僕の御主人さま
「僕…ご主人様、大好きです」
「なっ//////」
「ご主人様?」
ご主人様が頭に手を置いたまま硬直するので、僕は不思議でご主人様を見上げた。
そうしたら、ご主人様はどうしてか顔を真っ赤にさせていたんだ。
「風邪…ですか?」
「ぁ、いや………俺、ノンケのはずなんだけどな…」
「??」
「なぁユキ」
「はい」
「お、お前……お、俺を幸せにしてくれる…ん、だよな…?」
「はい!」
きっと、そのために人間になったんだと思う。
猫の姿じゃできないことたくさんあるもんね。
だから…なんでもできるように、きっと神様は僕にチャンスをくれたんだ。
「じゃあ………っ、や、やっぱダメだ!」
「え??」
「悪い!俺…その、ちょ、ちょっと頭冷やしてくるから!」
「ご主人様!?」
びっくりした。
ご主人様は、上着を手にすると何も持たずに部屋を飛び出していった。
鍵も、財布も持たずに出て行ったから…すぐに戻っては来ると思うんだけれど。
一人にされると…やっぱりまだ、不安だよ…
寂しくなって、ご主人様のにおいののこるベッドによじ登ってみた。
ぎゅ、と枕を抱きしめていると、ふと、窓をたたくような音がする。
視線をそちらにやると、一人の男の人が窓をたたいていた。
「…だあれ?」
僕は、窓を開けないままにその人に話しかけてみた。
なんだか、変な感じがする。
どこか…同じ、においがした。
「お前…猫か?」
「え??」
どうして、わかったんだろう。
僕は驚いて目を丸くした。
「俺は犬だ」
「え、ええ!?」
全然わかんなかった。
というか、冗談にしか聞こえない。
目の前の男の人は、本当に人間にしか見えなくて、服装だってきちんとしてる。
「このアパートの向かい側の家の飼い犬だ」
「うそ…」
そういえば、犬の鳴き声を聞いたことがあったかもしれない。
けど、簡単には信じられなかった。
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