夜についての話 ラーク編
2010年8月17日 9時09分27秒 (Tue)
夜についての話 ラーク編
「少し前から気になってたんだけどラークは灯りをつけなきゃ寝れないタイプかい?」
朝食の席でゼレセスがそんな事を出だした。
そう、確かにラークはいつも灯りをつけて眠っている。
オレはその理由を知っているから今まで黙認してきたのだが…。
「まぁ」
ゼレセスの問いにスープをスプーンでぐるぐるとかき回しながら曖昧な返事を返すラーク。
「どうしても明るくないとダメかい?最近以前にまして食料や燃料の確保が難しくて、出来るだけ節約したいんだよね。
で、すぐにでも出来そうなところから手をつけてるわけなんだけど、夜はなるべく明かりを抑えようと思ってさ、リーダーの仕事上の使用や移動時の灯りは仕方ないとしてさ」
「そうね、いくら敵国の戦力を削ったところで直ぐに情勢がよくなるわけじゃないものね。
特に食料や物資は需要ばかり高くて供給がまったく追いついていないもの」
ゼレセスの意見に賛同するティア。
つまりそれはオレ達に回ってくる物資なども少ないということだ。
限られた中で何とか過ごすしかないのだ、ギリギリまで節約するのは当然のことだろう。
「みんなも同じで、夜間の無駄な明かりは出来る限り使わないで欲しい、それ以外の節約もして欲しいから、後で紙にまとめて書いておくよ」
「了解」
「わかったよ」
「えぇ」
「……ん」
各自返事を返すが心なしかラークの声は沈んでいる。
「それじゃ、皆今日から早速頼むね」
話し終えると同時に食べ終わった食器を片付けるゼレセス。
中断していた食事を再開するティアとリディ。
黙したまま食事の手を完全に止めてしまったラーク。
ラーク……大丈夫だろうか?
―――――そして夜。
日没と共に眠りについたラークは自室にいた。
夢を見ていた。
あの日の夢。
何度も繰り返し見るあの光景は忘れることを許さないかのように時折夢に現れる。
騒音としか認識できない雑音が村を包み、ぼんやりとした意識を無理やり覚醒させようとする。
いやだ。
意識を覚醒させたくなんてない、そんな思いを嘲るように今度は女の声が鼓膜を振動させる。
この声を聞きたくない。
この声はかつて母親だった人の声だから。
このさきをみたくない!
そう強く思うほどに意識は夢の奥へと引きずられていく。
強い力で幼い身体を引き、どこかの狭い空間に押入れその空間の扉を閉める。
心臓が張り裂けそうなほど早く鼓動する。
耳につく心臓の音、押し込められた空間の扉の隙間から見える見慣れたはずの家のリビング。
母親の腿半分から下の部分が見えた。
押し込められているこの空間はずいぶん低位置にある。
この先は嫌だ、このさきはいやだ、いやだ、いやだ……っママ!
声にならない叫び、それでもいつもと同じ夢の先が始まる。
剣を手にしてここから飛び出せば“今の”自分ならこの先の結果を変えられる!
それなのに身体は動かない。
そしていつもと同じく無情にもあの時と同じ光景が展開されていく。
過ぎた過去。起こってしまった現実。変えることのできない結末。
最初はどさっ、という重たいものの落ちる音から始まった、次に金属音、床板の軋む音、地面から家が振動している衝撃。
身体の震えが止まらない、足音は1箇所で止まりそこで何故か暫く停止している。
その光景を扉の隙間から見ている、瞼を閉じれないのだから仕方がない、その光景から眼をそらすことを出来ないのだから仕方がない。
確かに見ていた、その光景を眼にして身体の震えが何故か激しくなる、どうしてだろう?
見慣れた木目の床板は今や赤いペンキで塗りつぶされている。
兵士は2人いて、そのどちらも同じものを見ているように中腰になっている。
床の赤が広がる。
兵士の一人が足元から何かを拾い上げる。
赤くて長いナニか、を、ずるずると引きずり出している。
もう一人の兵士が足元の何かを蹴飛ばし踏みつける。
吐き気がする、身体の震えが止まらない、どうしてか眼からは涙が出ている。
怖い、こわい、不安で、いつもならこんな時はママが傍にいてくれるのに今は傍にいない。
違う、この先は考えちゃいけない。
どうして今ママが傍にいてくれないのかとか、それならママは今何処に居るのかとか、どうしてさっきから物音は聞こえてきているのに“人の声”は耳に届いていないのかとか。
兵士は笑っているのに、声が聞こえていない。
兵士が見下ろしているモノが何なのか分かっているのに認識できない、違う、したくない。
何度も聞こえた叫び声を聞こえなかったことにしていることにだって気づきたくなんてない。
兵士が言った。
確かに聞こえた、今まで何の“声”も聞こえなかったはずなのに。
“守護者のガキ殺すのにかこつけて日頃の憂さ晴らしするのも悪かないな”
“おら、次いくぜ、次”
確かに聞こえた。
――守護者のガキ―――
守護者の……ろう…。
思考の片隅で何かが途切れた。
兵士達はロウを探している。
見つかったら殺されるママみたいに。
どうしよう、このままだとロウもママみたいになる。
無意識に身体が動いていた。
押し入れられた空間意偶然あった短剣、それはママが万が一の時のために自分の為に置いたものだと気づかずに。
これでママを助けることは出来なかった。
もう目の前であの光景を見たくない!
自分の命や保身のための恐怖感なんかの為にあの光景をまた眼にするのは嫌だ!
ここから先の記憶がない、夢から醒めるのも近いみたいだ。
いつもの夢の終わりと同じ、左手に握る短剣の冷たい感触、肉と骨と鎧に剣があたる衝撃が生々しく手のひらに残る………。
眼が覚める、夢から醒めたはずなのに目の前には深い闇が何処までも広がっていて眼を開けているはずなのに未だに夢に囚われているようだ。
こわい。
身体が震える。
両腕で肩を抱き身体の震えをどうにか押さえこもうとする、それでも震えは治まらない、不安感も恐怖感も1秒毎に増して平常心を失いそうになる。
こわい、こわい。
この恐怖から逃げ出したい-----。
深夜、オレは自室で現在の戦況や各大陸の情勢を整理していた。
フと目の前の窓から外をみた。
「あぁ、今日は新月か、どうりでいつもより暗いわけだ」
今が何時なのか正確な時刻は分からないが、オレの眠気の具合からいくと日付の変わる少し前といったところかな。
「そういえば今日から節約の為に灯りを最低限に抑えてるんだよな。ラークの奴ちゃんと寝れてるかな」
残酷な過去の記憶に深く囚われて今でもまだ夢に魘されているラーク。
原因はオレ。
この戦争を引き起こした一人の守護者が、新たに誕生した守護者の卵であるオレを抹殺しようと、めぼしい村に兵を放った。
この戦争も、多くの人の死も、ラーク含む多くの人の苦しみも、すべてオレが元凶。
在るべき平穏な幸せを失ったのはオレ存在の所為なんだ。
ただ、戦争そのものを起こし、今もまだ多くの人の命を奪い、苦しめているのはあの守護者だ。
だからオレは下手な罪悪感で道を誤ったりなんてしない。
オレが成すべきは、贖罪に押し潰され批難に暮れることではない。
オレはオレの手で平和な世界を取り戻して見せる。
でも…。
「でも、ラークに対してだけは申し訳ない気持ちしか浮いてこないんだよな。
……近くにいすぎたせいかな」
あいつの弱さを知っているから。
あいつの性格を知っているから。
弱さを見せるのが嫌いなあいつは出来もしない我慢をしようとするから。
「って、こんなに気にしてるんなら様子を見に行った方が早いよな」
自分で自分の行動がおかしい。
ラークのことを気にしてか、仕事の手が全然動いていないのだから。
そんなことにも気づいてなかった。
深く息を吐いて、椅子から立ち上がる。
ラークの様子を見に行こう。
ラークの部屋はオレの部屋の直ぐ隣、廊下に出て直ぐだ。
「それにしても暗いな」
廊下にいつものように明かりはなく、文字通り一寸先も闇である。
オレはラークの部屋の前で立ち止まる。
もしも寝ているなら起こすのはかわいそうだな。
って、ラークの部屋に入るのにナニ自分に言い訳してるんだよオレは。
コンコン、数度扉を叩く。
返事はない。
「ラーク?」
声をかけてみても無反応。
寝てるのか?だったらこのまま引き返した方がいいのかもしれない。
そう考えているはずなのにオレの手はドアノブへとのび、扉を開こうとしている。
「ん?鍵が掛かっているのか、まぁ、ラークならそうか」
オレはいたって冷静だ。
何も焦ってなんかいない、だって今は何があるわけでもない静かな夜じゃないか。
それなのにどうしてオレは鍵の掛かった扉をぶち壊してるんだ?
とにかくそんな事は後回しにしてラークの部屋に入っていく。
ラークは起きていた。
ベッドの上でまるで自分を抱きしめるようにして丸くなっている。
「ラーク」
オレは反応のないラークに歩み寄る。
それはいつかの光景に似ていてオレの心臓をひどく鼓動させる。
丸くなっているラークの肩に手を触れる。
ひどく震えている。
くそっ、もっと早くくればよかった。
後悔が心臓の鼓動を更に早くする。
「ラーク、大丈夫だ、オレが来たからもう何も不安なんてないだろ?」
言ってラークの肩を左腕で抱き、膝の後ろに右腕を回し身体を抱き上げる。
「部屋に入る時に勢いあまってドアぶっ壊しちゃってさ、悪いんだけどドア直るで暫くの間オレの部屋で休んでくれるか?」
そうラークに語りかけると、オレはそのままラークを灯りのついたオレの部屋へと運んだ。
ベッドに横たえ上掛けをかけてやる。
ラークの身体の震えはまだ治まっていない、もう少し、傍にいよう。
仕事は後からオレが気合を入れてやれば良い。
今は、ラークの不安を少しでも早く消してやりたい。
「起きてるんだろ?ラーク、オレも一緒に寝ていいか」
少し冗談めかしてラークに語りかける。
「狭いから嫌だ」
お、もう落ち着いたのかラークがいつもの調子で返事を返してきた。
「そういうなって、昔ならそんな事言わなかったろ?………いや、言ってたな」
「無駄話していないでさっさと仕事片付けちゃいなよ、それまで寝るな」
ベッドに腰掛けるオレに背を向け横たわっているラーク。
表情は見えないが、きっと笑顔だろう、声は軽い。
「そうだな、この仕事に一つ一つがオレ達の先に繋がってるんだもんな」
そうだ、今のこの時間だって未来への確かな一歩なんだから怠ることは出来ない。
「ロウ」
「ん?」
仕事に戻ろうとベッドから腰を浮かせたオレをラークが呼び止めてきた。
オレは返事を返し振り向くが、ラークは相変わらずオレに背を向けたままだ。
「………ありがとう」
少しの間をおいてラークがポツリとそう言った。
小さな声だったけど、2人しかいないこの静かな部屋の中確かに聞き取れた。
あぁ、こういうところがあるからオレはラークに甘くなるんだ。
「おやすみ、ラーク」
ベッドに横たわる背中にそう声を掛けてオレは机に向かった。

「少し前から気になってたんだけどラークは灯りをつけなきゃ寝れないタイプかい?」
朝食の席でゼレセスがそんな事を出だした。
そう、確かにラークはいつも灯りをつけて眠っている。
オレはその理由を知っているから今まで黙認してきたのだが…。
「まぁ」
ゼレセスの問いにスープをスプーンでぐるぐるとかき回しながら曖昧な返事を返すラーク。
「どうしても明るくないとダメかい?最近以前にまして食料や燃料の確保が難しくて、出来るだけ節約したいんだよね。
で、すぐにでも出来そうなところから手をつけてるわけなんだけど、夜はなるべく明かりを抑えようと思ってさ、リーダーの仕事上の使用や移動時の灯りは仕方ないとしてさ」
「そうね、いくら敵国の戦力を削ったところで直ぐに情勢がよくなるわけじゃないものね。
特に食料や物資は需要ばかり高くて供給がまったく追いついていないもの」
ゼレセスの意見に賛同するティア。
つまりそれはオレ達に回ってくる物資なども少ないということだ。
限られた中で何とか過ごすしかないのだ、ギリギリまで節約するのは当然のことだろう。
「みんなも同じで、夜間の無駄な明かりは出来る限り使わないで欲しい、それ以外の節約もして欲しいから、後で紙にまとめて書いておくよ」
「了解」
「わかったよ」
「えぇ」
「……ん」
各自返事を返すが心なしかラークの声は沈んでいる。
「それじゃ、皆今日から早速頼むね」
話し終えると同時に食べ終わった食器を片付けるゼレセス。
中断していた食事を再開するティアとリディ。
黙したまま食事の手を完全に止めてしまったラーク。
ラーク……大丈夫だろうか?
―――――そして夜。
日没と共に眠りについたラークは自室にいた。
夢を見ていた。
あの日の夢。
何度も繰り返し見るあの光景は忘れることを許さないかのように時折夢に現れる。
騒音としか認識できない雑音が村を包み、ぼんやりとした意識を無理やり覚醒させようとする。
いやだ。
意識を覚醒させたくなんてない、そんな思いを嘲るように今度は女の声が鼓膜を振動させる。
この声を聞きたくない。
この声はかつて母親だった人の声だから。
このさきをみたくない!
そう強く思うほどに意識は夢の奥へと引きずられていく。
強い力で幼い身体を引き、どこかの狭い空間に押入れその空間の扉を閉める。
心臓が張り裂けそうなほど早く鼓動する。
耳につく心臓の音、押し込められた空間の扉の隙間から見える見慣れたはずの家のリビング。
母親の腿半分から下の部分が見えた。
押し込められているこの空間はずいぶん低位置にある。
この先は嫌だ、このさきはいやだ、いやだ、いやだ……っママ!
声にならない叫び、それでもいつもと同じ夢の先が始まる。
剣を手にしてここから飛び出せば“今の”自分ならこの先の結果を変えられる!
それなのに身体は動かない。
そしていつもと同じく無情にもあの時と同じ光景が展開されていく。
過ぎた過去。起こってしまった現実。変えることのできない結末。
最初はどさっ、という重たいものの落ちる音から始まった、次に金属音、床板の軋む音、地面から家が振動している衝撃。
身体の震えが止まらない、足音は1箇所で止まりそこで何故か暫く停止している。
その光景を扉の隙間から見ている、瞼を閉じれないのだから仕方がない、その光景から眼をそらすことを出来ないのだから仕方がない。
確かに見ていた、その光景を眼にして身体の震えが何故か激しくなる、どうしてだろう?
見慣れた木目の床板は今や赤いペンキで塗りつぶされている。
兵士は2人いて、そのどちらも同じものを見ているように中腰になっている。
床の赤が広がる。
兵士の一人が足元から何かを拾い上げる。
赤くて長いナニか、を、ずるずると引きずり出している。
もう一人の兵士が足元の何かを蹴飛ばし踏みつける。
吐き気がする、身体の震えが止まらない、どうしてか眼からは涙が出ている。
怖い、こわい、不安で、いつもならこんな時はママが傍にいてくれるのに今は傍にいない。
違う、この先は考えちゃいけない。
どうして今ママが傍にいてくれないのかとか、それならママは今何処に居るのかとか、どうしてさっきから物音は聞こえてきているのに“人の声”は耳に届いていないのかとか。
兵士は笑っているのに、声が聞こえていない。
兵士が見下ろしているモノが何なのか分かっているのに認識できない、違う、したくない。
何度も聞こえた叫び声を聞こえなかったことにしていることにだって気づきたくなんてない。
兵士が言った。
確かに聞こえた、今まで何の“声”も聞こえなかったはずなのに。
“守護者のガキ殺すのにかこつけて日頃の憂さ晴らしするのも悪かないな”
“おら、次いくぜ、次”
確かに聞こえた。
――守護者のガキ―――
守護者の……ろう…。
思考の片隅で何かが途切れた。
兵士達はロウを探している。
見つかったら殺されるママみたいに。
どうしよう、このままだとロウもママみたいになる。
無意識に身体が動いていた。
押し入れられた空間意偶然あった短剣、それはママが万が一の時のために自分の為に置いたものだと気づかずに。
これでママを助けることは出来なかった。
もう目の前であの光景を見たくない!
自分の命や保身のための恐怖感なんかの為にあの光景をまた眼にするのは嫌だ!
ここから先の記憶がない、夢から醒めるのも近いみたいだ。
いつもの夢の終わりと同じ、左手に握る短剣の冷たい感触、肉と骨と鎧に剣があたる衝撃が生々しく手のひらに残る………。
眼が覚める、夢から醒めたはずなのに目の前には深い闇が何処までも広がっていて眼を開けているはずなのに未だに夢に囚われているようだ。
こわい。
身体が震える。
両腕で肩を抱き身体の震えをどうにか押さえこもうとする、それでも震えは治まらない、不安感も恐怖感も1秒毎に増して平常心を失いそうになる。
こわい、こわい。
この恐怖から逃げ出したい-----。
深夜、オレは自室で現在の戦況や各大陸の情勢を整理していた。
フと目の前の窓から外をみた。
「あぁ、今日は新月か、どうりでいつもより暗いわけだ」
今が何時なのか正確な時刻は分からないが、オレの眠気の具合からいくと日付の変わる少し前といったところかな。
「そういえば今日から節約の為に灯りを最低限に抑えてるんだよな。ラークの奴ちゃんと寝れてるかな」
残酷な過去の記憶に深く囚われて今でもまだ夢に魘されているラーク。
原因はオレ。
この戦争を引き起こした一人の守護者が、新たに誕生した守護者の卵であるオレを抹殺しようと、めぼしい村に兵を放った。
この戦争も、多くの人の死も、ラーク含む多くの人の苦しみも、すべてオレが元凶。
在るべき平穏な幸せを失ったのはオレ存在の所為なんだ。
ただ、戦争そのものを起こし、今もまだ多くの人の命を奪い、苦しめているのはあの守護者だ。
だからオレは下手な罪悪感で道を誤ったりなんてしない。
オレが成すべきは、贖罪に押し潰され批難に暮れることではない。
オレはオレの手で平和な世界を取り戻して見せる。
でも…。
「でも、ラークに対してだけは申し訳ない気持ちしか浮いてこないんだよな。
……近くにいすぎたせいかな」
あいつの弱さを知っているから。
あいつの性格を知っているから。
弱さを見せるのが嫌いなあいつは出来もしない我慢をしようとするから。
「って、こんなに気にしてるんなら様子を見に行った方が早いよな」
自分で自分の行動がおかしい。
ラークのことを気にしてか、仕事の手が全然動いていないのだから。
そんなことにも気づいてなかった。
深く息を吐いて、椅子から立ち上がる。
ラークの様子を見に行こう。
ラークの部屋はオレの部屋の直ぐ隣、廊下に出て直ぐだ。
「それにしても暗いな」
廊下にいつものように明かりはなく、文字通り一寸先も闇である。
オレはラークの部屋の前で立ち止まる。
もしも寝ているなら起こすのはかわいそうだな。
って、ラークの部屋に入るのにナニ自分に言い訳してるんだよオレは。
コンコン、数度扉を叩く。
返事はない。
「ラーク?」
声をかけてみても無反応。
寝てるのか?だったらこのまま引き返した方がいいのかもしれない。
そう考えているはずなのにオレの手はドアノブへとのび、扉を開こうとしている。
「ん?鍵が掛かっているのか、まぁ、ラークならそうか」
オレはいたって冷静だ。
何も焦ってなんかいない、だって今は何があるわけでもない静かな夜じゃないか。
それなのにどうしてオレは鍵の掛かった扉をぶち壊してるんだ?
とにかくそんな事は後回しにしてラークの部屋に入っていく。
ラークは起きていた。
ベッドの上でまるで自分を抱きしめるようにして丸くなっている。
「ラーク」
オレは反応のないラークに歩み寄る。
それはいつかの光景に似ていてオレの心臓をひどく鼓動させる。
丸くなっているラークの肩に手を触れる。
ひどく震えている。
くそっ、もっと早くくればよかった。
後悔が心臓の鼓動を更に早くする。
「ラーク、大丈夫だ、オレが来たからもう何も不安なんてないだろ?」
言ってラークの肩を左腕で抱き、膝の後ろに右腕を回し身体を抱き上げる。
「部屋に入る時に勢いあまってドアぶっ壊しちゃってさ、悪いんだけどドア直るで暫くの間オレの部屋で休んでくれるか?」
そうラークに語りかけると、オレはそのままラークを灯りのついたオレの部屋へと運んだ。
ベッドに横たえ上掛けをかけてやる。
ラークの身体の震えはまだ治まっていない、もう少し、傍にいよう。
仕事は後からオレが気合を入れてやれば良い。
今は、ラークの不安を少しでも早く消してやりたい。
「起きてるんだろ?ラーク、オレも一緒に寝ていいか」
少し冗談めかしてラークに語りかける。
「狭いから嫌だ」
お、もう落ち着いたのかラークがいつもの調子で返事を返してきた。
「そういうなって、昔ならそんな事言わなかったろ?………いや、言ってたな」
「無駄話していないでさっさと仕事片付けちゃいなよ、それまで寝るな」
ベッドに腰掛けるオレに背を向け横たわっているラーク。
表情は見えないが、きっと笑顔だろう、声は軽い。
「そうだな、この仕事に一つ一つがオレ達の先に繋がってるんだもんな」
そうだ、今のこの時間だって未来への確かな一歩なんだから怠ることは出来ない。
「ロウ」
「ん?」
仕事に戻ろうとベッドから腰を浮かせたオレをラークが呼び止めてきた。
オレは返事を返し振り向くが、ラークは相変わらずオレに背を向けたままだ。
「………ありがとう」
少しの間をおいてラークがポツリとそう言った。
小さな声だったけど、2人しかいないこの静かな部屋の中確かに聞き取れた。
あぁ、こういうところがあるからオレはラークに甘くなるんだ。
「おやすみ、ラーク」
ベッドに横たわる背中にそう声を掛けてオレは机に向かった。
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管理人のカンザキです。
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美人さんが大好き!
キレイなお姉さんは好きですか?
なにかのCMのフレーズでありましたね。
大好きですよ!
好きなキャラ見れば傾向が無差別に見えますが
こんな所に大半女性だという大雑把な傾向が見えましたね(笑)
男キャラはVPのレザード
アイツは最高です!!
変態が感染しそうなくらい濃いヤツでした。
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