クラシック音楽の作曲家って!?
作曲家考 その1
果たしてベートーヴェンは楽器に関して無知であったのか?
「ベートーヴェンはコントラファゴットやコントラバスの性能を無視して作曲した」
これは良く指摘される事です。実際伊福部昭先生の著書「管弦楽法」にも
ベートーヴェンの第九交響曲 フィナーレのフーガのコントラファゴットのパートの
事が指摘されています。
又「田園」の第4楽章「嵐」の場面のコントラバスの16分音符のパッセージ
(第21小節以降)が殆ど演奏不可能である事は周知の事実。
しかし簡単に「楽器に関して無知であった」と決めつけるのはどうでしょうか?
ベートーヴェン信奉者の私としてはどうしても擁護したくなる。
コントラバスに関しては同じ時代にドラゴネッティと言う天才がいて
この人を基準に書いたそうである。
従って将来技術が上がれば皆弾けるようになると思って書いた可能性がありますね。
コントラファゴットに関しては「ファゴットより1オクターブ低い」とだけ
聞かされてあのパッセージを書いたとか。
しかし、だとしても現在のテクニシャンはあの第九の8分の6拍子の
八分音符の速い低音のパッセージを弾けるのでしょうか?
多分弾けないでしょうね。また この速い低音のパッセージは それぞれファゴット、
チェロとオクターブで重なっている場合が殆どです。
多分現在でもファゴットやチェロでさえこのパッセージをインテンポで弾くのは
相当難しいのではないでしょうか?
するとやはりベートーヴェンは楽器に関して無知?
いえいえ 作曲家の私の立場で言わせて頂ければ、それは間違っていますね。
無理を承知でベートーヴェンはあの様な楽譜を書いたのです。
それをこれから解説していきます。
待て 次回!!!!(予定は来年1月頃)
2011年10月22日
作曲家考 その2
さて「その2」です。「その1」はいかがでしたか?
こんな話が有る。リヒャルト・シュトラウスは彼の自作の「家庭交響曲」の
最初の部分のリハーサル中に木管楽器奏者からこんな事を言われたそうだ。
「マエストロ!このテンポだと32分音符を全て吹く事はできません。」
それに対しリヒャルト・シュトラウスはこう答えた。
「全ての32分音符を正確に吹く必要はありませんよ」と。
じゃあなんで、演奏が難しすぎるのが分かっていて、あんなパッセージを書いたのだ!
弾ける様に書きゃ良いじゃないか!やはり大作曲家は奇人変人がばかりなのか?
と言いたくなる諸氏も多いと思うが。私に言わせればそうではない。
その部分は一音一音がはっきり聞き取れなくてもいい曲想なのである。
例えば、ピアノやハープのグリッサンドを思い起こして頂きたい。これと同様ですよ。
バイオリン等でも半音階で下降するグリッサンド
(と言って良いのかどうか知りませんが)が有りますよね!
「アルプス交響曲」の「幻影」の箇所に出てきます。
この一音一音を聞きとろうとする人がいますか?居ませんよね!
第一聴き取れる訳が無い。
もし仮に確実に演奏できる様に、例えば代わりに16分音符で書いたとすると、
すべての音が明瞭に聞こえてしまって、それはかえって作曲者の意にそぐわない。
そこで最初と最後の音符だけ決めておいて間を単に速いパッセージで埋めたのです。
同様の事はガ―シュウィインの「パリのアメリカ人」のちょうど真ん中あたりにも
出てきます。この32分音符も速すぎて相当無茶です。
ガ―シュウィインは最初自分のオーケストレーションに自信が無くて
ラプソディ・イン・ブルーのオーケストレーションをグロフェが行った話は有名です。
だから自分で書いたこの「パリのアメリカ人」こそガ―シュウィインの
オーケストレーションには欠陥があると指摘するには格好の材料だと思いますので、
誰かがけなしてそうだけど、私は聞いた事ありませんね。何故でしょう?
作曲者が死んでからまだ100年も経っていないからまだ言えないのかな?
それともまさか誰も気がつかなかったの?
但し私は通常演奏されるワトソンの改訂版のフルスコアを見ながら
述べているので、ガーシュウィンジ自身の初稿は知りません。悪しからず!
さて演奏家方々の中にはこの様な私の意見に賛同して頂けない方も
いらっしゃるでしょうが、楽器の演奏に関して、すべての音を美しく均等に
演奏できる様に教育する事が日本では主流の様です。そして何故か
作品の解釈においてもこの考えを適用する事に終始していると見受けられます。
それが原因で作曲者の本意や音楽の本質を追究する方法が分かりにくくなっているの
だと私は思っています。
ところでリヒャルト・ワーグナーは果たして楽器の性能に
精通していたのでしょうか?
2011年12月29日
その3 最終回!
ベートーヴェンの第九に関する論文でリヒャルト・ワーグナーは
第2楽章スケルツォのフルートで高いB(変ロ)の音を避けている事を指摘し
(第61,65,276,280小節等)
確か「どうやらベートーヴェンはこの音が出なかったと思い込んでいた様だ」と
書いてあったと思う。確かに他の交響曲を調べてもこの高い音は避けている。
しかし、メンデルスゾーンも同様にA(イ)の音までにしているので、
(「イタリア」第4楽章 第61小節)
1830年頃まではこの音は当時の木管のフルートでは非常に出にくかったか、
少なくとも実用的な音では無かったと考えたいので、
ワーグナーの指摘は適切ではないと思える。
その直後楽器が改良されて、数十年後ワーグナーが活躍した時期にはより
高い音も出しやすくなっていたのでしょうか?
誰か楽器の歴史に詳しい人教えて下さい!
ではそのワーグナーはどうだったのか、
先に述べた「管弦楽法」のファゴットの所でタンホイザー序曲(ドレスデン版)
に出てくる高いE(ホ)の音は「不可能ではない」と述べられていますが、実際は
相当無茶で、レスピーギの「ローマの松」の最初の方
(リコルディ版練習番号1のすぐ後)に出てくる2度低いD(ニ)の音も同様に
明らかに高すぎると指摘されます。
やはりストラビンスキーの「春の祭典」の冒頭のソロのC(ハ)の音が
ギリギリセーフかな!この高さはプロならきっと吹いてくれるでしょう。
で、その「タンホイザー」にはパリ版が存在する事をご存じの方も多いと思う。
その「パリ版」でオペラ全体を演奏する時は、
序曲はドレスデン版で286小節まで演奏し、そこからパリ版バッカナールの
第27小節へ接続する様にワーグナー自身は指定している。
そこで楽譜をお持ちの方はご覧頂きたい。な なんと
序曲の287~288小節とパリ版バッカナールの27~28小節は全く同じではないか。
だったら「序曲の288小節からパリ版バッカナールの29小節へ接続する」
としても良いはずですし、こちらの方が若干分かりやすい気もします。
でもね、あれあれ、すぐ後の第290小節は例の高いE(ホ)の音が出てきますねー!
はは~ん 分かった!ドレスデン版で序曲を演奏した時、おそらくファゴット奏者から
苦情が出たのだな!想像しますに、多分
「マエストロ!こりゃ無茶だ。いくらなんでもこの音は高すぎですよ」と。
現在の楽器でも高すぎるので、恐らく当時はもっと出にくかったのでしょう。
この発言にはさすがのワーグナーも受け入れざるを得なかった。
楽器の性能の限度を明らかに超えてしまった事に気付いたので、
ファゴット奏者に対して、
「君が努力して吹けるようになりたまえ」とは言えなかったと推測する。
仮に「序曲の288小節からパリ版バッカナールの29小節へ接続する」と指定すると、
すぐ後が第290小節だから、「高いE(ホ)の音が出てこない様にした」
と簡単に気付かれてしまうかも知れない。
だから敢えて2小節前からにして場所をぼかしたのだ。
作曲家の心理から以上の様に考えられると私は言いたい。
クラシック音楽史上最も厚かましく、自分を英雄だと勘違いしていたワーグナーも、
(この人だけは本当に奇人変人かな、私は好きですが)
楽器の性能に無知であると自覚したら、反論できなかったのですよ。きっと。
しかし、もし本当にこんな事が有ったと仮定すると。
ここら辺の話は残っていない様ですね?どなたかご存じですか?やっぱり違うかな?
いやいやきっと有ったはずですよ。それでも残っていないとすると。
ルートビヒ二世に頼んで政治的に圧力をかけてもみ消したのかな?それとも金の力?
ひょっとすると それもこれも ワーグナーに対する「恋愛感情」のなせる技??
まあ今となっては真相は全く分かりません。現代の我々はあれこれ詮索して
結論を出さず、楽しむ事と致しましょう。
所で ワーグナーには短編小説「ベートーヴェン参り(あるいは詣で)」「パリ客死」
が有りますので。興味のある方は是非読んで頂きたい。
それから私個人としては漫画家の松本零士先生にワーグナーの伝記漫画を
描いて頂けないかと思います。作品タイトルはズバリ「Lから来たR」いかがですか?
おしまい。
余談ですが、ベートーヴェンは最晩年病床に伏していた頃、
腹水を取る手術を何度か受けたそうである。
しかしその甲斐もなく亡くなってしまった。
つまりベートーヴェンは20歳の頃故郷ボンを去ってウィーンで活躍したが、
その後結局終生ボンに帰る事は無かったのである。
これが ほんとの 「ふくすいぼんにかえらず!!!!」
え― お後がよろしい様で!チャカチャンリンチャンリン。
2013年06月07日 (後援:全ギャド連)
今後の予定
第2弾
ベートヴェンの速すぎるメトロノーム指示の謎を解明する。
第3弾
衝撃!巨匠 赤塚不二夫氏はラヴェルの「夜のガスパール」を知っていた!!!
レレレのおじさん(お出かけのおじさん)の本当のルーツを
第3曲「スカルボ」に発見!
第4弾
バルトークの管弦楽のための協奏曲第1楽章と
映画 「野生のエルザ」 のテーマとの関連性とは?
第5弾
ショ―ソンの交響曲変ロ長調の話
第3楽章の一部が團伊玖磨さんの「ぞうさん」と似ている事は知られています。
しかしそこだけでは無い!!!!
そこでもう一か所似ているところは?どこ?
そして誰の何の曲?
第6弾
「誰が、そしてなぜ熊本マリ様を芸能界にデビューさせたいの!?」
についての考察 (以上 掲載時期未定 気長に待ってね!)
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