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蛍光X線分光法

 ”河合潤「蛍光X線分析装置」共立出版”は非常によくまとまっており、少ないページで済むように配慮しながらも、私もこの点は苦労したなという大切で重要なことが書かれている。時間があれば手に入れて是非とも読んで欲しい。
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◆ 蛍光X線分析

・原子番号11(Na)以上、特別な場合は5(B)以上の元素の定性・定量分析が可能
・エネルギーは0.5 keV - 25 keV程度のX線を使う
・試料準備は簡単。そのまま測定してもよい。ただし試料調製が精度を決めるので、高精度が必要なときには面倒な手順が必要。
・定量濃度範囲は1ppm - 100重要%
・相対的な正確さは10%(真値から10%以内の分析値が得られる)、相対的な精度は1-5%。
・全元素分析に要する時間は5秒 - 3分。
・蛍光X線スペクトルに現れる連続X線はX線管の連続X線に比べて無視できるほど弱い。このように連続バックグラウンドがなくなることが蛍光X線分析の特徴であり、高い精度で分析できる理由である。電子ビームを用いてX線分析する方法にはEPMAがあるが、バックグラウンドが高いので精度も感度も蛍光X線には及ばない。EPMAが用いられる理由はμm領域の分析ができるからである。

河合潤「蛍光X線分析装置」共立出版
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◆ 分析法に関する情報

・マトリックス効果
 目的元素以外の周りの元素によって励起または吸収される効果。濃度とX線強度の関係が直線でなくなる。「マトリックス=母体」
・ファンダメンタル・パラメーター(FP)法
 基礎物理定数だけで定量分析する方法。分析の前に検量線を作成しておく必要はない。精度は検量線法に比べてやや悪いは、1回の測定で定量値が出るし、標準試料を準備する必要がないので、費用の点でも分析時間の点でも大幅に有利である。米国のシャーマンと白岩・藤野によって開発された。
・標準添加法
 分析元素と同じ元素の既知量を添加して、蛍光X線強度の増加量を測定することによって定量する方法。ほとんど使われない。
・内標準法
 分析試料に入っていない希少元素を少量添加して、その強度比から他元素の濃度を定量する方法。X線強度比をあらかじめ測定しておく必要がある。全反射蛍光X線分析でよく用いられる。

 定量分析法に関して、たとえばファンダメンタル・パラメータ法のコンピュータ・プログラムを自分で開発したいなどの目的で、さらに詳しい説明が必要な場合は、中井泉偏「蛍光X線分析の実際」朝倉書店を参照するとよい。

河合潤「蛍光X線分析装置」共立出版
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◆ 全反射蛍光X線

 全反射蛍光X線分析装置は、通常の蛍光X線分析装置とは違い、水溶液中の微量元素を分析する方法で、ICP-AES(誘導結合プラズマ発光分光)や原子吸光分光分析と使用方法がよく似ている。TXRFと呼ばれる。軽量のポータブル装置ほど感度がよく、シンクロトロン放射光を励起に使うよりも一般に高感度である。
 10μLの液量でその液に含まれる1pgの遷移金属(濃度で1ppb)まで分析できる。設置や測定が簡単、ICPで必要なアルゴンガスや原子吸光のアセチレンガスが不要、全元素同時分析ができるなど、ICP分析法に比較して長所が多い。軽元素(たとえばLi)を測定したいなどの特殊な用途以外は水中の微量重金属分析の主流は、将来TXRFになると思われる。

河合潤「蛍光X線分析装置」共立出版
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◆ 試料調製

 蛍光X線分析法の特徴は試料前処理が不要という点である。蛍光X線分析を使った分析を行ないながら、それでもあえて前処理を推奨する分析法が専門の論文誌などで報告されている場合には、本来は蛍光X線分析法よりも、より適した分析法があるはずなので、別の分析法について検討してみるべきである。
 前処理を行う目的は以下のように分類できる。
@試料が大きすぎて蛍光X線分析装置の試料室に入らない。ハンディータイプの装置ではこの問題は発生しない。
A試料が汚く、そのまま分析装置へ入れると装置が汚染される。ハンディータイプを用いるなら、試料とハンディー装置の間にプラスチック・シートなどの使い捨ての薄膜を入れて測定すれば、シートを介して装置を試料に密着できるので問題ない。装置がぬれたり、試料に汚染されたりする心配もなくなる。据置型装置では、試料ホルダーに入れる必要があるため、前処理が必要となる。
B試料が粉体の場合、真空装置に入れると飛散するので固化する必要がある場合。ハンディー装置ならAと同じように問題ない。
C水溶液の場合。使い捨て液体セルに入れるのが良い。
D高い分析精度を要求する場合。工業製品の規格の検定など。波長分散型蛍光X線装置を用いた高精度分析が必要で、粉体の場合には粒度のコントロール、金属の場合には研磨による平面の平滑化などの処理が必要である。管理された決まった手順の試料調製が必要。蛍光X線分析装置も、試料前処理から期待される分析精度に合致した高精度の分析装置(波長分散型)を使わなければ、試料前処理の効果は生かされない。
Eマトリックス効果の低減。ガラスビードなどによる希釈と試料の均一化が有効である。Dと同様に、高い精度を要求する場合にのみ行う。
F試料の予備濃縮によって定量下限以下の濃度の元素を分析する。原子吸光やICP-AES(原子発光)など他の方法を使ったほうがよい場合が多い。XRFかICPのどちらが適するか充分に検討する必要がある。予備濃縮・試料調製・前処理法は全反射蛍光X線分析、原子吸光、ICPに共通する場合が多い。

◇ 定性分析
 据置型・卓上型装置の場合、試料をX線分析装置専用の試料容器に入れられればよい。アルミ円板、銅円板等に真空用シリコーングリースや両面粘着テープで接着する。
 アルミや銅などの材質は、分析元素以外の元素でできた素材を選ぶ。蛍光X線分析装置の測定室はロータリーポンプで真空を保っている。揮発しやすい試料は液体セルに入れる。揮発成分をもつ試料を液体セルに入れるのは、同時に数十個入れた試料が試料室内でクロスコンタミネーションを起こすのを防ぐためである。装置内で気化した成分が他の試料に吸着することによってクロスコンタミネーションが生ずる。特に、塩素、硫黄、水銀を含む試料を測定する場合、気化・昇華に注意する。また、高出力X線管(kW級)を用いる場合には、X線管の熱により試料温度が50℃以上いなるので注意する。液体は、マイラー膜窓の使い捨て専用試料容器があるので気泡が入らないように液体を注ぐ。
 液体を測定する場合は、試料の測定面が下面となっている構造の装置が適する。
 試料上面が測定面となる構造の装置では、液漏れや泡の混入による強度の低下に注意する。
 測定室を真空にするタイプより、試料室は大気圧で、光路のみをヘリウムガス置換する装置がよ。
 マイラー膜試料セルを真空に入れると、窓が試料容器の外側に凸型に膨らみ、X線管に接触する可能性があるので注意する。大気圧に戻すと、逆にマイラー膜は試料容器側に凹む。
 大気圧下で測定する場合、空気中に微量に含まれるArのピークが妨害するので注意する。

◇ 粉末試料の測定例
・例1;試料ホルダーに適した直径(たとえば直径30mm)のアルミ円板上に薄く真空用シリコーングリースを指で塗り、その上に粉末試料をふりかけ、上から薬包紙を介して指で押さえつけ、最後に金属板を裏側から指ではじいて付着の充分でない粉を振り落とす。
・例2;粉末試料を赤外分光用錠剤成形器で油圧プレスし測定する。
・例3;アルミリングや塩ビのリングを薬包紙の上に置き、粉末を入れ、その上から薬包紙を載せ、油圧プレスする。加圧成形で固まらないものは数%の固形パラフィンをナイフで削って乳鉢にいれ、よく擦って混合し、上と同じようにプレスする。乳鉢にアセトンを数滴たらすと、均一に混合する。

◇ 液体試料
・例1;ろ紙に10-100μLをマイクロピペットで滴下し、自然乾燥もしくは通風乾燥させる。ろ紙に液滴を滴下すると液体が広がるので、細かいスリットを空けたり、パラフィンが浸み込ませてある蛍光X線分析専用ろ紙が市販されている。赤外線で乾燥させるときには分析試料面の凸凹が大きくなる。点滴量を多くすると定量誤差が大きくなる。
・例2;液体用試料容器に入れて測定する。

◇ 定量分析
 定量分析を行う場合の試料調製は定性分析よりも注意を要する。多数試料を定量分析する場合と、1試料だけ分析する場合とでは、均一性や再現性などの点や、要求される精度が異なる。

◇ 金属試料
 鉄鋼標準試料を研磨して検量線を作成する場合、大きなメッシュから細かいメッシュまで3-4段階でサンドペーパーを順次変更して、各濃度の試料を同じ条件になるように表面を研磨する。
 最終的な平滑度は、X線吸収長程度になるように決める。X線吸収長はX線吸収係数から計算する。途中のサンドペーパーを省略すると、その試料だけが検量線から大幅に外れるので、研磨の効果を知ることができる。

河合潤「蛍光X線分析装置」共立出版
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◆ 吸収から蛍光までのプロセス
基底状態

+← 光子が入射

高次の励起状態
(光子が入射して基底状態から高次の励起状態になるまで;吸収 〜10^-15 s)

+→ 一部が分子内緩和で熱エネルギーへ

最低次の励起状態
(高次の励起状態から最低次の励起状態になるまで;分子内緩和 〜10^-11 s)

+→ 蛍光
+→ または無輻射遷移・分子内緩和で熱エネルギーへ
+→ または項間交差で三重状態へ

基底状態
(最低次の励起状態から基底状態になるまで;発光 〜10^-9 s、または無輻射遷移など)

御橋廣眞「蛍光分光とイメージングの手法」学会出版センター
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◆ 蛍光X線の強度比
◇K系列X線強度比
Kα1,2 Kα1 Kα2 Kβ1,3 Kβ1 Kβ3
150 100 50 15 10 5

◇L系列X線強度比
Lα1,2 Lα1 Lα2 Lβ1 Lβ2
100 90 10 50 20

◇M系列X線強度比
Mα1 Mα2
100 100 60 5

河合潤「蛍光X線分析装置」共立出版
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◆ 略語の読み方

 SEMをセムというように1つの単語のように読むことをacronym(アクロニム)といい、EPMAをイーピーエムエーというように呼ぶことをabbreviation(アブリビエーション)といって区別する。
 SEMは日本ではセムと読むが、欧米ではエスイーエムと読む人のほうが多数派である。
 EDXとEDS, WDXとWDSは区別せず用いる。

河合潤「蛍光X線分析装置」共立出版
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