基礎無機化学 理解への道

  ここでは基礎無機化学の基本情報について纏める。
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□ 試料を作成する場合、価数の合計が0になるように試薬のmol数や重量(g)を調整します。下記の酸化状態と酸素(O-2)を覚えておけば、色々と役に立つでしょう。
□ あなたが研究する分野にもよりますが、試薬を透明な溶液(水やエタノールやエチレングリコールなど)に溶かす場合、試薬が透明にならなければ、試薬が溶液に完全に溶けているかどうかを疑うようにして下さい。特に、水やエタノールに溶けるかはMSDSに記載されていますから、実験を失敗して時間を無駄にする前にMSDSを調べておきましょう。
□ XRDで測定可能な試料であれば、目的の試料が出来ているかを確認します。粒径はXRDでも推定可能ですが、可能であれば、直接的によく分かるSEMやTEMを使用して下さい。
□ 仕込みでの価数と実際の価数は異なることがあります。XPSやEELSなどで確認をします。目的の価数になっていない場合は、仕込みの量を変えてみたりします。
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■ シャノンの有効イオン半径(R. D. Shannon, Acta Cryst. A32 (1976) 751.)
http://abulafia.mt.ic.ac.uk/shannon/ptable.php
http://curiouscubic.com/science/shannon-effective-ionic-radii/
http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/Min_G2.html
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※ 溶けるかどうかの理論的な理解は 溶解度パラメーター を勉強すると分かります。その結果、極性が近いものの方が溶けやすい傾向にあります。
無極性

| ヘキサン: CH3CH2CH2CH2CH2CH3
| ベンゼン: C6H6
| トルエン: C6H5CH3
| クロロホルム:CHCl3

極性非プロトン性:アセトン: CH3C(=O)CH3

| 1-ブタノール: CH3CH2CH2CH2OH
| 2- プロパノール: CH3CH(OH)CH3
| 1-プロパノール: CH3CH2CH2OH
| エタノール: CH3CH2OH
| メタノール: CH3OH
↓ 水: H2O
極性プロトン性
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疎水性: エーテル、ヘプタン、クロロホルム、塩化メチレン、トルエン、ヘキサン
親水性: 水、メタノール、エタノール、アセトン
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◆ 軌道の名称
s: sharp
p: principal
d: diffuse
f: fundamental

◆ エネルギー準位の順序
1s
2s 2p
3s 3p 3d
4s 4p 4d 4f
5s 5p 5d
6s 6p
7s
上記の配置を紙に描き、右上から左下へ斜め45°で順番に読み込んでいくと、エネルギー準位の順序となる。 つまり、1s, 2s, 2p, 3s, 3p, 4s, 3d, 4p, 5s......である。

◆ 周期表中の各族における元素の配列
s-ブロック元素:最外殻に1個のs電子をもつ(アルカリ金属)と2個のs電子をもつ(アルカリ土類金属)元素
d-ブロック元素:d軌道が満たされてゆく元素。遷移元素と呼ばれる。
p-ブロック元素:第V、W、X、Y、Z、0族の元素。最外殻のp電子が順番に満たされていく。
f- ブロック元素:f軌道が満たされてゆく元素。f電子は最外殻の2つの内側の殻に入る。

  周期 | 満たされてゆく準位 | 所属電子数
  第1  | 1s                           | 2
  第2  | 2s                      2p | 8
  第3  | 3s                      3p | 8
  第4  | 4s                3d  4p |18
  第5  | 5s                4d  5p |18
  第6  | 6s           4f  5d  6p |32

  アルカリ金属は第T族と記載される縦列にあり、これらはすべて最外殻に1個のs電子をもち、すべて同じような性質を示す。たとえば、この族の一つの元素がある試薬と反応すれば、その族の他の元素も大体同じように反応し、同様な化学式をもつ化合物を形成する。すなわち新しい化合物の反応とその化学式は既知の化合物との類似によって予測できる。

◆ 結合形式
  原子が安定な電子配置を達成するには、電子を失ったり、得たり、共有するような若干の方法がある。いま元素をつぎの三つに分類する。
T) 電気陽性元素:この原子は1個またはそれ以上の電子をかなり容易に失う。
U) 電気陰性元素:この原子は電子を取り込みやすい。
V) 電子を失ったり、得たりする傾向を持たない元素
◇ イオン結合
  電気陽性元素 + 電気陰性元素
◇ 共有結合
  電気陰性元素 + 電気陰性元素
  しばしば、共有結合は二つの原子を結ぶ’直線’で表し、配位結合はどの原子が電子を与えているかを示す矢印で表す。
◇ 金属結合
  電気陽性元素 + 電気陽性元素
  金属は通常次の三つの幾何学的配置をとる。
(1) 面心立方(立方最密充填)
(2) 六方最密充填
(3) 体心立方
  負に帯電した電子がこれらのイオンを結び付け、この電子は中世の金属原子から由来しているので、陽電荷と陰電荷はつりあっている。金属の際立った特徴はその非常に高い電気伝導率にあり、これは格子を通ってこれらの電子が自由に動くことができるためである。金属、合金の結合理論の総説として次の文献がある。
  W. Hume-Rothery, The Metallurgis, 3, 11 (1964); B. L. Mordike, Research, 13, 179 (1960).

◆ イオン結合化合物と共有結合化合物の一般的性質
・イオン結合を含む化合物では陽イオンと陰イオンが格子状に規則的に配列している。
・イオン間の吸引力は静電的であり、方向性はなく、すべての方向に等しく広がっている。
・この化合物を融解するには格子を壊す必要がある。そのためには、かなりのエネルギーが必要であり、融点および沸点は通常高く、化合物は非常に硬い。
・共有結合化合物はふつう1個1個の分子から出来上がっており、結合は方位性を有し、強い共有結合力が分子中の原子の間に存在する。固体においては一つの分子と他の分子の間に働く力はファンデルワールス力だけである。それゆえ、この化合物を溶かすかまたは蒸発させるに要する熱エネルギーはファンデルワールス力に打ち勝つに要する少ない量である。
・したがって、共有結合化合物は気体か液体かまたは低融点の固体であることが多い。
・イオン結合化合物は融解状態あるいは溶液ではイオンが電極の方へ移動するので電気を導く。電極ではイオンは電荷を失って中性になる。
・イオン結晶では、イオンは結晶格子中の定まった場所に固定されているので、動くことはできず電気を導くことはできない。もし結晶が完全ではなく(多くの結晶は格子欠陥をもつ)、格子位置が空になっており、イオンが失われていると、イオンが格子位置から空隙位置に移動し、非常に微小な電気伝導性が生じる。これに反して、共有結合化合物は絶縁体である。これは電荷をもたず、固体、液体、気体状態のいずれにおいても電流を流さない。
・イオン結晶化合物はふつう極性溶媒、すなわち、比誘電率の高い、たとえば水のような溶媒に可溶である。共有結合化合物は通常はこのような溶媒には溶解せず、非極性溶媒(有機溶媒)、たとえばベンゼンや四塩化炭素のような比誘電率の低い溶媒に可溶である。
・イオン反応は反応化学種がただ衝突するだけであるから迅速である。共有結合化合物の反応は、通常、結合が切れ、それから他の基が置換するか付加するので一般に遅い。すなわち反応体分子間の衝突のうち充分なエネルギーをもっている場合だけ反応を起こす。

◆ 化学量論的欠陥
  化学量論的化合物、すなわち陽イオンと陰イオンの数が、その化学式によって示される比とまったく同じ化合物では、二つの型の欠陥が観察される。これらは、それぞれSchottky欠陥およびFrenkel欠陥と呼ばれる。絶対零度においては結晶は、整然と並んだ配列をとる傾向がある。温度が増加すると、イオンによって占められていない格子内のぬけ穴が増加する。これが欠陥であり、欠陥の数は温度に依存するので、ときには熱力学的欠陥とよばれる。1cm3あたりに形成される欠陥の数(n)は、次の式で表される。
  n = N * exp (-W/(2 * k * T))
ここで、Nは1 cm3あたりの格子の数、Wは欠陥をつくるに要する仕事、kは気体定数、Tは絶対温度である。
◇ Schottky 欠陥
  結晶格子から1個の陽イオンと1個の陰イオンが失われると、結晶格子には空孔の対ができる。この種の欠陥は、高い配位数をもちイオン結合性の強い化合物において形成される傾向があり、この場合には陽イオンと陰イオンは、たとえばNaClとCsClのような大体同じ大きさのものである。
◇ Frenkel 欠陥
  正しい結晶格子の位置ではなく、間隙にイオンが位置する場合にも結晶格子には空孔ができる。この種の欠陥は、陽イオンと陰イオンの大きさが著しく異なる場合にできやすい。陽イオンは一般に陰イオンより小さいので、間隙に位置するのは陽イオンであるのが普通である。小さな陽イオンは、分極作用が強く、大きな陰イオンは分極されやすいので、これらの化合物はいくらか共有結合的性格を持つ。このイオンのゆがみ、および同種の電荷の接近のため、高い誘電率が生じる。低い配位数をもつ化合物では、結合力が弱く破壊されやすいのでFrenkel欠陥を生じやすい。この種の欠陥の例ではZnSとAgBrである。
  一般にSchottky欠陥を形成するのに必要とするエネルギーは、Frenkel欠陥を形成するのに必要とするエネルギーよりも少なく、与えられた化合物では、一般にどちらか一つの欠陥だけ生じる。NaClではSchottky欠陥を形成するエネルギーは、約200kJ/molであり、格子エネルギーは約750kJ/molである。それゆえ、結晶格子を破壊するより欠陥をつくる方が簡単である。欠陥の数は比較的少なく、室温においてはNaClは10^15の格子の場所の中にただ1個、500℃では10^6につき1個、800℃では10^4につき1個の欠陥が生じる。
  結晶性の個体の中で、これらの欠陥が生じると、イオン的な機構によって少し電気伝導性を帯びる。もし一つのイオンがその格子位置から移動して、空孔を占有すると新しい空孔ができる。このようにして空孔は結晶の中を移動するので一つの電荷が反対方向に移動するということになる。
  欠陥格子の密度は、空孔があるので完全格子よりも低いはずである。しかしながら間隙イオンが存在すると、格子は膨張し単位格子の大きさは増大する。一方、空孔が非常にたくさん存在する場合には、部分的な崩壊あるいは格子のゆがみが生じるので、このような場合には密度の変化を予測することはできない。

◆ 非化学量論的欠陥
  非化学量論的化合物すなわちベルトリド化合物は、化学組成がある範囲内で変動し、組成一定の法則には従わない。このような化合物では、陽イオンと陰イオンの比が理想的な化学式で示される比と異なるので、+と-の電荷のつりあいは余分の電子または余分の+の電荷の存在によって保たれる。そこでこの化合物の構造は、いささか不規則になる。すなわち、すでに述べた正常な熱力学的欠陥のほかに別の欠陥が加わることになる。非化学量論的というのは、金属原子あるいは非金属原子が過剰に存在することを意味する。
◇ 金属過剰
  これは次の二つの方法のどちらかで生じる。
  一つは、陰イオンがその結晶格子から失われて空孔が生じ、1個の電子がその場所を専有して電気的なつりあいが保たれているものである。これはどちらかといえば、間隙イオンが存在するFrenkel欠陥ではなくて、空孔が存在するSchottky欠陥に似ていはいるが、1対の空孔が形成されているのではなくてただ1個の空孔が形成されているものである。この種の欠陥はSchottky欠陥を形成すると期待される結晶でつくられる。まれな例ではあるが、NaClをNa蒸気で処理すると黄色の非化学量論型のNaClが得られる。また、同様の方法によって薄紫色の非化学量論型のKClを作ることができる。
  もう一つの方法は、格子の中の間隙位置に余分の陽イオンを占有させて金属過剰欠陥を作る。電気的な中性は間隙位置に存在する電子によって保たれる。この種の欠陥は、むしろイオンが間隙位置を占めるFrenkel欠陥に似ているが、空孔は存在せず、格子間隙に電子も存在するところが異なる。このイオン過剰欠陥の第二の型は、さきの第一のものよりも一般的なものであり、たとえばZnOのようなFrenkel欠陥を形成すると期待される結晶でみられる。
  金属過剰欠陥の結晶は以上二つのどちらも自由電子を含み、これらが移動すれば電流を導く。この場合、欠陥は比較的少なく電気を導く自由電子は少ないので、金属や溶融塩や水溶液中の塩に比較して少ない電流しかながれないので、これらの物質は半導体とよばれる。この機構は、正常電子伝導であり、これらはn型半導体とよばれる。これらの自由電子は、より高いエネルギー準位に励起され吸収スペクトルを与えるので、これらの化合物は、しばしば着色している。たとえば、非化学量論的なNaClは黄色、非化学量論的なKClは薄紫色であり、ZnOは冷たい場合は白色、加熱すると黄色である。
◇ 金属不足
  理論的には金属不足は二つの場合に起こりうる。両方とも金属の原子価の変化が必要であり、それゆえ、遷移金属で生じる。第一の場合では、陽イオンがその格子位置から失われ二つの電荷をもつ近傍の金属イオンによって電荷はつりあう。この例はFeO, FeS, NiOである。
  第二の場合、間隙位置に余分の陰イオンをもち、余分の電荷をもつ近傍の金属イオンによって電荷がつりあう。しかしながら、通常陰イオンは大きいので、間隙位置にはいりこむのは非常に困難だと思われる。事実このような陰イオンを間隙位置に含むような結晶は、現在知られていない。
  金属不足欠陥をもつ結晶は、A+イオンからA2+イオンへの電子の移動、すなわち、みかけ上A2+の移動が起こるので半導体である。これは正孔、すなわち、p型半導体とよばれる。
  非化学量論的化合物についての詳細は次の文献を参照せよ。
Greenwood, N. N, "Ionic Crystals, Lattice Defects, and Non-Stoichiometry", Butterworths (1968).
Adams, D. M., "Inorganic Solids", Wiley (1974).
Galwey, A. K., "Chemistry of Solids", Science Paperbacks and Chapman and Hall Ltd., London (1976).

◆ 元素の一般的性質

◆ p-ブロック元素
◇ 第V族
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
ホウ素   |B     |[He]                2s2 2p1|     3
アルミニウム|Al    |[Ne]                3s2 3p1|(1)  3
ガリウム  |Ga     |[Ar]        3d10 4s2 4p1|  1   3
インジウム |In    |[Kr]        4d10 5s2 5p1|  1   3
タリウム  |Tl    |[Xe] 4f14 5d10 6s2 6p1|  1   3
酸化状態に対するすべての数値で、最も重要な状態は太字で示した。これらは一般的に最も多く存在し、最も安定である。よく調べられてはいるが、あまり重要ではない状態は普通の字で示した。不安定な、あるいは疑問がある酸化状態には括弧を付けた。

◇ 第W族
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
炭素    |C     |[He]                2s2 2p2|     4
ケイ素   |Si    |[Ne]                3s2 3p2| (2)  4
ゲルマウム |Ge     |[Ar]        3d10 4s2 4p2|  2   4
スズ    |Sn    |[Kr]        4d10 5s2 5p2|  2   4
鉛     |Pb    |[Xe] 4f14 5d10 6s2 6p2|  2   4

◇ 第X族
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
窒素    |N     |[He]                2s2 2p3|1 2 3 4 5
リン    |P     |[Ne]                3s2 3p3|      3  5
砒素    |As      |[Ar]        3d10 4s2 4p3|      3  5
アンチモン |Sb    |[Kr]        4d10 5s2 5p3|      3  5
ビスマス  |Bi    |[Xe] 4f14 5d10 6s2 6p3|      3  5

◇ 第Y族
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
酸素    |N     |[He]                2s2 2p4|-2 (-1)
硫黄    |S     |[Ne]                3s2 3p4|-2 (2) 4 6
セレン   |Se      |[Ar]        3d10 4s2 4p4|(-2) 2 4 6
テルル   |Te    |[Kr]        4d10 5s2 5p4|       2 4 6
ポロニウム |Po    |[Xe] 4f14 5d10 6s2 6p4|      2 4

◇ 第Z族
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
フッ素   |F     |[He]                2s2 2p5|-1
塩素    |Cl    |[Ne]                3s2 3p5|-1 1 3 4 5 6 7
臭素    |Br      |[Ar]        3d10 4s2 4p5|-1 1 3 4 5 6 7
ヨウ素   |I      |[Kr]        4d10 5s2 5p5|-1 1 3   5   7
アスタチン |At    |[Xe] 4f14 5d10 6s2 6p5|

◇ 第0族

◆ d-ブロック元素
元素|  Sc |  Ti   |   V  |  Cr |  Mn |  Fe  |  Co |  Ni  |  Cu  |  Zn  |
電子|d1s2|d2s2|d3s2|d5s1|d5s2|d6s2|d7s2|d8s2|d10s1|d10s2|
錯体|   0  |   0  |   0  |   0  |   0  |   0  |   0   |   0  |   0   |   0   |
酸化|       |       |      |       |       |       |        |       |   1   |        |
      |   2  |   2  |   2  |   2  |   2  |   2  |   2   |   2  |   2   |   2   |
      |   3  |   3  |   3  |   3  |   3  |   3  |   3   |   3  |   3   |       |
      |       |   4  |   4  |   4  |   4  |   4  |   4   |   4  |        |       |
      |       |       |   5  |   5  |   5  |   5  |   5   |       |       |       |
      |       |       |       |   6  |   6  |   6  |        |       |       |       |
      |       |       |       |       |   7  |       |        |       |       |       |

◇ スカンジウム族
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
スカンジウム|Sc    |[Ar]                3d1 4s2|     3
イットリウム|Y     |[Kr]                4d1 5s2|     3
ランタン  |La    |[Xe]                5d1 6s2|     3
アクチニウム|Ac    |[Rn]                6s1 7s2|     3

◇ チタン族
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
チタン   |Ti    |[Ar]                3d2 4s2|(-1 0 2 ) 3 4
ジルコニウム|Zr     |[Kr]                4d2 5s2|     0 (2 3) 4
ハフニウム |Hf    |[Xe]         4f14 5d2 6s2|         (3) 4
トリウム  |Th    |[Rn]                6s2 7s2|         (3) 4

◇ バナジウム族
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
バナジウム |V     |[Ar]                3d3 4s2|(-1) (0) 2 3 4 5
ニオブ   |Nb     |[Kr]                4d3 5s2|(-1)     2 3 4 5
タンタル  |Ta    |[Xe]         4f14 5d3 6s2|(-1)     2 3 4 5
プロトアクチニウム|Pa |[Rn]                6s3 7s2|            (3) 4 5

◇ クロム族
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
クロム   |Cr     |[Ar]                3d5 4s1|-2 -1 0 (1) 2 3 4 (5) 6
モリブデン |Mo     |[Kr]                4d5 5s1|-2      0 1 2 3 4 5 6
タングステン|W     |[Xe]         4f14 5d4 6s2|-2      0 1 2 3 4 5 6
ウラン   |U     |[Rn]6s4 7s2 or 5f3 6d1 7s2|        2 3 4 5 6

◇ マンガン族
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
マンガン  |Cr     |[Ar]                3d5 4s2|-3 -1 0 1 2 3 4 (5) 6 7
テクネチウム|Mo     |[Kr]                4d5 5s2|         0 1 2 (3) 4 (5) (6) 7 
レニウム  |W     |[Xe]         4f14 5d5 6s2|    -1 0 1 2 3 4 5 6 7

◇ 鉄
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
鉄     |Fe     |[Ar]                3d6 4s2|-2 0 1 2 3 4 5 6
ルテニウム |Ru     |[Kr]                4d7 5s1|(-2) 0 (1) 2 3 4 5 6 7 8
オスミウム |Os    |[Xe]         4f14 5d6 6s2|    0 1 2 3 4 5 6 (7) 8

◇ コバルト
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
コバルト  |Co     |[Ar]                3d7 4s2|-1 0 1 2 3 (4) (5)
ロジウム  |Rh     |[Kr]                4d8 5s1|-1 0 (1) 2 3 4 5 6
イリジウム |Ir     |[Xe]         4f14 5d7 6s2|    0 1 2 3 4 (5) 6

◇ ニッケル族
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
ニッケル  |Ni     |[Ar]                3d8 4s2|-1 0 1 2 3 4
パラジウム |Pd     |[Kr]                   4d10|-1 0   2   4
白金    |Pt     |[Xe]         4f14 5d9 6s1|   0   2   4 5 6

◇ 銅族
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
銅     |Cu     |[Ar]               3d10 4s1|1 2 3
銀     |Ag     |[Kr]               4d10 5s1|1 2 3
金     |Au     |[Xe]        4f14 5d10 6s1|1 (2) 3

◇ 亜鉛族
元素     | 元素記号 |    電子配置    |酸化状態*
亜鉛    |Zn     |[Ar]               3d10 4s2|  2
カドミニウム|Cd     |[Kr]               4d10 5s2|  2
水銀    |Hg     |[Xe]        4f14 5d10 6s2|1 2

◆ fブロック元素
◇ ランタノイド系列
元素     | 元素記号 |      電子配置     |酸化状態*
ランタン  |La    |[Xe]        5d1 6s2|              |         3
セリウム  |Ce    |[Xe]  4f1 5d1 6s2|4f2     6s2|        3 4
プラセオジム|Pr    |[Xe]  4f2 5d1 6s2|4f3     6s2|         3 (4)
ネオジム  |Nd    |[Xe]  4f3 5d1 6s2|4f4     6s2|(2?)    3 (4?)
プロメチウム|Pm    |[Xe]  4f4 5d1 6s2|4f5     6s2|         3
サマリウム |Sm    |[Xe]  4f5 5d1 6s2|4f6     6s2|(2)     3
ユウロピウム|Eu    |[Xe]  4f6 5d1 6s2|4f7     6s2| 2      3
ガドリニウム|Gd    |[Xe]  4f7 5d1 6s2|4f7 5d1 6s2|(2?) 3
テルビウム |Tb    |[Xe]  4f8 5d1 6s2|4f9     6s2|         3 (4)
ジスプロシウム|Dy   |[Xe]  4f9 5d1 6s2|4f10    6s2|         3 (4?)
ホルミウム |Ho    |[Xe] 4f10 5d1 6s2|4f11    6s2|        3
エルビウム |Er    |[Xe] 4f11 5d1 6s2|4f12    6s2|        3
ツリウム  |Tm    |[Xe] 4f12 5d1 6s2|4f13    6s2|(2?) 3
イッテルビウム|Yb   |[Xe] 4f13 5d1 6s2|4f14    6s2| 2    3
ルテチウム |Lu    |[Xe]  4f14 5d1 6s2|4f14 5d1 6s2|     3
◇ 色
  多くの3価のランタノイドイオンは固体状態および水溶液中で顕著な色をもっている。
     |4f電子の数|  色  ||     |4f電子の数|  色  |
La3+ |      0       | 無色  ||Lu3+ |     14      | 無色  |
Ce3+ |      1       | 無色  ||Yb3+ |     13      | 無色  |
Pr3+ |      2       | 緑色  ||Tm3+ |     12      |極淡緑色|
Nd3+ |      3       |ふじ色  ||Er3+ |     11      |ピンク色 |
Pm3+ |      4      |ピンク色 ||Ho3+ |     10      |淡黄色  |
Sm3+ |      5      | 黄色  ||Dy3+ |      9      | 黄色  |
Eu3+ |      6       |淡ピンク色||Tb3+ |      8      |淡ピンク色|
Gd3+ |      7       | 無色  ||Gd3+ |      7      | 無色  |
この色は不対f電子の数に依存するように思われ、x個のf電子をもつ元素はしばしば(14-x)個のf電子をもつ元素と同色である。
  一方、他の原子価の色は、対応する等電子構造+3をもつものの色と同じではないという事実(Ce4+:橙赤色、Sm2+:赤褐色、Eu2+:麦わら色、Yb+2:緑色)があるので、上記の理論はもっと複雑なものである。
  色というものはある電子遷移に対応する特定の波長の光の吸収によって生じるものである。これらの元素の吸収スペクトルの帯は普通とは異なって鋭く、4f準位内の電子遷移によって生じる。この遷移型は通常は禁制遷移であるが、ランタノイドの吸収帯が鋭いこと、およびこれにくらべて遷移元素の吸収帯(d準位内の遷移)がより広がっていることを説明するものである。この吸収スペクトルを生じる原因となるf電子は最外殻から内側に向かって第三番目の殻にあり、原子の’内側’に存在するので、たとえば外殻電子が影響を受ける錯形成のような環境因子はこの吸収帯にはほどんど影響しない。この吸収スペクトルはランタノイドの定性および定量分析に有用である。Ce3+およびYb3+のような無色のイオンは紫外領域に強い吸収帯を有する。

J. D. LEE 著、 浜口博 訳、 基礎無機化学、東京化学同人
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