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第一章・後編

2010年8月17日 10時13分17秒 (Tue)

第一章・後編

「ラークでも誘うか、あいつとの鍛錬はいつもやってるし息が合うから成果も高い。
 で、あいつはどこかな、いつものとこかな」
 どうしてかラークの行動ってのはワンパターンでいつも同じ様なところで同じ様なことしてるんだよな。
 そして今日もまたこの場所にラークはいた。
 
 この砦の最上階、屋上の外壁際から周囲を見回していた。
「よ、暇なら付き合わないか?」
「鍛錬?いいよ。いつも通り、気を抜いたら怪我するよ」
「お前の料理以上にオレにダメージ与えられるものなんかねーっての」
 この言葉を合図に剣技の鍛錬は開始された。

 ラークの癖は長年の付き合いで身体に染み付いていて、頭で考えるよりも先に身体が反応するようになっている。
 ラークの剣の長所のスピードは半端なく早い。
 これが一番だ。
 それ以外は極端に剣が重いわけでもなく必殺の一撃があるわけでもない。
 オレが怖いのはここだ、それでこれから生き抜いていけるのか。
「毎回ワンパターンな攻撃じゃあたらないぜ、何か新しい技覚えたらどうだ?」
 ラークの剣を軽くかわしながら挑発の言葉をかける。
「少しは考えているよ、まだ実戦には至らないけどね」
「そうか、なら今オレに試してみろよ、その為の鍛錬だ」
 実戦がすべてだ、結果はそこにでる。
 我が隊の戦員は少ない、戦場では一人で多くの敵兵を相手にする事になる、それはつまり、一兵士など相手にならない程の戦闘能力がなければ戦場では生き抜いていけないということだ。
 多勢に無勢では勝機は薄くなる。

 ラークへ大きく踏み込み、射程内に捕らえる。
 スピードで押すラークの剣戟をかわし、更に踏み込む。
 後ろへ大きく下がろうとするラークを足止めするように、右に大きく剣を振るいラークの剣をとめる。
 力をこめた一撃を剣で受けたラークは、その力を受けきれず軽く右に身体を流され、その場に足を止めた。
「動きを止めるなラーク!それじゃぁ敵の的だろうが、一人相手に手こずるようじゃ戦場には出せないと何度言った!」
「っ!」
 オレの飛ばした激にラークは再び剣を持ち直しオレへと向かってくる。
「気を一点に絞れ、スピードに拘る戦闘法をとるのなら誰にも捕らわれないほどのスピードを身につけろ!」
 戦場で生き抜く力を身につける時間は多くは無い。
 ならば、一度の鍛錬で成果をあげなければならない。
「少なくとも、オレに一撃当てるくらいはできなきゃ話にならないぜ」
 オレの挑発に乗ってきたのかラークの剣戟は一振りごとに早くなっていく。
 それをオレは右に、左にかわす。
 オレもラークもだいぶ息があがってきている。
 でも、ここでやめたら鍛錬にはならない。
 
 防戦一方になっているオレにラークは隙を作ることなく剣を振り下ろしてくる。
 いくら大した力の篭っていない剣戟とはいえ剣の重量がスピードに乗っている、これを数度受ければ十分なダメージを与えられる。
 受け損ねればオレも怪我をするな。

 でも。

「スピードにかまけて他が隙だらけだ!」
 宣言してラークに足払いをかける。
 剣にだけ集中していると意外とこういう一撃に崩れる事も多いのだ。
 しかしラークはそれをあっさりかわし、オレの首めがけ剣を振りおろしてくる。
 だが技量が違いすぎる、今のラークではオレに一太刀入れる事などできはしない。
 オレは振り下ろされるラークの剣をワザと紙一重でかわし更にもう一度、ラークの右足、重心を置いている足を払う。
 よし!今度はヒット。
 ラークは見事バランスを崩し、その場で地に手を突き身を反転体勢を立て直した。
「ちょっとは腕を上げたな、前は見事に転がってたもんな」
 オレは剣を下げ笑顔でラークに語りかけた。
 それが鍛錬終了の合図。
「はぁ、っ、はぁ、まぁ、ね」
 剣を地に着けラークは大きく肩を上下させている。
「こんなに息が上がるとは思ってなかったな」
 心地良い程度の疲労感が全身を覆う。
 今寝たら気持ちいいだろうな~、と、寝転びたい気持ちを抑え空を仰ぐ。
「さて、オレは忙しいからもう行くかな。じゃな、ラーク」
「うん」
 昼下がりの日差しとラークを背にオレは屋上を後にした。


 さぁて、次はゼレセスを鍛えよう。
 あいつはいくら鍛えても鍛えたり無いくらいだ。



「ちょーっと、冗談でしょ?リーダァ」
 自室にいたゼレセスに鍛錬の申し出をしたところ、この返事だった。
「俺は今とぉーっても忙しいの見てわかんないかな?」
「男が鏡の前で何忙しいんだよ?ゼレセスだって参謀とは自称していても戦場に立ってるだろ?だったら、死なないように鍛錬するのは当たり前の事じゃないのか?」
「俺が戦場に立つのは戦況を見極めるためであって、戦闘に参加するためじゃないんだよ。
 それに、戦場に美女はつき物だ。襲われてる美女を颯爽とさらい…いや助けて…」
「うらっ!」
 どげしっ
「ぐふっ」
 なにやら妄想に入りもうとするゼレセスに回し蹴りを食らわせ正気に戻してやる。
「そうかそうか、颯爽と現れて疾風の如くやられたんじゃぁ笑い話にもならないうえにダサい事極まりないもんな、じゃ、鍛錬する事に同意するんだな、中庭に出るぞゼレセス」
 オレはゼレセスの腕を掴み中庭へと引きずり出す。
「あーぁ、鍛錬に誘うためとはいえさっきの言葉はちょーっとキズついたぜリーダー」
 引きずられながら非難の言葉を発するゼレセスをとりあえず無視。

「ゼレセスの戦闘法は方術が基本だったな」
「そうだよ、俺は非力だからね、ほら“色男、金と力はなかりけり”なんていうだろ?」
 方術、術師の使う2つの術の1つ、方術は幅広く用いられている術式で、ゼレセスの言うとおり力の無い女子供が多く使っている。いや、厳密には行使能力が強いのは全般的に女性だったりするからなんだろう。
 もっとも、絶対に女性じゃなければ能力が高くないと言うわけではない。
 オレもゼレセスも男だが方術の能力はある程度高い。
 もっともオレはこの力を完全に制御できないので戦闘では一切使わないが。

方術は地水火風、空気、重力、など自然界のものを自分の力量に応じ召喚するものだ。
 基本は、各属性を呼び出し飛ばすといった単純なものだ、威力は術者の生まれもっての術行使能力により決まっている。
 これは生まれ持っての才能なんで一生不変だ。
 方術は相反する属性が衝突すると相殺され消滅するという特性を持っている。
 それ以外は術者のアレンジしだいってやつだ。
 
 残る術式には名が無い。
 近年公にされた裏方術のように扱われているその術式は自然界ではなく、術者本人の術行使能力を操るものらしく、これについての詳細はしられていない。
 とにかく、方術と似て非なる術があるという事だ。
 オレもまだ目にした事は無い。
「術師の欠点は接近戦になると何も出来ないってことだよなぁ、そこはゼレセスには期待できないからオレ達前線ががんばるとして、要は立ち回りと術のコントロールか」
 とは言っても術のコントロールはオレも苦手としているところ、さて、どう鍛錬したものか。
「ま、コントロールの練習なら遠くの的に術を当てるてのが基本だな」
「ごもっとも、じゃそれで行きますか、俺は体力トレーニングで無いならいいさ」
 そういうとゼレセスは小石を空に投げ、十数メートルほど離れたところで電撃を当て、見事粉砕。
 方術の威力は距離によって変化する。
 同じ威力の術でも近ければ強く、遠ければ弱くなるのだ。
「確かリーダーも方術できたよね?」
 ゼレセスはオレの方を向きそう言った笑顔は“お前もやってみろ”とオレを挑発していた。
 ここで引くわけにも行かずオレは辺りを見回し100メートル程先にある岩に的を絞る。
 操るは風。
 これが一番暴走しても被害が少ないからな。
 的をさす指先に意識を集中させる。
 深く息を吐き風をこの場に力として集める。
 風の圧力を増すために力を解き放つタイミングを遅らせる。
 風圧を利用すれば風のスピードが格段に増し、的に当たる威力も増すということだ。
 オレが風を解き放つと共に爆発音に似た音が響き渡り、爆風にのった岩の残骸が砂嵐のようになり一瞬の間中庭を支配した。

「っ、はー!しんじらんない何て威力だよ」
 砂嵐の収まった後のゼレセスの一声がそれだった。
「アレンジだよ」
「何がアレンジだよ、だ!」
 げしっ!

 突然真後ろから聞こえたラークの声に振り向くまもなくオレは地面に突っ伏していた。
 どうやらラークに蹴り倒されたみたいだ。
 えーっと、爆音に驚いて飛んできたラークが鍛錬だと気づいてムカついたからオレが蹴られたのかな?
 いやまぁ、オレが悪いのか?
「おーい、リーダーいつまでそうしてるんだ、ラークはもうどっかいったぜ?」
「あぁ」
 とりあえず起き上がり衣服についた砂や土を払う。
「俺達も今日のところはこれでお開きにしないか?」
「そうだな、また爆音立てたりしたら今度はラークに斬りつけられそうだしな」
 ゼレセスの提案に同意し、今日の鍛錬はこれで終わる事にした。



 さてと、夕飯まではまだ時間がある……って、今日の夕飯はオレが作るんだった。
 メニューは何にしようか?食材は限られているからなぁ。
 オレはまだ日のある時間から台所で夕飯の献立に頭を悩ませていた。
「あら?どうしたのロウ?台所で腕組みなんてして」
「ん?」
 と、声をかけてきたのは我が隊の回復役を担っているティアだ。



 優しく、穏やかな性格に加え容姿端麗…だろう、綺麗だとおもうから。
 戦闘では後衛で負傷者の治療を担当すると共に攻撃系の方術の使い手でもある。
 きっとティアみたいなポジションにいる人のことを華というんだろう。
「3食チョコ入りご飯はちょっとキツからな、夜はオレが作るんだ」
「でも、忙しいんじゃないの?私が代わりましょうか?」
「いや、忙しいのはオレだけじゃないだろ?大丈夫だから他に行ってもいいぞ」
 言ったオレの言葉にティアはなぜか少し悲しそうな顔をする。
「あー!ローちゃん見つけ♪」
 台所の入り口、廊下の方から子供の声がした。
「お、リディどうした?」
 声の主はリフリディア、通称リディ。



 若干13歳にして6大陸第3地首都、帝都の術式における名家の名を告いだ稀代の天才(と呼ばれているらしい)。
 縁あって我が隊に協力してくれている。
 
 色素の薄い、癖のある外ハネの髪は本人曰くチャームポイントだとか。
見た目も性格も元気な子供、一見しただけでは方術の天才だと誰がわかろう。



「あー!ローちゃんがお料理してる、私もお手伝いしたいナー」
「お、暇なら大歓迎だぜ、でもまだ何を作るのか決めてないんだ」
「………私に対するときと随分違う対応よね…」
「ん?何か言ったかティア」
「いいえ、私もさして忙しくないので手伝ってもいいかしら?」
「暇なら歓迎するさ」
「私今日はあったかいからアッサリした物が食べたい」
「あっさりか、それもいいな」
 何て、慌しく夕食作りの時間は過ぎていった。


 春も通り過ぎようとしているこの季節、夜の風は肌に心地良い。
 オレは今日もまたラークと共にこの屋上から周囲を見渡していた。
 今はもう日課というより習慣付いてしまった周囲への警戒。
 夜は特に気を張ってしまう。
 安全なんてどこにも無い、いつ何時どこが襲われるか分からない、だからこうしていつも回りを見ている。
 オレもラークも、きっとあの日のことが心に残っているが故に夜はいつもこうしてここにいるのだろう。
「いつもこうしている割に安心、出来ていないんだな」
 オレはなんとなくラークに話しかけていた、きっと返答は返ってこないとわかっていて。



「不安でもない、それでいい」
「お、返事が返ってきたな、ホントは効率悪いんだけどな同じ時間、同じ場所に見張りが二人ってのはさ、ただ、この時間帯になると今でも神経質になっちまうんだよな」
 誰かといてもそうだが、一人でいると余計に感じる、終いにはしもしない血の匂いまでしてくる。
「程ほどにして戻れよ、体調管理も戦士の務めだ」
 それだけ言って、オレはラークより先に屋内へと戻った。

 今日のように戦いの無い穏やかな日が当たり前のように訪れる日を信じて今はただ前だけを見ていよう。

      第一章 終わり



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キレイなお姉さんは好きですか?
なにかのCMのフレーズでありましたね。
大好きですよ!
好きなキャラ見れば傾向が無差別に見えますが
こんな所に大半女性だという大雑把な傾向が見えましたね(笑)

男キャラはVPのレザード
アイツは最高です!!
変態が感染しそうなくらい濃いヤツでした。
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