XAFS測定

  ここでは XAFS 測定の方法について述べる。理論計算との比較は左欄「XAS&EELS」を参照。解析に際して知っておくと良い情報を左欄の「XAFS tips」に記載いたしました。
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■ EXAFS測定 (研究室によって流儀がある)
a. 最低でも目的とするピークから200 eVの範囲は取るようにする
   Tiなどの大きな原子数になると、ピークの前が250 eV, ピークからは700〜1000 eV を測定する。
 (炭素なら7Å、他の元素なら10〜15Åは取れるようにしておくと良い)
 (炭素は酸化していると酸素の吸収が邪魔になり広い範囲で取れない。窒化していればさらに測定範囲が狭くなってしまう)
b. 読み取りのエネルギーステップ
  1. ピーク前: 10 eV/s 以下 のステップ(もっと小さなステップにするとよい)
  2. ピーク前後: 0.1〜0.2 eV/s ステップ(最悪の場合、0.8 eV/s)
    (より詳細に取りたい場合に 0.1 eV/s ステップ。分光結晶の分解能で制限される。分光結晶の分解能が0.5 eVの場合 0.2 eV/s ステップ。0.7eVの場合 0.5 eV/s ステップにするなど)
  3. ピークから 50 eV程度後、2 eV/s ステップ
  4. ピークから 100 eV程度後、4 eV/s ステップ
  ※ ピーク前 5 eV 〜 10 eV は取り扱う試料によっては立ち上がりが異なる場合があるので注意。Ni foil と NiO などが良い例。
 ※ 蛍光測定の場合、ノイズが大きい場合、1 step を 1 s 以上、時に 5〜10 s とすることもある。 
c. 測定時間
  放射光 1分〜1時間30分(下記に詳細)、研究室光源 3時間程度
d. AthenaとArtemis で解析
e. フーリエスペクトルを出すだけでもよい

□ 試料準備 (下記のどれかが多い)
・ カーボンテープ上に試料をまぶす
・ 両面テープ上に試料をまぶす
・ 試料を錠剤にする
・ 「ポリスチレン+トルエン」に均一分散させてシール化
・ BN(ほとんど使われない)

□ 放射光施設及び装置
軽元素: UVSOR, EELS
軽-重元素(TiやCr):立命館SR, 佐賀LSなど
重元素: PF, SPring-8

□ 利用料金
立命館SR: 約20万円 / 8h
佐賀LS: 約40万円 / 8h
PF(BL-7C):?
SPring-8:?

□ XAS: X-ray Absorption Spectroscopy
  XAFS: X-ray Absorption fine Strucuture
    EXAFS: Extended X-ray Absrption Fine Structure
    XANES (NEXAFS): X-ray Absroption Near Edge Structure

□ 測定での小技
Countが思ったよりも少なかった場合
・ ビームモニターの高さや位置が最適かを確認する
・ 感度の良いガスかsampleを薄くする
・ ビームの大きさを決める(下流側からSlitを開く)

□ 論文を書くために
・ 生スペクトル、Χ(カイ)、動径分布 の3つの図を見せることが重要。
・ 生スペクトルからμを引いて、エッジジャンプで規格化した後に、終わりの方が水平になっているかを確認。そうなっていなければμを引きなおすか、水平になっていない端の部分を除く。
・ μの引き方は、ピークの前のデータから引くか、ピークの前後のデータを考慮して引く方法がある。大抵の場合、多項式関数が用いられる。
・ 横軸のキャリブレーションは Cuなどの標準試料を用いる。Cuのスペクトルでの最初のピークをE0にするか、または、Cuのスペクトルを微分して、微分する前での最初のピークの直ぐ後にある、微分したときのピーク位置をE0とする。
・ FEFFは計算するモデルが間違っていなければ、横軸の精度が高い。そのため、FEFFの結果を利用して実験値の横軸を補正することも行われる。
・ Χに掛けるkの重みは1〜3で良い。重たい元素ほど重みも大きくする。(4にすることもある)。
・ Χはその上下の振動の中心が横軸に水平になっているようにする。傾いていたりすると×。
・ Χからフーリエ変換して動径分布関数を得るときに、余分なÅまで入れると誤った結果になる。約2〜10Åまたは約2〜15Å程度まで考慮するようにすると良い(場合によっては、1Å近辺からも計算に考慮できる場合がある)。
・ Χからフーリエ変換するÅの幅が広いほど、動径分布関数での半値幅は狭くなる。
・ 動径分布関数での横軸の精度は高いが、配位数は横軸よりも精度が悪いと一般的にいわれている。
・ 動径分布関数が予想と合わない場合には、位相シフト(熱振動により原子間距離が短く出る)が計算に考慮されているかをチェックする。
・ 動径分布関数は単一の元素からなっていないことに注意する。

□ 動径分布関数の強度を比較したときでの解釈(あくまでも参考)
・ 第三近接あたりで強度が弱くなる: 微結晶や準結晶
・ 第二近接を超えた辺りで分布が変化(または強度が弱くなる): 第1〜2隣接原子までOrderしている。
・ 第一近接あたりまで分布が変化:アモルファス、メカニカルアロイングされた試料
[1] http://athenaandartemis.seesaa.net/category/6719310-1.html
[2] http://support.spring8.or.jp/Doc_lecture/PDF_090127/xafs_4.pdf
[3] http://pfwww.kek.jp/innovationPF/04_EVENT/XAFS_Seminor_0910/theory.pdf
[4] http://pfwww.kek.jp/jxs/

□ 理論や適応範囲
左欄の「XAS&EELS」を参照。

附録:EXAFSの分析方法
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SPring-8での講習会 : http://support.spring8.or.jp/event/XAFS_110113.html
SPring-8産業利用推進室:http://support.spring8.or.jp/xafs.html
XAFS講習会資料 : http://pfwww.kek.jp/innovationPF/04_EVENT/XAFS_Seminor_1010/analysis.pdf
AthenaとArtemisを用いたEXAFS解析 : イトー様のHP
http://athenaandartemis.seesaa.net/category/6429149-1.html
Athena : http://cars9.uchicago.edu/~ravel/software/
産業利用:http://support.spring8.or.jp/Doc_lecture/Text_090127.html
Cu箔:http://support.spring8.or.jp/Doc_lecture/PDF_090127/xafs_4.pdf
ZnO結晶:http://support.spring8.or.jp/Doc_lecture/PDF_090127/xafs_5.pdf
PF-XAFS:http://pfwww.kek.jp/nomura/pfxafs/
http://athenaandartemis.seesaa.net/article/234545494.html
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■ SPring-8 BL27SU測定(軟X線吸収分光法)

□ XAFS測定でのセットアップ
1) カレントアンプ428 : I0 (M4ミラー), ゲイン9
    FILTER 3 msec をON
2) カレントアンプ428 : I (sample), ゲイン10
    FILTER RISETIME を押して、つまみを回し、 3 msec にする。
    FILTER が ON になっているのを確認
3) 固体@のoutがCh0に接続されていることを確認
4) 固体AのoutがCh2に接続されていることを確認
5) 固体@と固体AのケーブルがV/Fコンバーターに接続されていることを確認
   ( 固体@はCH1, 固体AはCH2に接続、NEGにセット)
6) XASの測定中にSample Current (CH2)が飽和した場合は、アンプのゲインを小さな値にする。(例えば、カレントアンプ428 : I (sample), ゲイン10 → ゲイン9 へ)
* 試料に流入する電流 1 nA →(カレントアンプ : ゲイン 9 : 電流値が10の9乗倍の大きさの電圧値に変換される )→ 1 V → (V/Fコンバーター)→10万パルス (カレントアンプの出力は0〜10 V であるので、カウント数が飽和していた場合は、ゲインの値を減らす)
7) 測定時はカレントアンプ のZeroチェックをOFFにする
    BL27_VLSPGM_scan_main.vi を立ち上げて測定に入る
    データ保存はLドライブのXESPESstationへ
8) 試料移動時はカレントアンプのZeroチェックをONにする

□ XAS測定(C K-edge での例)
1) 下記のような条件にしておけばよいだろう。
    Activity O, Start energy (eV) 302.000, Stop energy 279.000, Step energy 0.100, Grating G3, pluse speed 1000, E-vector Horizontal, resolution 3000, Counter Preset 1.0
    Activity O, Start energy (eV) 302.000, Stop energy 279.000, Step energy 0.100, Grating G3, pluse speed 1000, E-vector Vertical, resolution 3000, Counter Preset 1.0
2) 上記の二つ(HorizontalとVertical)の合計の測定時間は、約34分30秒である。

□ XAFS測定(C K-edge での例)
80 - 300 eV, 0.35 step energy でも1時間30分程度の測定時間が掛かる。
2) C : 275 - 530 eV, 0.35 step energy
3) O : 520 - 770 eV, 0.35 step energy

□ ビームアボートから復旧後の対処方法
1) telnet接続のコメントの中で下記が流れる
 ID Gap can be changed by users > ID-BL
 (「フィリング変更の為、本日10時にユーザー運転を一時中断します」にも注意)
2) MBSを開ける
  (パネル上のMBSを押す→open → Enter)
3) Local + Remote にする
 (パネル中の左下にあるlocal 〜を押して、local Remote を選択する)
4) Gapの値を確認(web上で確認できる)
 (XAS測定の出力データで、E(Y), Gap にGapの値が書かれているのでチェックする)
  機器グループから検索するオンライン/アーカイブデータベース上の最新データ
  bl_id → bl_id27 を押して待つ → bl_id27_gap / position (10秒/1回 更新される)
5) Gapが開ききったままの時は、自分で設定する
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水の研究
[1] 水の中の溶質分子の電子状態観測(SPring-8 BL17SU)については: 徳島高、堀川裕加、応用物理、80 (2011) 898.
[2] 水分子の高速ダイナミックス(IRによる観測)については: 芦原聡、応用物理、80 (2011) 894.
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