、教え導くということで、庶民の信仰の対象になっています。菩薩の中でもよく知られているのが「観音菩薩」です。「観音」の名前の由来は、人々を常に観ていて救いの声(音)があれば、瞬く間に救うからだそうです。この観音菩薩は北伝仏教、つまり中国や日本において古くから信じられているのですが、日本各地に建立されて来た観音像は本来男性であったと考えられます。ところが、非常に興味深いことですが、中国では観音菩薩は慈母観音と呼ばれているように、女性と見られているそうです。事実、中国の慈母観音は陶器製の子どもを抱いた女性の観音像で、一六世紀頃から中国で多く作られ、日本に輸入されて、一部はキリシタンによって「マリア観音」として信仰されたというのです。現在では日本各地に女性としての慈母観音像が建てられています。そういうわけで、中国の観音像の起源はキリスト教のマリア像であると思われます。写真(上と下)説明:マリア像(ウェブサイト 九州旅倶楽部より転載)と観音像(ウェブサイト 久留米成田山DATAより転載)
2015年8月14日 14時34分05秒 (Fri)
石と墓石
聖書の中で、最初に死者の葬りについて書いているのはアブラハムの死の時です。旧約聖書の創世記二五章八~一〇節に次のような記録があります。「アブラハムは高齢に達し、老人となり、年が満ちて息絶え、死んでその民に加えられた。その子イサクとイシマエルは彼をヘテびとゾハルの子エフロンの畑にあるマクペラのほら穴に葬った。これはマムレの向かいにあり、アブラハムがヘテの人々から、買い取った畑であって、そこにアブラハムとその妻サラが葬られた。」ここから明らかなことは、アブラハムの遺体がほら穴に葬られたということであり、土葬だったに違いありません。ほら穴をふさぐ手段として石が使用されたことは、新約聖書のイエス・キリストの墓から知ることができます。(マルコによる福音書一五章四六節)さて、アブラハムの息子はイサクであり、そのイサクの息子の一人がヤコブですが、ヤコブの妻ラケルが死んだ時の葬りが創世記三五章一八~二〇節に次のように書かれています。「彼女は死にのぞみ、魂の去ろうとする時、子の名をベノニと呼んだ。しかし、父はこれをベニヤミンと名づけた。ラケルは死んでエフラタ、すなわちベツレヘムの道に葬られた。ヤコブはその墓に柱を立てた。これはラケルの墓の柱であって、今日に至っている。」ここには、墓に柱を建てたとあります。この柱は、創世記三一章四四~四五節に「『さあ、それではわたしとあなたと契約を結んで、これをわたしとあなたとの間の証拠としましょう。』そこでヤコブは石を取り、それを立てて柱とした」とあるように、素材は石であったと考えられます。一方、仏教徒の死後も、火葬か土葬かは別にして、遺体・遺骨・遺灰等は墓に入れられますが、墓は石でできています。そして、墓石の脇に板塔婆(いたとうば、いたとば)が追善供養として立てられる場合があります。日本での墓石は、平安時代に中国から仏教が伝来したのに伴い、石工技術も渡来人によってもたらされ、支配階級の間に普及したと言われています。鎌倉時代から室町時代にかけて、禅宗の到来と共に位牌と戒名が中国から伝わったとされています。また、江戸時代になると檀家制度が確立して、仏事が生活の間に定着し、庶民までが墓石を建立するようになったと言うのです。仏教の墓石も中国経由ですが、その中国仏教は聖書の死者の葬り方を取り入れたと思われます。写真説明:伝承によるイエス・キリストの墓の入口に立つ筆者
2015年8月7日 10時25分52秒 (Fri)
聖所のケルビムと金閣寺の鳳凰
鳳凰(ほうおう)は中国神話の伝説の鳥、霊鳥であり、鳳皇とも書かれると言われています。鳳凰は、日本や朝鮮半島を含む東アジア全域において登場し、装飾・シンボル・物語・説話・説教等で使用されている架空の鳥です。実は、この鳳凰が京都にある金閣寺の屋根の頂上に飾られているのです。臨済宗・相国寺派・北山・金閣寺は、正式には鹿苑寺(ろくおんじ)です。室町時代の貴族と武士の折衷文化が北山文化と言われ、その象徴が舎利殿「金閣」だったのです。禅宗に傾倒していた将軍・足利義満は、極楽浄土に往生・成仏することを説いた浄土庭園を作り、この北山殿は当時の政治、文化の舞台になったと言われています。金閣は漆地に金箔を押した三層宝形造の建造物です。金箔は二層と三層に張られています。そして、頂上に金銅製の鳳凰が飾られています。では、鳳凰の由来はどこにあるのでしょうか。私は、旧約聖書の聖所の至聖所の中に納められていた契約の箱の上に造られた向かい合う二つのケルビムが起源だと考えています。当初は移動式であった聖所が、後にエルサレムに神殿として建築されます。契約の箱は上部に贖罪所を持つ、神聖で重要な場所でした。そして、この贖罪所を見守るように作られたケルビムとは実在する天使のことです。旧約聖書の出エジプト記二五章一八~二〇節に次のように書かれています。「また二つの金のケルビムを造らなければならない。これを打物造りとし、贖罪所の両端に置かなければならない。一つのケルブをこの端に、一つのケルブをかの端に造り、ケルビムを贖罪所の一部としてその両端に造らなければならない。ケルビムは翼を高く伸べ、その翼をもって贖罪所をおおい、顔は互にむかい合い、ケルビムの顔は贖罪所にむかわなければならない。」天使ケルビムは金によって造られ、翼を高く伸べて、贖罪所を覆っていると描写されています。このケルビムを含む聖所の建設について記録している出エジプト記は、紀元前一四四五年頃に預言者モーセによって書かれています。金箔の鳥としての鳳凰の出所は、金で造られた鳥のように翼を持つ天使・ケルビムであったと言えましょう。今日、中国発の鳳凰が東アジア全体で様々な面で使用されていますが、これは天使の存在を説く聖書の教えが既に中国で普及していた結果と言えます。写真説明:金閣寺(鹿苑寺)の鳳凰(ウィキペディアより転載)
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プロフィール

- 性別
- 男
- 現住所
- 愛媛県今治市波方町郷乙404₋32
- 職業
- 牧師・宣教師
- 自己紹介
- ●新名(しんみょう) 忠臣(ただおみ)
●実践神学博士(米国アンドリューズ大学神学院)、元親業インストラクター
●札幌、小樽、苫小牧、仙台、東京・天沼で牧師を歴任。
●セブンスデー・アドベンチスト教団北海道教区長、青年部長、コミュニケーション部長、宗教自由部長、ラジオ牧師、総務局長等を歴任。
●宣教師としてシンガポールと韓国に在住し、副総務、コミュニケーション部、宗教自由部、出版部、ラジオ・テレ部等の部長としてアジア太平洋地域を巡回指導。
●最近まで、北アジア太平洋支部宣教部副部長。
●著書『夫と妻のコミュニケーション』(キリスト新聞社)『親と子のコミュニケーション』(キリスト新聞社)『わが青春は主のために』(三五堂)『暮らしの中のキリスト教』(新教出版社)『地球家族と聖書の言葉』(福音社)等。
- Self Introduction in English
- Full Name: Tadaomi Shinmyo
Sex: Male
Nationality: Japan
Citizenship: Japan
Education:
●B.A. in Theology in 1966 (Japan Missionary College)
●M.A. in Philosophy and Religion in 1972 (Philippine Union College Graduate School)
●Ordination: March 1973
●Doctor of Ministry in 1987 (Theological Seminary of Andrews University in USA)
Vocation:
●Pastor of the Japan Union Conference since 1966.
●Departmental Director of the Japan Union Conference for over 14 years.
●Radio Speaker and Japan Union Conference Secretary for a while.
●Missionary assigned to Departmental Director of Communication, Religious Liberty, Publishing Ministries, TV & Shortwave Radio Ministries, and Associate Secretary to Asia Pacific Division based in Singapore and Northern Asia-Pacific Division based in Korea for all together 9 years and 7 months.
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