※
青い閃光の素顔
テリーが仲間になった日の夜。
イザは野営の番をしていた・・・。
イザは仲間の寝顔を覗くのが好きだ。
今日仲間になったあのテリーはどんな顔して寝ているのだろうか。
イザはそっと目的の人に近付いて行った。
しゃがみこみ、顔を覗く…。
しかし、目が閉ざされていなかった。
左肘をつき、どこか…どこかを見つめているようだった。
ふと無言で見上げられる。
『なんだ…?』
いかにも不機嫌そうに言った。
イザは腰を下ろして答えた。
『みんなぐっすり眠ってるかなって思ってさ』
そして、作り笑いを浮かべた。
『眠れないのか?
ま、今日仲間になったとこだしさ、慣れないのはわかるけど、
ゆっくり寝なよ。
疲れてるだろ?』
これは本心だった。
『…騒音が煩い』
テリーはぼそりと言った。
イザはぶっ、と噴き出しそうになったが堪えた。
“騒音”とはハッサンの鼾のことだろう。
言われなくてもわかる。本当に煩いのだから。
『それだけ疲れてるってことだよ。だから、誰も文句は言わないさ。』
『…こんな人数で行動して疲れないか?』
『全然。逆に楽しいよ。みんな個性豊かだしさ』
『ふーん。俺にはわからないな』
暗いので表情はよくわからなかったが
おそらく寂しそうな顔をしていたのだろう。
見たかったな、などとイザは思ってしまった。
『人間を信じられない…』
そう言ってテリーは上体を起こした。
『俺らのことも…?』
『いや、姉さ…姉貴が一緒にいるってことは、
多分あんたたちは悪い奴ではないだろ、と思うが。違うか…?』
『そうか、よかった。
君の言う通りミレーユはいつも正しい判断をするよ』
テリーに見えたかはわからないけど、イザは満面の笑みを浮かべた。
これは作り笑いなんかではなく、心からの笑顔だった。
『…そんな顔して“姉さん”なんだな。』
『姉貴と言っただろ』
『俺は君が言いかけたのを聞き逃さなかったよ』
『…勝手にしろ』
『姉さぁんっ』
イザは甘い声で言った。
『……。』
テリーみたいなクールな人の弱点(かわいい一面)を知れて嬉しかった、
なんて本人に言ったら、さすがにまずいかなと思い堪えた。
『…俺もさ、妹がいたんだ。
でもさぁ小さい時に死んじゃって……。
で、ターニアっていうかわいい妹ができたかと思ったら、
夢だったんだ』
テリーは空を見上げていた。
でも、イザの話はしっかり聞いてくれているようだった。
『だから、君が羨ましいなぁ、なんてな』
しばらく間が空いて、今度はテリーが口を開いた。
『…姉さんはこんな弟は欲しくなかっただろ。
世話かけてばっかの奴なんか』
投げやりに言う。
『そんなこと、ミレーユが思うわけないだろ!
こうやって旅してるときだって、
君のことを気にする素振りを見たし…。
それにさ、さっきの再会、あれ、本気で喜んでたじゃないか』
イザは思わず一気に思っていたことを口にした。
後悔はしていなかったが。
テリーはまたイザのほうへ目線を移した。
何を考えてるのかわからなかったが、じっと見つめられた。
というか睨まれているのかもしれない。
『…あんたは、姉さんの内面もよく見てくれてたんだな。』
『へっ?』
思いがけない言葉にイザは間抜けな声を出してしまった。
『だいたいの奴は外ばかりを気にする。
姉さんは綺麗だから、変な視線を送る奴もいるだろ?』
自分の姉を綺麗だとさらりと言った…!
これも意外過ぎて、イザは驚かずにはいられなかった。
というか…やっぱり“姉さん”じゃないか…。
『俺もそれで苦労したんだ』
『は?えぇ…っ!?』
苦労…?
変な視線…?
『なんだよ?俺、変なこと言ったか?』
テリーは過剰な反応をするイザが何を思っているのかわからなかった。
『ただ、見た目で判断されちゃ困るってことなんだが。
あ…あんたには言える台詞じゃなかったか』
テリーは苦笑した。
『あ、え…っ?』
『大抵の奴は外見だけで人を判断するって言っただろ?』
『?』
『何間抜けな顔してるんだよ』
テリーはその年相応の少年らしい笑顔を見せた。
雲に隠れていた満月が顔を出し、
その光でお互いに顔を見ることのできる明るさになったのだ。
『俺さ、見た目こんなんだろ?』
えっ!?テリーって自分の顔を自負してたのか…!?
『…さっきからなんだよ?ぼけっとしたかと思うと思い詰めた顔するし』
『あ、いや、俺も君のことすごいかっこいいと思うよ』
『は…?』
『だからさ、君はかっこいいよ。っていうか…綺麗だよ』
だんだん声が小さくなりながらイザは言った。
するとテリーはイザを睨んできた。
『…なんでそういう話になるんだ』
『思うことを言っただけなんだけど…』
せっかく褒めてやったのに、とイザは心の中で思い、膨れっ面をした。
『…じゃあ、どういう話だったんだよ……』
『俺ってこんな体格だろ』
確かにバトマスにしては細いし、背も低い。
イザと顔ひとつ分とまではいかないけれど、女のミレーユより低い。
本人もこのことを気にしているらしい。
『何もわからない奴には俺はただの気取ったガキに見えるらしい。
そういう奴らの相手をするのは面倒なんだ。
奴らは口ばかりだから、本気を出さなくても余裕だけど、
人間を殺すのは気が引けるしさ…周りの反応もめんどくさい。
殺らなくても観衆っていうのは煩いもんなんだけどな……。
あんたは正義のためにしか戦ったことがないから、
いい反応を受けてたんだろうけど』
テリーってこんなに喋るんだ…!とイザはまた感動した。
『いつもそんなふうだった らいいのに』
イザはポツリと呟いた。
『は…?』
テリーは怪訝そうな顔をした。
『…君っていいヤツなんだよな』
『は…?』
テリーは同じ反応を2回した。
『今日からは…』
イザは至高の笑顔を浮かべながら、テリーの手を無理矢理取って言う。
『“仲間”がいるんだからひとりで抱え込まずに、
何でも話してくれよ、テリー!』
テリーは恥ずかしがってか本当に嫌なのか、ばっと手を引いた。
おそらく前者だろう。
『触んなよ…!』
そう言った彼の顔は赤く染まっていたから。
まるで好きな男に触れられた女のように…。
『そうか…今までひとりだったから、
人と触れることなんてなかったんだよな』
イザはテリーの後ろにまわり、そのまま首に抱きついた。
もちろん、優しく…。
『は、離れろっ!』
『これからは、触れられることに慣れないとな』
イザは顎をテリーの肩に乗せた。
『…こんなことしなくても生きていけるだろ。早く離れろっ』
『イヤだ』
テリーはイザの反応に顔をしかめた。
『俺の仲間になったからにはこれくらい慣れないと』
『って、姉さんにもこんなことしてたのか…?』
ふと気付き、イザを睨みながら低い声で言う。
やっぱシスコンじゃないか、
“姉さん”って言ってるし…
イザはテリーをからかいたくなったけどやめておいた。
それよりも問われていることに答えなければ、疑われるかもしれない。
『いや、テリーだけだ』
耳元で囁くとテリーの肩が一瞬震え、こちらを睨もうとする。
…が、あまりに顔が近くにあったため触れ合いそうになった。
『な、な、な、なにすんだよ…っ!?』
イザは慌てて退いた。
変な勘違いをされてしまったようだ…テリーは溜め息をついた。
『はぁ…それはこっちの台詞だ。早く離れろ』
『キスしようとしてきたくせにっ!』
…今日剣を交えた相手にこんなこと言われるとは……。
テリーはフッと笑った。
『俺は振り向いただけだ。あんたが近すぎる場所にいるから』
『俺はキスしたくて近づいたんじゃない!』
『俺だってそんなつもりで振り向いたわけじゃない!』
2人はじっと睨み合っていたが、ふとした瞬間
『ふっ…ははは…っ』
『あはははっ』
ほぼ同時に吹き出した。
ひとしきり笑ったあと…
『…く、くそ…あんたといると調子が狂うな…』
『じゃあ、ずっと狂わしてやるよ』
『遠慮する』
『っていうか“あんた”って言うのやめてくれないか?』
『名前、なんだったっけ?』
『イザ』
『イザか』
『そう、イザ』
『イザ…よろしくな!』
『よろしく、テリー』
―寝顔よりももっといいものを見ることができた夜だった。
『あっ、そういえばさ、さっきどこ見てボーっとしてたんだ?』
『…ね……いや、なんでもない。ただボーっとしてただけだ』
――姉さんを見ていたのか、このシスコンめっ!
という自分もかなりシスコンなのだった。
今日仲間になったあのテリーはどんな顔して寝ているのだろうか。
イザはそっと目的の人に近付いて行った。
しゃがみこみ、顔を覗く…。
しかし、目が閉ざされていなかった。
左肘をつき、どこか…どこかを見つめているようだった。
ふと無言で見上げられる。
『なんだ…?』
いかにも不機嫌そうに言った。
イザは腰を下ろして答えた。
『みんなぐっすり眠ってるかなって思ってさ』
そして、作り笑いを浮かべた。
『眠れないのか?
ま、今日仲間になったとこだしさ、慣れないのはわかるけど、
ゆっくり寝なよ。
疲れてるだろ?』
これは本心だった。
『…騒音が煩い』
テリーはぼそりと言った。
イザはぶっ、と噴き出しそうになったが堪えた。
“騒音”とはハッサンの鼾のことだろう。
言われなくてもわかる。本当に煩いのだから。
『それだけ疲れてるってことだよ。だから、誰も文句は言わないさ。』
『…こんな人数で行動して疲れないか?』
『全然。逆に楽しいよ。みんな個性豊かだしさ』
『ふーん。俺にはわからないな』
暗いので表情はよくわからなかったが
おそらく寂しそうな顔をしていたのだろう。
見たかったな、などとイザは思ってしまった。
『人間を信じられない…』
そう言ってテリーは上体を起こした。
『俺らのことも…?』
『いや、姉さ…姉貴が一緒にいるってことは、
多分あんたたちは悪い奴ではないだろ、と思うが。違うか…?』
『そうか、よかった。
君の言う通りミレーユはいつも正しい判断をするよ』
テリーに見えたかはわからないけど、イザは満面の笑みを浮かべた。
これは作り笑いなんかではなく、心からの笑顔だった。
『…そんな顔して“姉さん”なんだな。』
『姉貴と言っただろ』
『俺は君が言いかけたのを聞き逃さなかったよ』
『…勝手にしろ』
『姉さぁんっ』
イザは甘い声で言った。
『……。』
テリーみたいなクールな人の弱点(かわいい一面)を知れて嬉しかった、
なんて本人に言ったら、さすがにまずいかなと思い堪えた。
『…俺もさ、妹がいたんだ。
でもさぁ小さい時に死んじゃって……。
で、ターニアっていうかわいい妹ができたかと思ったら、
夢だったんだ』
テリーは空を見上げていた。
でも、イザの話はしっかり聞いてくれているようだった。
『だから、君が羨ましいなぁ、なんてな』
しばらく間が空いて、今度はテリーが口を開いた。
『…姉さんはこんな弟は欲しくなかっただろ。
世話かけてばっかの奴なんか』
投げやりに言う。
『そんなこと、ミレーユが思うわけないだろ!
こうやって旅してるときだって、
君のことを気にする素振りを見たし…。
それにさ、さっきの再会、あれ、本気で喜んでたじゃないか』
イザは思わず一気に思っていたことを口にした。
後悔はしていなかったが。
テリーはまたイザのほうへ目線を移した。
何を考えてるのかわからなかったが、じっと見つめられた。
というか睨まれているのかもしれない。
『…あんたは、姉さんの内面もよく見てくれてたんだな。』
『へっ?』
思いがけない言葉にイザは間抜けな声を出してしまった。
『だいたいの奴は外ばかりを気にする。
姉さんは綺麗だから、変な視線を送る奴もいるだろ?』
自分の姉を綺麗だとさらりと言った…!
これも意外過ぎて、イザは驚かずにはいられなかった。
というか…やっぱり“姉さん”じゃないか…。
『俺もそれで苦労したんだ』
『は?えぇ…っ!?』
苦労…?
変な視線…?
『なんだよ?俺、変なこと言ったか?』
テリーは過剰な反応をするイザが何を思っているのかわからなかった。
『ただ、見た目で判断されちゃ困るってことなんだが。
あ…あんたには言える台詞じゃなかったか』
テリーは苦笑した。
『あ、え…っ?』
『大抵の奴は外見だけで人を判断するって言っただろ?』
『?』
『何間抜けな顔してるんだよ』
テリーはその年相応の少年らしい笑顔を見せた。
雲に隠れていた満月が顔を出し、
その光でお互いに顔を見ることのできる明るさになったのだ。
『俺さ、見た目こんなんだろ?』
えっ!?テリーって自分の顔を自負してたのか…!?
『…さっきからなんだよ?ぼけっとしたかと思うと思い詰めた顔するし』
『あ、いや、俺も君のことすごいかっこいいと思うよ』
『は…?』
『だからさ、君はかっこいいよ。っていうか…綺麗だよ』
だんだん声が小さくなりながらイザは言った。
するとテリーはイザを睨んできた。
『…なんでそういう話になるんだ』
『思うことを言っただけなんだけど…』
せっかく褒めてやったのに、とイザは心の中で思い、膨れっ面をした。
『…じゃあ、どういう話だったんだよ……』
『俺ってこんな体格だろ』
確かにバトマスにしては細いし、背も低い。
イザと顔ひとつ分とまではいかないけれど、女のミレーユより低い。
本人もこのことを気にしているらしい。
『何もわからない奴には俺はただの気取ったガキに見えるらしい。
そういう奴らの相手をするのは面倒なんだ。
奴らは口ばかりだから、本気を出さなくても余裕だけど、
人間を殺すのは気が引けるしさ…周りの反応もめんどくさい。
殺らなくても観衆っていうのは煩いもんなんだけどな……。
あんたは正義のためにしか戦ったことがないから、
いい反応を受けてたんだろうけど』
テリーってこんなに喋るんだ…!とイザはまた感動した。
『いつもそんなふうだった らいいのに』
イザはポツリと呟いた。
『は…?』
テリーは怪訝そうな顔をした。
『…君っていいヤツなんだよな』
『は…?』
テリーは同じ反応を2回した。
『今日からは…』
イザは至高の笑顔を浮かべながら、テリーの手を無理矢理取って言う。
『“仲間”がいるんだからひとりで抱え込まずに、
何でも話してくれよ、テリー!』
テリーは恥ずかしがってか本当に嫌なのか、ばっと手を引いた。
おそらく前者だろう。
『触んなよ…!』
そう言った彼の顔は赤く染まっていたから。
まるで好きな男に触れられた女のように…。
『そうか…今までひとりだったから、
人と触れることなんてなかったんだよな』
イザはテリーの後ろにまわり、そのまま首に抱きついた。
もちろん、優しく…。
『は、離れろっ!』
『これからは、触れられることに慣れないとな』
イザは顎をテリーの肩に乗せた。
『…こんなことしなくても生きていけるだろ。早く離れろっ』
『イヤだ』
テリーはイザの反応に顔をしかめた。
『俺の仲間になったからにはこれくらい慣れないと』
『って、姉さんにもこんなことしてたのか…?』
ふと気付き、イザを睨みながら低い声で言う。
やっぱシスコンじゃないか、
“姉さん”って言ってるし…
イザはテリーをからかいたくなったけどやめておいた。
それよりも問われていることに答えなければ、疑われるかもしれない。
『いや、テリーだけだ』
耳元で囁くとテリーの肩が一瞬震え、こちらを睨もうとする。
…が、あまりに顔が近くにあったため触れ合いそうになった。
『な、な、な、なにすんだよ…っ!?』
イザは慌てて退いた。
変な勘違いをされてしまったようだ…テリーは溜め息をついた。
『はぁ…それはこっちの台詞だ。早く離れろ』
『キスしようとしてきたくせにっ!』
…今日剣を交えた相手にこんなこと言われるとは……。
テリーはフッと笑った。
『俺は振り向いただけだ。あんたが近すぎる場所にいるから』
『俺はキスしたくて近づいたんじゃない!』
『俺だってそんなつもりで振り向いたわけじゃない!』
2人はじっと睨み合っていたが、ふとした瞬間
『ふっ…ははは…っ』
『あはははっ』
ほぼ同時に吹き出した。
ひとしきり笑ったあと…
『…く、くそ…あんたといると調子が狂うな…』
『じゃあ、ずっと狂わしてやるよ』
『遠慮する』
『っていうか“あんた”って言うのやめてくれないか?』
『名前、なんだったっけ?』
『イザ』
『イザか』
『そう、イザ』
『イザ…よろしくな!』
『よろしく、テリー』
―寝顔よりももっといいものを見ることができた夜だった。
『あっ、そういえばさ、さっきどこ見てボーっとしてたんだ?』
『…ね……いや、なんでもない。ただボーっとしてただけだ』
――姉さんを見ていたのか、このシスコンめっ!
という自分もかなりシスコンなのだった。
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プロフィール

- ニックネーム
- 紗羅
- 性別
- オンナ♀
- 生年月日
- 1995年1月19日
- 職業
- 高校生☆
- 自己紹介
- とにかくDQ大好きww
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