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ラークの話 第3章

2010年8月17日 10時43分55秒 (Tue)

ラークの話 第3章

 深夜、オレは一人机に向かって書類をにらみつけていた。
 王都からの次の指示が届いていた。
 内容はこの砦の近くの町に潜伏している、と思われる敵部隊の情報収集だ。

 つまりは潜入捜査って事なんだけど……。

 単独行動も当たり前のこの任務は危険度も高い。
 ………誰を、選ぶべきか。

 慎重で、行動力があり、敵に不振がられない。
 この、特に最後の条件を満たすのはまず女子供だろう。
 ただ、いざという時に自衛する力がないのもまた女子供だ。

 そう考えたとき、今の部隊員で適材なのはアイツなんだけど……。
 だけど…。

 オレはまた深いため息を吐いて、後ろを振り返る。
 椅子の背もたれに寄りかかってオレのベッドを我が物顔で占領して眠っているヤツの寝顔を見つめる。

「オレが上手く立ち回れば、なんとかなるかな」
 チェスのコマを動かすように仲間を動かすことなんてオレには出来ないから。
「オレのこういうとこ、リーダーとしては失格なのかもな」
 
 苦笑いをして椅子から立ち上がる。

 ベッドで熟睡してる横顔に手を触れそっと髪を撫で下ろす。
「まだガキだよな。
 まだまだガキだよ、ガキのままだ、おまえは…」
 だからまだ、オレが守るんだ。


 翌日。

「この後直ぐ偵察に行く、場所はここから一番近い街でナイリディシティ。
 どうもキナ臭い。オレの勘だが敵兵が潜伏しているんじゃないかと思う。
 それで、誰か一人オレと同行してほしい。
 戦力的にはオレ一人で十分なんだけど、二手に分かれる必要性が出たときに困るからさ」
 朝食の席でオレは全員に向かってそういった。

 この第3地大陸の完全開放の日は近い。
 が、この期に及んで尚敵勢力は撤退しようとしない。それどころか新たな動きさえ示し始めている。
 これからの事を考えてもこの大陸の開放は1日でも早く済ませたい、しかし行動を急いで敵に付け入られては元も子もない。
 オレ達に間違いは許されない。

「情報収集は慎重に行かないと。
 敵兵の流した噂に惑わされ作中に嵌る事はあってはならないから」
「確かに、参謀としてその意見には賛成だな、それで誰を連れて行くんだい?」
 食事の手を止め真剣な眼差しでゼレセスはオレに問いかけた。
「いや、それはまだ決めてないんだ」

「そうか、それじゃぁ俺の意見を聞いてくれないか?」
「あぁ、かまわない」

「まず戦力として今大きいのは言うまでもなくリーダーだ、次に接近戦で行くならラーク、中距離戦で行くならリフリディアだ。
 街に行くにあたって、まずリーダーがこの砦から出るわけだ。
 次に、ナイリディシティがキナ臭いってのは俺にも心当たりがある。
 それで、この砦から戦力を削ぐのはどうかと思う、いつ奇襲があるかわからないから用心するに越した事はない。
 以上の事から同行者には俺かティアが適当だと思う、で、情報収集は俺の得意とするところだが、戦力としてはティアのほうが上だ。だから今回の同行者はティアが適任だよ」

 ふむ、ゼレセスの口調が普段とは違い真剣そのものであることが伺える。
 こういう時のゼレセスの判断は適切だ。

「わかった、ティア頼めるか?」
「えぇ」
 ここまで話が済むと、ゼレセスはいつもの府抜けた顔に戻る。
「オーケー、おーけぇ。話も済んだことだし楽しい食事を続けようか」
 そう言ってにこやかに微笑むと、ゼレセスは再び食事の手を動かした。

「ねぇ、ゼレセスくん。
 どうしてさっきティアを選んだの?
 私は潜入ならティアよりラーくんの方が適任だと思ったんだけど。
 身体の能力とか、外見とか」
 食事を再開したゼレセスにリディは小声でそう問いかけた。
「って、普通はそう思うんだけどね。
 リーダーもきっとそう考えたんじゃないのかな?」
「じゃぁ…」
 ゼレセスは苦笑いを浮かべてリディに向き直る。
「それでもリーダーは”誰か”一緒に来てほしいって、あえてラークを外したんじゃないかな?
 だから俺はティアを押してみたんだけど」

 ゼレセスの説明に半分納得のリディ。
 そんなリディにゼレセスは顔を緩め、
「リーダーは心配性なのか過保護すぎるんだよ。
 ラークに対してはさ」
「………そう、だよね。
 あ~あ、私だって後3,4年もしたらロウちゃんの隣に立ったって見劣りしなくなるのになぁ」
 スプーンでスープをクルクル混ぜながらちょっぴり拗ねるリディだった。
 


 あの後、食事を済ませたオレとティアはナイリディシティに来ていた。
 街、とはいっても長引く戦争の影響と大きな街が近くにないせいかこの街には活気がなかった。
 在るのは戦争と街を徘徊する敵兵への恐怖と不安。
 すれ違う人々、目に生気のある者は少ない。
 オレ達は人気の多い道を歩き、道行く人の噂話なんかに聞き耳を立てながら酒場へと足を運んだ。
 情報収集はやっぱりここだよな。
 多くの人が訪れる酒場には多くの情報が溢れている。
 扉をくぐると直ぐにアルコールの匂いが鼻をつく。

 ここで気をつけることは多い、まず第一にティアだ。
 女には危険の多いところだからオレがしっかりと気を配らなければいけない。
 第二に性質の悪い酔っ払いに絡まれないようにする事。
 第三に重要な情報を持っている奴とそうでない奴を見極める事。

「いらっしゃい、ここは未成年は入れないよ」
 店の主人の牽制に気圧される事無く、オレは安っぽい笑みを作る。
「未成年ははいれなくてもオレは入れるんだよ、マスター、オレはちょっと情報を探していてね。
 それが分かれば直ぐに出て行くけど、教えてくれるかい?」
 と、オレはワザと店内にいる全員に聞こえる大声でそういった。
「この街のどこかで腕利きの兵士を捜しているって言うじゃないか。一つオレも顔を出してみたくてね」
 オレの言葉に酒場内がざわめきだす。
「そんなに兵力を集めてどうしようってのかは知らないが、オレも一兵士として興味があってね」
「兄ちゃん、物騒な話を持ち出すのんじゃねぇぜ?」
 カウンターに座る中年の男が突然声を発した。
「そんなに興味があるならこのオレについてきな」
 そういって立ち上がりオレ達のほうを向いた男の顔は悪人そのものだった。
「やだね、だってあんたの顔は悪人の顔だぜ?」
 と、オレが茶化してやると、男は顔を真っ赤にしてオレを睨みつけてくる。
 うーむ、ここで騒ぎを起こしても何の特にもならないんだよなぁ。
「やめないかザム!」
 怒鳴り声を上げたのは店のマスターだった。
「酔って暴れるなら出てってくれ、兄さんあんたもだ」
 怒るマスターに睨まれるオレ。
 憤怒していた中年オヤジも周りの冷ややかな視線を浴びて大人しく椅子に戻った。
「………ロウって、情報収集下手なのね…」
 隣にいたティアがぼそりとそう言った。
 う、痛いところを。

 仕方なく酒場を出たオレ達は暫く街をぶらぶらしていた。
「さて、どうしようか?」
「さて、どうしましょうか?」
 当てもなくブラブラ歩き続けるオレの問いに問いで返すティア。

 つけられていた。

 酒場を出て直ぐから今に至るまでずっと。
 ティアも気づいている。
 さてさて、オレ達をつけているやつの意図はどんなものかな?
 危害を加えるつもりでオレ達が人気のない道に行くまでまっているとか?
 それとも。
オレ達に何か用事かな?
 大通りからはずれ裏道に足を運ぶ、この方がどちらにとっても都合がいいだろう。
 道を曲がりくねり、裏道、どころか町外れの森の方にいく。
Phonics de Minitsuku Eigo ここは少し開けている、その上郊外だから人もいない、万が一の戦闘にも障害がない絶好の場所だろう。
 オレ達の後をつけてきていた気配が動きを見せる。
 さぁ、襲ってくるのか?

「オレは敵じゃない、剣は向けないでくれよ?」
 その声と共に両手を挙げて草陰から現れたのは、どこにでもいそうなひょろっちぃ青年だった。
「気配丸出しでつけてくるような素人に向ける剣なんかあるかよ、で?用件は何だ」
 青年はどこぞの下っ端よろしく“へっへっへ”なんて定番な作り笑顔を浮かべていた。
「酒場で聞いたぜ?
 あんた仕事を探してるんだろ?だったら俺についてきなよ。
 腕利きの傭兵を探してる知り合いがいる、どうだい?会ってみるかい」

 男の言葉にオレとティアは顔を見合わせた。

 示し合わせたかのようなお約束どおりのパターン。
 するとこの後は、この男の後をノコノコついて行った先に親分風の男がいて、してオレ達を歓迎してくれた。
 と、思ったらオレ達の正体が何故かバレていてそのまま捕まっちゃう。
 みたいな事になるんだろうか?

 ま、いくらなんでもそこまでお約束な事にはならないか。はは。

 なんて思ってノコノコついていったら、お約束どおり捕まっちゃいいました(汗)。

「いやいやいや、まさかそんな……なぁ?」
 ぶち込まれた牢屋の中でティアに同意を求めてみる。
「なぁ、じゃ無いでしょ~、もう」
 オレとティアは両足と手を後ろ手に縄で縛り上げられていた。
「それにしても一般市民が住んでいる住宅街の普通の家の地下にまさか牢屋があるとはな」
「木を隠すなら森の中、人を隠すなら…」
「人の中、ね。
 確かにその通りだな」
 普通の夫婦の住む普通の家。
 その実、反乱兵のアジト。
 夫婦は偽者で、本当の姿は兵士。
「できすぎだろ~」
 オレは頭を掻き毟りーーーそうになったけど、縄で縛られていたんだった。

「それで、これからどうするの?
 まったくの無計画じゃないわよね??」
 ティアがオレの顔をじっと見つめる。
 その眼に答えるようにオレはニッと笑って見せる。

「あたりまえだろ。
 まずは、こんなちゃちな縛り方の縄を解いて」
 いいながら、サラっと縄抜け。
 ティアの縄も解いてやる。
「ありがとう」
 ティアが縛られていた腕を擦る仕草がやたらと女の子っぽいなぁ。
 なんて思ったり。

「なぁ、ティア」
 オレは自由になった両手でティアの髪にそっと触れる。
「え?えっ?!
 なに??どうしたの、ロウ」
 反射的に少し後ずさるティア。
「そんな、いくらなんでもこんな時に…でも、こんな時だから…なの?」
 よく分からないことをブツブツ呟いている。
「しっ。
 静かにして、奴らに気づかれる」
 オレはそっとティアの髪からペアピンを一本拝借した。
「借りるよ。
 やっぱティアを連れて来て正解だったみたいだな」
 鉄格子の隙間に腕をいれ、ヘアピンを鍵穴に差し込む。
「………………。
 よね、やっぱり」

「ほら、開いた。
 行こう、ティア」
「えぇ」
 そっと扉を開け、気配を殺し上の階へ移動する。
 牢に見張りは居らず、屋内からも人の気配はしない。
「どうなってるんだ?」
 オレ達が地下牢に放り込まれてからそんなに時間はたっていないはずだ。
 屋内へと続くドアを少し開き中の様子を伺う。

 一般的な一軒家。
 家庭的な雰囲気のリビング。
 大窓から見える、堀に囲まれた小庭。
 各部屋、玄関に続くと思われる3つの扉。

「誰もいないみたいだし、部屋の中を探索しよう」
「えぇ」



「ロウちゃんが居ないと何かタイクツよね?
 そう思わない?ラーくん」
 窓枠に腰掛け、メガネの向こうに術書の文字を写しながら呟くリディ。
 …結構な大声で呟いたリディ。
「一階の窓でも落ちたら痛いよ。
 危ないからそこには座らない方がいいと思うんだけど?」
 庭で淡々と剣術の形を反復するラーク。
「自他共に認める天才法術師の私がそんなドジはしないからだいじょーぶ」
「そっか。
 それなら安心だ」
「ラーくんもロウちゃんと同じで心配性なんだから、ふふ。
 ねぇ、ラーくんは剣しか使わないみたいだけど、法術は全くダメなの?」
 リディの問いかけにラークは手を止めて、息をついた。
「うん、使えたらもっとロウの役にも立てるんだけどね」
 少し寂しそうな表情をお浮かべる。
「私から見たら、ロウちゃん程じゃないけどラーくんにも法術の素質があるように見えるんだけどなぁ」
「そっか、リディはそういうのも分かるんだっけ。
 何度か前に試したこともあったんだけど、どの属性の法術も発動しなかったんだ」
(素質はあるのに法術が発動しない?
 属性があっていないから?
 現行のどの法術にも属さない法術……もしかして、”失われし魔術(ロスト・マジック)”?)
「なんて、まさかね」
「?」
「なんでもないよ、ラーくん」
 にっこりと笑って見せる。
「私の見る眼もたまには外れるのかもしれないね」


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はじめまして、こんにちは。
管理人のカンザキです。

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ダントツ好きです!神です!私は信者です!!

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好きな傾向
怖い物好き、グロもOK(怖い話の範囲でね)

美人さんが大好き!
キレイなお姉さんは好きですか?
なにかのCMのフレーズでありましたね。
大好きですよ!
好きなキャラ見れば傾向が無差別に見えますが
こんな所に大半女性だという大雑把な傾向が見えましたね(笑)

男キャラはVPのレザード
アイツは最高です!!
変態が感染しそうなくらい濃いヤツでした。
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