地域密着型エリア広告配信リクルートの地域密着型広告ドコイク?アドネットワーク Ads by ドコイク?[無料でホームページを作成] [通報・削除依頼]
[無料でホームページを作成] [通報・削除依頼]

粉末作製の理論

 粉体や焼結を扱う者は、石田恒雄「焼結材料工学」森北出版、および、三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃 を読んでおくことが望ましい。
-----------------------------------------------------------------------
■ 粉砕
 粉砕、すなわち硬質ボールを用いた機械的衝撃は、脆性材料から粉末を作る典型的な方法である。
 ボールミルは、ボールを充填した円筒容器と粉砕する材料よりなる。容器の回転とともにボールが連続的に材料と衝突し、砕いて粉末にする。
 粉砕時に脆性材料を破壊するのに必要な衝撃力は、欠陥構造や亀裂伝搬感受性と関係している。
 σ = (2*E*r/D)^(1/2)
ここでEは弾性係数、rは欠陥あるいは存在する亀裂先端の半径、Dは粒度である。
 結局、粒子が大きくなればなるほど粉砕に必要な衝撃力は小さくなる。
 粉砕中に粒度が減少するに従い、引き続き粒度を細かくするために必要な応力は増加し、さらに粉砕を継続することは生産性を低下させることになる。
 粉末の粉砕に必要な相対的エネルギーの評価には、ごく簡単な関係式がある。
 初期粒度Diから出発し、最終粒度Dfを得るのに必要なエネルギーWは、経験式より次のようになる。
 W = g*(Df^-a - Di^-a)
gは材料、ボール、粉砕機の設計および運転条件に依存する定数である。指数aは通常1から2の間である。
 粉末を小さくするのに必要なエネルギーは、粒度の相対的変化により変化する。このように粉砕時間は、使用する粉末、粒度変化、粉砕媒体の寸法、および粉砕機の回転速度に依存する。
 延性金属の多くは容易に破砕しないため、粉砕は有効ではない。それどころか、延性を持つ粒子は互いに冷間で接合することから、処理効率が低く、しばしば1から3パーセントの範囲である。
 脆性材料は反応しやすいため、還元前の酸化物の状態で粉砕を行う方が適切である。
 ある種の金属は脆い水素化物を形成する。そのような金属は、水素に曝して粉砕し、その後真空中で加熱することにより脱水素する。(省略)通常は一般的な延性金属を原料とする。
 容器の回転は、最大衝撃速度-粉砕される材料の層の上に落下する前に、ボールを容器の上部に持ち上げるのに十分な速さに調整される。速度が遅すぎるとボールは容器の壁を後戻りし、速すぎると遠心力が強くなってボールは落下しなくなる。粉砕ミルにおいて、最適な回転速度はミルの直径の平方根に反比例する。最適な粉砕条件では、粉砕ボールの直径は挿入材料の直径の約30倍にすべきである。
 ボールの容積は容器の容積の約半分に、また挿入材料は容器の容積の約25%にすべきである。
 挿入した材料はボール間の空隙を満たすため、実際の体積は容器の容積の50%になる。
 この条件が、ボール量とボールの接触数の間の均衡には適している。
 流体あるいは保護ガスが、酸化を減少したり粉砕を促進するために用いられている。
 粉砕に投入されたエネルギーの解析より、騒音および熱の形で膨大なエネルギー損失が生じていることがわかる。
 粉砕により製造された金属の粉末は加工硬化しており、不規則形状で、流動および圧粉特性が悪い。
 その他の問題は、容器およびボールからの汚染である。粉砕は、焼鈍後の還元粉末やアトマイズ粉末あるいは電解粉末の解砕に広く用いられるばかりでなく、硼化物、炭化物、窒化物、および金属間化合物などの脆性材料にもよく適応される。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 目的の粒度を得るための粉砕時間の計算例
 初期粒度300μmの鋳鉄の切削片が、ボールミルにより粉砕され、8時間後に110μmの粉末になるとする。
 さらに75μmまで細かくするために必要な時間を、最初の結果から見積もることが可能である。
 粒度変化は全エネルギーWに関係する。
W = g*(Df^-a - Di^-a)
ここでa=2と仮定する。効率(単位時間当たりのエネルギー)は一定であるから、110μmから75μmにするために必要なエネルギーの計算が、追加の粉砕時間の計算の基になる。
 110μmから75μmへのエネルギー変化は、300μmから100μmになるエネルギーの1.33倍となる。
 その結果、これを基に必要時間は10.6時間となる。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 運動エネルギー
運動エネルギー = (1/2)*m*v^2 = (1/2)*m*r^2*ω^2 = (1/2)*I*ω^2
ここで、ωは角速度、速度v = ω x rの関係。慣性モーメントI = Σm*r^2、mは質量、rは回転軸からの距離。慣性モーメントI=質量M*κ^2と書き換えも可能。ここでκは長さの次元。

角速度ω=2*π*rpm/60
ここで、rpm = 回転数/minである。

運動エネルギーは下記のようにして求めることもできる。
角運動量 L = r x mv = Iω
運動エネルギー=∫Ldω=∫Iωdω=(1/2)*I*ω^2

 上記から分かるように、rpmの2乗で運動エネルギーが増加する。rpmを上げたら、どの程度のエネルギーが加えられるかを予想して、冷却時間やトータルの粉砕時間を考えなくてはならない。
 大事なこととして、距離が変わると慣性モーメントIの値が変わる。回転の中心部分と外側の部分で加えられるエネルギーは異なる。上記の指数aが2ではなく1から2であるのはその理由であると私は考えている。
 この考えからすると、相当上手く混ざるようにしないと、回転数を上げた時、回転の中心と外側で加えられる運動エネルギーの差はさらに大きくなるので、予想通りに粉体を作るのが難しくなるのが予想される。
-----------------------------------------------------------------------
■ メカニカルアロイング
 これは撹拌ボールの摩擦運動を用いて、合金化した複合粒子を作る方法である。この方法は、まず撹拌ミル中にボールと素粉末を入れることから始まる。ミクロスケールでの衝撃の繰り返し、冷間接合および破断により、希望の複合粉末が得られる。
 初期の元素粉末は積層となって、第二相が均一に分散した均質な複合粒子を形成する。
 他の粉砕方法と異なり、摩滅運動を伴う連続的な冷間接合により、平均粒度は粉砕時間の増加とともに細かくはならない。均一なメカニカルアロイングを達成するために必要な粉砕時間tは、次に示すように攪拌器の大きさと回転速度N(単位時間当たりの回転数)に依存する。
 t = C*d^2/N^(1/2)
ここでdは粉砕媒体の直径、Cは特定の処理および希望する均一化の程度に依存する経験的な定数である。
 粉砕時間は媒体の直径の減少とともに短くなる。この方法は特にエネルギー的に効率が良いわけではないが、しかし製品は非常に独特な特徴を持つ合金である。特定の条件下では、準安定、ナノスケール(粒径100nm以下)、あるいは非晶質の(結晶化していないガラス状の)粉末をメカニカルアロイングにより製造することが可能である。
 その他の機械的粉末製造法と同様に、メカニカルアロイングも汚染が伴う。この問題は、粉末と同じ材質でボールや撹拌棒および容器を作ることにより、最小限にすることができる。
 粉砕時の有機溶媒(ヘプタンあるいはアルコール)の選択は、メカニカルアロイング時に必要な粉砕と接合の均衡を達成するために重要である。
 粉末は非常に加工硬化し角張っているため、ある固化のための熱間固化技術が開発された。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃

 メカニカルアロイング(MA)技術は気体や液体にしても混じらない金属、セラミックス、ポリマーを機械的に粉砕、混錬して微細・分散・混合化しようというもので、従来の熱エネルギーを利用する方法とは全く異なり、反応温度を自由に選択できるほか、融点、沸点、比重などの大きく異なる材料でも超微細混合化ができ、合金化およびアモルファス化を達成した新材料の合成が可能である。

◇MA合金とHIP(熱間等方圧縮)プロセス
 Ni粒子とCu粒子のMA過程は偏平化しながら折り畳まれ、層状組織を形成し、その間隔はMA時間と共に狭くなる。MA100時間で光学顕微鏡、SEM観察ではもはや判断できないほど均一化(0.5μm以下)されアモルファス化する。
この合金化反応の生じ始める層間隔が、NiとCuの相互拡散距離にほぼ一致することから、MAによる合金化メカニズムは常温近傍での近接する金属元素の極短距離の固相拡散によるものと推定される。
 Ti-45at%Al組織の混合粉末をMA処理して得た粉末はX線回折結果ではアモルファスに近いと考えられるが、この粉末を1000℃、200MPaで5時間HIP処理すると超微細等軸結晶粒組織(Ti+Ti3Al微細2相混合組織)になる。
 この微細2相混合組織は典型的な微細結晶粒超塑性材である。すなわち、超塑性加工成形により容易に複雑形状の部分にネット・シェープ加工成形が可能である。
石田恒雄「焼結材料工学」森北出版
-----------------------------------------------------------------------
■ アトマイズ法
 アトマイズ法は、小滴の噴霧により溶融金属から粉末を作製する方法である。この方法により、素粉末および合金粉末ともに作製できる。さらにいくつかの合金に適応可能なこと、および工程が制御しやすいことは魅力的である。
 アトマイズ法は溶融技術に基づいており、そのための溶湯の精製および合金組成の制御が可能である。

◇ガスアトマイズ法
 溶融金属流を粉砕するための流体として、空気、窒素、ヘリウム、あるいはアルゴンを使用することにより、一連の多様な粉末製造技術がもたらされる。液体金属流はノズルから噴射されたガスの急速な膨張により粉砕される。
 この技術は、ニッケル基の超合金およびその他の高合金材料の製造に理想的である。設計は金属供給機構や溶解および捕集容器の高度な考え方により変化するが、主とする概念は小滴を形成するためのエネルギー(急速膨張するガスからの)を金属流に与えることである。
 低温で使用するアトマイザーは水平に設計されている。ノズルから噴射される高速ガスはサイフォンを形成し、溶融金属をガス膨張域に引き込む。高速のガスは金属を粉砕し、溶融した液滴の細かな噴霧を形成する。捕集容器中を飛行している間に、粒子は熱を失い凝固する。
 高温の金属の場合は、密閉された不活性ガスを満たした容器が酸化防止のために使用される。縦型の不活性ガスアトマイザー装置の場合、溶湯は高周波溶解された後ノズルに注入される。溶湯は溶融(液相線)温度より加熱されなければならない。もう一つの設計としては、溶湯流の周囲に円周上に配置した多数個のノズルによりガスジェットを形成することもできる。
 アトマイズに使用するガスの体積のため、背圧がかからないようにガスを排出することが重要である。
 水平アトマイザーの場合、粉末はガス排気中に大きなフィルター域に貯まる。
 垂直不活性ガスアトマイザーのような閉鎖系の場合、サイクロンセパレーターが必要である。
 サイクロンは、微粉末を分離してガスを排出する(リサイクル可能)。タンクの大きさは、大きな粒子が内壁に衝突する前に十分凝固できる大きさにしなければならない。
 ガスアトマイズは全般的には不活性条件下で行うことができるため、高合金原料の清浄性をそのまま保つ。
 粒子形状は球状で分布はかなり広い。ガスアトマイズ工程には、ガスの種類、残留雰囲気、溶解温度、ノズルに入るときの粘度、およびガス温度などの多くの操業変数がある。これらのパラメータは、工程制御や種々の用途に粉末の特性を合わせるように調整される。
 ガスアトマイズの主な利点は、製品の均一性と得られる粉末が球状の形状をしているため良好な充填特性を示すことである。
 実際にガスアトマイズでは100 kg/minもの生産性を得ることができる。圧力は一般には5MPa以下であるが、場合によっては18MPa以上になる。この方法は、Al, Ni, Mg, Co, Pd, Cu, Fe, Au, Sn, ZnおよびBeの合金に用いられる。
 ガスアトマイズにおいては、金属に供給されるエネルギーが大きくなればなるほど得られる粉末は細かくなる。(省略)まず小さな薄片状あるいは紐状の小片が形成され、その後小さな球状粉末になる。寸法の減少は、溶湯の粘度や温度および加速力に対する応答により制限を受ける。
 溶湯を液相線温度以上に過熱することにより、溶湯の粘度は減少し、アトマイズ後の凝固時間は長くなる。
 凝固時間が長くなるほど、粒子は球状化しやすくなる。液滴の形状変化は、ノズルからの距離に従い、円筒-円錐-薄片-紐-球の順に起こる。過熱量およびその他の変数により、凝固時にはこれらの形状のいずれかが形成される。
 さらにノズル近辺の乱流および混合により、微粒子はガス膨張域に再突入する。凝固した小さな粒子は、大きな溶湯液滴の飛翔経路に運ばれ、凝集や衛星粒子を形成する。
 乱流のために衛星原子が付着したアトマイズ粉末に対し、ノズル近辺の流れを制御することで滑らかな粒子を得ることができる。
 衛星粒子の除去は、充填性および流動性の改善にとって重要である。
 製造工程における変数の影響は、溶湯へのエネルギーの付加量により最もよく理解されている。
 ガスの出口と溶湯流との間の距離が短くなればなるほど、エネルギーの伝達は有利となり、小さい粉末が形成されやすくなる。アトマイザーからガスが放出されるときの速度と溶湯の過熱が、最終的な粒度を決定する主要な要因となる。
圧縮ガスのエネルギーが高ければ高いほど、また過熱された溶湯の粘度が低いほど、分布は粒度が小さくなる方向に変化する。
 溶湯流は薄片状に分かれ最終的に液滴になる。液相線以上の温度に十分過熱することを仮定すると、最終的な粒度は紐状粒子の直径に依存する。つまり紐状粒子の直径dは薄片の厚さWとガスの速度Vに依存し、次のようになる。
 d = 3*[3*π*γ*W/(ρ*V^2)]^(1/2)
ここでρは溶湯の密度、γはエネルギーである。
 平均粒度は、アトマイズ条件に関連すると考えられる。ガス速度Vに依存するWeber数We(Reynolds数に類似した無次元の集合)、ガス密度ρg, 表面エネルギーγm, および溶湯寸法あるいは紐状粒子の直径dの間には、次のような経験的関係がある。
 W = ρm*V^2*d/(2*γm)
この関係式より、アトマイズされた粉末の寸法は次のように予測される。
 D = K*d[(1+Mm/Mg)*ηm/(ηg*W)]^(1/2)
ここでKは経験的定数、dは溶湯流の直径、Mmは溶湯流の質量流量、Mgはガスの質量流量、ηmは溶湯の粘度、およびηgはガスの粘度である。
(小さな粒子の形成には、直径が小さな紐状粒子を作るように注意を払う必要がある)
 ガスアトマイズは、ほとんどWeber数が10^3以下で行われる。Weber数が大きい(粒子速度が大きい)ほど、また質量流量(ガスに対する金属の)が小さいほど、小さい粉末となる。
 実験データからの経験則により次式が導かれる。
 D = (C/V)*(γm/ρm)^0.22*(ηm/ρm)^0.57
ここでCはノズルの幾何学的定数、γmは溶湯の表面エネルギー、ηmは溶湯の粘度、ρmは溶湯の密度である。
 粒度がガス速度の逆数に依存することになることは、錫、鉄、鉛、鋼、および銅などの金属をガスアトマイズする場合に当てはまる。
 アトマイズのモデル化がいくつか試みられているにもかかわらず、多くの製造工程上の変数の影響はしばしば単に定性的に理解されているだけで、問題は適切には解決されていない。
 ガスアトマイズ粉末の粒度分布は、対数正規分布に従う。分布は、平均粒度が小さくなるほど狭くなる。
 経験的な関係によれば、計算あるいは測定された平均粒度から粒度分布の幅を予測することができる。
 ガスアトマイズ粉末は充填性と流動性に優れ、見かけおよびタップ密度は理論密度の60-65%になる。

 空気、N2, Arなどのジェットによって金属溶湯を粉化する方法で、ジェットの発生方式、速度、ガスの種類などによって生成粉の性質が変わる。発生方法には円錐形、V形、ペンシル形などがあり、溶湯の供給方式と組み合わせて種々のノズルが実用されている。
 ガスジェットには生成粒子の形状、酸素量、冷却速度、経済性などを考慮して、空気、変成ガス、N2, Ar, Heなどが用いられる。その亜音速状態では平均粒子径数十から数百μm、ジェット速度がマッハ2から3の超音速状態では衝撃波の効果の活用状況にもよるが、10から20μm程度の粉末が得られる。
 通常ガスアトマイズは、球状粉を作る目的で行うから、サテライトをもつ粒子の生成を防がねばならない。
 成因は粒子間の衝突にあり、ジェット中での粉化時およびアトマイズタンク内における生成粒子の浮遊、還元時の粒子間の衝突の確率を低く抑える条件の選定、装置構造の工夫が必要である。
 ガスアトマイズによる粉末の平均粒子径dは一般に次の式で与えられる。すなわち、
 d = K*[(ηm*D*γM)/(ηG*V^2*ρM)*(1+X)]^(1/2)
ここで、ηM,ηGはそれぞれ溶湯の粘性、ガスの動粘性係数、Vはガスの速度、ρM, γM, Dはそれぞれ溶湯の密度、表面張力、直径、Xは溶湯流量/ガス流量を表す。
 アトマイズされた粒子の冷却速度は、生成粉の粒子径によって異なり、亜音速状態で生成した粒子では10^2から10^3 ks^-1、超音速状態で10^5 ks^-1程度とみてよい。
 この差は、音速の溶滴が衝突してフレイクを作らないためのタンクの有効高さを大きく変える。亜音速装置のタンクは6mを超えるが、超音速のものは1から2mに納められる。
 超音速アトマイズ粉は、冷却速度が高く微粉で比表面積が大きいにもかかわらず酸素量は10から50ppmと低い。
 亜音速の場合でも装置を工夫し、適正な粉化条件を選択すると酸素量を50ppm程度に低下できる。
石田恒雄「焼結材料工学」森北出版

 従来の鋳造技術における冷却速度は、100℃/s以下である。一方、アトマイズ粉末は単位体積当たりの表面積が広く、冷却速度は一般に10^3から10^4℃/sの間である。粒度が小さくなるに従い、熱を奪うための特別な工夫が必要になり、冷却速度は10^6℃/sから最高10^8℃/sの範囲にまでなりうる。
 冷却速度の変化は、合金中の偏析の程度を小さくする。(省略)
 アトマイズ粉末をここでは主として取り上げているが、非晶質あるいは急速凝固材料を作製するその他の方法についても述べる必要がある。
 利用可能な方法としては、スプラットクエンチング、メルトスピニング、ロールクエンチング、メカニカルアロイング、スパッタリングあるいは電解析出がある。
 メルトスピニング法は、溶融金属流を高速回転する(20000RPM)銅製の円盤上に直接注ぐ。溶湯は円盤上で凝固し、その後遠心力により剥離し、25から100μmの厚さのリボンを生成する。急速凝固されたリボンは機械的に粉砕され、角張った粉末になる。
 一般的には、アトマイズ法を用いて直接粉末を製造する方が好ましい。もしアトマイズ法がうまくいかない場合には、高速のヘリウムジェットや液体窒素あるいは固体の冷却媒体などを用いて、冷却速度を上げる手段がアトマイズ法とともに用いられる。

◇ガスアトマイズ装置の設計
 ガスアトマイズ装置の設計においては、金属液滴が凝固するまでにどの程度移動するかを知る必要がある。
 装置が小さい場合は、液滴は容器の壁に噴霧堆積し、場合によっては容器を溶かすことがある。一方、容器の大きすぎる場合は高価になる。粒子は急速なガスの膨張によりアトマイズ域から加速されるが、その後、抗力のため遅くなる。妥当なアトマイズ条件を用いることにより、100μmの粒子について計算すると、容器寸法は10mが必要となり、実在のいくつかのアトマイザーは実際、ほぼ同じ寸法である。
 アトマイザー中の冷却液体(液体窒素から水に至る)により、寸法はせいぜい1m程度まで小さくすることができるが、アトマイズ中に十分な冷却液体が供給される保証があるかどか注意する必要がある。

◇水アトマイズ
 水アトマイズは、約1600℃以下で溶融する金属から、素粉末および合金粉末を作る最も一般的な方法である。
 高圧水が溶湯流に噴射され、粉砕されて急速に凝固する。水は、単一ノズル、多数個のノズル、あるいは環状のノズルから噴射される。
 工程は、急速に凝固することと流体の性質が異なることを除けば、ガスアトマイズと似ている。
 粒子は、くぼみ、飛散、剥離、および破裂機構により形成される。後の工程ほど粉末は小さくなる。一般的な質量流量は、5(金属粉1kgに対して水5kg)以上である。急速に凝固するため、粉末形状は不規則で粗く、幾分酸化している。
 形状制御には、液相線よりかなり上に過熱する必要がある。合金粒子中の組成偏析は、粒子が急速に凝固するためかなり少なくなる傾向にある。合成油あるいは他の非反応性の液体も、粒子形状と酸化をよりよく制御するために、水の代わりに用いることができる。
 水アトマイズにおいては、圧力が主要な工程制御変数である。水圧が高いと、流速は速くなり粒度は小さくなる。
 一連の実験では、水圧1.7MPaで鋼をアトマイズした場合は平均粒径は117μmであったが、約8倍に(13.8MPa)水圧を上げた場合、平均粒径は1/3以下(42μm)に減少した。水アトマイズにおいては150MPaまでの圧力が用いられ、5μm程度までの粒子が得られる。
 ガスアトマイズに比較して水アトマイズの場合は、ノズル-溶湯間の距離の影響は小さい。水はガスに比較して圧縮性がはるかに小さく密度が高いため、水の噴出口と溶湯流に水が衝突する点との距離は、二次的な因子となる。

◇典型的なガスおよび水アトマイズ工程の比較
特性 ガスアトマイズ 水アトマイズ
粒度(μm) 100 150
粒子形状 球状 こぶ状、不規則
凝集 多少あり 少ない
見かけ密度(%) 55 35
冷却速度(℃/s) 10^4 10^5
偏析 わずか 無視できる程度
酸化物含有量(ppm) 120 3000
流体圧力(MPa) 3 14
流速(m/s) 100 100
効率 低い 中間

 上記は水とガスアトマイズを対比したものである。顕著な違いは、粉末形状と表面汚染の二つである。多くの場合、もし酸化被膜が有害な場合は、アトマイズ後水素中で加熱することにより酸化皮膜は取り除かれる。
 還元工程では粒子はくっつくため、粒子をバラバラに保つためには引き続き粉砕が必要になる。
 例えば、酸化物の還元による気孔が表面に連結しているのが高倍率の写真などで確認できる。
 水アトマイズにおける粒度と操業のパラメータを関係づける数値モデルは、ガスアトマイズの場合と類似している。
 高圧すなわち水の流速が速いと、平均粒度は小さくなる。単純化すると、関係式は次のようになる。
 D = β*ln(P)/[V*sin(α)]
ここでβは材料およびアトマイザーの設計効果が組み込まれた定数、Pはアトマイズ圧力、Vは水の流速、αは溶湯流と水のノズルの角度である。明らかに、圧力と速度により計測される水のエネルギーの大きさが、粒度を制御する際の主要な因子となる。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃

 ガスに比較して冷却効果の大きい水ジェットで溶湯を粉化すると、溶滴が分裂および衝突時に近い状態で凝固するため、不規則形状の粉末が得られる。
 ところで水アトマイズは普通、空気またはN2やArなどの雰囲気中で行われる。
 ジェットが高速になると当然その雰囲気を吸引して水とガスの混合流体で粉化することになる。つまり実際は冷却効果も粉化における質量効果も水単体より小さくなっている。
 粉末冶金でよく使われる-150μm粉は平均粒子径が50から70μmであるが、それを水アトマイズで作るには、ジェット発生水圧として10から20MPを用いる場合が多い。(省略。溶滴の衝突の確立が高い場合、粉末は2次粒子からなる)
 ジェット発生水圧をさらに上昇すると微細化が進む。(省略)100μmの粒子を50μmにするのに要するエネルギー増加に比較して、10μmの粒子を5μmにする場合のエネルギー増加はかなり大きいことがわかる。
 水アトマイズの効率は3%程度と見積もられ、粉化エネルギーは表面エネルギーをはるかに超える必要がある。
 微粉を製造する高圧水アトマイズ法では必要に応じて50-150MPaと高圧力の水ポンプを用いる。
(省略)アトマイズ法による粉末の特徴の一つに、粉末の見かけ密度が粒子径の縮小につれて上昇し、臨界径(=16*γ/(ρ*V^2))に近い粒子はほとんど球状を呈することである。微粉化が進むと粒子は球状化する。
(省略)このように球状化した微粉が射出成型用原料として望ましい。
 水アトマイズしたFe粉や高速度鋼粉は還元雰囲気中または真空中で脱酸、焼鈍して粉末酸素量を低くし、併せて成形性、圧縮性などの向上を図る。
 圧縮性、再圧縮性を改善するためにFe粉表面にNi,Cu,Moなどをわずかに合金化させた部分合金化粉末はとくにわが国で好んで用いられる。
石田恒雄「焼結材料工学」森北出版

◇ アトマイズ方法の比較
方法 粒度範囲(μm) 粒形 分布 コスト
回転電極 200 - 600 球状 双峰 高い
回転円盤 50 - 300 球状 中間 高い
回転坩堝 200 - 1000 紐状 狭い 安い
メルトスピニング 200 - 1000 片状 中間 安い
水アトマイズ 5 - 800 不規則、
塊状
広い 安い
ガスアトマイズ 15 - 300 丸味、
球状
中間 中間
溶湯破裂 150 - 500 球状 中間 中間
プラズマアトマイズ 5 - 80 球状 狭い 高い
スパークエロージョン 1 - 20 球状 中間 高い
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ アトマイズ法の限界
 アトマイズの衝突速度は、一般的には音速以下に限られている。結果として、このことがすべてのアトマイズ法における脱熱、粒度、および熱効率を決定している。(省略) 不幸にも、小さな粉末に対する願望は、単に圧力を高くするだけでは満たすことはできない。
 より小さな粉末を製造するためには10^3から10^4のWeber数が必要であり、そのためにはガス密度と速度を高くする必要があり、おそらくロケットノズル技術を利用することにより可能になると思われる。
 もう一つの考え方は、二段階アトマイズ法を用いることである。一次の溶湯流が、ガス、プラズマ、あるいは遠心法によりアトマイズされ、液滴が凝固する前にこれらの液滴は二次アトマイズの段階に入り、より小さな粉末が生成される。
組成制御は、アトマイズに対するもう一つの要求である。成分偏析が、液滴の凝固中に生じる可能性がある。球状化に必要な時間を見積もると、最適条件下では一般に10^-5秒となる。水アトマイズは一般的に、他の方法に比較するとより均質な
微細組織を提供するが、しかし水は粉末の酸素濃度を大幅に増加させる。
 表面酸化と不規則な粒子形状が、水アトマイズにより製造された高合金粉末の一般的な問題になる。貴金属はアトマイズ後50ppm程度の酸素しか含まない場合もあるが、Cr,TiあるいはAlのような反応性の高い金属を含む合金は、酸素含有量が2000ppmにも達する場合がよくある。
 不活性ガスアトマイズでは、適切な処理を行えば100ppm以下の酸素含有量にすることができるが、粉末が小さくなるほど酸素含有量は高くなる。そのため最近では、溶湯流の粉砕、球状化、および同時焼き入れを施すために、水とガスアトマイズを組み合わせることは驚くには当たらない。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 液相からの析出
 硝酸塩や塩化物あるいは硫化物のような金属塩の溶液を処理することにより、金属析出物あるいは金属を含む析出物のいずれを作ることができる。
 金属塩を析出させることは、粉末製造の簡単な方法である。塩は水に溶けているが、第二の化合物により析出する。
 例えば、銀の硝酸塩溶液の反応では、得られる固体の銀の析出物は粉砕され粉末になる。
 一方、金属イオンは水素と反応し金属析出物を形成する。一般的な例としては、純度99.8%の銅やニッケルおよびコバルト粉末がある。化学的に析出した粉末は1μm程度の大きさで、純度が高く、反応層の操業パラメータを変えることにより粉末特性を調節できる。これらの粉末は粒度が小さいため、凝集しやすい。
 平均粒度は、析出反応槽の中で粉末を循環処理することにより増加する。
 新しい展開としては熱噴霧分解の利用があり、これは金属イオンを含む溶液を加熱雰囲気中に噴霧する方法である。
急速な熱分解および加熱により、種々の形状が得られる。
 析出法は複合粉末の製造に適しており、その場合一つの相が析出反応の核生成のために用いられる。析出反応のもう一つの利用法は、ZrやTiのような活性金属の製造である。塩化物基の溶融塩は、NaやMgのような金属と反応することにより、多孔質の粉末を生成する。反応の副産物は塩化物であり、これは蒸溜によって除去される。
 析出粉末は、小さな微結晶で凝集傾向が強い。粉末の純度は通常99.5%以上であり、主要な不純物は反応槽から侵入する。粒子形状は不規則で立方体、場合によっては海綿状である。その結果、流動性は悪く、充填密度は低い。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 気相からの析出
 気相に基づく反応により、活性金属からの粉末作成や、ナノスケールの粒子の析出が行われる。粉末は溶解あるいは坩堝にふれることなく作られるため、主要な汚染源を回避することができる。
 最終的に高純度を確保するためには、処理工程において供給原料の予備精製と気相の蒸溜が必要である。
 Mo, V, Nb, W, Hf, Ti, Ag, Co, NiあるいはZrのような金属の塩化物やフッ化物あるいは酸化物もまた、気相からの析出に適している。揮発性の塩化物(あるいは他のハロゲン化物の蒸気)の場合、金属粉末は高温で水素との反応により生成する。
 ナノスケールの粉末の均一核生成が、電子ビーム、レーザー、プラズマあるいは誘導加熱により気相から成長する。これらの粒子は10から1000nmの大きさであり、容易に凝集する。複合粉末あるいは耐熱被膜も、このような気相反応により得られる。高価な粉末製造方法ではあるが、粒度、純度、形状、および凝集はすべて気相反応条件により変化する。しばしば生成物は海綿状であるが、球状の多結晶体の凝集物も作ることが可能である。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 固相-固相反応による合成
 高合金系においては、その成分より熱力学的により安定な組成がある。これは、結合を形成する際の電子移動に起因している。
 Fe3Al, NiTiあるいはTi5Si3のような、化学量論的に厳密な原子比を有するいくつかの金属間化合物が良い例である。
 金属間化合物はセラミックスとともに、高温安定性など多くの特性を共有する導電体である。成分元素から化合物が形成されるとき、発熱が生じる。(省略)
 もし反応が制御できない場合は、発熱する熱によりNi-Al生成物が溶解することになる。NiAlの反応合成の一つの特徴は、NiとAl粉末の混合物は一度反応が始まると自発的に反応が進行し化合物が形成される点である。
 しばしばこれは固相燃焼合成と呼ばれ、よく知られた気相爆発(水素と酸素が爆発的なエネルギーの解放を伴って水を合成する)に類似している。
 固相状態での反応合成による粉末製造においては、通常、成分粉末を混合し軽く層状に充填する。
 充填層は着火され自己伝搬反応が始まるが、この反応波は通常10mm/sの速度で広がり生成物を作る。
 もし反応時に熱が適切に除去できれば、反応生成物は多孔質組織になり、粉砕によって粉末にすることができる。
 この方法には多くの変形があるが、大半はセラミックス粉末を作るものである。金属間化合物に関しては、NiTi, Ni3Al, Ni3Si, TiAl, Ti5Si3, NbAl3, Fe3AlおよびTaAl3のようなAlやTi化合物が最も利用できる可能性を持っている。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 固体のガス分解
 古典的な金属粉末の製造方法としては、酸化物の還元がある。この工程は、磁気的に分離した鉄の酸化物(マグネタイト)のような精製された酸化物より出発する。
 そのような酸化物は、簡単に粉砕され粉末になる。酸化物の還元は、一酸化炭素あるいは水素のような還元ガスによる熱化学的反応により行われる。
 低温還元は小さな粒度の粉末を製造するばかりでなく、拡散により製品が接合することを最小限にする。
 酸化物の低温還元では大きな体積変化を伴うため、最終製品は、一般には海綿状の粉末になる。
 一方、高温処理では多角形の緻密な粉末を得ることができる。還元粉末は、粒子間の拡散接合を壊し適当な粒度にするために粉砕される。焼鈍により粉末の圧縮性は改善されるが、海綿状の粉末は圧縮が困難である。
 熱力学的および動力学的考察の両者から、酸化物の還元挙動は温度に依存する。熱力学的な関心は、金属酸化物が還元ガスに対して比較的安定であるということである。水素中でのFeOのような酸化物の還元には、反応時のエネルギー減少が必要である。
 FeO(s) + H2(g) → Fe(s) + H2O(g)
このような反応の自由エネルギーを求めるためには、熱化学のデータ表を参照すべきである。
 閉じた系においては、自由エネルギーと関連する平衡定数が、反応物に対する生成物の最終濃度比を決定する。
 上記のFeOの還元においては、平衡定数Kは
 K = Ph2o/Ph2
のようにガス分圧の比で表され、Ph2oおよびPh2oはそれぞれ水素と水の分圧である(固相の活量は1であるから)。
 鉄についての酸化と還元の間の平衡が、どのように雰囲気組織と反応温度に依存するかを示している。
 平衡線以下では酸化が生じる。平衡線以上では金属が安定であり、雰囲気と温度が適当であれば還元が生じる。還元反応が平衡に達することにより反応が自然に停止するのを相殺するために、ガス相は連続的に取り除かれる。
 このように水素によるFeOの還元においては、水蒸気が反応系から取り除かれる限り反応は最後まで進む。このれらの法則は、粉末製造工程における固相のガス分解に伴う熱力学的関係を簡単に示している。
 動力学的に重要なことが、還元ガスが還元される金属中にゆっくりと浸透するときに起こる。
 還元反応はいくつかの同時進行程度に左右される。
 ガス反応によって純金属が生成するにつれ、酸化物界面は内部へと移動する。その結果、酸化物を還元するためにはガスは材料中に深く浸透しなければならない。還元速度は、反応物質の内部への拡散速度、生成物の外部への拡散速度、あるいは界面での化学反応速度により制限される。
 通常これらの拡散過程の一つが、反応速度を律速している。拡散は熱活性過程(速度が温度の指数関数的に増加する)であるため、温度が高ければ高いほど反応はよく進行する。動力学的現象はアレニウス温度依存性を示すため、反応速度は温度の指数項ととともに過程の活性化エネルギーに依存する。(省略)
 活性化エネルギーが低い場合あるいは温度が高い場合、還元速度は増加する。一般には、温度が粉末製造時の主要な調整因子である。つまり粉末の還元速度は温度と共に急速に増加する。(省略)
 高温においては反応速度が大幅に増加するため、時間は劇的に減少する。この例は、粉末の還元速度を解析する場合、熱力学的および動力学的考察を組み合わせる必要があることを示している。
 鉄の場合の還元反応は、ミルスケールあるいはその他の鉄製品のスクラップの使用を基にして考えることができる。反応は700から1000℃近傍で行われ、その後、粒度制御のため機械的に摩砕される。粉末は非金属による汚染度が高い。
化学的精製を行わない場合、不純物量は高くまた変動する。
 ガスによる還元は、Mo, WおよびCuのような他のいくつかの金属粉末の製造にも適用される。
 粉末の粒度および形状は、ガス組成、温度、反応動力学、および反応層の厚さなどの還元因子により微妙に変化する。
 一般に、還元粉末は流動性および圧縮性に劣る。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 粒子形状の制御
 粒度と同様に粒子形状を制御するためには、凝固前に液滴が球状化するための時間を考慮する必要がある。
 実際、粒径は溶湯の加熱によって制御され、すなわち凝固に必要な時間を増加することにより球状化する。
 凝固時間が球状化に必要な時間より短い場合は、紐状の粒子が得られることになる。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 空気分級
 空気分級はサイクロンあるいは回転円盤(12000 RPMまで)と、直角方向の空気の流れを用いることにより、粉末を特定の粒度の分級するものである。
 遠心力は粒子の一定の速度を与え、一方、空気の流れはStokesの法則に基づく効果ににより分級を行う。
 円盤から飛び出した粉末の減速の差は、粒径と質量に基づいている。その結果、軽くて小さな粉末は空気の流れによって偏向され、大きな粒子から分離されることになる。
 円盤の回転速度と空気の流速を制御することにより、分離する粒子の寸法を変えることができる。
 空気分級は一般的に1から150μmの粒子に適用可能であるが、実際の挙動は材料の密度の平方根の逆数に比例して変化する。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 急速凝固によるアルミニウム中の固溶限の拡張
(平衡状態および急速凝固により得られる最大値)
添加元素 平衡状態(at.%) RSR最大(at.%)
Cr 0.4 6
Cu 2.5 18
Fe 0.03 6
Mg 18.9 40
Mn 0.7 9
Ni 0.02 8
Si 1.6 16
 上記には、平衡状態図に基づいたAlに関するいくつかの添加元素の固溶限が示されている。比較のため、急速焼き入れ法により得られた固溶限も示してある。
 固溶限の拡張は、急速な脱熱と、それに伴う急速凝固時の原子の拡散による再分配が困難になることに起因している。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 合金化の概念
 多くの関心が、非晶質材料の形成に適した合金条件の予測に向けられている。一般に、低融点の共晶付近の組成が、急冷により金属ガラスになりやすい。(省略)
 いずれも非晶質相の形成に適する組成範囲は、共晶点付近である。それらの組成においては、凝固温度はおのずと低い。液体固有の低温安定性が凝固開始に先立って著しい過冷を可能とし、非晶質構造の形成を助けている。これを基にして、Cd-Co, Fe-B, Mg-Zn, Ti-Be, Zr-Cu, Pd-SiおよびNb-Niのような系における二元合金が、急速凝固法により新しい合金および組織を生成するための理想的な候補となっている。
 凝固時の原子種に大きな違いがあると、置換位置が不安定となったり、原子の分配過程がより困難になるため、結晶化を妨げる。
 そのため非晶質合金は、原子半径、結合形態、結晶構造、電気陰性度、および原子価において大きく異なる方が好ましい。
 結晶化に際して原子の分配過程が困難な場合、非晶質金属が形成されやすいことは容易にわかる。
 同様に、異種合金元素の増加により、非晶質金属はエントロピー的にも形成されやすくなる。
 従って、Fe-Pd-Si-Bのような多成分系は容易にガラス化する。一般的にガラス相を形成する二元合金は、化学量論的には4:1,3:1,あるいは1:1に近い組成を有する。
 金属ガラスの形成を予測する完全に正確な理論的概念はまだない。
 原子寸法が多くの二元系において支配的である。急速凝固により非晶質相を形成するために必要な最小限の固溶濃度Cbと原子寸法の比(Ra/Rb)を関連付けるには、次のような経験的なパラメーターが有効であることが知られている。
 Cb >= 0.1 / |(Ra/Rb)^3-1|
ここでRbは溶解原子の半径、Raは溶媒原子の半径である。(省略)
 金属ガラスの形成はただ一つの因子だけに依存するわけではないが、いくつかの場合には原子半径の違いが重要であることを示している。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 粉末の混合
 粉末冶金に供する金属粉は、単一金属の場合もあるが、多くは第2,第3の粉末を混合して原料粉とする。
 同じ種類の粉末を混合することをブレンディングといい、異種粉末を混合することをミキシングと称する。
 異種混合では、金属粉に限らず、酸化物、窒化物などの非金属粉、さらには潤滑剤などの有機物質を混合することがある。
 いずれの場合も、型式の混合機を用途に合わせて使用する。そして、つぎの事項を経験的に調べて、均一に混合できる条件を決めなければならない。
1)容器に粉末を入れる順序、手順、方法
2)最適な混合量
3)混合中の粉末の状態の変化
・粉砕、凝集による粒度分布の変化
・酸化等による表面の変化
4)容器と粉末の摩擦による容器からの不純物混入
5)混合時間
6)粉末のとり出し方と偏析
7)混合度の判断とサンプリング
 これらの条件は、混合前の粉末の特性を変えずに混合粉を得るための項目であるが、時には混合と同時に粉砕と密着を行わせるようなことがある。たとえば、WC-Co超硬合金用混合粉末がそれであって、WCのまわりにCoをはりつける、あるいは CoにWCを埋め込ませるなどの考え方で、アセトン等を加えボールミルで行うのがそれである。
 混合方法の違いで、焼結後の超硬材料の特性が違ってくる様子を下記に示す。

WC-Co粉の混合特性
混合方法 密度
[g/cm^3]
硬さ
[HRA]
抗折力
平均[MPa]
抗折力
範囲[MPa]
手でまぜる、乾燥 13.84 88.3 1220 1200-1227
水とかき回す 13.86 88.5 1179 1103-1234
アセトンとかき回す 13.92 89.1 1338 1124-1379
混合機、乾燥 13.66 85.9 758 737-780
混合機、水 13.79 88.6 1441 1379-1496
混合機、ビセン 13.89 88.6 1475 1386-1524
ボールミル、アセトン 13.89 80.3 1862 1675-2027

 混合した粉末の均一度をはかるには、粉末から適当な方法と数量の試料をサンプリングし、これを分析して、あらかじめ決めておいた当初の混合粉の割合からの最大偏差値と比較する。
 ブレンディングした単一粉末は粒度分布曲線の変化で調べるしかないが、信頼のおける結果がでないことが多い。
またミキシングでは、すでに述べたように、粒度偏析や密度偏析が起こりやすい。
 したがって、粉末を容器に投入する順序をはじめ、混合は注意深く行い、とり出し方も工夫が必要である。潤滑剤を「のり」のように考えて粉末粒子を互いに付着させる工夫もあるが、
 これを添加できない場合は、よほど工夫しないとせっかく混合したものが、とり出し、あるいは圧縮中の取り扱いで偏析してしまうおそれがある。これに対しては材料ごと、方法ごとに経験的に工夫されている。混合は簡単なようでも、焼結体の品質が均等であるか否かに関わるので重要な作業である。
石丸安彦「粉末冶金の基礎と応用」技術書院
-----------------------------------------------------------------------
■ 乾燥粉末の混合
 混合装置の内部は、混合効率を決定するために重要である。整流装置、増強装置(回転羽根)および分割器は、相互混合を高める可能性がある内部追加装置である。混合効率は、混合機中の粉末の体積によっても決まる。混合機が粉末で満たされるにつれ、粉末の相互運動は阻害される。
 粉末体積が混合機容積の20から40%の間であるときが、通常最適とされている。
 回転速度もまた混合効率に大きな影響を及ぼす。回転速度が遅いと、適切な混合状態を得るために必要な時間が長くなり、混合機中の粉末の激しい自由落下により、優先的な粒度偏析と衝撃粉砕を生じることになる。一方、高速回転は遠心力により粉末の流動を阻害する。
 最適混合は、遠心力は小さいが乱流が生じないほど小さくはない場合に得られる。好ましい回転速度は、重力と遠心力が釣り合う速度である。円筒形混合機の最適回転数N(rpm)は次のように概算できる。
 N = 32/√d
ここでdは円筒の直径(m単位)である。直径1mの円筒の最適回転速度は32rpmとなる。
 直径が小さくなるほど同じような最適条件を得るためには、回転速度を早くする必要がある。混合速度は、粉末の不均質性によっても変化する。
 初めに急速な相互混合が生じるが、時間とともに次第に減少する。
 このように混合状態は、特に粉末が偏析している場合は、持続時間によっては改善されない。粉末の混合あるいは配合には、いくつか不都合な側面も存在する。
 金属粒子は長時間の運動により加工硬化し、圧縮が困難になる。これらの工程はまだ、汚染が生じる機会を増加させる。混合工程の設計が不適切な場合は、実際に粒子偏析を生じ、それは二つの粉末の粒度や形状および密度が異なるほど大きな問題となる。
 混合中、粉末の摩砕が生じる可能性がある。その結果、長時間混合により粒度が細かくなり、形状は丸みを帯びてくる。硬質相と軟質相を混合する場合、軟質相が凝集あるいは硬質粒子の表面にくっつくことにより被膜が生じる。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 円筒形混合機の臨界回転速度
 円筒形混合機の臨界回転速度とは、遠心力と重力のつり合いを表している。臨界速度Ncにおいて力がつり合うとする。dを混合機の回転直径、Vを回転速度とする。混合機の壁上の質量mの粒子に働く遠心力Fcは次のように与えられる。
 Fc=4*m*V^2/d
 重量Fgは次のように与えられる
 Fg=m*g
 混合機の外周速度Vは、一分間当たりの回転数Nと回転直径dに依存し、
 V=π*d*N
 臨界条件Fg=Fcより
 2*m*π^2*N^2*d = m*g
 すなわち、臨界速度Ncは、
 Nc=[g/(2*π^2*d]^(1/2)=42.3/√d
ここで直径dはm単位、回転数はrpmである。
 粉末の最適混合は、混合機がNcの約75%で運転されるとき得られる。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 分散させるために
 多くの金属粉末は、寸法が小さいため凝集しやすい。そのため分散は容易ではない。ファン・デル・ワールス力は小さいが、湿気の吸収により粒子は凝集する。(科学的に結合し除去することが困難な吸収膜に比較して、吸着表面被膜の表面に対する結合は弱い。水はステンレス鋼上に吸着被膜を形成するが、クロム酸化物は吸収膜である)
 凝集体は、材料の本質的な強度よりはるかに弱い力で固まった粒子の集合体と定義される。凝集体の例としては乾燥した泥があり、それは低い応力で粉砕することができる。集合体とは、結合剤などにより強力に結合された結晶あるいは粒子の集まりであるため、容易に分散することはできない。ここで問題にするのは、凝集した粒子の分散についてである。
 粒子は、内部エネルギー(粒子の体積で評価される)と表面エネルギー(粒子の表面積で評価される)で表される。
 ETは全エネルギーを、Vは粒子体積を、Aは粒子表面積を表すとする。そのとき全エネルギーは、一次の合計として表される。
 ET = γ*A + ξ*V
ここでγは表面エネルギー(J/m^2)、ξは内部エネルギー(J/m^3)である。
 このように単位面積当たりのエネルギーは、粒子当たりの凝集ポテンシャルの有効な尺度となり、次のように表される。
 ET/V = ξ + 6*γ/D
 1粒子当たりのエネルギーは、粒子の大きさに逆比例するため、凝集の駆動力は粒度が小さくなるほど大きくなる。
 そのため粉末のキャラクタリゼーションにおいて、次のような重大な問題が生じる。つまり凝集した小さな粒子は、実際の粒子の寸法より大きな粒度を誤って示すことがあるということである。多くの工程が粒度に依存しているため、不適切な特性値は問題を生じる。
 粉末の粒度およびその他の特性をキャラクタリゼーションするためには、適切に分散させることが必要であるが、これは粒度が小さくなるほど難しくなる。
 界面活性剤は、粉末の凝集あるいは分散に大きな影響を及ぼす。従って、第一段階としては、粒子の凝集の原因となっている水分はるいはその他の物質を取り除くことである。
 大きな粒子の場合は、十分な分散や正確なキャラクタリゼーションが可能である。
 特に100μm以下の小さい粉末は、1vol.%の水分(0.1wt.%以下)で自然に凝集するのに十分な毛細管力を有する。毛細管力は、実際には水分含有量が減少するにつれ増加する。
 そのため有極性分子が小さい粒子の分散剤として用いられる。これらの有極性分子は一般的には、水酸基(OH-)、スルホン酸基(SO3-)、硫酸基(OSO3-)、およびアンモニア基(NH4+)などの、電荷を帯びた陰イオンあるいは陽イオンの末端基をもつ鎖状炭素である。せん断力を分散剤とともに用いることは、微粉末の凝集を解体する上で有効である。せん断は、超音波攪拌器あるいは強制撹拌により与えることができる。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 安全と健康に関する配慮
 ある種の粉末を粉末を取り扱う作業者に悪影響を及ぼすため、粉末の取り扱いにおいては安全に関する予防処理と清潔さが必要である。
 吸引しやすい粉末は、健康に対する注意が必要であり、病気あるいは肺機能障害を引き起こす可能性がある。
 材料の粒度および比重により、吸い込まれた粒子の沈着場所が大体決まる。粗い粒子(大まかには10μm以上)は、粘液膜に捕捉され肺までは達しないが、0.01から10μmの間の粒子は肺に到達し、体内に取り込まれる可能性がある。そのような取り込みによる特有の結果は粉末組織に依存する。
 一般に粒度が小さくなればなるほど、健康に害を与える可能性は大きくなる。
 寸法が0.1から1.0μmの間の粒子で毒性のある金属(例えば、As,Te,Be,Cd,Co,Pb,NiおよびCr)あるいはその化合物には、十分注意を払う必要がある。粉末状態のこれらの金属にふれることは、最小限に抑えるべきである。
 多くの毒性のある金属に対する作業上の最大空気被爆量は、10^-4g/m^3以下である。そのような有害な金属の場合には、より毒性の低い金属に置き換えたり、保護装置を使ったり、あるいは特別に安全な処理装置(グローボックスのような)を利用すべきである。
 強調しておかなければならないことは、銅や鉄あるいは鋼のような一般的な種類の金属粉末の普通の取り扱いにおいては、害は認められていないことである。実際、ある種の粉末はビタミンや鉱物の補填物として、意図的に食品に添加されている。
 金属粉末のその他の害は、酸素存在下における熱的不安定性である。微細に分散した状態の金属粉末は、自然発火性(空気中で燃える)や爆発する可能性があり、2MP(20気圧)もの燃焼圧力を生じる。そのため粉塵のない環境を維持すべきである。アルミニウム、ジルコニウム、タンタル、トリウム、チタン、およびマグネシウムのような金属は、40 g/m^3程度の濃度で空気中で発火する可能性がある。
 発火は200から700℃の比較的低い温度で起こりうる。このような危険性のために、金属粉末の清浄な取り扱いが必要である。自然発火反応を最小限にする一般的な方法には、換気、酸化の制御(制御した状態での新生表面の不働態化)、表面被膜(有機物、あるいはその他の被膜)、火花あるいは熱源をできるだけ少なくすることである。鉄、亜鉛、錫および銅のような一般的な金属は、その点では危険性は中程度にすぎない。
 最後に、しばしば見落とされがちなの一つの危険性が、混合粉末の場合に生じる。化合物を形成する素粉末の混合は、爆発する可能性がある。例えば、チタンとグラファイトを混合するとチタン炭化物が形成される。たとえ不活性雰囲気で取り扱われても、かなりの発熱を伴う反応が生じる。温度が上昇し、いったん反応が始まると1000から2000℃になりうる。
同じような系としては、Ni-Al,Ni-Si,Ti-Al,Ti-B,Pt-ZrおよびFe-Alがある。
 これらの固相状態での反応は、通常の爆発圧力波を生じるわけではないが、高温反応生成物の閉じ込めが問題となる。混合粉末を取り扱う場合、固相状態の発熱反応の可能性に関しては、粉末処理装置を溶かす可能性のある予想外の発火事故を避けるように考慮すべきである。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 粉末の粉砕
 凝集は、表面積が大きいためと、弱い力のひとつが作用するために生じる。
 一般的な弱い力としては、ファン・デル・ワールス引力、静電力、化学結合、液体の毛細管力、および磁力がある。
 ファン・デル・ワールス力は約100nm以上の距離まで作用し、寸法が0.05μm以下の粒子で非常に顕著である。
 凝集はまた、混合時の粒子接点での冷間接合、あるいは焼鈍時の小さな粒子の焼結接合によっても起こりうる。
 凝集を制御できない一つの原因に、粉末表面への大気中の水蒸気の凝縮がある。水は典型的な犯人である。
 水の吸収量は、相対湿度および表面の曲率に依存する。凝縮した液体は、粒子の接触点に毛細管架橋を形成する。
 これらの架橋は振子結合と呼ばれる。湿潤液体は粒子を引き寄せ、結合し、凝集体を作る。
 粒子間の引力Fは液体の量によりわずかに変化するとともに、液相-気相の表面エネルギーγと粒子の直径Dの影響を受ける。
 F = 5*γ*D
しかし、粒子の質量は粒子寸法の3乗に依存するため、質量に対する力の比は粒子が小さくなるほどより顕著になる。
 凝集体強度σのおおよその変化は、次のようになる。
 σ=7*S*γ*(1-ε)/(D*ε)
ここでSは飽和度(液体で満たされた気孔の体積割合)、εは気孔率、Dは粒子寸法である。
 約100μm以下の粒子に対して、湿潤液体による毛細管力は顕著な凝集効果をもたらす。
 粒子が凝集する力は通常小さいが、凝集力は点接触で働くため有効応力は高くなる。
 接触点の粒子間力のために、すべりや変形はその結合応力により妨げられる。
 粒子を分離、剪断するためには膨張が必要であり、このように湿潤液体による解砕に対する固有の抵抗が存在する。
粒子の剪断強度は、混合、流動、および充填挙動の鍵となる。拘束されていない粒子は、まず膨張により相対的に低い剪断力で流れ、その後、剪断面上を滑る。
 拘束されていない粒子の剪断力のおおまかな目安は安息角であり、これは粒子間の結合とともに増加する。小さな粒子や不規則な粒子は、大きな球状の粒子より大きな安息角を示す。
 大きな球状粒子は約30°の安息角を示し、自由流動する粉末に関しては38°までが範囲である。
 安息角が約45°以上になると、粉末は凝集し始める。
 充填された粒子の強度は、相対密度に依存する。湿潤液体は粒子間の凝集を高め、剪断に対する抵抗を増加する。相対密度と粒度による強度変化は、おおよそ次のようになる。
 σ = K*f*N*F/D^2
ここでσは引張強度、Kは粒子形状に依存する因子、fは相対密度、Nは充填配位数、Fは粒子間の凝集結合力、Dは粒子の直径である。相対密度は、理論密度に対する実測密度の比である。相対充填密度が上昇するに従い、ゆるやかに充填した亜鉛粉末の例に見られるように強度も増加する。
 粒子が小さいことが凝集の主な要因である。粒度分布が広い場合、最も小さな粒子が大きな粒子に強い影響を及ぼす。一方、粉末中の粒度による偏析をできるだけ少なくするためには、凝集は選択的に利用可能である。
 粗い粉末を解砕する簡単な方法は、乾燥雰囲気で軽く粉砕することである。
 衝撃は、別の方法では安定な凝集体を粉砕する。ボール、円筒、あるいはロッドを用いたボールミルが、多くの粉末には適している。目的は、不必要な破壊や加工あるいは変形を与えることなく、凝集体を粉砕するのに十分な剪断力を与えることである。解砕速度は、単位時間当たりのボールの衝突回数とともに変化する。
 粒子がさらに小さい場合は、反発力を生む表面活性剤を用いるのが効果的である。
 いくつかの一般的な添加物には、ポリビニルアルコール、ステアリン酸、ナトリウムオレイン酸塩、グリセリン、およびオレイン酸がある。これらの添加物は、短範囲の反発力で表面を潤滑することにより、粒子間摩擦を低下させる。
一般に粒子の流動および充填は、適当な表面活性剤の存在により改善される。
 極性分子による被膜は、スリップキャスティングのような液体中に分散したサブミクロンの粒子の処理に非常に重要である。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 粒度・形状・純度の改良

◇粒度の改良
 粒子間摩擦は、粒子表面の不規則性から生じる。表面粗度が粗くなるほど、あるいは粒子形状が不規則になるほど、充填密度は低くなり、安息角は大きくなって、流動性は低下する。
 最も密度が高くなるのは、表面が硬く滑らかな球状粒子の場合である。
 振動あるいは潤滑剤の利用は充填密度の上昇の助けになるが、凝集あるいは粒度偏析に伴う問題が生じる可能性がある。
 表面活性剤は粒子間摩擦を軽減することができるが、粉末表面の粘着性を増加させる効果は、充填密度を低下させる。金属粉末の酸化は粒子間摩擦の軽減に効果的である。
 このことは、3つの異なった鉄粉末(50g)において、酸素含有量の増加(0.5から3%O2)とともに流動時間が減少(約30sから20sへ)することからもわかる。結局、充填および流動を改善するために、粉末を調整することは可能である。(流動時間:多孔質>不規則>樹枝状)

◇形状の改良
 タンブリングは、粗い粉末の表面の凹凸を滑らかにし、粉末に被膜をするには効果的である。
 タンブリング運動は粉末の摩砕をできるだけ少なくし、解砕および粉末表面の平滑化に効果がある。
 その結果、充填密度は大幅に上昇する。大きいボールほど衝突エネルギーは大きくなり、粒子形状は変化する。粉砕により蓄積されたエネルギーは、焼結に必要な温度を低下させる。

◇純度の改良
 多くの不純物は金属粉末の表面に偏析しており、これは凝固事象や取り扱い時の汚染物質の吸着を反映している。
 これらの汚染物質を最終製品まで持ち込むことを避けるために、固化前に表面を除去する必要がある。
 それは、表面処理剤あるいは超音波処理を用いて行うことができる。
 酸化物は、圧縮成形を容易にするために粉末を軟化させる焼鈍処理の一部として、水素、分解アンモニア、あるいは一酸化炭素中で加熱することにより還元することができる。
 処理ガス中へのハロゲン化物(塩素あるいはフッ素)の添加は、表面被膜の除去には有効である。
 焼鈍はほとんど粉末の分級や粉砕後に、一般的には金属の融点(絶対温度)の半分以下の温度で行われる。
 予期せず混入するセラミック介在物を取り除く必要がある場合には、空気分級の静電分離あるいは磁気選別の組み合わせによって、粉末を清浄化することができる。
 空気分級は、優先的に不純物を多く含む小さな粒子を選択的に取り除くために用いることができる。
 これらの清浄化工程は、ガスアトマイズ粉末より作られた超合金部材の疲労寿命の改善に有効である。
 またガスアトマイズ粉末に関しては、アルゴンや窒素のような吸収されたアトマイズガスを取り除くために500℃で真空脱ガス処理を行う必要が時にはある。
 酸による化学溶融はあまり広く用いられてはいないが、粉末表面を著しく溶解することになる。この場合、下層の凝固組織の差異が腐食粒子において明白に現れている。液体中の超音波振動は、表面被膜を取り除くのに効果的である。
 超音波振動では、空洞が超音波振動中に粒子表面に形成され、連続的な表面浸食を生じる。
 空洞中の気泡が崩壊するときの約250MPaの衝撃力で、粒子表面は滑らかになる。これらの気泡は、粉末表面を清浄にするが、約10μmの深さしか効果がない。
 このような粉末清浄化方法は、最終粉末冶金製品の汚染を減少させる。
 このように固化に先立って粉末を清浄化する方法としては、熱的、真空、化学的、および機械的方法があり、これらの方法により、表面状態や粒子形状あるいは充填および流動挙動が変化する。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 粒子形状と相対密度
 粒子の充填は、ほとんどの成形工程において重要である。充填密度により、金型充填やバインダ含有量および焼結時の収縮が決まる。無秩序な充填構造が、粉末冶金工程では一般的である。単一寸法の球の相対密度が0.60と0.64の間であるのに対し、実際の密度は、寸法および形状などの粉末特性や吸着水分などの因子に依存する。
 一般的な粉末冶金用粉末の場合、充填密度は理論密度の30から65%の範囲にあり、下限値は不規則形状や海綿状の粉末を反映している。
 粒子間摩擦は、粒子表面の不規則性に起因している。表面密度が粗くなるほど、あるいは粒子形状が不規則になるほど、充填密度は低くなる。
 寸法は同じで形状が異なる粒子に関しては、等軸形状(球形)から離れるに従い充填密度は低下する。
(球形から離れるにしたがって、相対密度は0.65から0.43ほどまで低下する)
 粒子形状が丸味(球状)を帯びてくるにつれ、充填密度は高くなる。
 繊維状粒子を充填する場合は、粒子の直径に対する長さの比L/Dが大きくなるほど、充填密度は低下する。
(相対密度:0.65から0.5(L/D=5),0.4(10),0.2(25),0.1(50)と減少していく)
 繊維状粒子が無秩序に充填された場合は、相対密度が0.1まで低下することを示している。
 粒子が滑らかで等軸形状に近づくほど、充填は改善される。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 混合および配合の一般的概念
 混合および配合は、特異な粒度分布を準備したり、焼結中に新しい合金を生み出すように粉末を組み合わせたり、圧縮のために潤滑剤を添加したり、成形のために粉末とバインダの混合物を作ったりするために必要である。
 粉末を配合する主な理由は、輸送中の振動により通常導入される偏析を除去するためである。
 沈殿に固有の現象は大きさによる粒子の偏析であり、大きな粒子が上部に集まることにより、成形および焼結が不均質になる。
 偏析には三つの原因(粒度、密度、および形状の相違)があるが、粒度に伴う偏析が顕著である。例えば、もし小さな粒子が大きな粒子の間の空隙を通り抜けることがきるとすれば、粉末は粒度にyろう偏析を生じる。粒度偏析の一つの結果は、全体的な見かけ密度が減少し、場所によって密度の変動が生じることである。
 偏析の程度は、次のように計算される偏析係数Cにより評価することができる。
 C=(XT-XB)/(XT-XB)
ここで、XTは容器の上半分における大きな粒子の割合、XBは容器の下半分における大きな粒子の割合である。
 粒子形状が不規則な場合は、粒度偏析は抑制される。同様に、約100μm以下の粒度の場合は、粒子間摩擦が大きいため粒度偏析は起こりにくい。粒度偏析は湿潤剤を用いることにより減少することができるが、しかし不均一な湿りにより生じる凝集が偏析を助長する場合もある。
 混合過程はよく理解されておらず、製品を作る上で一般的な問題の原因となっている。
 粉末の混合および配合に含まれる変数としては、材料、粒度、混合機の形式、混合機の大きさ、混合機の相対的な粉末の体積、混合速度、剪断、および混合時間がある。
 さらに湿度のような環境的な要因も混合に影響を与える。いくつかの簡単な原則により、このような問題は軽減することができる。
1)輸送後、乾燥粉末を再配合する
2)乾燥粉末を振動させない
3)粒度偏析が生じるような自由落下により、乾燥粉末を供給しない
4)粉末とバインダの混合物に不必要な剪断力をできるだけ与えない
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 混合での理論密度
 二つの粉末あるいは粉末とバインダの混合物の密度の理論的予測には、いくつかの解析が必要である。二つの試料をA, B、それぞれに重量をWA, WBとする。
 各材料の理論密度は既知であり、ρA, ρBとする。
 混合物の密度は全重量を全体積で割ることにより与えられる。
 全重量WTは、
 WT = WA + WB
 各材料の体積は、重量を密度で割ることにより、
 VA = WA/ρA
 VB = WB/ρB
このとき全体積VTはVA+VBの和として与えられる。この結果、混合物の理論密度ρTは、全重量を全体積で割ることにより与えられる。
 ρA = WT/VT = (WA+WB)/[(WA/ρA)+(WB/ρB)]
混合物の理論密度の評価において、混合則を適用した場合、かなりの誤差が生じる可能性があることに注意する必要がある(混合則は、二つの添加物の加重平均とするものである)。
 例えば、もし鉄が1%のステアリン酸亜鉛で潤滑されている場合、混合則によると理論密度は7.79g/cm^3=(0.99*7.86+0.01+1.09)となるが、一方、上記の計算によると7.40g/cm^3となる。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 充填方法の改善
 粉末本来の充填限界を乗り越えるために、充填密度を高くするために粒度分布を調整することは可能である。
 双峰粒子の混合は、単一寸法の粒子より高密度充填が可能である。充填状態を改善する鍵は粒度の比にある。
 小さな粒子が大きな粒子を分離することなく、大きな粒子の隙間を埋めるために選ばれる。
 さらに小さな粒子が残りの空隙を埋めるために選ばれ、充填密度を改善する。
 最大充填組成においては、小さな粒子より大きな粒子の体積の方が多い。
 充填密度の相対的な改善は、大小の粒子の寸法の比に依存する。
 制限範囲内では、寸法比が大きくなるほど最大充填密度は高くなる。
 大きな粒子から出発すると、まず小さな粒子の添加により大きな粒子の間の空隙が満たされるにつれ、充填密度は高くなる。
 最終的には小さな粒子が大きな粒子の間をすべて満たすことになる。
 さらに添加すると大きな粒子は分離される結果となり、もはや充填密度は改善されない。
 反対に小さな粒子から出発すると、小さな粒子の集合体とそれに伴う空隙が取り除かれ、大きな粒子で置換される。大きな粒子は真密度であるため、大きな粒子が添加された場所はいずれも、空隙のある領域が真密度の領域に置き換わることになる。
 小さな粒子が大きな粒子に置換されることによる充填の利点は、大きな粒子が互いに接触するような濃度に達するまで持続する。
 大きな粒子の重量割合xによる最適組成は、大きな粒子の間の空隙量に依存する。
 空隙量は1-fLであり、ここでfLは大きな粒子の相対充填密度である。
 x =fL/f
 最適組成における充填密度fは次のようになる。
 f = fL + fs*(1-fL)
ここでfsは小さな粒子の相対充填密度である。
 理想的な相対密度0.637を有する球状粒子で、粒子寸法が大きく異なる二つの粉末の場合、最大充填に対応する大きな粒子の重量割合は0.734、すなわち小さな粒子は26.6wt.%である。
 このとき予測される相対充填密度は0.86となる。
 充填密度が粒度比(大きな粒子の直径を小さな粒子の直径で割った比)とともに増加する様子を示している。
 おおよそ7:1の寸法比のとき、すなわち大きな粒子の間の三角形の空隙を一つの粒子が満たす点に対する粒度比において、挙動が劇的に変化する。
(相対密度:0.625(粒度比1),0.75(5), 0.80(7),0.825(10),0.827(15), 0.83(20), 0.83(80) )
 充填密度は、混合物の均質性とともに高くなる。処理方法にもよるが、無秩序に混合された系は、混合されていない状態から完全混合までの範囲にあり、一般的には理想状態から実際の充填状態まで低下させる何らかの不均質性を示す。
 球の挙動と同様に、類似形状の粒度が異なる粒子を混合することにより、密度は増加する。
 しかしながら、球状と非球状粒子の大きな違いは、一般に球状粒子の方が初期充填は高いことである。
 表面粗度、形状の不規則性、あるいは粒子のアスペクト比が大きくなるほど、固有の充填密度は低下する。
 このように球状と非球状粒子の相対的な密度の上昇は類似しているが、非球状粒子の出発密度は低い。その結果、全組織範囲にわたって非球状粒子の混合物の密度は低くなる。
 双峰混合物を発展させた考え方は、多峰混合物にも拡張することができる。
 最適充填には、少なくとも7:1の粒度比が必要である。三峰充填の場合、最適比は49:7:1である。粒度が異なる粉末の数が増加するにつれ、実際的な問題が増加し、充填密度の向上割合は減少する。従って明確な例としては、充填密度が大きく向上し、最適な寸法を見出すことも比較的容易な双峰混合物だけである。
 より多くの成分からなる混合物は、あまり実用的ではない。
 粒度分布が広い場合は、0.82から0.96の範囲にあると予想される限られた値まで充填密度は高くなる。
 これらの値は、大きな粒度比を有する双峰および三峰混合物で得られる相対密度に匹敵する。
 最適充填は、粒度分布が次のAndreasenの式によって表されるとき得られる。
 W = A*D^q
ここでWは寸法Dより小さい粒子の重量割合、Aとqは粒度分布に合わせるために用いられる経験的定数である。
 最大密度は、qの値が0.5から0.67の間で得られる。小さな粒子の大部分は、ほぼ連続的である大きな粒子の基地間の空隙を満たすのに役立つ。
 寸法が異なる混合物にはすべて、最適充填密度が得られる組成がある。
 最適充填状態では、最も大きな粒子が固定した骨格を形成し、続いて小さな粒子が残りの空隙を満たしている。
 充填構造が不均質な場合は、充填密度が低下する。このように実際は、模範的な充填密度を達成することは困難である。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
■ 粒度分布の測定法
 以下の手法がある。詳細は”三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃”を参照のこと。
1)篩分け法
2)沈降法
3)光散乱法
4)電気帯検知法
5)光遮蔽法
6)X線法

◇ 粒度分析方法の比較
方法 寸法
範囲(μm)
動作比 試料
量(g)
相対速度 基準
顕微鏡          
光学顕微鏡 0.8以上 30 <1 >= 1h 個体数基準
電子顕微鏡 0.001-400 30 <1 >= 1h 個体数基準
篩分け(乾湿両方)          
金網 38以上 20 100   重量基準
電着 5-120 20 >5 >= 1h 重量基準
沈降          
重力 0.2-100 50 5 0.5h 重量基準
遠心力 0.02-10 50 1 >= 1h 重量基準
光散乱          
Fraunhofer 1-800 <200 <5 <0.25h 重量基準
Mie 0.1-3 30 1 <0.25h 重量基準
速度 0.5-200 400 1 <0.25h 個体数基準
ブラウン 0.005-5 1000 <5 0.5h 個体数基準
電気帯検知 0.4-1000 30 5 0.5h 重量基準
光遮蔽 1-600 45 3 0.5h 個体数基準
X線          
ブロードニング 0.01-0.2 - 1 >= 1h 個体数基準
小角 0.001-0.05 - 1 >= 1h 個体数基準

1)篩分け法
 篩分け法は通常38μmより大きな粒子にのみ適応される。5μmまで使用可能な電鋳により作られたメッシュがあるが、凝集や粉末のメッシュへの付着により、電鋳で作られた編み目は小さくなり、実用上利用は難しくなる。
 篩分け法は最も広く使われている粒度分析法であるが、問題がないわけではない。
 篩は製造公差として平均的目開きの3-7%の許容誤差を有している。さらに個々の目開きは、規定のメッシュ寸法より50%まで大きくなりうる。その結果、厳密な区分けというよりはむしろ幅を持った区分けを生じている。
 よくある問題は、特に目開きが小さい篩での粉末の入れ過ぎである。入れ過ぎは網目をふさぐことになり、粒度が限界の篩寸法にまで到達するのを妨げる。このため測定データは、粒度が粗い方向にずれることになる。
 この問題は、篩の単位面積当たりの粉末量が増加するほど、細かい粒子の量が多くなるほど、また目開きが小さくなるほど増加する。もう一つの問題点は、篩および方法の違いに基づくものである。
 一般に、篩および方法が十分に明記されていない場合、どのような粉末でも篩分け分析においては、8%の誤差があると予測される。同じ篩を使用した場合は、測定結果の差は約4%まで減少しうる。
 分析全体を完全に制御した場合は、1%程度まで差を小さくすることができる。
 このように篩分け分析に1%以上の正確さを求めることは無意味である。
 篩に欠陥がある場合は、粒度の大きな粉末が通過することになる。
 また篩分けの時間が長すぎる場合は、粒子が壊れ小さくなるかもしれない。篩分け時間が短すぎる場合は、小さい粉末が積み重ねた篩全部を通過するのに十分な時間がないことになる。これらの困難さのために、標準化された試験方法を用いることが重要である。
 篩分けは、寸法別に分けた粉末を得る上でも有効である。この手法は分級と呼ばれ、希望の寸法分布を得るために利用される。いくつかの応用例において、粉末を処理することができるかどうかは粒度の制御に依存している。
 その結果、篩分けは解く知恵の粒度の粉末を取り除く手段を提供することになる。

2)沈降法
 すべての粒度測定と同様に、沈降法による粒度分析も誤算の原因がないわけでない。
 まず、沈降の促進や流体の粘度を通して、ある程度の融通性は可能であるが、基本的に測定は狭い寸法範囲に限られている。
 しかしながら1μm以下の粒子に関しては、沈降が遅く乱流(熱勾配)のため、信頼性は乏しくなる。断熱容器内における遠心力の適用は、いくつかの研究室でうまく用いられてきた。
 この方法により、沈降法は0.01μmの粒子にまで拡張されてきた。
 ある種の粉末特性は、非常に問題になる可能性がある。粉末内部の空孔は質量を減少させ、その結果、粒子の沈降速度は遅くなる。不規則形状をした粒子の場合、沈降は液体管の直径に依存するため、寸法パラメーターの明視化は幾分困難となる。
 さらに不規則形状の粒子は、直線的な軌跡をとるとは限らない。
 すなわち速度が一定でないことや、経路の長さも不確実であることから、正確な寸法測定は難しくなる。そのような試験を行う前には、予備知識(おおよその粒度と粒子密度)が必要である。未知の粉末や密度が異なる粉末
(例えば鋼とタングステン)を混合した場合、あるいは新しく合成された粉末の場合、それらのパラメーターはわからないかもしれない。
 Stokesの放送には数学的な限界がある。法則の導出には、粒度が沈降を制御するという仮定に基づいているが、Reynolds数が約0.2以上になると、この仮定は成立しなくなる。
 沈降のパラメーターの項では、Reynolds数Rは次のように与えられる。
 R = V*D*ρ/η
ここで、Vは最終速度、Dは粒子の直径、ρは流体の密度,ηは流体の粘度である。なお、粒子は最終速度Vにすぐ到達すると仮定されている。これらの因子のため、沈降法の適用は常に約60μm以下の粒子に限られている(Alは約35μm以下,Wは17μm以下と密度が高いと小さい粒径に制限される)。
 容器の壁は沈降中、粒子と相互作用しないようにすべきである。
 粒子同士の相互作用もゼロにすべきである。従って、濃度は凝集しないように1vol.%以下に保つべきである。
 最後に流体と粉末hあ、化学的に反応してはならない。そのため、鉄粉と水の組み合わせは薦められない。
 このようにいくつかの扱い難さがあるにも関わらず、沈降法は耐熱金属などのいくつかの粉末系に対して利用されている。

3)光散乱法
・Fraunhofer:
 Fraunhofer前方散乱は、通常1〜200μmの範囲の粒子に適用される。最小粒子は、検出に用いられるレーザー光の波長の少なくとも2倍は必要である。他の粒度分析法と同様に、粒子形状は球状に想定されている。凝集を検出することは困難であるが、適当な分散および超音波による分塊により最小にすることができる。
 この方法はデータ収集が容易であるため、広く利用されている。
・ブラウン:
 おおよそ0.005から5μmの粒度範囲にわたって、粒子からの反射が、粒度の逆数に依存して1000から1 Hzの周波数変化を生じる。周波数に対する強度の情報が、数分間にわたって蓄積される。出力は分析され、信号から粒度分布へと変換される。
 この方法を利用するためには、流体と粒子の光学的性質、流体の粘度、および温度が既知でなければならない。
 固有の粒度分布に関するわずかの仮定はあるが、非常に小さな粒子にまで適用できることが利点である。

4)電気帯検知法
 一般に密度の低い材料(セラミックスやポリマーなど)では良い結果が得られやすい。

5)光遮蔽法
 本測定方法は、問題点および限界の点でも、電気帯検知法と類似している。

6)X線法
・ブロードニング(X線回折{XRD}より得られる):
 ピークのブロードニングより正確な粒度分析を行うためには、歪みの影響を差し引かなければならない。
 これは、回折角度に対するブロードニングの値を分析することにより行うことができる。さらに、装置、ビームの発散、および試料寸法によるブロードニングも差し引かなければならない。
 一般的にはピークのブロードニングは、歪みが問題にならない焼鈍あるいは脆性材料に適用するのが最適である。
 粉砕された金属粉末は通常不均一な歪みを示すことから、X線ブロードニングによって正確な分析を行うことはできない。
 粒度によるブロードニングを抽出するには、別の回折パターンを示す標準物質を試験粉末に混ぜ合わせる。
 より大きな結晶寸法(1μm以上)の標準物質を用いることによって、類似した回折角のブロードニングを測定することができる。
 Btを全ブロードニングとすると、そのときの粒度のブロードニングBは、次のように全体の2乗の差から計算される。
 B^2 = Bt^2 - Bs^2
 結晶子サイズ D = 0.9*X線の波長/(B*cosΘ) (Scherrerの式)
ここでBsは標準物質のピークブロードニングである。この方法は、寸法が50nmぐらいの粒子に適応するのが最適である。
 実験を注意深く行えば、X線のピークブロードニングは寸法が0.2μm(200nm)の粒子にまで適応可能である。しかしながら、この方法は平均的な結晶(粒子)寸法を与えるのみで、粒度分布や形状に関する情報は得られない。
・小角散乱:
 粒子形状が既知であれば、粒度分布を求めることができる。小さな粒子により散乱されるX線強度は、粒子の体積とともに変化する。50μm以下の粒子に非常に有効である。この方法は、粒子内に干渉のない粒子が分散していることを仮定している。粒度分布あるいは粒子形状のいずれかを見積もるためには、角度に対するX線強度が0から3°の範囲内で測定される。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
-----------------------------------------------------------------------
QRコード
携帯用QRコード
アクセス数
ページビュー数