楽天市場
[無料でホームページを作成] [通報・削除依頼]

大相撲班 第一回特別鼎談

2012年7月14日 20時59分05秒 (Sat)

大相撲班 第一回特別鼎談ここでは、今春新設された、当古典芸能部大相撲班のお二人(西村京太郎君、藤田隆太郎君(ともに高1))と、当部の顧問の川崎による第一回古典芸能部大相撲鼎談会の模様をお届けいたします。
以下において、西は「西村」、藤は「藤田」の両君を、川は「川崎」を表します.

川:今日は新設された相撲班のお二人とともに相撲についてのあれこれをお話したいと存じます。おふた方宜しくお願い致します。
藤:宜しくお願いします。
西:どうぞ宜しく。
川:まずは、三人の、相撲との出会いからまいりましょうか。
西:私は中2まで全く興味がなかったんです。中3の時に藤田君に勧められて観るようになりました。
川:ずいぶん奥手なんですね。
西:はい。で、最初はつまらなかったんですが、だんだんと面白くなってきました。
川:そのきっかけはどんなところですか。
西:観続けていると四股名と顔が一致しますのでそうすると、あっ!この力士はこの後こう攻めるんじゃないか、と予想して実際そうなったりすると・・・
川:面白さも増しますな。
西。はい。それと、・・・
川:それと?
西:何と言いますか、大相撲にはですね、曰く言い難い神秘性が感じられまして・・・
川:ほぅ。それはどんなところに?
西:行司さんの所作や力士の立合いですね。
川:なるほど。これは大きなテーマとなりそうなので後程またお聞きしましょう。で、今の御贔屓力士はどなたですか?
西:旭天鵬関です。若い力士にぶつかっていく気迫といいますか。同時に、心配もしています。決してお若くはないので。
川:名寄岩を心配するファン気質に似ているのかしら。
西:名寄岩関は存じません。
川:まぁ、そうですかね(苦笑)「涙の敢闘賞」という映画に出演されていますので、機会を作って是非観てみましょう。行司さんの所作という話が出ましたが、御贔屓の行司さんはどなたかいますか?
西:それはとにもかくにも(式守)錦太夫さんですね。
川:あぁ!取材をさせて頂いたんですものね(その取材記はさきに収録してあります)。
西:あと、朗々とした声の木村正直さんです。
川:そうですか。まずは西村君のご紹介でした。次に藤田君にお聞きしましょう。
藤:実は、西村君に紹介するちょっと前から観初めまして。
川:えっ?!そうだったんですか。
藤:あれは試験休みの時だったんじゃないかと思うんですが、たまたま見たんです。だんだんと面白くなってきまして。奥深さというのでしょうか。感じますね。
川:どんなところにそれを?
藤:弓取り式とか、ですね。
川:なるほど。弓取りというと私が思い出すのは大豪、江戸の華、…。大豪関は、「番付が低くても弓取りならTVに出られる。出られれば故郷の、確か秋田だったかな、両親に元気な姿を見せることができるというんで、弓取りに立候補したなんてイイ話を子供のころに読んだことがあって・・・。これは小学校2年だったかな、当時、小学館から出ていたコロタン文庫というのがありまして、その大相撲大百科でそれを読んだんです。口の悪い大人は、弓取りは出世しないなんて言っていましたがね。そんなわけで小学生の頃はちょっとした相撲狂でした。神風さんの歯切れ良い解説、北の洋の緒方昇さんの品の良い解説。おっと、相撲ひと口メモは欠かせなかったですね。これを観たいがために遊んでいても途中で帰っていましたから。
藤:小学生!!それはまた早熟ですね。
川:図らずも、私と相撲との出会いをお話しすることになってしまうんですが、あれは輪島と北の湖が横綱を張っていた、いわゆる輪湖時代でしたよ。観初めたのは。
西:いつごろですか?
川:古い記憶にあるのは北の湖が貴ノ花に敗れて座布団が舞ったことなんです。あとから調べてみると、どうやらそれが昭和50年の3月場所らしいんですね。だから丁度4歳ですか。
藤:それは渋い幼稚園生ですね。
川:いや、当時は珍しくはなかったですね。おっと、私の話は今日はそのくらいにしましょう。で、好きな力士はだれですか。
藤:豊真将関ですね。
川:どんなところに惹かれますか?
藤:なにしろ所作の美しさですね。それに礼儀正しくて。
川:お話を伺っていて、お二人は様式美としての大相撲に惹かれる部分が少なくないわけでございますが、詳細は追々お聞きしましょう。で、御贔屓の行司さんはどなたですか?
藤:やはり取材させていただいた錦太夫さん(藤田君の取材記もさきに収録してあります)ですね。
川:なるほど。というわけで、まずは三人の相撲とのかかわりを述べたわけでございますが、話変わって二人は野球やサッカーに興味はありますか。
西:私はないです。柔道はたまに観ます。
川:相撲と柔道ですか。共通性は何か感じますか。
西:まぁ、これはですね、素手と素手とのぶつかり合いによって「強さ」を誇示する点でしょうか。野球はバットやボール、グラブなんかを使いますからね。この道具を用いない点に惹かれるわけです。
川:確かにそうですな。
西:それにですね、(身を乗り出して)ここを強調したいのですが、相撲にしても柔道にしても技が決まれば勝敗がつくという、何と言いましょうか、「瞬きの潔さ」とでもいうんでしょうか。そんなことを感じます。
川:なるほど、なるほど。そこには美学がありそうですな。ただ、素手と素手とのぶつかり合い、ということに限ればプロレスなども…
西:はい。(自ら身を躍らせて)しかしながら、この点についてはこういう見解をもっております。と、言いますのは、展覧相撲はご存知の通りですが、プロレスは天覧に堪えられるか、ということです。例えばタイガー・ジェット・シンさんを天覧の興行に積極的に出せるかどうか、ということです。
川・藤:(爆笑)
西:いえ、まじめな話、そう思うんです。
川:それはわかります。あと、ボクシングも素手と素手とのぶつかり合いではないですな。
西:野球同様、道具が介在するわけです。
川:そこはかとなく、西村君の相撲哲学を感じますな。藤田君はどうですか。
藤:サッカーをたまに観る程度です。やはり、この点は西村君と同じで、相撲には潔さを感じることができて、そこに惹かれます。
川:なるほど。二人の相撲観が如実に表れている感じですな。で、ここでちょっと意地の悪いことを聞きます。プロレスというのは、元新日本プロレスのレフェリーであったミスター高橋の告白といいましょうか、暴露といいましょうか、まぁ、台本の存在が白日の下にさらされたわけです。
西:力道山の時代から噂はされていたと聞いたことがあります。
川:そのようですね。まぁ、私自身は、台本があったとしてもプロレスを愛する者ではあるんですが…。それはさておき、相撲にも台本があるとかないとか言われますね。
藤:はい。
西:そうですね。
川:単刀直入に聞きましょう。その点をどう思いますか?
西:いえ、相撲には台本はないでしょう。
川:なぜそこまで清々しく言い切れるのでしょうか。それをお聞きしたい。
西:私はこう思うんです。台本はない、されど「人情相撲」はあるだろう、と。
川:というと?
藤:これは是非、私に言わせていただきたいのですが、たとえば、白鵬関と日馬富士関の一番がありましたね。
川:琴欧州関が怪我をされたときのですか。
藤:そうです。緊張の糸といいましょうか、人間のやることですからね、力が入らないってことは当然ありうべきことだと思うのです。
川:なるほど。そういった意味での「人情」である、と。
藤:そういうことです。
川:人情相撲というと、たとえば、来場所を迎える前に子供が生まれる力士がいる、と。番付は前頭十一枚目だと。
西:ええ。
川:その力士が7勝7敗で千秋楽を迎えた、と。
藤:はい。
川:ここで勝てば勝ち越して、幕内として子供の誕生となる、と。
西:負ければ十両に陥落濃厚というわけですね。
川:そういういうことです。そんな時に、相手はすでに勝ち越している、と。かといって、優勝争いにかかわるほどではなし、三賞候補にもなっていない、と。
藤:なるほど。その時に、「人情」として負けてやるか。と。
川:そういう意味での人情、ではないと。
藤:はい。
川:なるほど。今の話を伺っていて、こんなことを思い出したんですがね。えーと、ジェシー高見山ね。
西:現役の時は知りませんけど。有名な方ですよね。
川:有名も有名です。ハワイ・マウイ島出身、高砂部屋でした。優勝した時、ニクソン大統領から祝電が来たという。音楽家の山本直純さんと「火の用心」のCMに出ていて、顔を見ない日はなかったという(笑)それはともかく、まぁ、大変な人気者でしたよ。私も大好きでしてね。
藤:その高見山関が?
川:ええ。引退の一番で、押しの一手で、やった!勝った!!という時に。
西:いう時に?
川:対戦相手、あれは玉竜関だったかな。引きましてね。
藤:高見山関は…
川:負けました。あのときのTVの前での失望感というか、画面からもわかるんですよ、満場のお客様が、なんてことをするんだ、と。
西:玉竜関が、ですね。
川:高見山が土俵をたたきましてね。悔しい、悔しい、と。オレンジ色のまわしの鮮やかさがいじらしくてね。負けてやりゃぁいいじゃないか、と。かてて加えて玉竜関はその時点で確か負け越していたんですよ、確か。ちょっと前の言葉でいえば、まぁ、KYってんですか。こういうときはハッピーエンドを“演じて”欲しい。それは「芸能としての相撲」の使命ではないか、と。
藤:そこまで言いますか!(笑)
川:そう思ったんです、当時。
藤:なるほど。芸能としての相撲、という意味で申し上げたいことがあるのです。
川:ほぅ。それはまたなんです?
藤:大相撲はその起源として、「神々を喜ばすための儀式」という一面があったと思うんです。室町時代であれば、そういう意味での台本があり、それをもとに行われていたとしてもそれはとても麗しいことだと思うんです。
西:今、いみじくも藤田君が「室町時代」と言ったのは重要なことだと思います。
川:と、いうと?
西:それはですね、江戸時代になって、たとえば藩と藩との威信をかけた戦いに相撲が、いわば代理戦争として用いられる歴史があるわけです。
川:なるほど。
西:確かにノミノスクネやタイマノケハヤの時代、いわば、相撲の神話時代というのでしょうか、相撲の起源を紐解くと、相撲というものは神々の殺し合いから始まり相撲節会の時に芸能的にはある意味最高に達したけれども鎌倉以降武士の鍛錬になり、室町時代後半からまた神格性や芸能性を取り戻して相撲節会にある意味回帰したわけです。
川:古典芸能部相撲班らしいはなしとなってきましたな。
藤:室町時代は世阿弥に代表されるように「様式美」の世界が展開されます。
川:なるほど。
西:それが江戸の世となり、またぞろ真剣勝負が台頭するに至るわけです。
川:そういうことになりますな。
藤:とはいうものの殺し合いではなく、“禁じ手”に代表されるような武士道が反映される真剣勝負である、と。
川:なるほど。
藤:祭事(芸能)や神事の部分は捨てることはできませんが、ただ、それだけでは見世物になってしまうと思うんです。観客あっての相撲です。これは興行と言い換えてもよいと思います。となると、やはり真剣勝負の側面がないといけません。
川:確かに真剣勝負の要素がないと、先ほどの世阿弥ではないですが、能のような形で様式美が昇華していく可能性はありますが、興行という点では立ちいかなくなった可能性がありますな。
西:同感です。全く同感です。
川:興行というフレーズが出ましたので伺いたいのですが、近年、やや下火になっているとはいえ、しかし興行としての相撲はビッグビジネスです。その成功をどのように分析しますか。
西:まぁ、これはですね、番付という“明確な序列”と“階級なし”の二つの要素が大きいのだと思うんです。これについては考察をさらに深めたいと思います。
川:一種の興行論ですな。これで次回のテーマのひとつ決まりましたな(笑)それと、二つほどお二人にお聞きしたく思います。まず一つ目は、かつて大相撲の土俵に上がりたいと表明した女性がおりました。その騒動についてご意見を伺いたく、また、イスラムの教えを守るという大砂嵐さんについてなんですが、まず西村君いかがですか.
西:まず、最初の件ですが、土俵に上がれないことをもって差別だというのはいささか違うと思うのです。大相撲という文化の成り立ちを考えれば、神秘性のベールをはがすのはいかがなものでしょうか。土俵に上がりたければ新相撲(女相撲)というのもあるわけですからね。それと大砂嵐さんのことですが、ここに根間弘海さんの『大相撲行司の世界』という本があります。この本の受け売りなのですが、たとえば、キリスト教信者の行司さんがいて、土俵祭りの時に、信仰を理由に進行を妨げたとする、これはシャレではありませんよ(笑)これはいかがなものか」ということになりますね。その点を、大砂嵐さんに於かれてはご理解されれば、大いに飛躍されてファンも後押しをされるんではないですかね。なにしろ、アラブ人の力士誕生は相撲史に残る出来事でしょうから。
川:藤田君いかがですか.
藤:女性が土俵に上がる件については西村君と全く同意見です。大砂嵐さんには頑張っていただきたいのですが、あえて気がかりなことを申せば、イスラム教は一神教ですね。おそらくは、大相撲入門時に、プロスポーツ選手になるという意識で入門されて、神事や祭事と側面はそうそうご理解されていないのではないか、と(いう点が懸念される)。国内での力士の人材の払底が叫ばれて久しいわけですが、外国人力士を勧誘、あるいは入門を許す際は、神事と祭事の側面を十分に説明することが必要で、そういったシステムの構築が急務に思われます。
川:おっしゃるとおりに思います。ふと、思ったのですが、黒人の力士がこれまでに存在したかどうかを私は知らないのですが、どうなんですかね。
藤:黒人ではないですが、かつて、トンガ王国から来た力士はいたと聞いたことがあります。
川:ありましたね。その一人が福ノ島といったかな。後にプロレス入りしたはずですね。
西:黒人力士はいないのではないでしょうか。黒人は特有の癖毛のために大銀杏が結えないため、と聞いたことがあります。
川・藤:そうなんですか!
西:さらに調査してみます。
川:最後に、ひとつお聞きして今日のこの第一回目の鼎談を終えたいのですが、ズバリ、大相撲は、芸能神事の側面と、スポーツの側面の比は何対何だと思われますか.
西:私は「芸:ス=6:4」だと思います。
藤:私は「芸:ス=4:6」だと思います。
川:なるほど。今日のこの鼎談でのお二人の発言が如実に表れている数値に思えてなりません。お二人、今日はありがとうございました。
藤:どうも失礼いたしました。
西:失礼いたします。
川:それでは皆様、次回までごきげんよう、さようなら。

平成24年7月13日 11:10~12:30  海城学園第五会議室にて

この記事にコメントする



メールアドレスは公開されません。サイト運営者からの連絡に使用されることがあります。

入力すると投稿者名がリンクとして公開されます。


表示されているひらがなを入力してください
認証コード

アクセス数
ページビュー数