楽天市場
[無料でホームページを作成] [通報・削除依頼]

ティアとロウ

2010年8月17日 8時50分28秒 (Tue)

ティアとロウ

「ティア、約束だからな、今日は思う存分なんにでも付き合うよ」
 そういってオレはティアに手を差し伸べる。

「じゃぁ留守の間頼んだよ」
 オレは見送りに来たゼレゼス、リディ、ラークの3人にそう声を掛ける。
「おう、男になってこいよ」
 意味不明なことを言って笑顔で手を振るゼレセス。
「今度は私ともデートしてね。ローちゃん♪」
「はは、デートか。
 そうだね今度リディともどこか行きたいな」
 て、今日のはデートじゃないんだけどね。
「いってらっしゃい」
「あぁ」
 “留守は任せろ”って笑顔でオレ達を送り出すラーク。

 一つの大きなヤマを片付けたオレ達はつかの間の休日を迎えた。

 今日は前々から約束していたティアとのお出かけ…いや、買い物の付き添い兼荷物持ち兼ボディーガードだ。
 出かける先も今日の予定も全部ティア次第。
「さ、何処に行こうか?」
 オレは優しくティアに微笑みかける。
 心なしかティアの顔が赤い気がする、体調が優れないんだろうか?
 隊員の体調管理も隊長であるオレの仕事だ、最近までの連戦がたたったのか?
 でも、今引き返すのは嬉しそうなティアの顔を見ていると気が引ける…。
 少し様子を見ようか。

「ロウはどこかにいきたいとかそういうのはないの?」
「あぁ、特には。
 ティアの行きたい所にいこう」
「それじゃぁ」
 ティアは嬉しそうに微笑み、オレの手を引いた。


 そして午前中は目まぐるしかった。
 それじゃぁ、とオレの手を引いたティアはほんのりと赤い顔をしたまま走り出した。
 オレ達が朝出発した拠点からずいぶん離れた街にきた。
 一休みする間もなく朝食代わりに買い食い、女の子らしい小物の店をのぞいたりアクセサリーを見たり、正直オレには何がいいのやら、といった感じだ。


 その中でも青く光るネックレスやペンダント、ちょっと不細工なクマのぬいぐるみに少し気を惹かれたりもしたかな。
 それでも嬉しそうにニコニコしているティアを見ているとオレも表情が緩む。
 どうしてかな。

「ロウ、少し休憩しましょうか」
「あ、あぁ、そうだな」

 オープンガーデンの喫茶店にはいり、オレ達は行き交う人を眺めながら昼食をとった。
 たまにはこうのんびりするのもいいな。

「ロウは」
「ん?」
 ぼうっとしていたオレに不意にティアが話しかけてきた。
「ロウはこの争いの先に何を見ているんですか?」
 オレの方を真剣に見つめそう問いかけてきたティア。
「オレは」
 オレはティアから視線をはずし空を仰ぐ。

「平和な世界」
 見上げた太陽の光が眩しくて反射的に眼を細める。
「ありきたりな目標だよ。
 オレ、戦いは嫌いだし傍で誰かが泣いてるのもイヤなんだ、だから平和であって欲しいって思ってる」
 その為に戦ってきた。
 あの時のようにたくさんの血を流させたくない。
 失わせたくない。
 泣かないでほしい。
 もっと笑っていて欲しい。
 もっと…。

「それって世界中のすべての人にってこと?それとも誰か一人のために…」
 誰のために…か、オレはきっと目の前で救えなかった人全員に対してそう思ってるんだろうな。
 故郷の人々、今までオレが手にかけてきた人々、他人の手にかけられていった人々、きっとその全員を助けたいと思ってしまう。
「どうしたんだよティア、オレに質問ばっかりじゃないか?そんなにオレのこと気になる?」
「え?」
 オレの言葉に一瞬顔を赤くするティア。
「そ、それは…」
「食事も済んだし、他に行こうか?」
 そう言ってオレは席を立ちティアを促す。
 オレの行動に従ってティアも席を立った。

 どこへ行くでもなくオレ達は無言で歩いていた。

 どれ位してからだろう、ティアが口を開いたのは。

「ずいぶん外れの方まで来ちゃいましたね」
 オレの隣りを歩いていたティアは軽いステップで半回転しながらオレの目の前に出た。

「私、何をするでもなくただあなたの隣にいる、それだけですごく嬉しいんですよ。不思議ね」
「オレも一人でいるよりは気の許せる奴と一緒にいるほうが落ち着くし楽しいかな」
「ふふ、そういうのとは少し違うんだけど」
「?」
「まだ陽は高いけど、今から歩いて帰ったらちょうど暗くなる頃かしら?」
 あぁ、皆のところに戻るなら今からのんびり歩いて帰れば丁度いい位の時間かな。
「そうだね」
「いきましょうか」
 オレ達は少し遠回りの道を選びながら肩を並べてゆっくりと歩き出した。

「ねぇ、ロウは気づいてた?
 今日一日、私と一緒にいるのにロウは心ここに在らずって感じだったの」
「?いや」
 そんなことはないと思うんだけど。
「ロウの目線の先っていつも同じ人を見てるんだもの」
「え?」
「始めてあった時から思っていたわ、この遠い争いの向こう側に、過去を振り返るたびに、どんな時にもロウの目線は一人しか見ていないのよ?」
 オレの目線? 
 今この場にはティアとオレしかいないし、オレが今見てるのはティアだ、それなのにオレはいつも一人しか見てないって……。
「それってオレがいつもティアを見てるって事?」
「え?
 ちがうわよ…もう、意味がわかってないのね」
 うーん?
「あの時」
 何かを思い出すようにティアは眼を伏せる。
「私と買い物していたあの時、ロウは誰を思ってお店の品物を見ていたのかしら?
 似たような趣味のものしか見ていなかったみたいだけど」
「へ?
 オレなんか見てたかな?
 きっとみんなのお土産にとでも思ってみてたんだよ」
 ティアの言うとおりオレはティアが品物を見ている間いくつかの商品が眼に留まって手を伸ばしそうに為っていた。
 でもそれは女物だし男のオレが買うようなものじゃないからただ見ていた。
 まさかそんな行動まで見ていたとは。
「もういいわ、本当に分かってないのね」
(ロウのそういうところも好きだけど、でも…)
 ため息混じりに微笑すると、くるりとステップを踏むようにオレと距離をとるティア。
(ロウの目線。
 彼に呼びかけたときいつも一度同じ場所に落ちる視線。
 自分でも気がつかないくらい、それは貴方にとってごく自然な行動なのね)

 話しながら歩いていたら、いつの間にやら砦まであと少しのところ。

「今日はありがとう。ロウ」
「オレも楽しかったよ」
 夕暮れの帰り道。
 遠い昔、まだガキだった頃のオレはよくこんな夕焼けを追いかけるように家路を歩いたっけ。
 時にあいつの手を引き。
 時に疲れて寝ちまったあいつを背負って。


「ほらまた」
「ん?」
「もう………でも、それも含めてロウなんだから仕方ないのかな」
「???」
 ティアが何を言いたいのかよく分からないけど、その明るい表情にオレも釣られて笑顔になる。
「今夜はどんなチョコレートディナーが待っているんでしょうね?」
「さぁな、ま、食える程度のものならいいんだけど」
 今日の夕食当番はラークか。
 あいつの料理もチョコさえなきゃなぁ……。
 若干杞憂に暮れながら砦に着いてしまったのであった。



この記事にコメントする






表示されているひらがなを入力してください
認証コード





web拍手 by FC2

あわせて読みたい

ブログ

123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930
アクセス数
ページビュー数

プロフィール

管理人です、まずはごあいさつ。
はじめまして、こんにちは。
管理人のカンザキです。

前のHP運営があんまりにもしんどいものなんでこっちに移転しました。
内容は
アニメ・マンガ・ゲームの二次創作イラスト&小説
オリジナル小説&イラスト
自作フィギュア画像
なんかを載せていく予定です。

コメントなどお気軽にどうぞ~。

好きなマンガ
とある科学の超電磁砲/CANAAN/喰霊・零/スレイヤーズ/クレイモア/けいおん!/フェアリーテイル/会長はメイド様/荒川アンダーザブリッジ/化物語/銀魂/夏目友人帳/逮捕しちゃうぞ/みなみけ/ロザリオとヴァンパイア/
好きなゲーム
サモンナイト3/テレジア/トワイライトシンドロームDS/スターオーシャンシリーズ(トライエース好き)/ヴァルキリープロファイルシリーズ/テイルズシリーズ(藤島画)/悪魔城ドラキュラ・奪われた刻印/鑑識官/ペルソナ3/サクラ対戦シリーズ/ひつじ村DS/ルーンファクトリーシリーズ/ルミナスアークシリーズ/Fate/フェイバリット・ディア/
好きなキャラ
※ゲーム
アティ(サモンナイト3)
シャノア(悪魔城ドラキュラ・奪われた刻印)
桐条美鶴(ペルソナ3)
レナス・シルメリア・レザード(ヴァルキリープロファイル)
識子(シンプルシリーズ・THE鑑識官)
女主人公(フェイバリット・ディア)

※アニメ
御坂美琴(とある科学の超電磁砲)
戦場ヶ原(化物語)
カナン(CANAAN)
黄泉(喰霊・零)
憂(けいおん!)
裏モカ(ロザリオとヴァンパイア)
テレサ(クレイモア)
エルザ(フェアリーテイル)
レイコ(夏目友人帳)
好きなアーティストとか
・水樹奈々!!声優ですけどね(^^;

ダントツ好きです!神です!私は信者です!!

・いきものがかり
・茅原実里  この人も声優
好きな傾向
怖い物好き、グロもOK(怖い話の範囲でね)

美人さんが大好き!
キレイなお姉さんは好きですか?
なにかのCMのフレーズでありましたね。
大好きですよ!
好きなキャラ見れば傾向が無差別に見えますが
こんな所に大半女性だという大雑把な傾向が見えましたね(笑)

男キャラはVPのレザード
アイツは最高です!!
変態が感染しそうなくらい濃いヤツでした。
QRコード
携帯用QRコード