超伝導材料

(編集中) ここでは超伝導材料の研究に関する情報を掲示しておく。
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今年(2011年)は超伝導発見から100周年という説目であることから、応用物理学会 Vol 80 (2011). にて特集記事が組まれている。これ以外にも大変魅力的な特集記事が他の巻にあるため、可能な限り目を通しておかれたい。

1) BCS理論の枠内での議論

BCS理論による超伝導臨界温度 Tcが高いと予測される材料
1. 結晶格子の振動数が高いこと
2. 電子と格子との相互作用が大きいこと
3. フェルミ面での電子状態密度が高いこと
しかしながら、電子-格子相互作用を強くするとTcは上昇するが、あまり強くしすぎると実空間でペアを作って電荷密度波(Charge Density Wave : CDW)を形成してしまう。(電子格子相互作用が強くて、かつ、多くの電子を巻き込むことができる状態であると、格子が電子を安定化させる方向に自発的にひずんでしまう。すなわち格子の不安定化が起き、相転移が起きてしまう)

BCS理論の枠内において、超伝導臨界温度 Tcは次の式で与えられる。
Tc = Θ * exp(-1/λ) [1]
ここで、Θはデバイ温度、λはフェルミ面での状態密度 * 電子-格子間の相互作用の大きさである。
この式より、デバイ温度が高いほど、高温で超伝導となる可能性がある。ダイヤモンド(デバイ温度 : 2000 K〜2200 K)及びグラフェン(デバイ温度: 〜2800 K)[1]はその有力な候補となる。一方、グラファイトのデバイ温度は402 Kである。
(多層グラフェンとグラファイトの違いがどこで現れるかは明らかになっていない。2層以上では単層よりも移動度が減少するという報告がある[2]。余談であるが、SiO2上では水素終端されない場合、グラフェンでギャップが開くことが理論予測として報告されている[3])
※ 2012年の現在、BCS理論の枠内では第一原理の理論計算で予測が可能であるが、BCS理論ではない機構で超伝導が起こる物質は予測できない。フォノンを計算し、ωが負となった場合は相転移が起こっている場合がある。

2) BCS理論で説明できない超伝導材料
電子は他の電子の存在を強く意識して動き回る。電子が動くときフォノンだけではなく、他の励起を引きずることになる。他の励起として、0.15 eVという大きなエネルギースケールをもつスピン励起(反強磁性揺らぎ)が有力な候補となっている。

3) 超伝導材料の探索方法
A. 電荷密度波を持った物質のλを何らかの方法で小さくすると、超伝導が出現する可能性がある(そのため、Bednorz-MullerはCu2+を含んだ静的にゆがんだ系において、λを小さくすることによって格子の揺らぎを大きくし、高いTcを実現しようとしたのではないかと思われる)。

4) 超伝導材料の探索における研究の方法
A. 銅系で初めて高温超伝導のきっかけを報告したIBMチューリッヒのBednorz と Mullerは、電子格子相互作用を強めるためにヤーン・テラー(Jahn-Teller)効果を示すイオンを含む物質に注目していた。
B. K点越えの夢と思われていた液体窒素温度超伝導体を発見することになったヒューストン大グループのChuらは、超高圧で物質の安定領域を拡大して臨界温度を高めようとしていた。
C. ヘビーフェルミオン(Heavy Fermion)と呼ばれるフェルミ準位での状態密度が異常に高い希土類を含む金属間化合物に注目している研究者もいた。
D. 元素置換でも超伝導臨界温度が変化したり、超伝導化が可能になったりする(NbSe3はCDWであり、これにTaを置換したNb1-xTaxSe3は超伝導化に成功している報告がある)。
E. 元素をドープ(半導体などにキャリアを注入)することで超伝導臨界温度が変化したり、超伝導化が可能になったりする(ボロンをドープしたダイヤモンドやSiC、AlNなどの超伝導化に成功している報告がある)。

[1] M. S. Fuhrer, Physics 3 (2010) 106.
[2] K. Nagashio et al., arXiv:0812.2107v1 (2008).
[3] N. T. Cuong et al., Phys. Rev. Lett., 106 (2011) 106801.
[4] 数式を含んだ文献として、日本物理学会誌 2011年10月号、Vol. 66 を参照しておくと良いだろう。
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