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2015年3月 アーカイブ

2015年3月27日 10時01分56秒 (Fri)

「罪人の救い」と「悪人正機」

「罪人の救い」と「悪人正機」 『歎異抄』の中で親鸞は、既に法然が説いていたと言うのですが、「悪人正機」を教えています。ある事典は、「悪人正機」は浄土真宗では重要な思想であり、「『悪人』こそが阿弥陀仏の本願(他力本願)による救済の主正の根機である」と解説しています。ここの「悪人」とは、法律的・道徳的・倫理的、また一般常識的意味での悪人ではなく、「どんな小さな悪も見逃さない仏の眼から見れば、すべての人は悪人」であるという意味です。「仏の視点によれば『善悪』の判断すらできない、根源的な『悪人』」なので、仏の光によってのみ悪人と気づきます。一方、「善人」とは、「真実の姿が分からず善行を完遂できない身である事に気づくことのできていない『悪人』である」というのです。『歎異抄』の中に「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや。しかるを世の人つねにいわく、『悪人なお往生す、いかにいわんや善人をや』。この条、一旦そのいわれあるに似たれども、本願他力の意趣に背けり。そのゆえは、自力作善の人は、ひとえに他力をたのむ心欠けたる間、弥陀の本願にあらず。そのゆえは、自力作善の人は、ひとえに他力をたのむ心欠けたる間、弥陀の本願にあらず」と書かれています。親鸞の言わんとすることは、自分の善・力により頼むのは弥陀の本願ではない、自分には善も力もないので弥陀に頼るしかないという人こそ救済に預かるということです。実は、親鸞よりも千二百年以上も前にイエス・キリストは、新約聖書のルカによる福音書五章三二節で、「わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである』」と宣言されました。つまり、イエス・キリストの御目には人間はすべて罪人だったのです。自分は正しい人、すなわち義人だと自認する者は、自分の正しい行為や善行という自力に頼ります。しかし、自分は罪人であり、自分には悪しかなく、何の義も善も見出し得ないと悟る者は、ただひたすらイエス・キリストという他力に頼るしかありません。テモテへの第一の手紙一章一五節でパウロは、「『キリスト・イエスは、罪人を救うためにこの世にきて下さった』という言葉は、確実で、そのまま受けいれるに足るものである。わたしは、その罪人のかしらなのである」と喝破しています。ですから、罪人こそ救われるという聖書の真理が、後世の親鸞の「悪人正機」説に反映されているのです。

写真説明:親鸞(ウェブサイト「行雲流水」より転載)


2015年3月20日 9時41分33秒 (Fri)

「世の光」と「遍照金剛」

「世の光」と「遍照金剛」 空海の灌頂名であり、その後に空海の法号となる「遍照金剛」の意味について、ある辞書は次のように定義しています。まず、「密教で、大日如来の名。光明があまねく照らし、金剛のように不滅であるところからいう」とあり、次に「空海のこと」と書いてあります。この定義によれば、「遍照金剛」とは、各漢字が示すように「光明があまねく照らし、金剛のように不滅である」という意味です。そして、「遍照金剛」のような存在者として、二人の固有名詞の名前、大日如来と空海を挙げているのです。大日如来についてある事典は、「虚空にあまねく存在するという真言密教の教主。『万物の慈母』、『万物を総該した無限宇宙の全一』とされる汎神論的な仏」と説明し、さらに「神仏習合の解釈では天照大神(大日孁貴)と同一視もされる」と追加しています。ある意味で、神仏に相当する非常に畏れ多い呼称が、人間・空海にも適用されているのです。実は、「遍照金剛」の起源が既に聖書の中に見出されるのです。旧約聖書の創世記一章三~五節に、「神は『光あれ』と言われた。すると光があった。神はその光を見て、良しとされた。神はその光とやみとを分けられた。神は光を昼と名づけ、やみを夜と名づけられた。夕となり、また朝となった。第一日である」とありますが、これは創造週の第一日目の記録です。ここには、天地を遍く照らす光の源泉が天地創造の神であることが明白に示されています。そして、新約聖書のヨハネによる福音書八章一二節には、「イエスは、また人々に語ってこう言われた、『わたしは世の光である。わたしに従って来る者は、やみのうちを歩くことがなく、命の光をもつであろう』」とあり、イエス・キリスト御自身が「世の光」であると宣言しておられます。聖書は、天地創造の父なる神、子なるイエス・キリスト、聖霊なる神は三位一体の神であると教えていますので、光の源泉である天地創造の神と同格であるイエス・キリストが、「わたしは世の光である」というのは十分に納得できます。ところが、大日如来と空海の間は同格ではなく、前者は神仏であり後者は人間です。人間には限界があり、本当の意味では光明を遍く照らし金剛のように不滅であることは出来ません。その意味で、真に「遍照金剛」なのは、人間を救うために神でありながら人間になられたイエス・キリストだけであり、その他にはいないということです。

写真説明:円成寺大日如来像(金剛界大日、運慶作、国宝)<ウィキペディアより転載>

2015年3月13日 9時50分36秒 (Fri)

洗礼と灌頂

洗礼と灌頂 空海は正規の遣唐使の留学僧として唐時代の中国に渡りますが、当初の予定であった留学期間二〇年を大幅に縮めて、わずか二年で帰国しています。空海は八〇四年七月六日に日本を出港し、紆余曲折の後、一二月二三日に唐の都・長安に入り、学びの生活を始めました。八〇五年八月一〇日に、「この世の一切を遍く照らす最上の者」(=大日如来)を意味する「遍照金剛」(へんじょうこんごう)の灌頂(かんじょう)名を授けられたというのです。この時、空海は半年に渡って師事した恵果和尚の青龍寺や不空三蔵ゆかりの大興善寺から五百人もの人々を招いて食事の接待をして、感謝の気持ちを表わしたそうです。換言すれば、灌頂名を受けるとは、それほどの重大な行事であったということです。確かに、この灌頂名は後世、空海を尊崇する法号として唱えられるようになります。さて、この灌頂とは辞典によれば、もともと天竺と呼ばれたインドで王の即位や立太子の際に、頭頂に水を灌いだ儀式のことです。実は、空海と同様に留学僧として遣唐使の一員であった最澄も唐の龍興寺の順暁から灌頂を受けたというのです。そして、天台宗の開祖となったこの最澄が、日本では初めて、高雄山の神護寺で灌頂を行ったと言われています。ところで、仏教界の灌頂といい、灌頂名というのは、余りにもキリスト教界の洗礼と洗礼名に似ています。キリスト教界の洗礼は、水を注ぐ方法で二種類に大きく分けられます。全身を水に浸す場合と、頭又は額に水を注ぐ場合があります。そして、洗礼の時に洗礼名を授けるキリスト教会があるのです。新約聖書のマタイによる福音書三章一六節には、「イエスはバプテスマを受けるとすぐ、水から上がられた。すると、見よ、天が開け、神の御霊がはとのように自分の上に下ってくるのを、ごらんになった」と書かれてあり、イエス・キリスト御自身は全身を水に浸すバプテスマ、すなわち洗礼を受けておられます。「バプテスマ」という言葉そのものに「水に浸す」という意味があります。従って、洗礼のもともとの形式は浸礼ですが、簡易的に灌頂という形式も取られるようになったということです。また、聖書には洗礼名とはありませんが、イエス・キリストが弟子たちに従来の呼び名とは別に新しい名前を与えておられる記録があります(ヨハネ一章四二節参照)。灌頂の起源は聖書にあると言えます。

写真説明:イエス・キリストのバプテスマ(ウェブサイトfotoLIBRAより転載)

2015年3月6日 10時10分09秒 (Fri)

空海の心中を推測する:その選択

空海の心中を推測する:その選択 身分は仏教の住職でありながら心ではキリスト教徒のようになっていた亀谷凌雲は、この問題をどのように解決しようとしたとしたのでしょうか。「どうしても仏教から離れられはしない。よしさらば、かねてからの願い、むしろ基督教のよいところをことごとくとりいれて、仏教をよくし、仏教の復興に全力をそそごうではないか。かく願って、寺において追々基督教をならうようになってきた。」(『佛教から基督へ』、一〇〇頁)つまり、キリスト教の素晴らしい教えを仏教に取り入れ、仏教を発展させようと考え、具体的には次のような試みをしたのです。「放蕩児がふと教会堂にはいって掲げられてあった『神は愛なり』とのみことばを見て悔い改めた話から思いついて、寺の御堂の柱にも、『神は愛なり』に似かよえる観無量寿経の『仏心者大慈悲是』の聖語を書いて掲げ、これを見て仏心に帰る人もがなと願ったのだ。子どもらのための日曜学校をも始めようと、妻にオルガンを引かせ、讃美歌代わりに、親鸞の帖外和讃から、『超世の悲願ききしより、我らは生死の汎夫かは 有漏の穢身は変わらねど、心は浄土に遊ぶなり』などに音ぷをつけて歌わせもした。なおルカ伝一五章の放蕩息子のたとえ話は、弥陀の慈悲の説明としてはきわめて適切な話と思う所から、講座からお説教をする時、これを引用したり、色々まねては見た。」(同、一〇〇頁)彼の気持ちは痛いほどに良く分かります。ある人が、お寺の娘さんと養子縁組になり住職になりました。しかし、彼は学生時代にはクリスチャンだったというのです。彼は「自分の信仰はキリスト教であるが、職業は住職だ」と弁明していたようです。実は、後に知ったことですが、彼は私の高校時代の後輩でした。さて、聖書及びキリスト教に出会ったはずの空海は、その教えの優越性を理解すればするほど、キリスト教への改宗を真剣に考えたに違いありません。しかし、家族を始め、今まで自分を育ててくれた関係者のことを考えると、今更、仏教僧からキリスト教徒に改宗するわけにはいかなかったはずです。しかし、空海は仏教にはないキリスト教の真理や救いの奥義を彼の教えの中に導入したと考えられます。ですから、空海の教えの中にはキリスト教の真理が随所に見られるのだと思います。空海は仏教を捨てられなかった代わりに、キリスト教を仏教の中に最大限に取り込んだと言えましょう。


写真説明:亀谷凌雲牧師(ウェブサイト「富山新庄教会」より転載)

プロフィール

プロフィール画像
性別
現住所
愛媛県今治市波方町郷乙404₋32
職業
牧師・宣教師
自己紹介
●新名(しんみょう) 忠臣(ただおみ)
●実践神学博士(米国アンドリューズ大学神学院)、元親業インストラクター
●札幌、小樽、苫小牧、仙台、東京・天沼で牧師を歴任。
●セブンスデー・アドベンチスト教団北海道教区長、青年部長、コミュニケーション部長、宗教自由部長、ラジオ牧師、総務局長等を歴任。
●宣教師としてシンガポールと韓国に在住し、副総務、コミュニケーション部、宗教自由部、出版部、ラジオ・テレ部等の部長としてアジア太平洋地域を巡回指導。
●最近まで、北アジア太平洋支部宣教部副部長。
●著書『夫と妻のコミュニケーション』(キリスト新聞社)『親と子のコミュニケーション』(キリスト新聞社)『わが青春は主のために』(三五堂)『暮らしの中のキリスト教』(新教出版社)『地球家族と聖書の言葉』(福音社)等。
Self Introduction in English
Full Name: Tadaomi Shinmyo
Sex: Male
Nationality: Japan
Citizenship: Japan

Education:
●B.A. in Theology in 1966 (Japan Missionary College)
●M.A. in Philosophy and Religion in 1972 (Philippine Union College Graduate School)
●Ordination: March 1973
●Doctor of Ministry in 1987 (Theological Seminary of Andrews University in USA)

Vocation:
●Pastor of the Japan Union Conference since 1966.
●Departmental Director of the Japan Union Conference for over 14 years.
●Radio Speaker and Japan Union Conference Secretary for a while.
●Missionary assigned to Departmental Director of Communication, Religious Liberty, Publishing Ministries, TV & Shortwave Radio Ministries, and Associate Secretary to Asia Pacific Division based in Singapore and Northern Asia-Pacific Division based in Korea for all together 9 years and 7 months.
facebook
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