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固体酸化物型燃料電池(SOFC)

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■ 固体酸化物燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell: SOFC)

◇ 燃料電池の固体電解質として求められる基本的な性質
 固体電解質にはいろいろな伝導イオン種のものが知られているが、燃料電池に利用できるものは酸素イオンO2-(酸化物イオン)伝導体と水素イオンH+(プロトン)伝導体である。このうち、現在開発が進められているがSOFCには、もっぱら酸素イオン伝導性固体電解質が使われている。燃料電池の固体電解質として求められる基本的な性質を列挙すると、
1) イオン導電率が高い
2) 高温酸化雰囲気および還元雰囲気で安定
3) 電子伝導の混入が少ない
4) 機械的強度に優れる
5) 高温で周辺材料と化学反応して劣化しない
などである。
 燃料電池に利用し得る酸素イオン伝導体と、現在、ジルコニア系、セリア系、ペロブスカイト系の3系統の酸化物が知られている。これら3種類の酸化物の燃料電池用固体電解質としての特徴と組成の代表例を下の表で示す。
固体電解質 代表的な組成 おもな特徴
ジルコニア (ZrO2)0.9(Y2O3)0.1
(ZrO2)0.94(Sc2O3)0.06
化学的に安定
機械的強度大
比較的安価
セリア (CeO2)0.9(Sm2O3)0.1
(CeO2)0.9(Gd2O3)0.1
導電率高い
高温で還元されやすい
機械的強度弱い
ペロブスカイト型酸化物 La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2O3-δ 導電率高い
高温で還元されにくい
周辺材料と反応し易い

◇ 固体酸化物燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell: SOFC)
 固体電解質にはいろいろな伝導イオン種のものが知られているが、燃料電池に利用できるものは酸素イオンO2-(酸化物イオン)伝導体と水素イオンH+(プロトン)伝導体である。このうち、現在開発が進められているがSOFCには、もっぱら酸素イオン伝導性固体電解質が使われている。燃料電池の固体電解質として求められる基本的な性質を列挙すると、
1) イオン導電率が高い
2) 高温酸化雰囲気および還元雰囲気で安定
3) 電子伝導の混入が少ない
4) 機械的強度に優れる
5) 高温で周辺材料と化学反応して劣化しない
などである。
 燃料電池に利用し得る酸素イオン伝導体と、現在、ジルコニア系、セリア系、ペロブスカイト系の3系統の酸化物が知られている。これら3種類の酸化物の燃料電池用固体電解質としての特徴と組成の代表例を下の表で示す。

◇ ジルコニア系酸化物
 ジルコニアZrO2は融点の高い(約2700℃)酸化物で、室温では単斜晶が安定相であるが、温度を上げていくと約1170℃で正方晶に、約2300℃付近で立方晶に転移する。とくに単斜晶から正方晶への転位のときに大きな体積変化を伴うので焼結体にひび割れを生じる。これを防止するために少量(数〜10数mol%)のCaやYなどの2価または3価金属の酸化物を添加して焼成すると、得られた焼結体は昇温してもひび割れ現象を示さない。これは、添加によって低温領域でも立方晶や正方晶に安定化され、相転移を起こさなくなるからである。このように高温相が安定化されたジルコニアを安定化ジルコニアと呼んでる。安定化ジルコニア焼結体は、化学的に安定で熱的機械的に丈夫なセラミックスであるばかりでなく、高温において酸素イオンの良導体となる。立方晶安定化ジルコニアは、O2-イオンとZr4+イオンによるホタル石型をとる。この場合、4価のジルコニウムイオンの一部を3価のカチオンで置換固溶してこの構造を安定化させている。結晶の電気的中性条件を保つためにO2-イオンがその分だけ抜けて空格子点(酸素欠損)ができる。高温では、O2-イオンはこの空格子点を介して
容易に移動し得るので、高い伝導性を示す。このように、安定化剤は酸素イオン伝導を生じさせるドーパントとしての機能も果たしている。安定化剤としては、ふつう比較的安価で性能のよいY2O3が用いられるが、ドーパントとしてはカチオン半径がZr4+にきわめて近いSc3+やYb3+などを用いたほうが酸素イオン導電率はさらに高くなる。ジルコニアでは、安定化剤を一定量以上加えたときにホタル石型結晶構造をとり、酸素イオン導電率はこの構造をとる領域内で安定化剤の含有率が下限のところで最大となる。それ以下の含有率のジルコニアは正方晶を含み、酸素イオン導電率は低くなるが機械的強度は増大する。このような部分安定化ジルコニア(Yttria Stabilized Zirconia: YSZ)と呼ばれる(ZrO2)1-x(Y2O3)x/2(x=0.08-0.10)組成の固溶体が良く使われる。このものは、高温において比較的高い酸素イオン導電率を示し、化学的に
安定で機械的強度も強く、製造コストも比較的安価である。安定化ジルコニア類は機械的強度にも熱的にも丈夫で、そのうえ、高温燃料雰囲気のようなきわめて強い還元雰囲気においても還元されにくいので、SOFCの電解質として広く用いられる。

◇ セリア系酸化物
 セリア(CeO2)は、ジルコニア(ZrO2)とは異なり、温度を上げていってもひび割れは生じない。CeO2は室温での結晶構造が立方晶ホタル石型で、昇温しても相変化しないからである。しかし、純粋なセリアの酸素イオン導電率は低い。酸素イオン伝導性をもたせるためには、ジルコニアについて、4価のセリウムイオンの一部を3価または2価カチオンで置換固溶して、酸素空孔子点を生成させる必要がある。この場合、添加剤カチオンは結晶学的に安定化剤ではなく電気的性質でのドーパントである。ドーパントを添加したセリアの酸素イオン導電率は一般にジルコニアよりも数割〜数倍高い値を示す。セリアへの2価または3価ドーパントの固溶量はかなり大きく30mol%以上にも達するものがあるが、導電率の最大値は(CeO2)1-x(MOn)xで表してx=0.2付近にある。また、一般に2価よりも3価のドーパントを用いたほうが高い導電率が得られ、SmやGdを用いたときに特に高い導電率が得られる。残念ながら、セリア系固体電解質は、高温・燃料雰囲気で還元を受けやすい。還元されると、電子伝導性が発言して電池の部分短絡による電圧低下をきたすとともに、還元膨張によって電解質が破損する恐れもある。したがって、燃料電池電解質としては700℃(程度)以下の温度領域のみで用いることが考えられている。同じホタル石型酸素イオン伝導性酸化物としてセリアよりさらに導電率の高い酸化ビスマス系焼結体は、燃料を含むような還元雰囲気では400℃以下の低温領域でも還元されてしまうので使用することができない。同じ結晶結晶構造の酸化物では、母体の還元されやすいものほど酸化物イオン導電率が大きい傾向にあり、このことは酸素と母体カチオンとの結合力の強弱がO2-イオンの動きやすさと密接に関連していることを示している。

◇ ペロブスカイト型酸化物
 ペロブスカイト型酸化物は比較的大きなカチオンAと小さなカチオンBからなる一般式ABO3で表される酸化物である。結晶系は組成や温度により斜方、正方、立方晶などになるが、いずれも結晶構造としての安定性が高く、ABO3のAまたはBの一部を価数の異なるカチオンMに置換しても結晶楮自体は崩れず、格子欠陥もしくは電子欠陥を生成することで結晶構造を安定に保つ。このようにして生じる欠陥に起因して電子伝導性もしくはイオン伝導性のような電気伝導機能を示すようになる。格子欠陥として多量の酸素イオン空孔子点を含むときには高温で酸素イオン伝導性を示す場合がある。中でもLaGaO3を母体とし、LaとGaの一部をそれぞれSrおよびMgで置換したLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2O3-δおよびその誘導体は、セリア系電解質と同等かそれ以上の酸素イオン導電率を示す。このものは、セリア系に比べて耐還元性が格段に高く、固体電解質として優れた特性を持つ。

◇ プロトン伝導性酸化物
 ある種のペロブスカイト型酸化物を母体とする焼結体が、数100℃の高温において水素または水蒸気の存在下でプロトン伝導性を示すことが発見された。SrCe0.95Yb0.05O3-αやBaCe0.9Y0.1O3-αなどがその例で、後者の酸化物では、その導電率は700℃以下の温度領域では、安定化ジルコニアの酸素イオン導電率より高い値を示す。プロトン伝導性のセラミックスとして注目され、燃料電池のみならずH2センサなどへの応用が広く研究されている。しかし、高温でCO2と容易に反応して劣化するという難点がある。このほか、ある種の酸化タングステンなどの金属酸化物の水和物が200℃程度の温度で比較的高いプロトン伝導性を示すことも知られている。

◇ 電極反応
 固体電解質を用いた燃料電池の両極における電極反応は、反応ガス-イオン伝導性固体(電解質)-電子伝導性固体(電極材)が相接する三相界面近傍で生じる。
 一例として、安定化ジルコニアのような酸素イオン伝導性の場合について正極での酸素の還元反応、
 酸素極:(1/2)*O2 + 2e- -> O2-(結晶中)
について考える。この反応が
@ 多孔質電極材中への酸素ガスの拡散
A 電極上への酸素分子の吸着
B 酸素分子の原子への解離
C 酸素原子の電極上から電解質界面への拡散
D 酸素原子のイオン化
E 酸素イオンの結晶格子中への組み込み
などのステップを経て進行する。
 1000℃付近の高温ではAからEのステップは速く電極反応の交換電流密度は数100mAcm^-2以上と見なされているが、800℃以下の比較的低温領域ではCのステップが律速になることがあると報告されている。いずれにしても800℃以上の高温領域では、酸素ガスや燃料ガスの多孔質電極材中への拡散を容易にしさえすればかなり高い電流密度で発電できることになる。また、ガス電極反応が起こり得るイオン伝導体・電子伝導体・反応ガスの3相が相接する3相界面の実行面積ができるだけ大きいことが必要である。燃料極材としての各種の金属材料が調べられ、電極反応のしやすさは
 Fe > Co > Ni > Mo
となることが報告されているが、実際には、安定化ジルコニアに対して化学的に安定なNiが使われている。電極材として、純粋な電子伝導体の代わりに、O2-イオンと電極の双方が導電にあずかる混合伝導体を用いると、O2のイオン化またはO2-イオンの放電反応が混合伝導体表面でも進行し得るので、有効反応面積が格段と大きくなり、高い電流密度まで分極が生じない。高温燃料ガス中のような還元雰囲気でのセリア系固体電解質や高温空気中でのコバルト系ペロブスカイト型酸化物電極材は混合伝導体となるので、これが分極の低減に貢献している者と考えられる。

◇ 酸化物の伝導性と酸素分圧
 酸化物材料がSOFCに使われる数100-1000℃という高温では、酸化物は雰囲気の酸素分圧と平衡関係にあり、その伝導性は雰囲気の酸素分圧に依存することを念頭におかなければならない。一般にその酸化物にとって酸素分圧が低すぎると酸化物から酸素が抜け出し、酸素不足となってn型電子伝導性を生じるか、もともとのn型電子伝導性が増大する。また、p型半導性を示していた酸化物はその導電率が低下する。逆に、その酸化物にとって酸素分圧が高すぎると酸素過剰となりp型電子伝導性が出現するか、もともとn型半導性を示していた酸化物の導電率が減少する。一方、酸化物のイオン伝導性は、ふつう酸素分圧に依存しない。
 一般に、伝導性酸化物の電子伝導とイオン伝導とを合わせた全導電率σは雰囲気の酸素分圧の関数として次式で与えられる
 σ(po2)=σi+σh*po2^(1/n)+σe*po2^(-1/n)
ここで、σiはイオン導電率、σhおよびσeはそれぞれ電子ホール(正孔)および過剰電子による導電率に関わる定数である。nは格子欠陥の種類によって決まる正の整数であり、安定化ジルコニアのようにドーパントにより最初から多くの酸素空格子点をもつ結晶では一般にn=4となる。
 固体電解質ではσiができるだけ大きく、かつ、低酸素分圧から高酸素分圧まで電子伝導の混入しないものが望ましい。現存のSCFO用固体電解質の酸素イオン伝導率は使用温度で10^-2 - 10^-1 Scm^-1程度である。これに対して、空気極材は、空気中のような高酸素分圧下で高い電子導電率(10^2 - 10^3 Scm^-1)をもつことが必要で、できれば酸素イオン伝導性をも含む混合伝導体であることが望ましい。逆に、燃料極材では非常に低い酸素分圧下(還元雰囲気)で高い電子導電率をもつことが必要で、かつ、酸素イオン伝導性をもつことが望ましい。しかし、このような条件において安定で丈夫な酸化物材料が見当たらないので、ふつうは安定化ジルコニアとNiからなるサーメットが用いられている。

◇ 固体電解質
 SOFCの心臓部をなす固体電解質は、一般に水溶液や溶融塩などの液体電解質に比べてイオン導電率が低く、現存のSOFC用電解質では、そのオーム抵抗を下げるために、できるだけ薄くして用いる必要がある。酸素イオン伝導体の導電率は使用温度で0.1 Scm^-1程度であり、これを仮に1 mmの厚さで用いて、500mAcm^-2の電流を取り出そうとすると、開路電圧1Vの電池では電解質抵抗だえで電圧が0.5Vまで下がってしまう。そのために電解質膜の厚さはできるだけ薄くする努力がなされている。平板型のような自立膜では数100μm以下、円筒型のような多孔質支持体への緻密膜の場合は数10μmの厚さのものが使われ、電池全体の内部抵抗を1Ω以下に抑えている。固体の薄膜には微小クラックや気孔、厚さのムラなどが存在しやすいために、液体電解質ほど均質なイオン伝導体とはなり得ない。また、電解質薄膜(または隔膜)が緻密でないと燃料と酸素が気孔を通過して直接反応するのでエネルギー変換効率が低下する。さらに、このような薄層中の多結晶に存在する粒界や気孔のために、イオンの通りやすいところと通りにくいところができると、局所的にジュール熱が発生して、電解質に微細なクラックや変質が生じるおそれがある。このように、燃料電池用固体電解質は、イオン伝導性としての機能のほか、均質性、緻密性、安定性、機械的強度、耐熱性、耐薬品性など、セラミックとしての良好な特性が要求される。燃料電池用固体電解質として各種の酸素イオン伝導体の使用が試みられてきたが、現在、最も実用性が高いものとして適用されているのはイットリア安定化ジルコニアYSZである。当初は(ZrO2)0.92(Y2O3)0.08組成の固溶体が使われていたが、この組成は導電率が経時的にわずかずつ低下していくので、イットリア量をやや多くした(ZrO2)0.90(Y2O3)0.10組成のものが主として使われるようになってきた。ドーパントとしてYよりも導電率が数倍高くなるScは値段が高いので、原料をできるだけ少なくするためにSc含有率を少なくした正方晶安定化組成(ZrO2)0.90(Sc2O3)0.04の焼結体を使っている。円筒型SOFCでは、古くは、加圧成形体の焼結で作製したセラミック管を多数つないで用いることが考えられていた。その後、WH社が円筒型多孔質基体管表面の空気極材の上に電気化学気相蒸着(EVD)法で緻密なジルコニア膜(40μm程度)を開発し、これによってSOFC作製の技術が急速に進んだ。日本では多孔質セラミック管へ溶出法によりジルコニア膜を作製する技術が開発されてきた。最近では、ディップコーティングで電解質粉末のスラリーを取り付けこれを焼成する方法や、多孔質基体管を押し出し成型後、燃料極・電解質・空気極およびインターコネクタを順次印刷法により成膜して一体焼成する安価な製造法(横縞型)の開発が進められている。
 平板型SOFCでは、テープキャスト法により作製したグリーンシートをそのまま焼成する方法、電極材のグリーンシートと重ね合わせて共焼結させる方法、燃料極、電解質、空気極のグリーンシートを重ね合わせてロールにかけたのち焼成する方法などの開発が進められている。周辺部材の長寿命化やコストの低減のためにSOFCを800℃以下の低温で動作させようとする研究も盛んに行われている。この場合、電解質の抵抗を減らすためにジルコニアを数μmの薄さにすることのほか、非ジルコニア系で高い酸素イオン導電率を示す固体電解質を用いることが考えられている。安定化ジルコニアと同じホタル石型結晶構造をとるセリアを母体とした(CeO2)1-x(M2O3)(x/2)組成の固溶体(M=Gd, Sm, Yなど、x=0.1-0.3)やペロブスカイト型酸化物La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2O2.9などが検討されている。前者では還元雰囲気において電子伝導性が出現し電池電圧を下げるおそれのること、後者では導電率が高く還元雰囲気でも安定であるが周辺材料との反応性が大きく、また、原料コストが高いことなどの難点がある。さらに、両者とも機械的強度がジルコニアに比べてかなり低いことなど、実用化については検討すべき課題が多いが、その酸素イオン導電率の高さを生かして低温作動SOFCの開発努力が続けられている。高温型燃料電池の電解質として、水素イオン伝導性固体を用いるといくつかの利点がある。しかし、SrCeO3系およびMZrO3系ペロブスカイト型酸化物(M=Sr, Baなど)プロトン伝導体ではその導電率が安定化ジルコニアに比べて1桁以上低く、現状では実用的ではない。BaCeO3系は、その導電率は高いがCO2と容易に反応するという難点がある。

◇ 空気極材
 多孔質で電子導電率が高く、かつ、高温で電解質やインターコネクタ材と固体間反応を起こさないことが必要条件である。当初はSnをドープした酸化インジウムやPrCoO3系、LaCoO3系酸化物などが考えられていたが、価格が高いこと、他の構成材料と反応を起こしやすいことなどから、現在では、主としてLaMnO3系酸化物が用いられている。この複合酸化物はペロブスカイト型でLaの一部をCaやSrで置換した固溶体La0.8Sr0.2MnO3(略称:LSM)やLa0.6Ca0.4MnO3(略称:LCM)がその代表例である。しかし、このままの組成では高温で電解質に電極を取り付ける際、または1000℃での作動中にSr, CaまたはLa(いわゆるABO3のAサイトカチオン)がジルコニアと固体間反応を起こし、SrZrO3, CaZrO3またはLa2Zr2O7を生成して電池性能を低下させることがわかってきた。そこで、化学量論組成よりそれらの元素の含有率を数%程度下げた組成のもの(Aサイト不足組成)が多くの場合使われている。
 SOFCではガス電極反応は、固体電解質・電極材・反応ガスの三相界面近傍で生じると考えられる。このような三相界面へのガスの供給が容易であるとともにその反応が生じる三相界面の実効面積ができるだけ大きいことが望ましい。そのために、多孔質電極材の微細組織をうまく制御することが肝要であるが、これについては各開発機関のノウハウに属することが多い。空気極材料は、加熱冷却時の異相間の機械的歪みを抑えるために、電解質とできるだけ熱膨張率を合わせるよう成分調整を行う必要もある。
 WH社の円筒型SOFCでは、以前は、ジルコニア系多孔質基体管の上に空気極を塗布して焼成し、その上に安定化ジルコニア膜をEVD法で取り付けていた。しかし、その後、空気極材自体で多孔質基体管をつくりその上に直接ジルコニア膜をEDV法で取り付けることにより、電池性能を大幅に向上させた。この多孔質基体管の気孔率は30-35%である。このSOFCの原料コストの約90%は空気極材が占めるといわれ、これを低減するために、高価な純Laの代わりにより安価な希土類混合物を用いようとする試みもなされている。

◇ 燃料極材
 当初は酸化ニッケルをジルコニア上に焼き付け、水素で還元して多孔質ニッケルとして使用することが考えられたが、還元時の微細組織の制御が難しいこと、Niの熱膨張率がジルコニアと大きく異なること、高温作動中に金属粒子の焼結が進みガス拡散通路の減少や三相界面の実効面積の低下が著しいこと、などの問題点が生じた。そこで、酸化ニッケル粉末と電解質原料である安定化ジルコニア粉末とを混合して電解質に取り付け、これを還元してジルコニア・ニッケル金属の多孔質サーメット(両成分の体積比-1:1)を作ることが考案され、現在、広く用いられている。このサーメットを多孔質基体管(または板)とし、その上にごく薄いジルコニア電解質膜を取り付けたタイプのSOFCも開発が進められている。この多孔質体の気孔率は約40%であるが、電極性能を決めるその微細構造は原料粉末の選択、取り付け方法などによって大きく変わるので、各々のタイプの電池について最適条件を求める必要がある。また、長期にわたる作動中に細孔内のNiが移動して焼結を起こし実効三相帯面積が減少して性能が劣化する。この現象を防止することも今後の課題である。

◇ インターコネクタ材(セパレータ材)
 燃料電池単セル間を電気的に直列につなぐために必要なインターコネクタは、特に平板型SOFCでは高温の燃料ガスと空気とを隔てるセパレータ板としての役割も担う。すなわち、この部材の片面は高温で還元雰囲気に、もう片側は酸化雰囲気に置かれることになる。両雰囲気に耐え、ガス透過性やイオン伝導性がなく、かつ、電子導電性が高い必要がある。セパレータに酸素イオン伝導があると、電子伝導性がある固体電解質の場合と同様、燃料電池の部分短絡現象により燃料ガスが無駄に消費され、その分効率が低下する。インターコネクタの熱膨張率は電極材や電解質のそれにごく近いkとが要求される。このような材料として主として使われているのはMgまたはCaをドープしたLaCrO3系酸化物、例えば、LaCr0.9Mg0.1O3, La0.9Ca0.1CrO3などである。平板型SOFCの場合には、このものは2つの単セル間のガスセパレータとしての役割も果たすが、還元雰囲気に曝された片面ではいわゆる還元膨張による機械的歪みにより材料が劣化することも考えられる。SOFCの作動温度を800℃程度まで下げた場合にはセパレータとして耐酸化性耐熱金属材料のクロム系合金の使用も試みられている。この場合、空気極側でのクロムの酸化によって電気抵抗が増大することが問題となり、これを改善するための方策が種々検討されている。

◇ ガスシール材
 特に平板型SOFCでは、各単セル間のガスシール技術が大きな問題となっている。通常、ガラスまたはセラミックス・ガラス複合体を用いる。ガラスシールを用いると、燃料ガス側でガラス中のSiO2が部分還元されて揮発性のSiOとなりこれが周辺部材と反応してそれらの性能を劣化させるという研究報告がある。そのため、セラミックスのみで固めてシールをする手法も採用されている。その場合には接合部の材質の熱膨張率が互いに同じになるよういろいろな工夫がなされている。またSOFCの始動・停止による熱変化に耐え長時間安定に機能するシール技術の開発が求められている。シール材の個々の組成などについては公表されていない。

◇ セルスタックとシステム
 単電池を集積し、発電装置としての集合セル(セルスタック)を構成する必要があるが、円筒型と平板型ではいろいろな面でそれぞれ長短がある。大まかにいえば、円筒型スタックではガスシールの問題がないために装置の構築が容易であるが出力密度は小さい。平板型スタックはコンパクトにでき出力密度は高いが、ガスシールなどに高度な技術を要する。

◇ 発電特性
 800-1000℃という高温で行われるSOFCの電池反応自体は一般に非常に円滑に進み、交換電流密度は、通常、1Acm^-2を超える高い値となる。したがって電池から取り出しえる出力は、固体電解質、電極材、インターコネクタ(もしくはセパレータ)、集電体などの中の電気の流れやすさによって決まる。つまり、電池の内部抵抗のほとんどはそれら構成部材のオーム抵抗によって決まってしまう。単電池を集積したセルスタックではその性能をスタック全体の電圧・電流で表すおkともあるが、スタック電圧を直列単セル数で割った平均単セル電圧と電流密度で示すことが多い。電池から電流を取り出し始めると電圧はやや急に降下したのち電流-電圧関係がほぼ直線的となる。最初の降下は電池反応によって生成した水蒸気のために燃料極近傍の平衡酸素分圧が上がるためで、その度合いは多孔質電極の微細組織や取り付け状態に依存する。その後の直線部分は電解質、電極材、集電体などの電流が流れる材質全体のオーム抵抗によるもので、それらの抵抗が大きいほど、その傾きが大きくなり電圧が大きく降下する。その中でも、固体電解質の比抵抗が他の材質に比べて大きいので、取り出し得る出力はその膜厚に大きく依存する。電流-電圧曲線で電流値をさらに増して行くと電圧降下が再び大きくなる。これは電極反応の進行する三相界面へ燃料ガス、もしくは酸素の供給(拡散)が追い付かなくなるために生じるか、または燃料がほぼ利用し尽くされてしまったために生じる現象である。このような現象ができるだけ大きな電流値まで起こらないよう、多孔質電極の微細構造やガス通路の構造が工夫されている。
 出力電流を一定として連続的に発電した際の電圧の経時変化の典型例を見ると、電圧は、発電初期にわずかながら徐々に上昇し、その後きわめて緩やかに低下していき、ある時間以降で電圧の細かい変動が始まるとともに電圧低下が著しくなる。このうち、初期の電圧上昇はいわゆる通電効果と呼ばれている現象で、その原因については不明な点が多いが、通電初期に電極、電解質、反応ガスの相接する三相界面が反応の進行により何らかの理由で活性化されるものと考えられる。その後電圧が徐々に低下(劣化)していくのは、主に、電解質と接している多孔質電極の微細組織が徐々に焼結して不活性になっていくことに起因している。電圧の細かい変動が見られるようになるのは長時間運転により固体電解質-電極材間の剥がれやクラックの発生などに起因する。特に、急激な負荷変動や断続運転、シャットダウンなどを行ってスタックに急激な温度変化を与えると、セラミック部材間の熱伝導や熱膨張率の違いが原因で歪みやクラックが生じ、電池スタックの劣化を促進させることになる。現在ではこれらの劣化に対する対策が進み、かなり急激なサーマルサイクルを与えても1000時間で1%以内の電圧低下に抑えるという技術レベルに達している。なお、将来的には初期特性として単セル当たり0.3Wcm^-2, 40,000時間の発電で電圧低下10%以内が目指されている。

◇ イオンの拡散機構
 イオン結晶中のイオンは欠陥の移動によって拡散する。
a) 空孔拡散機構:格子点のイオンと空格子が位置交換によって移動する場合。
b) 格子間拡散機構:格子間イオンが隣接する空いた格子間位置にジャンプするもの。
c) 準格子間拡散機構:直接格子間をジャンプするのではなく格子間イオンが格子にあるイオンを格子間に突き出す場合。
 空孔や格子間イオンが前のジャンプに関係なくまったくでたらめに運動している(ランダムウォークあるいは酔歩という)とすれば、フィックの式における拡散係数D[cm^2s^-1]は次式で与えられる。
 D = a^2 * p / m
ここでaは1回のジャンプの距離[cm]、pは単位時間当たりのジャンプ回数[s^-1]、mはジャンプの方向数で3次元格子ではm=6である。格子振動数をv、ジャンプ経路のエネルギー障壁をEa[Jmol^-1]とすれば、pは障壁を超える回数であるから
 p = v * exp(-Ea/(R*T))
したがって、通常の3次元格子では
 D = (a^2 * v / 6) * exp(-Ea/(R*T))
と書ける。

◇ 拡散とイオン伝導
 電解を印加すれば、拡散する欠陥は電位勾配の方向に輸送され電気伝導現象を示す。導電率は電解質溶液と同じく下記の式で与えられる。すなわち、
 σ = C * u * |z|* F
となる。ここでFはファラデー定数、zは粒子1個当たりの正または負の電荷をzeとして定義される。固体電解質の場合、Cは結晶中を拡散し得るイオンの濃度で、格子間(あるいは準格子間)拡散の場合は格子間イオンの濃度、空孔拡散の場合は空孔濃度である(空孔に隣接するイオン以外は動けない)。したがって、Cは濃度とともに変化する。移動度uと拡散係数Dは以下のアインシュタインの関係式で結ばれる。
 |z|* F * D = u * R * T
拡散係数D = (a^2 * v / 6) * exp(-Ea/(R*T))の場合、導電率は、
 σ = (a^2 * v * (z*F)^2 / (6*R*T)) * exp(-Ea/(R*T))
で示される。イオン結晶の全導電率は、この形の陽イオンおよび陰イオン導電率の和となるが、通常どちらかの導電率が優越する。KClでは、D(Vk) >> D(Vcl)、つまり、
 uk+ >> ucl-であり、σk+は高温領域(真性領域)で
 σ = (A/T) * exp(-(Ef/2+Ea)/(R*T))
(A:aなどを含む定数)
 低温領域(構造敏感領域)で
 σ = (A'/T) * exp(-Ea/(R*T))
となる。したがって、log(σ*T)と1/Tの関係は傾きの異なる二つの直線が描かれることになる。このことからわかるように、ドーピングによって定温領域の導電率が飛躍的に大きくなる。多くの固体電解質はドーピングによる欠陥制御で作られる。固体電解質の導電率と温度の関係は、通常、log(σ*T)と1/Tのプロットで示される。しかし、Tがあまり高くなく、また、その範囲が広くなればlogσ vs. 1/Tもほぼ直線的になるので、見やすさを優先するときにはこの形のプロットも用いられる。

[1] 工藤徹一ら「燃料電池」内田老鶴圃
[2] 水素・燃料電池ハンドブック編集委員会「水素・燃料電池ハンドブック」オーム社
[3] (社)日本セラミックス協会編「燃料電池材料」日刊工業新聞社
[4] 神谷信行「小型燃料電池の最新技術」シーエムシー出版
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