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decide-first episode- (新規小説つづき2)

2012年1月23日 0時23分49秒 (Mon)

~女子棟~

「今日の試験で実質小等部でのランク付けが決まるらしいよ」
「え~、じゃぁじゃぁ昨日の筆記で良い点取れてなきゃ今日の実技でガンバルしかないのね」
「どうしよう、私あんまり運動は得意じゃないのよね」
「そうなの?私はむしろ勉強よりは体を動かす方が得意だから……」
 みな思い思いに雑談しながら準備をしていく。

「ねぇ、大丈夫?エアちゃん」
 声をかけてきたのはクラスメイトのアムルだった。
「アムルちゃん、大丈夫って?」
「うん、なんだか落ち込んでるみたいだったから」
「そう……かな、ううん大丈夫よ」
 アルムは優しい子だ。
 その気遣いにエアもずいぶんと助けられていた。
 母親や父親のことでからかわれる事はよくあった、けれども馴れる物ではない。
 その度にエアは落ち込んでいたのだ。
「そう、よかった」
「あら?おおかた先ほど男子たちに声をかけられていたことが原因ではなくて?
 ふふ、そのような方は大抵が相手に好意を持っていてよ。
 自分の感情とは裏腹な行動をしてしまう。
 オトコとは不器用な生き物なのよ、と。
 先日お母様がおっしゃっていましたわ」
 にこりと微笑みファネルは優雅に一礼し教室を出て行った。
 フォローをしてくれたのだろう。
「……ありがとう、ファネルさん」
 去り行く背にエアは礼を言った。


 試験には外部から保護者などの見学者や軍、貴族や権力者の立ち入り見学が広く許可されていた。
 理由は保護者は子供のために、その他の者は有能な人材を早期発見、確保する為だ。
 将来を変われる子供も多い事すなわち、教育現場にも大きなメリットなのだ。

「おい、見てみろよ。
 あそこの主賓席に座ってるのって軍のトップリーダじゃないか?」
「え?うそどこどこ?」
 数人の生徒が遠方の主賓席を指差し伺い見る。
 主賓席は会場を一望できる高所にあるのだ。
「トップリーダーって……」
「何だよ馬鹿にしたような顔して」
「いや、お前分かって言ってんのか?
 とおもって」
「はぁ~?
 わかってるにきまってるだろ!」
「という反応をするあたり分かってないんだろう」
「うっ」
「はいはい喧嘩しないでよ、私知ってるわよ。
 あの鎧についている紋章、たぶん元帥。でしょ」
「ちなみに元帥ってのはトップじゃないから。
 この国には国王の下に最高指揮官である総帥が6人とその下に元帥が居るんだぜ。
 元帥ってのは総帥の下って時点でナンバーツーだよな」
「…………う、うるせーな。
 現場に出る中ではトップだろ。
 ソウスイって命令しかしないって聞いたことあるぞ」
「は、それぞれの役割があるって事だろ。
 総帥が複数いるのだって----」
「はいはいもう分かったから」
「何だよ、お前が勉強不足だから教えてやったんだろ」
「大きなお世話だ」
 数人の生徒のざわめき。
 主賓として軍の責任者が来ることはそう珍しいことではない。
 しかし、生徒たちがざわめきだすほどに今回の主賓は格が違うのだ。

(紅の鎧、宝飾剣……)
 その元帥の姿をエアも仰ぎ見ていた。
 その姿には見覚えがあった。

 生徒の間だけでなく、保護者の間にもざわめきは広がっている。
「元帥様がこの試験を見にいらっしゃってるなんて。
 ここで目立てば元帥様のお目に留まるかもしれませんわ」
「まぁまぁ、ではその場で将来を約束されるようなものじゃありませんの」
「キャーー!
 あっちゃんがんばってーー!!」
「おいおい、あの紅の鎧。
 まさか、あのお方が来られているのか?」
 ざわめきは来校している軍関係者にも広がっていた。
 ただ、子供や保護者たちのざわめきとは違った意味合いで。
「血色の全身鎧、元帥の紋章、宝飾剣。
 条件は全部揃ってる。 
 オレも始めてみるけど、間違いないだろう。
 全戦不敗、戦の神とも言われるウィスタンテ様だ」
「あの方の逆鱗に触れれば自軍兵士といえど手にかける残忍さ。
 軍にとっても諸刃の剣のような方だと聞いている」
「噂は本当なのだろうか?」


「さぁ、皆さんお静かに!
 これより順に試験を開始します」

 試験の教官が手を打ち鳴らし生徒や保護者たちを静める。 
「試験は実戦形式のトーナメント戦とします。
 公平にクジ引きで組み合わせを決めていきます。
 なお、優勝者は最後に今日の主賓との手合わせも予定されていますので最後まで気を抜かずに全力を出し切って下さい」
 試験官の合図とともに生徒たちは順にクジを引いていき組み合わせは決まった。

「アズさんは初戦、委員長とあたるんですね」
「あぁ、普段からオレに文句つけて気に食わないと思ってたんだ。
 良いキカイだ、日頃の鬱憤晴らさせてもらうぜ」
「さすがアズさん」
「アズさんに敵うヤツなんてクラスには居ませんからね」
「当然だ」
「トールは初戦からファネルと当たるのか、運悪いよな」
「そ、そんなこと無いよ。
 ぼくだって女に負けたりなんかしないよ」
「バカか、女だからってナメた時点でお前の負けだトール」
「アズさん……」
「ですよね」
「あいつの余裕、ハッタリじゃないぜ」
「うううう、そういうデイリは誰とあたるのさ」
「おまえ……トーナメント表見ろよ。
 オレはメリルだ」
「ファネルの子分じゃないか」
「まぁ子分だな。
 オレはトールと違って油断しないから問題ないね」
「あっそ」

「初戦、ジュビーちゃんか……」
 クジの紙を見つめエアはため息をついた。
 実技は苦手だ。
 その上対戦相手がクラスメイト。
 顔見知りと戦うなんて理由があっても好ましくない。
「あら、なんて顔をしているのかしら」
「ファネルさん」
「エアさん、あなたクラスメイトが相手だからって下手な手抜きなんてしたら大怪我するわよ。
 なにより、相手に対して失礼だと思いなさい。
 間違っても私と当たってそんな行動に出たらどうなるか……」
「あの、はい気をつけます……」
 
 屋外競技場、試験内容は戦闘実技、場外以外はルール無用。
 地面に引かれたラインに囲われたステージが2つ用意され、二試合同時進行で行われた。
 
・アズ-初戦
 実力にモノをいわせじわじわと相手を追い詰め、快勝。
 2回戦進出。

・トール-初戦
 優勢かと思われた試合が一転逆転負け。
 1回戦敗退。

・デイリ-初戦 
 苦戦しながらも勝利。
 2回戦進出。

・ファネル-初戦
 対戦相手を優勢に見せかけ油断したところを逆転勝利。
 2回戦進出。

・メリル-初戦
 実力が及ばず敗戦。
 1回戦敗退。

・エア-初戦
 苦戦するも逃げ切り勝利。
 2回戦進出。

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