2014年1月 アーカイブ
2014年1月31日 14時17分08秒 (Fri)
宗教の必要 その五 人間の信仰心
人間には、誰でも生まれながらに、何かを信じたいという素朴な気持ちがあります。その証拠に、「鰯の頭も信心から」という表現があるほどです。ある辞典はこの意味を、「イワシの頭のつまらないようなものでも、信仰すれば非常に尊いものに見えることから、信仰心の不思議さをたとえたことわざ。主に、新興宗教などに対し、皮肉の意味で使われることが多い。『鰯の頭』は『いわしのかしら』とも読む」と定義しています。この諺の由来は平安時代にあるそうです。節分に鬼の嫌いな柊の小枝に鰯の頭を刺したものを、戸口に挿して鬼を退散させるという風習です。ともかく、つまらない代表として鰯が使われ、さらに値打ちのない頭でつまらない意味を強調したというのです。翻って言えば、そんなつまらない鰯の頭でも信じる信仰心が人間にはあるということです。そして、信仰心は宗教に属することです。但し、理性のある人間としては、鰯の頭が魔除けになるなどとは決して信じられません。さて、明治時代の短編小説家・芥川龍之介は、三五歳の若さで致死量の睡眠薬を飲み自殺したと言われています。その事件は、彼の最後の作品となった『続西方の人』を書き上げた翌日の未明だったというのです。ところで、芥川龍之介の作品、『西方の人』と『続西方の人』の「西方の人」とは誰のことでしょうか。実は、西方の人とは、日本の地から見れば西方に当たる地イスラエルに、救世主と出現したイエス・キリストのことです。つまり、彼は二度も、しかも死の直前までイエス・キリストについて書いていたのです。彼が死んだ枕元には、読み差しのある聖書が開かれたまま残されていました。そして、彼の作品の最後の文章は、「我々はエマオの旅人たちのように我々の心を燃え上がらせるクリストを求めずにはいられないであろう」(『続西方の人』)でありました。これは、ある意味で芥川龍之介の遺書ともいえるものです。この文章の中の、「クリスト」とはキリストのことであり、「エマオ」は現在のイスラエルの国の首都エルサレムの北西一一キロにある町です。芥川龍之介は、歴史上に実在したイエス・キリストを求めていたのです。新約聖書のルカによる福音書二四章三二節には、「彼らは互に言った、『道々お話しになったとき、また聖書を説き明してくださったとき、お互の心が内に燃えたではないか』」と書かれています。
写真説明:ウィキペディアから転載した芥川龍之介の写真。
2014年1月24日 12時44分31秒 (Fri)
宗教の必要 その四 冠婚葬祭
私は東京都杉並区にあるセブンスデー・アドベンチスト天沼教会の主任牧師をしたことがあります。在任期間はわずか一年三か月でしたが、その一五か月間に一二人の葬儀の司式を執り行いました。一教会としては多い人数です。この理由は、同教会が九百人以上の会員を擁する大教会であること、総じて教会員が高齢化していること、そして同教会敷地内に東京衛生病院があるからです。通常、葬儀と言えば故人を知る人々が出席する前夜式と告別式が主要ですが、その他に牧師は死亡直後の故人宅を訪問して遺体の傍でお祈りを捧げ、葬儀社から棺が届くと納棺式をします。また、告別式が終わると、霊柩車で棺が火葬場へ運ばれますが、そこで最後のお別れの司式をします。そして、数時間後に遺体が骨と灰に化した時点で骨揚げ式を執り行います。これで一連の葬儀は終りですが、場合によっては、骨壺を遺族の家に持ち帰るのに同行し、その家の祭壇に遺影と骨壺を安置する式を行います。このように、一口に葬儀といっても、故人の遺族にとっては実に気の張り詰めた長い一泊二日、二泊三日、あるいは火葬場の都合等により、もっと長い日々を過ごさなければなりません。なぜかと言えば、故人の宗教に基づく葬儀だからです。さて、葬儀は悲しい式ですが、嬉しいのは結婚式を引き受けることです。私もこれまでに二三組の結婚式を司ってきました。出張した時に駅の近くや街中に大きな教会があり感激したところ、よく見るとそれは結婚式場のチャペルであり、通常の教会ではなくがっかりしたことが何度かあります。このように、日本は非キリスト教国でありながら、キリスト教式の結婚式には人気があります。冠婚葬祭には必ずと言っていいほど宗教が関与し、日本では仏式葬儀や神前結婚式が知られています。結婚や葬儀という人生の非常に厳粛で重大な節目には、人間以上の権威を持つ神の許諾、承認を求めるのが人情です。これは極めて自然な人間の心理です。ですから、冠婚葬祭を宗教抜きでするのは誠に不自然であり、たとえ挙行しても意味合いの薄いものとなるでしょう。新約聖書のマタイによる福音書一九章六節でイエス・キリストは、「彼らはもはや、ふたりではなく一体である。だから、神が合わせられたものを、人は離してはならない」と語られ、結婚は神が関予する重大事です。
写真説明:2013年11月17日に浜松市内の野外公園で日系ブラジル人カップルの結婚式を司式
2014年1月17日 14時18分18秒 (Fri)
宗教の必要 その三 善悪の基準
これまでに私は、主として公務で世界の四六の国と地域を旅行して来ました。その目的は、セブンスデー・アドベンチスト教会の主催する五年毎の世界総会や専門分野の大会・会議・研修会に出席して研鑚を積むため、そして自分の担当する国々を巡回して指導するためでした。さて、外国に行くと当然ながら日本とは異なる生活様式や習慣に遭遇します。そして、これらの相違は各国・各地域の人々の文化に基づいていると考えられます。近年は国際交流が盛んになり、島国の日本も否応なしに異文化、多文化の波にさらされています。実は、外国旅行の楽しみや面白さは、この文化の違いに触れることにあるのです。しかも文化は宗教と密接な関係にあります。ある意味で、宗教は文化の母と言えます。宗教という観点から五輪旗に象徴されている世界の五大陸をごく大雑把に分類すると、ヨーロッパ大陸はキリスト教・イスラム教・ユダヤ教、アフリカ大陸はイスラム教・キリスト教・土着宗教、アジア大陸はヒンズー教・仏教・儒教・道教・神道、オセアニア大陸はキリスト教、アメリカ大陸はキリスト教と言えましょう。さらに、宗教はそれを信じる人々の善悪の基準の土台となり、人生観や価値観に大きな影響を与えています。従って、宗教は非常に大事な役割を担っています。つまり、善悪の基準は、その宗教の神がどのような性質を持っているかによって決まるのです。例えば、キリスト教の神の御性質である愛と義は聖書の随所に明瞭に現わされていますが、それを簡潔に要約したのが十戒であると言えましょう。ですから、キリスト教徒にとって善悪の基準は十戒なのです。私は十戒に基づいて人生観や価値観を築いています。だから、善悪の基準を決める神の御性質を扱う宗教は人間にとって必須です。それぞれの国と地域の生活様式や習慣を特徴づけているのは宗教なのです。ある意味で、宗教が国民を束ねていると言えるのです。旧約聖書のアモス書五章一四節には、「善を求めよ、悪を求めるな。そうすればあなたがたは生きることができる。またあなたがたが言うように、万軍の神、主はあなたがたと共におられる」と書かれています。
写真説明:2010年にアメリカ合衆国ジョージア州アトランタ市で開催されたセブンスデー・アドベンチスト教会世界総会、最後の安息日礼拝には約7万人が出席。
2014年1月10日 14時28分22秒 (Fri)
宗教の必要 その二 神の存在
世界中に宗教があるということは、その宗教を持っている人々が神の存在を認めているということです。神の存在なくして宗教はあり得ません。よく、「宗教と哲学の違いは何ですか」と質問されますが、簡単な答えは神の存在を認めるか否かです。神が存在しているのに、それを認めないということは、例えてみれば、自分には親がいないというようなものです。自分という人間が存在するということは、必ず自分を生んでくれた親がいるはずです。それにもかかわらず、自分には親がいない、自分は偶然にこの世に一人で忽然と現われたというのでは誰も納得しません。そのように、人間が宗教を持つということは、神が存在しているからなのです。ある意味で、人間は神なくして生きていけない動物です。一八世紀のフランスの啓蒙思想家ヴォルテールは、少年時代にはカトリックのイエズス会で勉強したのですが、後に無神論に近い理神論に至りました。その彼は、「もし神がいなければ、我々はこれを創造する必要がある」と、また「神は自分の姿に似せて我々を作られたので、我々もまた彼に同じことをしてやったのだ」と語ったそうです。ともかく、ヴォルテールの言うように世界中には文字通り、人間によって考えられ作リ出された神々が無数に存在しています。日本の神道も例外ではなく、仏教も神とは呼ばず仏ですが、仏の数も無限です。これらの事実は何を物語るかと言えば、人間は神を持たないでは生きられないということです。それなのに、神は存在しないというのであれば人間はどう生きればいいのでしょうか。親から生まれた子供に対して、「あなたの親はいない」と告げればどうなるでしょうか。その子供は不安を覚え、情緒不安定になり、その後の生涯に様々の問題を抱えるに違いありません。子供には親の存在が必要であるように、人間には神の存在が必要であり、そしてその神についての教えが宗教なのです。つまり、神が存在する限り宗教が必要なのです。旧約聖書の詩篇五三篇一節には、「愚かな者は心のうちに『神はない』と言う。彼らは腐れはて、憎むべき不義をおこなった。善を行う者はない」と書かれています。聖書の神は御自分の存在を否定する者を「愚かな者」と呼んでいます。この神は御自分を「有って有る者」(創世記三章一四節)と紹介しておられます。
写真説明:ヴォルテール(ウィキペディアから転載したあるブログから)
2014年1月3日 12時38分51秒 (Fri)
宗教の必要 その一 根源的質問
この世になぜ宗教があるのでしょうか。この地球上の生物で宗教を持つのは人間だけです。宗教を持たない民族はなく、無神論を唱える共産主義国家にも宗教は存在しています。では、なぜ人間は宗教を必要とするのでしょうか。その理由は、人間とは何者かという根源的質問があるからです。科学は人間がどんな物質から構成されているかは説明できます。人間を物質にしてみると、石鹸七個分の脂肪、鉛筆の芯九千本の炭素、二寸釘一本分の鉄分、マッチの頭二千二百個分のリンで、これらを値段にすると約五千円になるそうです。しかし、人間とは何者かとの質問に対して、「約五千円分の物質です」という返答に誰も納得するはずがありません。著名なフランスの画家ポール・ゴーギャンは、「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」という長い題名の作品を残しています。これは、ゴーギャンが南太平洋のタヒチ島に二度目に戻ってきた後に描かれた晩年の絵画です。当時の彼は、貧困と病苦、更に妻との文通も途絶えて、希望を失って死を決した状態にあったと言われています。ですから、これは絶望の中で遺書代わりの畢生(ひっせい、一生涯)の大作であると評価されています。(自殺は未遂に終わっています。)少年時代に神学校に通った経験があるというゴーギャンは、死を前にして、人間はどこから来たのか、人間とは何者なのか、そして人間はどこへ行くのかという人間の根源的質問を投げかけたのだと思います。この三つの質問は、人間の過去・現在・未来に関するものであり、さらに突き詰めれば、人間の起源は創造論か進化論か、人生の意味は何なのか、そして人間の死後はどうなるのかを扱っていると言えます。これらの厳粛な問いに答えるのが宗教の役割であり、そのために人間には宗教が必要なのです。事実、このゴーギャンの作品の画面中央には、旧約聖書の創世記三章に記述されているエバの罪を思い起こさせる場面が描かれているのです。ある意味で、彼は自問自答しつつ、この絵を見る人々に聖書に目を向けるように訴えているのではないでしょうか。旧約聖書の創世記一章二七節には、「神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された」とあり、人間はどこから来たのかという疑問に対して明快に答えています。
写真説明:ポール・ゴーギャン「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」、ウィキペディアから転載。
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プロフィール

- 性別
- 男
- 現住所
- 愛媛県今治市波方町郷乙404₋32
- 職業
- 牧師・宣教師
- 自己紹介
- ●新名(しんみょう) 忠臣(ただおみ)
●実践神学博士(米国アンドリューズ大学神学院)、元親業インストラクター
●札幌、小樽、苫小牧、仙台、東京・天沼で牧師を歴任。
●セブンスデー・アドベンチスト教団北海道教区長、青年部長、コミュニケーション部長、宗教自由部長、ラジオ牧師、総務局長等を歴任。
●宣教師としてシンガポールと韓国に在住し、副総務、コミュニケーション部、宗教自由部、出版部、ラジオ・テレ部等の部長としてアジア太平洋地域を巡回指導。
●最近まで、北アジア太平洋支部宣教部副部長。
●著書『夫と妻のコミュニケーション』(キリスト新聞社)『親と子のコミュニケーション』(キリスト新聞社)『わが青春は主のために』(三五堂)『暮らしの中のキリスト教』(新教出版社)『地球家族と聖書の言葉』(福音社)等。
- Self Introduction in English
- Full Name: Tadaomi Shinmyo
Sex: Male
Nationality: Japan
Citizenship: Japan
Education:
●B.A. in Theology in 1966 (Japan Missionary College)
●M.A. in Philosophy and Religion in 1972 (Philippine Union College Graduate School)
●Ordination: March 1973
●Doctor of Ministry in 1987 (Theological Seminary of Andrews University in USA)
Vocation:
●Pastor of the Japan Union Conference since 1966.
●Departmental Director of the Japan Union Conference for over 14 years.
●Radio Speaker and Japan Union Conference Secretary for a while.
●Missionary assigned to Departmental Director of Communication, Religious Liberty, Publishing Ministries, TV & Shortwave Radio Ministries, and Associate Secretary to Asia Pacific Division based in Singapore and Northern Asia-Pacific Division based in Korea for all together 9 years and 7 months.
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