粉末冶金・焼結での理論

 焼結を扱う者は、石丸安彦「粉末冶金の基礎と応用」技術書院、石田恒雄「焼結材料工学」森北出版、および、三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃 の3冊は最低でも目を通しておくことが望ましい。
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■ 粉末冶金
 金属の粉末を圧縮成形して加熱すると、焼結が起こって一体化することはかなり古くから知られていて、実際に応用されてきた。
 金属の粉末を原料に用い、焼結現象を利用して機械部品を製造したり、特殊な性質の材料をつくる技術を、粉末冶金と呼んでいる。
小原嗣朗「金属材料概論」朝倉書店

 互いに接触している二つの粒子は熱力学的に平衡状態にはない系を成す。
 なぜなら全表面エネルギーが最小ではないからである。このような系を一定時間放置すると、たとえ温度がその融点より低い場合でも、全表面積を減少させようとして粒子間結合を起こす。
 二つあるいはそれ以上の粒子に熱を加えるだけで、また系を成すどの成分の融点より低い温度で起こる上記現象は焼結と呼ばれる。ただし、粉末冶金ではもっと広い意味で、すなわち液相が存在する場合や圧力が付加されている場合にもこの用語は用いられる。
宗宮重行ら「焼結-ケーススタディ」内田老鶴圃
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■ ダイとパンチ
カーボン : 150 MPaまで可能
ステンレス: 400 MPaまで可能
※ ダイとパンチ、試料をカーボンシートで分けておかないと、色々な部分が引っ付いてしまう(結合して取れなくなって使えなくなってしまう)。コールドプレスでも同様の症状が生じるので注意。
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■ 圧力分布
 片押しの場合、パンチより下の任意の位置xでの圧力Pxは
 Px = P*exp(-4*u*z*x/D)
ここで、uは粉末と型壁面との間の摩擦係数、Dは直径、zは圧粉密度により変化する比例定数である。
 両押しの場合、上式は有効であるが、距離xは最も近いパンチへの距離となる。結果としては、成形体中の圧力分布はより均一になる。どちらの場合も、圧力の減退は成形体の直径に対する高さの比に依存する。
 直径が減少するにつれ、圧力は深さとともにより急速に減少する。従って、均一な成形のためには、直径と高さの比が小さいものが望ましい。片押し成形は通常、簡単な幾何学形状のものに限定される。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
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■ 最充填密度
 概念の例として、McGearyは、自由流動状態で理論密度95%の充填密度が得られる粉末の混合物を作製した。
 もし寸法比7:1の粒子が利用できるならば、下記の組成に単一寸法の球を均質混合することにより、最充填密度を得ることができる。
成分数 粒度比 重量パーセント 充填割合
1 - 100 0.64
2 7:1 73:27 0.86
3 49:7:1 75:14:11 0.95
4 343:49:7:1 73:14:10:3 0.98
※ 粒度比は常に7:1で最も高い充填密度が得られている。例えば、成分数4の場合、7^3:7^2:7:1である。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
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■ 固化の基礎
 粉末の熱間固化を議論する際の四つの重要な因子は、温度、応力、歪み、歪み速度である。
 完全緻密化プロセス(圧縮と焼結を同時に行う)は、一般に絶対温度での融点の約1/2以下の温度では効果がない。
 絶対温度での融点の70から85%の温度が代表的なものである。
 気孔は応力集中源として作用するので、粒子間の接点における有効応力は外部応力より大きくなる。
 完全に緻密化した場合のみに、有効応力と負荷応力は等しくなる。

◇ 寸法が50μmの工具鋼粉末
 1時間の焼結で密度が99%となるのに必要な温度と圧力の組み合わせを調べると、圧力が高いほど温度が低くて済む結果となる。
 (寸法が小さいほど低い圧力と低い温度で良い。しかし、低い温度側になるほど寸法が小さいことによる必要な圧力の減少量は小さくなる)
 (縦軸に圧力{対数}、横軸に温度で直線関係が得られている)
 温度が一定の場合、高い密度を得るには、圧力が低いほど長い時間が必要となる。
 圧力が一定の場合、高い密度を得るには、温度が低いほど長い時間が必要となる。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
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■ 焼結
 金属の2つの試片を密着させて温度を上げると、その間に拡散が起こるため、2つの試片は接合される。
 金属の試片のかわりに、金属の粉末を圧縮して固めたものを加熱すると、個々の粒子の間に拡散が起こり、粉末は互いに凝着して1つの塊状の固体になる。この現象を焼結という。
 金属の融点を絶対温度でTmとすると、焼結は0.7*Tm程度の温度から起こる。焼結は同一の金属の粉体同志でも、また異種の金属の粉体同士でも起こる。
 焼結の進行過程はネック部の半径をx,焼結時間をtとすると、
 x^n ∝ t
という関係がある。焼結中に起こる物質移動の機構によってnは異なり、
 体積拡散(粒内拡散と粒界拡散をいっしょにして扱う)の場合 n=5
 表面拡散の場合 n=7
になるとされている。金属粉末の焼結の場合は、一般的にn=5であるが、微小な粉末になると、体積に比べて表面積がおおきくなるため、表面拡散が優先するようになる。
小原嗣朗「金属材料概論」朝倉書店

粘性あるいは塑性流動 n=2
蒸発-凝縮 n=3
 より詳しくは下記のようになる(詳しい式の導出は”宗宮重行「焼結-ケーススタディ」内田老鶴圃”を参照のこと)。
プロセス ネックの成長 収縮率
粘性流動 (x/r)^2=A(T)*t/r
さらに詳細には
(x/r)^2=(3/2)*σ*t/(η*r)
儉/L=[E(T)/r]*t
蒸発凝縮 (x/r)^3=B(T)*t/r^2
さらに詳細には
(x/r)^3=3*K(T,p)*t/(β*r^2)
なし
体積拡散 (x/r)^5=C(T)*t/r^3
さらに詳細には
(x/r)^5=40*σ*δ^3*Dv/(k*T*r^3)
さらに詳細には
(x/r)^5=40*γ*a^3*Dv/(k*T*r^3)
儉/L=[F(T)/r^3]^(2/5)*t^(2/5)
表面拡散 (x/r)^7=D(T)*t/r^4
さらに詳細には
(x/r)^7=56*σ*δ^4*Ds*t/(k*T*r^4)
なし
x: 結合部の半径(円形と仮定)
t:時間
r: 球半径
T: 絶対温度
η: 粘性係数
σ: 表面張力
δ: 原子間距離
γ: 表面エネルギー
a: 原子の半径
k: ボルツマン定数
K(T,p): 温度Tと平衡蒸気圧pだけの関数
β: 時間に依存しない係数
Dv: 体積自己拡散係数
Ds: 表面拡散係数
Db: 粒界拡散係数
Ω: 原子体積
M: 分子量
ρ: 理論密度
b: バーガーズベクトル
P: 蒸気圧

◇焼結初期段階の式 (X/D)^n = B*t/D^m
機構 n m B
粘性流動 2 1 3γ/(2η)
塑性流動 2 1 9πγBdV/(kT)
蒸発-凝縮 3 1 (3Pγ/ρ^2)(π/2)^(1/2)(M/(kT))^(3/2)
格子(体積)拡散 5 3 80DvγΩ/(kT)
粒界拡散 6 4 20δDbγΩ/(kT)
表面拡散 7 4 56DsγΩ^(4/3)/(kT)
B = B0 * exp(-Q/(R*T))
ここでRはガス定数、Tは絶対温度、B0は材料パラメーター(表面エネルギー、原子寸法、原子振動数、および系の幾何学的形状)の集合である。活性化エネルギーQは、原子の運動を活性化させる際の困難さを示す。
 (X/D)^n = B*t/D^mのモデルは、ネックサイズ比が0.3以下のものに対して有効である。拡散係数はパラメータBに含まれており、アレニウスの温度依存性に従うことに注意すべきである。
 粒子の大きさの逆数に対する高い感受性は、小さな粒子ほど急速に焼結することを意味している。一般には格子拡散が金属粉末の焼結に寄与するが、粒子寸法が小さい場合には、表面拡散と粒界拡散がその他の過程に比較して増大する。すべての場合において、温度は指数項で表されており、それはわずかな温度変化でも大きな影響を及ぼすことを意味している。最後に、時間は温度や粒子寸法と比較すると、その影響力はかなり小さい。
 焼結初期段階の収縮量は、
 (儉/L)^(n/2) = B*t/(2^n*D^m)
ここでn/2は一般には2.5と3の間である。

◇焼結中期段階の式
 (儉/L)^(n/2) = B*t/(2^n*D^m)で示された収縮に関する焼結の初期段階モデルでは、小さな収縮のみに有効である。中間段階は、焼結体の特性を決定するのに最も重要な段階であり、気孔の球状化、緻密化、および粒成長によって特徴づけられる。
 焼結の形態としては、粒の端に位置した円筒状の気孔を想定する。
 緻密化速度は、気孔から離散する空孔の拡散に依存している。結局、緻密化速度dρ/dtは次のように表せる。
 dρ/dt=J*A*N*Ω
ここで、Jは拡散流量(単位面積と単位時間当たりの原子数)、Aは拡散が働く全面積、Ωは原子の体積、そしてNは単位体積あたりの気孔の数である。
 もし気孔の消滅過程が、空孔のシンク(そこでは空孔が消滅する)としての粒界を持つ体積拡散であると仮定すると、フィックの第一法則と気孔形態および湾曲した面と関連する応力の組み合わせにより、次のような結果が導かれる。
 ρs = ρi + Bi*ln(t/ti)
ここでρsは焼結密度、ρiは中期段階初期の密度、Biは上記のBと類似、tは等温焼結時間、tiは中期段階の開始時の時間である。Biは粒子寸法の3乗の逆数で変化し、焼結の際の粒界による強い役割を反映したものである。
 従って、粒成長の抑制と拡散の促進は緻密化を助長することになる。一般に、これらは温度と微細組織の抑制により達成することができる。
 平均粒度Gは、次式に従って時間tとともに増加する。
 G^3 = G0^3 + k*t
ここでG0は初期粒度、kはパラメーターBに類似した熱活性化パラメーターである。
 粒の形状は14面体で、粒の端を円筒状の気孔が占めている。そのような形態の場合、気孔半径r、粒度G、および気孔率εは次式のように関係づけられる。
 ε=4*π*(r/G)^2
気孔組織が粒界を連結しているとすると、この関係は、気孔の合体(rの増加)あるいは気孔率の減少(εの減少)とともに、粒度が増加することを示している。
 中間段階における緻密化は、体積および粒界拡散によって達成される。粒界に位置する気孔は、孤立気孔に比べてより早く消滅する。表面輸送は、粒成長時における気孔の球状化と粒界での気孔移動で明らかなように、焼結中間段階で活発になる。著しい特性あるいは密度の変化を生じるには、長い焼結時間が必要である。
 拡散速度、粒成長、そして気孔の運動は全て熱活性化過程であり、多くの材料においてそれは特別な形態(粒度、気孔の大きさ、気孔間隔)に依存する。微細組織は連続的に変化することから、温度は焼結過程に複雑な影響を与える。

◇焼結最終段階
 孤立球状化した気孔が体積拡散機構により消滅する。気孔は焼結の最終段階で、結晶粒の端で孤立化する。最終段階の焼結組織のSEMで観察されるように、球状に近い気孔が粒界に位置しているのが認められる。粒界上の気孔に関して、粒界エネルギーと固相-気相間の表面エネルギーとの間の平衡は、二面角と呼ばれる溝の形成を促す。球状の気孔は粒界から離れた後に生成される。その後、収縮を続けるためには、気孔は離れた粒界に空孔を拡散しなければならないが、それは緩慢な過程である。また長時間の加熱により、気孔の粗大化が平均気孔の大きさを増加し、一方気孔の数を減少させる。気孔の曲率の相違が、より小さくて不安定な気孔を消費してより大きな気孔の成長を促す。これはオストワルド成長として知られている。もし気孔がガスを捕捉しているならば、マトリックス中へのガスの固溶度が気孔消滅の度合いに影響する。このため、最終段階では気孔の減圧が望ましい。そうでなければ、気孔の成長により焼結の最終段階の継続と共に密度は減少する。
 最終段階での気孔消滅の度合いは、二つの鍵となる効果、つまり表面エネルギーγと気孔中のガス圧Pgとに関係している。妥当な緻密化速度の式としては、次のように与えられる。
 dρ/dt=(12*Dv*Ω)/(k*T*G^3)*(2γ/r-Pg)
ここで、ρは密度、tは時間、Ωは原子体積、Dvは体積拡散率、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、Gは粒度、γは固体-気体表面エネルギー、rは気孔半径、Pgは気孔中のガス圧である。この式はガスが気孔に捕捉された場合、緻密化速度はすべての気孔が消滅する前に0になることを示している。つまり、完全緻密化は真空焼結なしでは不可能である。真空焼結を一般化した式は、次のように空孔率εを焼結時間tと関係づけている。
 dε/dt=εf-Bf*ln(t/tf)
ここで、εfとtfは気孔が閉じる点に対応している(中間段階の終了)。Bf項は、再び材料定数の集合である。
 二酸化ウラニウム核燃料元素の焼結に関して、全気孔率に対する開気孔と閉気孔の量を見ると、長さがlで半径rの円筒状の気孔の不安定性に関する計算が、円筒形状の破壊条件として与えられている。
 l/r >= 2*π
これは、アトマイズで導入されたRayleighの不安定状態と同じである。
 結晶粒端を円筒状の気孔が占めた場合、おおよそ8%の気孔率で不安定になる。その結果、気孔は表面輸送過程を通し、最終半径が1.88rに等しい球状となると予想される。
 もし閉気孔が十分に動きやすく結晶粒構造と共存するならば、収縮の継続は期待できる。
 大半の材料では、粒度や充填における分布が最終段階での気孔寸法の分布をもたらす。焼結時に得られる気孔の大きさは、粗大化や合体および収縮を含む複雑な現象の相互作用に依存している。長時間焼結の場合、気孔の大きさは、局部的な空孔濃度が気孔半径の逆数に依存していることから大きくなる。
 小さな気孔は大きな気孔よりも多くの気孔を放出する。このようにして、気孔寸法の粗大化は時間とともに生じる。
焼結した鉄粉末の気孔率、結晶粒度および気孔の大きさをプロットしてみると、気孔率は減少するが、個々の気孔の大きさは増加し、結晶粒の大きさも増大する。
 いくつかの要因は最終的な気孔の消滅を阻害する。このため、焼結により100%の密度を得るには、かなりの注意を払う必要がある。

◇湾曲した面と関連する応力
 二つの接した球状粒子を考える。粉末成形体では、各々の粒子でこのような多くの接点を有している。
 接触粒子間の接合は、焼結の進行とおtもに拡大し併合する。各々の接点では結晶粒界が成長、固相-気相の界面を置換する。さらに焼結が進むと、二つの粒子は一つの球へと合体し、最終直径は最初の直径の1.26倍に等しくなる。
 焼結の初期段階は、粒子間ネックの急速な成長によって特徴づけられる。
 中間段階では気孔組織は滑らかになり、成形体の特性が増大するにつれ、相互に連結した円柱状の形を呈する。粒成長は焼結の中間段階の後半部で生じることが普通であり、その結果、平均粒径は増加し粒子数は減少する。このことは、気孔の孤立化と焼結速度の減少を伴う。網目状の開気孔は、気孔率がおよび8%まで小さく(理論密度92%)なると、形状的に不安定となる。このとき、円柱状の気孔はつぶれて球状気孔となるが、粒成長を低下させるほどの効果はない。孤立気孔の出現は焼結の最終段階を示し、緻密化を低下させる。気孔中のガスにより、最終到達密度には限界がある。従って、真空焼結では金属が蒸発しないかぎり、高い最終密度を得ることができる。
 焼結段階間にはっきりとした差はない。初期段階は、一般に大きな曲率勾配を示す微細組織と対応する。ネックサイズ比と収縮の両者は小さく、結晶粒の大きさは初期の粒子寸法と比べても大きくはならない。
 中間段階では、気孔は滑らかであり、密度は理論密度の70から92%の間になる。粒成長は中間段階の後期で生じ、結晶粒の大きさは初期の粒子寸法よりも大きくなる。
 最終段階に至って、気孔は閉じて粒状化し粒成長が顕著となる。
 球状気孔が結晶粒界破面上に存在している場合、これは最終段階の緻密化の継続にとっては好ましい。
 ラプラスの式は次式のように、湾曲した面と関連する応力σを与える。
 σ=γ*(R1^-1 + R2^-1)
ここで、γは表面張力、R1とR2は表面の主要な曲率半径を示す。これは曲面上の任意の点と二つの半径R1, R2を描いたものである。半径を物質内にとると、符号は正の値となる。従って、凹なる面は負の符号を持つことになる。平らな面は無応力状態である。すなわち、このようにして焼結の間に、凹凸のある面はいずれも時間の経過とともに平らになる傾向を示す。

◇実験的なnの決定法
 実験的にどれが支配的かを決定するには、log(x/r)対log(t)図の勾配の逆数(=n)が何であるかを調べればよい。

◇表面拡散が支配的である条件
 焼結に対する表面拡散の効果は、体積自己拡散係数Dvおよびxが十分に小さい低温において、とくに表面原子の体積原子に対する比が大きい微小粒子の場合に顕著になる。そしてこの場合には、大きい粒子の場合にくらべて界面半径のより大きな値に至るまで表面拡散機構により焼結が進行すると考えられる。
 焼結温度は約600℃付近まで、粒子直径は10μm以下の場合には、体積拡散は無視することができて、この場合の問題を表面拡散として取り扱うことができる。
(省略)
 表面拡散の頻度因子は体積拡散の10^5倍大きい。
 体積拡散と表面拡散の活性化エネルギーがほぼ等しいという事実は、Schottkyの拡散機構によりうまく説明できる。彼によれば、すべての空孔は表面で形成される。そのため、空孔の形成エネルギーは両機構について等しくなる。
 唯一の相違は一つの原子を隣接する空孔へ移動させるに要するエネルギーである。これは表面拡散の方が体積拡散の場合より小さい。拡散の活性化エネルギーの大部分は表面における原子の形成に要するエネルギーであると信じられている。もしこれが正しいならば、活性化エネルギーの残りの部分は十分に小さくて検出できなかったと考えられよう。
 以上のことから、少なくとも蒸気圧の低い金属においては焼結粒子間の界面形成速度は、初期には表面拡散に支配され、後期には体積拡散に支配される過程であることが示された。
 FrenkelやShalerとWulffによって考えられた粘性流動のような他の機構は含まれていないように思われる。
 体積拡散による焼結過程は、拡散における原子交換機構の可能性を打ち消すものである。何故ならば、その場合には原子を界面に駆動するための勾配が生じないからである。従って、固体における拡散は空孔や侵入原子のような格子欠陥の機構によって進行するように思われる。
1)常圧における二つの金属粒子間の焼結あるいは金属粒子と平坦な金属ブロック間の焼結の機構は、大きな粒子および高温では体積拡散であることが実験的に証明された。
2)自己拡散係数は球形粒子と金属ブロック間の結合界面の成長速度を測定するだけで決定することができる。

三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
宗宮重行「焼結-ケーススタディ」内田老鶴圃
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■ 固相焼結
 焼結は、粒度、時間、温度、圧粉密度のような工程因子の組み合わせに大きく依存している。小さな粒子のものを用いて、融点近くまで成形体を加熱することにより拡散が大幅に促進される。
 完全緻密化まで焼結するための簡単な定量的指数は、拡散において一般に遭遇する無次元のクラスターを基礎としている。
 ψ = Dc*t/D^2
ここで、Dcは焼結温度における化学拡散性、tは恒温焼結時間、Dは粒度である。
 焼結指数ψは温度とともに指数関数的に変化し、小さな粉末や高温および焼結時間が長くなるほど増加する。
 第一近似として、固相焼結によって完全緻密化するためには20から100の焼結指数値が必要とされる。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
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■ 結晶粒成長
 不純物が粒界に偏析や析出して、粒成長を抑える場合には、経験的に粒成長の式は、次の3乗則の式で示される。
 G^3 - G0^3 = kt
ここで、Gは時間tでの粒径、G0はt=0での粒径である。
 一般的には、粒成長の式は、
 G^n - G0^n = kt
で示される。
石田恒雄「焼結材料工学」森北出版株式会社
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■ 気孔の成長と形状変化
 一般に小さい気孔は収縮し、大きい気孔は成長するという、いわゆるオストワルド成長が起こるとされている。
 気孔径の変化については、次式で示される。
 rp^3 - rp0^3 = Kt
 ここで、rp,p0はそれぞれ時間t, t=0での機構の平均半径で、Kは温度によって決まる関数である。
 気孔の大きさの分布曲線の最大値は、時間の増加とともに気孔径の大きい方へ移行する。しかし、焼結体中の気孔の全容積は変わらないので、焼結体の緻密化は起こらない。
石田恒雄「焼結材料工学」森北出版株式会社

 望ましい焼結経路は、粒成長が抑制される低温で気孔の収縮を維持しながら、離脱条件を避けることである。
 最初の粉末微細組織および加熱工程の正確な操作が必要である。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
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■ 気孔の変化
 表面エネルギーに起因する拡散により気孔が消滅する。
 気孔の表面では平らな表面が粒界よりも化学ポテンシャルが低いから、物質移動は粒界から気孔へ向かう傾向にある。
 セラミックス材料で最もよく研究されているのはAl2O3である。この系では、
 DboundaryO-2 > DlatticeAl+3 > DlatticeO-2
であり、恐らく特殊なケースである。従って、粒界上の気孔の消滅速度はAl+3の体積拡散によって律速される。
 しかし、粒界近傍の気孔の消滅速度はAl+3の場合より、2-3桁遅いO-2の体積拡散で律速される。
 だからAl2O3では主に粒界近傍の気孔ではなく、粒界上の気孔が緻密化に有効である。
宗宮重行ら「焼結-ケーススタディ」内田老鶴圃
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■ 気孔の最終寸法
 焼結の最終段階では、気孔中に捕捉されたガスは緻密化を妨げる。緻密化が止まる臨界点では、湾曲した球状気孔の表面エネルギーは内部ガス圧とつり合うようになる。
 2*γsv/r = Pg
ここで、γsvは固相-気相間の表面エネルギー、rは気孔半径、Pgは気孔内のガス圧である。ここで、成形体が圧力P1のアルゴン中で焼結され、8%の気孔率で生じる閉気孔の半径はr1になると仮定する。
 最終的な限界気孔率は、気孔内のガス質量が保存されるとして計算される。もし気孔の数と温度が球状の気孔形状で一定に保たれるならば、
 P1*V1 = P2*V2
最終気孔寸法r2は、次のように見積もることができる。
 r2 = [r^3*P1/(2*γsv)]^(1/2)
一例として、もしr1が10μm、P1が1気圧、γsvが2 J/m^2であれば、r2は5μmとなる。換言すれば、どんなに長時間その材料が焼結されたとしても、気孔は5μmの最終寸法で安定となる。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
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■ 緻密化過程(固相焼結の場合)
 固相焼結では、一般に空隙を皆無にし、真密度dtの焼結体を得ることはむずかしい。
 焼結体の見かけ密度dsとし、焼結による緻密化の進行度を密度化ds/dtないし相対密度または焼結体の密度変化で表すと、
定温焼結体の密度変化は、焼結を行う温度が融点に近い程、焼結加熱の初期に緻密化し、時間の経過とともに平衡値に近づく。
 焼結体の緻密化の過程は、次の緻密化係数Dfで評価される。
 Df = (ds-dg)/(dt-dg)
ここで、dgは焼結前の粉体もしくは圧粉体の密度を示す。また、Dfと焼結時間の間には、
 Df = K*t^n
の実験式で表され、Kは温度に依存する定数、nは1より小さい値で、主として物質移動機構に依存する定数である。
石田恒雄「焼結材料工学」森北出版株式会社
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■ 短回路拡散
 一般に、結晶は多数の細かい単結晶粒からなる多結晶体であるので、結晶粒の内部に拡散する場合と、結晶粒界に沿って、拡散する場合がある。結晶粒界では、粒内に比べて不純物や格子欠陥が多く、結晶の規則性が乱れた構造をもつので、エネルギー的にも拡散が起こりやすく、拡散する原子にとってよい通路になる。
 このような場合を粒界拡散という。粒界拡散と粒界拡散との差は、低温側では大きく、高温になると小さくなる。このように粒界拡散は温度が比較的低く、空孔濃度が小さいようなときに特に起こりやすい。一方、結晶表面においては、結晶内部に比べて、表面原子は周囲の原子からの束縛が小さく、表面には空孔の他、ステップ、キンクのような欠陥が多い。
 同じようなことは、焼結体などの中に閉じた気孔がある場合にも考えられ、原子は気孔の内面に沿って、あるいは、蒸発して、気体となって起動する。
 このような拡散を表面拡散と呼ぶ。粒界拡散および表面拡散を短回路拡散といい、粒界や表面の格子欠陥が関与する輸送現象である。これに対して、結晶格子内で点欠陥を媒介とする拡散を格子拡散または体積拡散という。体積拡散係数、粒界拡散係数および表面拡散係数をそれぞれDv,Db およびDsとし、それらの拡散の活性化エネルギーをそれぞれQv, Qb およびQsとすると、一般に、Dv < Db < Ds および Qv < Qb < Qsである。
 表面拡散が最も早く、粒界拡散がその次で、体積拡散が最も遅い。表面では空孔形成の活性化エネルギーEsが不要であること、粒界拡散では空孔の媒介を必要としないことから、両拡散とも活性化エネルギーは体積拡散のそれよりも小さい。
石田恒雄「焼結材料工学」森北出版株式会社
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■ 焼結の進行過程
 焼結の過程は、まず
1)初期過程:粉末粒子が接触している部分でネック形成および成長、表面まで連結していた開口空洞が、独立した閉じた空洞となる空洞の球状化
2)中期過程:空洞のオストワルド成長と空洞内から空孔が表面に拡散して緻密化が進む
3)後期過程:粒界付近になる閉じた球状の気孔の孤立と外部へ次第に拡散・消滅する
の3つの段階に大きく分けられる。
 二つの球を接触させて加熱した場合、粒子間の接触面積が0から、粒子の平均断面積の0.2倍くらいまで、増加する期間が焼結初期である。これは、加熱初期に粒子の接触点に物質が移動し、接触点から接触面になり、粒子間に粒界ができる。このように、粒子が物質によってつながった部分をネックと呼ぶ。
 ネックが形成される期間を焼結の初期段階という。初期の段階では、鋭い鋭角でもって互いに接しているので、粒子境界が、この最小接触面積の位置から移動するためには、接触面積の急激な拡大、それを含めた系の全表面積の拡大を伴い、結局大きなエネルギーを必要とする。
 焼結が進み、ネック部が成長し、曲率半径が大きくなってくると、粒子境界がこの部分から移動してもあまり大きな面積の増大を伴わなくなる。そのため粒子境界は容易になり、粒子成長も可能となる。
 このような粒子成長が始まると、焼結は中期段階に入る。この段階では、ネック同士が衝突し、気孔は三つの粒子で囲まれた細長い連結した形となる。気孔は常に粒子の粒界と交わっており、また互いに連続しているのが特徴である。
さらに焼結が進むと、連続していた細長い気孔が切断され、気孔は焼結体内部に孤立する。外部につながっている気孔を開気孔、内部に閉じ込められた気孔を閉気孔と呼ぶ。焼結の進行に伴い、閉気孔が小さくなる。この段階が焼結の後期段階である。
 このように焼結過程は、接触した2個の粒子間のネック部分が肥大化し、空隙の体積が減少し、緻密化していく段階と、焼結後期に孤立した気孔が、次第に収縮し、小さな気孔は消滅して、さらに緻密化が進む。いずれの段階もなんらかの物質移動が起こる。
 物質移動の機構としては、@蒸発・凝縮、A体積拡散、B粒界拡散、C表面拡散、D粘性流動、E塑性流動、の各機構が考えられる。
石田恒雄「焼結材料工学」森北出版株式会社

 少なくとも蒸気圧の低い金属においては焼結粒子間の界面形成速度は、初期には表面拡散に支配され、後期には体積拡散に支配される過程であることが証明された。
宗宮重行ら「焼結-ケーススタディ」内田老鶴圃
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■ 初期段階における焼結
◇蒸発・凝集機構による焼結
 正の曲率を持つ粒子表面の平衡蒸気圧は、平面上の蒸気圧に比べ高く、小さな負の曲率を持つネック表面部は逆に著しく低い。
 粒子表面部で蒸発が起こり、蒸気圧の低いネック表面部に向かって、周囲の気相中の濃度勾配によって気相拡散が起こり、粒子表面部から粒子間のネックの表面部に物質移動が起こる。
 このネック表面部は平衡蒸気圧が低いので、この拡散によって移動してきた物質は過剰となり、そのためその部分で析出、凝縮するようになる。すなわち、平衡蒸気圧の高い粒子表面から物質が蒸発、気化し、気相中を拡散して、粒子間の接触部のネック表面部に達して、そこで凝縮を起こし、接触部を成長させるというのが、この焼結機構である。
 ネック部のみが発達し、気孔の形は変化するが、成形体の大きさはほとんど変わらず、気孔率も同じである。しかし、接合部が発達するので、機械的強度は大きくなると期待される。
 この蒸発・凝縮機構で起こる焼結は、蒸気圧(平衡蒸気圧)が大きいほど進行するので、蒸気圧の高いNaClなどのハロゲン化アルカリや氷の粒子などの焼結の場合、さらにZnO,TiO2,Cr2O3もこの機構で焼結すると考えられている。
 x/r = ( (3*√π*γ*M^(3/2)*p0)/(√2*(R*T)^(3/2)*d^2) )^(1/3)*r^(-2/3)*t^(1/3)
ここで、rは粒子半径、xはネック部の断面の半径、γは表面エネルギー、Mは分子量、p0は平衡蒸気圧、dは密度、tは時間である。

◇拡散機構による焼結
 拡散機構は拡散経路の違いによて、表面拡散機構、粒界拡散機構、体積拡散機構に細分される。
 一つの粒子系中に空位濃度の異なる部分があると、その濃度勾配に沿っても空位の拡散が起こる。空位の拡散が起こることは、逆方向に原子の拡散が起こることに相当する。結局、凸部とネックにおける空孔濃度の差が、拡散の駆動力となる。空孔の発生する場所としては、凹部と粒内の転位(主に刃状転位)がある。
 これを空孔の湧き出し口と呼ぶ。空孔が消滅するのは、凹部、粒界、転位である。これを空孔の吸い込み口と呼ぶ。
 この拡散機構によって焼結が起こるためには、粒子系中に空位の濃度勾配がなければならない。空位の濃度の高い所、すなわち、原子が集まってくる、成長する部分に相当する所が、空位源となり、ネック表面がそれに相当する。逆に、空位濃度が低く、焼結中に空位が移動して、消滅する場所、すなわち原子が抜け出ていくので、焼結中に体積は減少し、収縮する所(シンク)となる。このように空位濃度の高い空位源と濃度の低いシンクが存在し、その濃度勾配に沿って空位の拡散が起こる。
 ネック表面部の過剰空位濃度が、その曲率半径ρによって支配される。さらに空位の拡散によって、焼結速度が律速されるとすると、空位の流れに対して、熱拡散式を適用すると、
 x/r = ( (K*D*t*δ^3)/(γ^(m-1)*k*T) )^(1/n)
ここで、Dは自己拡散率、δ^3は空位の体積、K, mはそれぞれ定数で、拡散機構の違いによって変化する。
体積拡散率の焼結速度式 (x/r)^4 = (4*Ω*γ*D*t)/(3*r^3*k*T)

◇粘性流動または可塑流動機構による焼結
 結晶格子中の空位によって、さまざまな方向から原子が移動してくるので、表面張力や偏圧のような力が働く。この場合、原子の移動は、外力を緩和する方向に起こるので、外力の働いている方向に移動する原子の割合が増加し、結局外力に比例して、その方向に原子が移動し、物質移動が起こる。外力に比例する変形流動なので、粘性流動、また流動を始めるのに降伏値がある場合には可塑流動となる。
 x^2/r = K*(γ/η)*t
ホットプレスでの圧力を加えた緻密化焼結では、粘性流動機構が主導である。

石田恒雄「焼結材料工学」森北出版株式会社
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■ 中期および後期段階における焼結速度式
 中期過程:体積拡散と粒界拡散
 後期過程:中期過程の体積拡散の場合の速度式とほぼ同じ形。このことは後期段階から焼結終了まで、その速度は大きく変化しないことを意味する。
石田恒雄「焼結材料工学」森北出版株式会社
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■ 松村の実験
 Cuの単結晶球状粒子を用いて再結晶と焼結とをそれぞれ独立に調べた。
 80メッシュと200メッシュの球状粉を98,196,392MPaで加圧成形し、圧粉体の表面をみがいておいてH2中で390℃から10℃ごとに530℃まで1時間ずつ加熱し、そのつど粉末粒子中央の硬さをはかった結果、約400℃から再結晶がはじまり、500℃で終わっていることを認めた。
 また電気伝導度は加熱しないでも若干の伝導を示した。
 これらの結果から、Tammanの温度係数をαを使って、焼結過程を見ると、硬さは500℃で最低となるが、電気伝導度は500℃でまだ増加せず、800℃に至って相当増加し焼結が進んだことを示す。
 このことから、再結晶は速く終わってしまうので、粉末圧縮圧力が焼結の進行に及ぼす影響はほとんど考えられず、ほかの要因によるものであるとした。
石丸安彦「粉末冶金の基礎と応用」技術書院
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■ 増田およびHuttingの実験(電解Cu粉)

・増田の実験
 焼結体のポアがどのような速さで減少していくかを観察した結果から、一定温度で密度が上昇する速度、すなわち、等温高密度化の速度を求め、活性化エネルギーを得た。

・Huttingの実験
 電気伝導度がある一定の値に達するまでの時間から活性化エネルギーを得た。
 
 以上二つの実験によって、焼結の活性化エネルギーが、自己拡散係数と一致することから、焼結は主として自己拡散によって行われると推察できることになった。
石丸安彦「粉末冶金の基礎と応用」技術書院
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■ Rhinesの実験
 Rhinesらは1950年に、還元Cu粉を加圧成形し、H2、真空、Arの中で、800℃, 900℃, 1000℃の各温度で加熱して、保持時間を1, 10, 100, 1000時間にとった試料を作り、各試料のポアの大きさ、形、数を細かく調べて、次の結果を得た。
 すなわち、焼結時間の進行とともに、
1)ポアの数は減る
2)ポアの大きさの平均値が大きくなる
3)ポアの分布曲線の山が大きいポアの方に移る
4)焼結初期になかった大きなポアができる
5)試料の外周にはポアがみつからない
6)ポアの数の変化には、温度による影響が大きい
7)H2中では真空中とあまり変わらないが、Ar中ではとくに大きなポアが残り、試料は膨張した
8)ポアの形は、温度が高いほど、時間が長いほどまるくなる
9)密度の上昇は、孤立したポアの生成より早く起こり、ポアがまるくなるよりも急速である
 この結果はCu粉によって得たが、ポアの大きさ、形、温度や時間に対する変化は、他金属の場合もだいたい同じとみてよい。
石丸安彦「粉末冶金の基礎と応用」技術書院
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■ 寸法と密度の変化
 圧粉体の寸法および密度の変化は、焼結の基本的性質で重要な事実でもあり、熱膨張計で定速加熱、冷却に伴う寸法変化を求める方法が普通行われる。
 寸法変化は、圧粉体の圧縮方向とこれに直角の方向とでは異なるし、また技術的にスプリングバックや金型の弾性変形など、圧縮時に起こる現象も考慮に入れなければならない。
 密度の変化には、添加した潤滑剤の脱出、粉末粒子の酸化膜の還元除去などの質量の変化が含まれることを忘れてはならない。
◇温度と時間
 昇温中に寸法は急速に縮み、10分足らずのうちにその速さは鈍り、相当時間が経っても徐々に縮み続ける。また温度が高いと収縮の量が大きい。
◇粒度の差
 細かい粉末の方が寸法変化が速く起こり、その量も大きい。
◇圧縮圧力と温度(カーボニルNi粉)
 圧縮圧力が高いほど、温度が高いほど密度は高くなる。
 同じ圧力では、温度が高いほど密度は高くなるが、1300℃になると圧縮圧力の差による密度差はほとんどなくなる。
◇焼結中の寸法変化
 熱膨張計の実験は焼結現象をみるのに重要な手順となる。
◇体心立方晶と面心立方晶
 WやMoのような体心立方晶の金属粉と、CuやNiなど面心立方晶の金属粉とでは焼結の様子が違う。
 与えられた粒度の粉末を一定の密度に圧縮し、一定の相対温度(Tammanの温度係数)で一定時間焼結すると、
体心立方晶の方が収縮量は大きい。
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■ 混合粉末の焼結
 焼結組織の三つの様式、すなわち異なる粒度の混合物、固溶体、および複合材料は、混合粉末によって可能である。一番目は、高い充填密度の混合物が用いられるときに見られるものである。二番目の場合は、拡散過程による粉末混合物の均質化と関係しており、一方、最後の場合は二つの異なる相の同時焼結に見られるものである。同じ組成であるが大きさの異なる粉末の混合物は、しばしば圧粉密度はより高くなる。平均粒度が増加すると、焼結反応は低下する。その結果、二つの異なる状況が生じる。焼結温度が低く焼結時間が短い場合、充填の優位性が支配的となり、粉末混合物はほとんど寸法変化を伴うことなく高い密度が得られる。焼結温度が高く焼結時間が長い場合は、焼結効果の低下が支配的となり、最高密度は平均粒度が最小のとき得られる。
 圧粉密度と焼結密度が、4μmと66μmの鉄粉末の混合割合に対して示しめされた図を見ると、焼結時の収縮は、平均粒度が増加(粗い粒子の割合が増加)につれて低下する。同様な問題は、二種類の粉末からなる複合材料の焼結において、特に一つの相が焼結しない不活性なセラミックスである場合に生じる。焼結時の均質化は、プレアロイ粉から成形体を形成する代替となる。プレアロイ粉末の代わりに混合粉末を使用する利点は、
1)組成の変化が容易
2)粉末自体の強度、硬度、加工硬化が低いため圧縮が容易
3)圧粉密度と強度が高い
4)独特な微細組織の形成が可能
5)緻密化の改善
などが挙げられる。最後の項目に関しては、混合粉末と付随する組成勾配が、焼結に寄与する拡散流動を促進する。相間の界面は空孔の生成を助長し、一方、粒成長を妨げる。
 混合相の焼結にはいくつかの問題点があり、均質化を確実に行うために、時間と温度の制御を必要とする。混合相の焼結は、粒子が小さく拡散距離が短いとき最も良く進行する。もし二つの成分の拡散速度が大きく異なるならば、異なる拡散性のため気孔の生成が生じる。その結果、膨れが生じる場合がある。特に融点が非常に異なる場合は顕著である。例えば、鉄へのアルミニウム添加は、アルミニウムが溶けるとき膨れを生じる。最後に、焼結校の制御が不適切な場合、脆い金属間化合物のような有害な相が形成されることがある。
 混合粉末焼結の典型的な適用例は、銅と錫の混合粉末からなる多孔質青銅の製造である。相の連続変化を示す一連の顕微鏡写真を見てみる(銅:錫=9:1)。錫は混合粉末中、低融点の成分である(融点は銅の1083℃に対して232℃である)。加熱時に錫は溶融して銅を濡らし、気孔を残す。錫が溶融する232℃でわずかな寸法変化が生じ、膨れはおおよそ700℃まで明白である膨れは錫が銅中へ急速に拡散し、多くの気孔を残すことを示している。銅と錫の合金は800℃近くまでは固相であることから、初期の液相は遷移的なものである。収縮は800℃以上の焼結温度での液相の生成によって生じる。長時間の加熱により、合金は均質化し単一相を形成する。
 一般に、均質化現象は混合相の焼結時の拡散移動を支配する。緻密化は均質化後も継続する。拡散速度は、任意の粒度の均質化速度を決定する。A基地中にB粒子が分散した全率固溶体の二元系混合モデルで、球状粒子を仮定すると、始めは濃度勾配は球である。長時間の加熱で、勾配は同じになり、最終的には一定値に達する。
 一般に、粒度が小さく、焼結温度が他無く、焼結時間が長いほど均質を促進する。均質化度Hは、ある点からある点までの組成の変化として定義され、次に示すように拡散速度や粒度によって変化する。
 H 〜 Dv*t/(Y^2)
ここでYは組織的偏析の尺度、Dvは拡散率、tは時間である。Yによって評価される偏析の尺度は、主として粒度や、濃度、および粉末の組織に依存する。50-50 銅-ニッケル混合粉末に関する均質化挙動(Dv*t/(Y^2)=10^-3:均質化25%,Dv*t/(Y^2)=10^-2: 均質化50%, Dv*t/(Y^2)=10^-1: 均質化100%)を見ると、粒度が小さく、焼結時間が長く、焼結温度が高いほど、これらすべてが均質化に寄与することがわかる。
 温度は指数関数の拡散項に含まれているため、支配的な効果を有する。もし、二つの成分の拡散速度が著しくことなるなら、膨れが生じる可能性がある。均質化度は定量金属組織学、X線回折、磁性もしくは電子線分析法によって測定することができる。
 均質化の際に中間相を形成する系に関しても、均質化過程の形態は同じである。しかしながら、その動力学を説明するためにはより多くのパラメータを必要とする。
 均質化は、プレアロイ粉から成形体を形作る代替となる。多成分系の粉末の焼結は、相反応と均質化の影響が同時に生じるため複雑である。もし同時焼結の条件が達成されるならば、二つの相が組み合わされた複合材料が形成される可能性がある。不幸にも、大半の複合材料系は焼結中の操作が困難である。二つの非固溶性の粉末が焼結されるとき、その結果は常に焼結性の低下を招く。

◇ 促進固相焼結
 表面エネルギーは一般に、焼結の駆動力としては小さい。溶製品と同等もしくはそれ以上の材料を作るには、緻密化がしばしば促進されなければならない。外部応力は焼結を補う一つの明確な方法である。材料の拡散性は、温度を含むいくつかの因子によって決定される。さらに混合相の組織は、焼結時、特に中間段階において粒成長を妨げる。高い焼結速度で相を安定させるために、粉末系の組成や化学量論値を調整することは可能である。

◇ 相の安定化
 材料の体積拡散率は、温度や結晶構造および欠陥構造を含むいくつかの因子によって決定される。鉄のような材料に関して、910℃での体積拡散率は、面心立方(FCC)相であるオーステナイトよりも体心立方(BCC)相であるフェライトの方が約300倍も高い。BCC相の安定性は、より急速な焼結をもたらす。モリブデン、リン、ケイ素のような元素は、多形の変態温度以上でフェライトを安定化する。そのため、鉄へのケイ素添加は、焼結密度を増加させる。
 一般に、焼結の緻密化量は、その焼結温度でのフェライトの安定化量とともに増加する。混合相の組織は焼結時、特に中間段階において粒成長を妨げる。同様の方法がオーステナイト系ステンレス鋼の焼結に利用されており、過剰のクロムが第二相を形成し、緻密化の制御や組成形成を助けている。
 ニッケル添加は鉄のオーステナイト(FCC)相を安定にし、緻密化を低下させる。一方、粉末表面へのニッケル被膜は焼結を助長する。後者の効果は、拡散により均質化が生じるときの相界面での空孔生成によるものである。
添加物はまた焼結時の化学量論的損失を防ぎ、過剰の添加物は化合物の分解を抑制する可能性がある。表面の汚染物質は成分の一つと反応し、優先的に消耗する場合がある。そのため、焼結を改善するために炭化物には過剰の炭素を、またステンレス鋼には過剰のクロムを添加することが一般的に行われている。

◇ 活性化焼結
 活性化焼結とは、活性化エネルギーを低下させるいくつかの方法を意味しており、焼結温度の低下や焼結時間の短縮および良好な特性をもたらす。化学的な添加法から外部電場の適用に至るいくつかの方法が、その目的に適合する。混合相の焼結処理も、また活性化焼結の範疇になる。
 活性化焼結の最もめざましい例の一つは、ある種の遷移金属で処理されたタングステンである。粉末の表面被膜としてニッケル、パラジウムもしくは白金で処理した、0.6μmのタングステン粉末に関する焼結収縮率をプロットしたもを見ると、収縮率は、活性剤なしのタングステンに比べて、活性化された場合の方がはるかに高い。活性化焼結において、活性剤の量は重要で、最適な活性剤の量はしばしば0.3%以下である。
 添加材が有効な活性剤とみなされるためには、いくつかの規準に適合しなければならない。第一に、活性剤は焼結時に低融点相を形成する金属あるいは化合物のいずれかでなければならない。第二に、活性剤は基地金属に対して大きな固溶度を持ち、一方、基地金属の活性剤に対する固溶度は低くなければならない。活性剤は焼結の間、粒子間界面に偏析して留まるべきである。そのような偏析層が、急速な焼結のための高い拡散経路を提供する。融点が低いほど拡散のための活性化エネルギーを低下させ、一方、固溶度は活性剤が基地金属中に溶解しないようにする。一般に、基地金属の液相線と固相線を低下せる活性剤は、界面に偏析して残存する。
 活性化焼結系に関する理想的な状態図を見ると、活性化焼結域よりわずかに上の温度で、液相が形成される。液相の形成は焼結を促進させるもう一つの方法である。活性化焼結の動力学は、活性剤を通した拡散速度に依存する。活性剤の層が厚いと著しい拡散流速を生じる。しかしながら、最小濃度以上になっても差はない。活性化系における収縮に関して測定された活性化エネルギーは、活性剤中における自己拡散に関するエネルギーと近い。その過程では、拡散に関して活性化エネルギーが低いため、温度が最も重要な制御パラメーターとなる。また、その過程は粒界拡散制御焼結と類似しており、そのため収縮は初めのうちは時間の1/3乗に依存する。緻密化は、結晶粒界の運動を妨げる気孔の損失をもたらし、長時間焼結時の急速な粒成長は実際に諸特性を低下させることになる。
 化学物質の添加は、活性化焼結にとても非常に好ましい。放射線処理も有効であると説明されているが、ほとんど関心はもたれていない。すべての活性化処理は、焼結に関係する動力学もしくは駆動力を変化させる方法のいずれかに類別することができる。放射線照射は、過剰空孔の生成により動力学を変化させている。一方、鉄のような材料を多形のBCC→FCCの相変態温度を通して周期的に加熱するような処理は、焼結の駆動力を上げる内部応力を発生させる。そのような処理は、ホットプレスでの外部応力に類似している。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
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■相変態と液相の存在
 FeはCuと違ってある温度で結晶の形を変える。すなわち、910℃で体心立方晶αから面心立方晶γに突然変化する。これをA1変態と呼んでいる。
 Feの圧粉体は、拡散が体心立方晶よりも遅い面心立方晶の1100-1200℃で、30分ないし1時間焼結されるが、その寸法変化は1%に満たない小さなものである。
 Wの炭化物粉末WCとCoとの混合粉を圧縮成形し、焼結してWC-Co超硬合金をつくるが、このときの温度はCoの融点1495℃よりやや高い。また1300℃付近からWCがCoにとける。焼結温度でCoはとけているが、焼結が終わるとほとんどポアのない焼結体になる。これはCoの液相が焼結を助けるからである。
石丸安彦「粉末冶金の基礎と応用」技術書院
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■ 液相焼結での表面エネルギー
 γSV = γSL + γLV*cos(Θ)
ここでγSVは固相-気相間の表面エネルギー、γSLは固相-液相間の表面エネルギー、γLVは液相-気相間の表面エネルギー、Θは接触角である。
 小さな接触角は液相が固相表面上に広がることを示す。固相は液相に溶解しなければならない。
 溶解固相原子の拡散輸送は急速な焼結を確実にするために十分に高くなければならない。
 液相焼結においては、緻密化速度は固相焼結よりもかなり高く、最高温度では15分程度の短い時間で真密度材料をうまく製造することができる。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃

 固体の濡れおよび粒子間の完全な浸透を得るのに必要とする表面エネルギーの間の関係は、次式で与えられる。
 γSV > γLV > γSS > 2*γSL
 固体が溶け液体となると、固体粒子を完全に覆う傾向を持つから、固体-蒸気表面は以下の取り扱いから除外できる。
 液相中には気孔が生じるが、この気孔における液相-蒸気表面の面積の減少、すなわち表面エネルギーの減少が緻密化をもたらす駆動力である。各々の気孔内には次の関係で与えらえる負の圧力が存在する。
 P = -2*γLV/rp
ここで、rpは気孔半径である。この圧力は系全体をこれと等しい静水圧下に置くのと等価で、また毛管降下において小さな曲率により表面に生じる圧力と等しい。
宗宮重行ら「焼結-ケーススタディ」内田老鶴圃
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■ 液相焼結での緻密化
 液相焼結において、いったん液相が形成されると、それは流動し粒子を濡らす。初めに、粒子の再配列が緻密化に寄与する。引き続いて加熱することにより、固相は液相中に溶け込み、液体の量は固相成分で飽和されるまで増加する。その後、
液相は、溶解再析出と称される過程において固相原子のキャリアとなり、小さな粒子は溶融して大きな粒子上に再析出する。固相粒子の溶解度は粒度に逆比例して変化する。すなわち、小さな粒子が優先的に液相に溶解し、時間とともに粒子の数は減少し、一方、粒子の大きさは増加する。
 液相にさらされた後は、二つの粒子配置で示されるように、安定化した固相-液相の構造が現れる。固相粒子が周囲の液相によって安定したネックを形成するとき、平衡状態となる。その平衡状態は、焼結を通してネック成長が持続する固相焼結で見られるものとはことなる。
 安定なネックサイズXは、粒子の大きさGと二面角Φから次のように与えらえる。
 X = G*sin(Φ/2)
 接触角と同様に、二面角Φは表面エネルギーのつり合いから求められる。
 γSS = 2*γSL*cos(Φ/2)
ここで、γSSは固相-固相間の界面エネルギー(結晶粒界エネルギー)である。
 固相粒子は形状順応性を示し、隣接粒子同士において平滑面が生じ、それらは互いに密接に適合する。これにより、気孔の空間を満たすように液相は放出される。
 液相の体積割合と二面角に依存するが、いくつかの異なる粒子-液相の構造は可能である。
 一般には、二面角は20から40℃の範囲で小さく、液相の体積は15vol.%以下である。
 液相の体積割合が増加すると緻密化の容易さもまた増加するが、成形の変形が問題となる。もし液相がなければ、焼結は固相状態で行われる。
 一方、液相が過剰であると(大体35vol.%以上)、液相が形成されると同時に粒子間のすべての気孔空隙は液相で満たされる。しかしながら、その混合物は流動性が良すぎて、成形体の形状を維持できない恐れがある。
 中程度の液相量では成形体の形状は保持されるが、固相粒間のの機構空隙を単に満たすには液相量が不十分である。そのような場合、通常、粉末混合物中の組成的勾配により加熱時に焼結が促進される。
 いったん液相が形成されると、毛細管力により粒子は再配列し、続いて粒子形状の順応性に対応する溶解再析出が生じ、その結果さらに緻密化する。接触粒子間に安定なネックがいったん形成されると、あらゆる最終緻密化は固相骨格の焼結に依存することになる。
 液相焼結の三つの段階を通して、、性形態の収縮率儉/Lは次式のように時間tに比例する。
 儉/L〜t^M
ここで、指数Mは再配列段階で1、溶解再析出段階で1/3である。もし粒子が高い圧粉密度で成形されるか、あるいはゆっくり加熱されると、成形体は再配列を起こしにくくなる。
 小さな粒子は液相存在下では濡れ性を有する液体の毛細管力により、短い焼結時間でも緻密化を促す。その場合、粒子当たりの力は粒子質量が減少するにつれ増加する。
 緻密化はまた、多量の液相と液相中への高い固相の溶解度によって促進される。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
 
過程 収縮率
再配列過程 儉/L=(1/3)*儼/V=C1*r^(-1)*t^(1+y)
溶解-析出過程(拡散律速) 儉/L=(1/3)*儼/V=r^(-4/3)*(C2*t)^(1/3)
相境界反応律速 儉/L=(1/3)*儼/V=r^(-1)*(C3*t)^(1/2)
1+y=1に近い指数
宗宮重行ら「焼結-ケーススタディ」内田老鶴圃
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■ 液相焼結中での粗大化
 液相焼結中では、固相は平均粒子の大きさGが時間の1/2か1/3乗則で大きくなるような速度で粗大化する。
 一般的には、丸味を帯びた形状の粒子は、1/3乗則の溶解再析出速度を示す。
 角張った粒子は、有効な表面反応部によって制限される粗大化速度を有し、1/2乗則の粗大化を示す。
 粗大化を制御する溶解再析出では、液相量が減少するにつれて粒子の寸法は大きくなり、粗大化速度も増す。これは、粒成長にとって拡散距離が短くなるためである(液相の相が薄くなる)。
 粒成長則は、固相焼結で(平均粒度^3 = 初期粒度^3 + 熱活性化パラメーター*時間)式を導出したものと同じ形であり、速度の項(熱活性化パラメーター)kaは溶解度と固相体積割合の影響を含んでいる。
 ka = 0.9*γSL*Ω*S*DL/[k*T*(1-Vs^*(1/3))*(1-√C)]
ここでγSLは固相-液相間の表面エネルギー、Ωは原子体積、Sは液相中への固相の溶解度(温度と組成で変化する)、
 DLは液体を通しての固相拡散率であり、Cは接触率、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、Vsは固相の体積割合(温度変化する)である。接触率とは、他の粒子と接触している固相粒表面の割合である。
 拡散率、溶解度、表面エネルギー、および固相体積割合は温度とともに変化することに注しなければならない。
 このように、粗大化速度は温度変化に大変敏感であり、温度上昇とともに粒成長はより速くなる。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
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■ 液相焼結
 2種類以上の粉末を混合すると、融点が互いに異なるから、焼結で液相を生ずる可能性が強い。
 たとえば、Cu-Co, W-Cu, W-Ni, W-Ni-Fe, W-Ag Cu-Sn, Fe-Cu, WC-Co, Cu-Pなどの組み合わせがある。
 加熱中にできる液相は、固体粒子の間を流れてその間をぬらすと同時に粒子表面と反応する。
 液相が固体粒子の間にしみわたると、圧縮密度が高く粒子が大きい場合は圧粉体が膨張するし、粒子の移動が起こる。
 液相ができて引き続き加熱されると、固相はとけはじめるが、その反応の度合いは液相の量、溶解度、相関係、合金組成によって異なる。
 そのひとつに一時的液相焼結がある。これは、液相に対する固相の溶解度が大きいとき、その飽和点を過ぎると全体が固化して液相が消える場合である。
 この例には焼結含油軸受けのCu-Sn混合焼結粉がある。低温でSnがとけ、つぎにCuが液相のSnと合金化し、ブロンズの固溶体結晶になる。
 もうひとつの例は、液相に対する固体粒子の溶解に限度があって、加熱中溶解析出を繰り返し、その温度で溶解限を保つ場合である。
 このとき、固相はまず飽和するまで溶解限いっぱいにとけ込む。時間が経つにつれて、液相は一方で析出し、他方でとかすから、あたかも固相の原子を一方から他方へ運ぶように見える。
 固相は小さい粒子から先に溶けるとから、析出は大きい粒子の上に行われる。したがって、小粒はなくなり大粒はさらに大きくなり、面もなだらかになり、形は周囲に合わせて育ち、全体に密度が上昇してくる。
 液相焼結での寸法変化は大きく、時間と密度の関係は、はじめのうちは液相による原子移動が激しく急速に密度が上昇し、溶解析出の繰り返しに入ると密度の上昇はゆるい。これは大きくなった粒子が液相を介してネットワークをつくり、動きにくくなるからである。
 細かい粒子の粉末で、しかも液相の量が多くなるようにすれば密度は短時間に上昇し、時間を長くすると結晶は粗大になり、形もとなり同士で順応したものになる。しかし一般に粗大結晶組織は、機械的性質が劣るのでふつうはこれを避けるようにする。
 このように、液相焼結は時間よりも温度に依存することが大きいから、液相から固相が溶解析出を繰り返している温度範囲に重点を置くべきで、結晶がおのおのの位置を決めてからのちは密度の上昇は期待できない。
 一般に液相が全体の体積の35%以下であれば高密度は充分得られるが、これより多いと寸法や形を維持できなくなる。
粉末の粒度と圧粉体の密度は、焼結体の密度上昇、すなわち緻密化にかなりの影響を与える。
 圧粉密度が高く粒度が大きいと液相の効果が減り、時には焼結でフクレを生ずることがある。これは、液相が粒子間に沿って流れながら、接触している部分を切り離していく一方、粒子が大きいから液相にとけるのが遅くなり、結果として膨張が起こるためである。
 フクレを生ずる例としてFe-Cuがある。溶けたCuはFeの粒子内になる粒界にも浸透してゆき、粒子を切り離して、その間にCuが入るから体積が見かけ上大きくなるためである。したがって、Feの粒度が細かく、フクレを生じないことなる。
FeにCを加え、さらにCuを加えると膨張はおさえられる。これはCuが粒界にしみ込もうとするのをCがおさえるからである。
 粒度とCやCuをうまく配合すると、焼結後の寸法変化を極小におさえることができるので、焼結機械部品を作るのに都合が良い。
 さらにまた、液相から固相が大きい粒子に析出するとき、もし粒子と液相との間の内部張力が、粒子の全面で均等であれば、この粒子には全面に同じように固相が析出し、結晶はなだらかでまるみをおび、はじめの粒子の数倍に育つ。
W-Ni-Fe, W-Ni-Cuなど、いわゆるヘビーアロイはその例である。
 しかし、液相内粒子の内部張力が結晶の方向によって異なると、析出量は結晶の方向によって違ってきて、形は四角や三角になり、結晶の成長も遅い。WC-Coはその例である。
 このように液相焼結では、圧粉体のとき粒子の形は不規則でポアも多かったものが、次第にポアが少なくなり、最終にはほとんど真密度になる。また時間が長くなると固相粒子は大きくなり、温度が高くなるときも同様である。
 液相焼結と活性化焼結は、焼結の際、第2相の手をかりて物質移動を短い距離で行わせる点でともによく似ている。
 はじめの粒度を小さくし、焼結時間を短くすれば最適の結晶粒が得られるが、拡散が急速に行われるので、粒子が大きくなるのは避けられないし、大きなポアが消えるのは焼結終局の段階においてである。
 両者が大きく相違するのは第2相の量であり、液相焼結では活性化焼結の数倍である。第2相は焼結体内で連続しており、焼結体が受けるひずみや変形に耐えることができ、したがって、機械的性質を向上させるから、多くの場合、これらの方法は材質の向上に有利である。
石丸安彦「粉末冶金の基礎と応用」技術書院

◇液相焼結の様式モデル
約1-7分 :液相流動
約3-20分:溶解と再析出
約15以後:固相焼結
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■ 液相存在下での焼結における緻密化に及ぼす加圧効果
 結晶性物質の焼結では、駆動力である表面エネルギーの作用を受けて拡散過程によって緻密化が起こる。
 この緻密化速度は拡散係数によって決まる。高い最終密度を得るには、非常に小さな粒径の出発試料と高い焼結温度が必要である。
 密な焼結体を効率よく作るには二つの手法が一般的に用いられてきた。その一つは少量の液相が焼結温度で存在するように組成を調製することであり、もう一つは焼結中に圧力を加えることである。
 液相が焼結速度の増大に有効なのは新しい緻密化過程が関与していることにある。加えられた液相が、
a)焼結温度で十分な量
b)固体粒子間を濡らし、侵入する
c)固体が幾分溶液に溶解する
ような際に急速な緻密化が達成される。
 これは第一に固体粒子間の摩擦がほとんどないので、粒子が互いに滑り、毛細管作用の力によって固体粒子の再配列が起こり、第二に粒子の接触部分で溶解が起こり他の場所で析出が起こるからである。

 液体の表面張力に基づく駆動力は個体粒子を圧縮するので、その結果、接触面での溶解度が増加する。再配列過程での緻密化速度は次式になる。
 况/v0 〜 t^(1+y)
ここで、况/v0は体積収縮率、tは時間、1+y=1に近い指数である。
 回転長円体の粒では、液相中の拡散が溶解-析出過程での緻密化速度を決めている。

 緻密化におよぼす外圧の効果は毛細管圧力から発生する圧力に加算され、溶解-析出過程中に加えられた圧力Pは次のように書かれる。
冤/l0 = (1/3)*(况/v0) = [(3*k2*δ*D*C*V)/(r^3*R*T)*(2*γ*P)/(k1*r)]*t^(1/3) = K*t^(1/3)
冤/l0 = 線収縮率
k1,k2 = 幾何学的定数
δ = 固体粒子間の液膜の厚さ
D = 液体中の拡散係数
C = 液体中の固体の溶解度
V = 溶解する物質のモル体積
γ = 気液表面エネルギー
r = 最初の粒径
R = 気体定数
T = 絶対温度
P=1の場合において、、これらの関係は多数の系で実験的に確かめられている。

 結晶性粉末をホットプレスした際の効果のほとんどが塑性流動に基づいて論じられた。
 Murray, Livey, Williamsは常圧焼結より加圧下の方が緻密化はより速く起きることを観察し、これを体積拡散とは別な機構で説明した。彼らはビンガム固体の活動特性を基礎にして、ホットプレスの速度式を導いた。
 dρ/dt = 3*P/(4*η)*(1-ρ)
ここで、ρは相対密度、ηは粘度である。これの積分の形は、
 log(1-ρ) = -k*P*t + log(1-ρ0)
ここでρ0はt=0のときの相対密度である。この式は酸化アルミニウム、溶融シリカ、粉末金属による実験と一致することが分かっている。(例えば、分析純度塩化ナトリウムを用いて10000psiでプレスした圧粉体のlog密度とlog時間は直線になる)
 ホットプレスの速度式は、加えられた圧力が表面エネルギーによる圧縮力より大きいことやクリープ変形の降伏点が低いことを仮定している。そのため、微粒な物質や低温では必ずしも正しいとはいえない。
 Feltonはホットプレスによる初期の緻密化は、ホットプレスの速度式によって適切に表現できないことを報告している。粒子が互いに滑ったり、粒子の接触点に圧力が集中したり、粒子が破壊したり、さらに他の類似の機構が関与するような複雑な再配列過程が起こっている。
 これらの過程は液相の存在下での初期の緻密化段階でも見出されたように実測した全密度変化の大部分を説明するものである。
 個々の粉末の圧縮率は次式で表される。
 冤/l 〜 t^n
ここでnは0.17〜0.58の間の指数である。再配列が終了した後半の過程では密度はホットプレスの速度式に従って変化する。
 
 研究した各々の場合、固相-液相系の緻密化中に圧力を加える効果は初期の再配列による固化を増加させることである。この部分での緻密化過程では粒子がより密な配列になるように動く。すなわち、せん断力が粒のすみで破壊や塑性流動を起こし、再配列ができるようになり、より高い密度になる。
 そして高圧ではいくつかの粒が破壊し、また高圧で接触しているところでの溶解はある粒子を他のところに滑らせる。
 これらの過程の合体が外部からの圧力によって著しく増大する。圧力を加えない時は、粒面の接触点でのわずかな液相の存在が通常の圧縮力となって、粒子を一緒にするように働く。この力は非常に小さな粒子を用い、わずかな量の液相であるときに最も大きくなる。
 本研究で用いた10から20μmの粒径ではその力はそんなに大きくはない。もっと重要なことはこの力が広範囲な再配列を引き起こすような粒子間のせん断力にならないことである。逆に外部からの圧力によるせん断力は互いに関連した粒の再配列に非常に有効である。加えた圧力(そしてその結果生じるせん断力)の大きさが再配列の範囲を決めるのに決定的な役割を示す。そしてまた実際に起こる変形のタイプをも決定する。
宗宮重行ら「焼結-ケーススタディ」内田老鶴圃
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■ 溶解・再析出機構
 粒子の大きさ・形状・連結状態を変化させるような液相焼結の基礎メカニズムはすべて、固相部分が液相中に溶出し、液相を経由して移動し、他の位置の粒子上に再析出するという挙動に関係している。
 物質は化学ポテンシャルの高い固液界面で溶解し、化学ポテンシャルの低い場所に再析出する。
 原子の化学ポテンシャルμの差は、応力状態の差に起因しうる。
 μ = σ*Ω
ただし、Ωは原子体積。また、成分の活量aの差異もμの差の原因となる。
 μ = k*T*ln(a/a0)
応力は、例えば固液界面の曲率や、界面付近の固相内の急激な組成変化によって生じる。また、外部応力が液相を通じて伝わり、界面付近の応力となることもある。
 後者の応力は、接触部平坦化説における物理的な仮定の基本となっている。この説は過去20年、液相焼結に関すR議論の焦点であり、溶解・再析出や収縮も接触部平坦化と同一視されることが多かった。
 しかし最近では、液相焼結にとって接触部平坦化よりさらに重要な、溶解・再析出機構がいくつも見出されている。これらの機構を、駆動力ならびに、二次再配列と固相粒形状変化による収縮に対して、定量的にまとめたのが下記の表である。
駆動力 機構 再配列による緻密化 形状変化による緻密化
界面エネルギーの減少 1〜100J/mol オストワルド成長 僅少
界面エネルギーの減少 1〜100J/mol 形状変化を伴うオストワルド成長
界面エネルギーの減少 1〜100J/mol 接触部平坦化 僅少
界面エネルギーの減少 1〜100J/mol 粒子分解 僅少
界面エネルギーの減少 1〜100J/mol 粒子合体 僅少
界面エネルギーの減少 1〜100J/mol 液相流動による空孔除去
界面エネルギーの減少 1〜100J/mol 固液混合流動
自由エネルギーの減少<1kJ/mol 方向性粒成長

 10μmの粒子を長時間液相焼結すると、表面積の減少により、1molの物質の自由エネルギーは1から10J低下する。液相焼結中の化学的均質化ないし化合物生成は、1mol当たりのエネルギーを1000Jまで減少させる。
 従って、均質化と化合物生成は、物質移動過程の開始と促進という意味で、組成形成に大きく影響すると考えられる。
 ただし、緻密化は毛細管力の結果としてのみ現れる点に注意を要する。オストワルド成長、粒子分解、粒子合体といった基礎メカニズムは、固・液および固・固界面の面積減少に伴う駆動力に起因するものである。
 これらのメカニズムにとっては、化学組成変化や毛細管力は必須ではない。従って、空孔のない固液共存の系でも起こるのである。空孔すなわち毛細管力があれば、オストワルド成長は、固相粒子の形状変化(形状適合)と関連してくる。
 粒子分解は、二次再配列を促進させる。粒子合体はこの過程で粒子の溶解が起こるため、二次再配列に寄与しうるが、その程度は小さい。液相流動あるいは固液混合物の流動によって起こる接触部平坦化と空孔消失は、毛細管圧力が働くことに依存している。しかし、これらの機構にはすべて固相の溶解・再析出が前提条件となる。
 方向性粒成長は、物質の溶解・再析出に際して、固相成分の自由エネルギーの変化に起因する。
 この種の粒成長メカニズムは、二次再配列と形状変化に寄与があるが、その程度は小さい。
*理想液体で、差(a-a0)が小さい場合には、活量は濃度とa/a0〜c/c0の関係にある。従って、冂=c0*(μ/kT)=C0*(Ω/kT)
宗宮重行ら「焼結-ケーススタディ」内田老鶴圃
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■ 方向性粒成長
 均一径の単結晶W球をNi液相の存在下で焼結すると、一粒子が隣接粒子を消費して成長する。この現象はFe-CuやMo-Niなどの系でも観察されるので、溶解する純成分と析出する固溶体との組成差に関連したかなり一般的な過程と考えられる。
 マイクロ・アナライザーの結果によると、縮退する粒子は100%Wから成る一方、析出物質はW-0.15wt%Ni固溶体である。この組成差によって、100J/molのオーダーで自由エネルギーが低下し、これは液相-固相境界の部分で発生する界面エネルギーの増加を補償して余りある値である。
 成長段階は単一の溶解・再析出過程の結果として理解できるが、L.KozmaとW.J.Musterは、核成長が成長の方向を左右し、いくつかの要因に強く影響されることを示した。これらのうち最も重要な要因を、駆動力とともに、下記の表に示す。

方向性粒成長の駆動力
発生源 記号 典型条件 自由エネルギー
の減少(J/mol)
温度勾配 儺/凅 10℃/mm
3000℃/mm
0.0086
25.00
粒度差 r1=100μm; r2=70μm
r1=100μm; r2=1μm
0.11
25.00
内部エネルギー
急冷-再結晶
  0.034
固溶(W-Ni)の
自由エネルギー
  72.00

 温度勾配、粒度差、内部エネルギーに起因する駆動力が、ほぼ同程度の大きさなので、実験条件を多少変更することによって、これらの現象のうちどれが核生成過程、従って粒成長進行の方向に支配的影響をおよぼすか、決めることができる。
 核生成後の粒成長方向の変更は考えられないので、核生成を支配する過程が、粒成長方向をも決定するはずである。実際の系では、粒子間の組成差が、核生成ひいては成長方向に決定的な影響をもつと思われる。
 方向性粒成長自身は、緻密化にはほとんど寄与しない。収縮が起こるとすれば、粒子合体のときと同様に、接触部や近傍の小粒子からくる物質が、負の曲率をもつネック領域に充填される機構によるであろう。しかし、方向性粒子が重要なのは、ほとんどの系で、急速な均一化を可能とする点である。
宗宮重行ら「焼結-ケーススタディ」内田老鶴圃
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■ 加圧応力下における溶解-析出変形
 固相-液相混合体の焼結過程の緻密化は、固相の粒子間の接点における圧縮応力により生じる溶解度差によるものである。この圧力は、次の式により、固相の接触点での活量または化学ポテンシャルの増加によるものである。
 μ - μ0 = R*T*ln(a/a0) = 儕*V0
 加圧応力とともに溶解度が変化することは、氷が、加圧下において、融点が下がり、局部的に融解するような場合に結びつく。
 加圧の圧縮応力下において溶液と接触している場合に上式に示すように高圧の部分の溶解度は増加する。
 液体を通って拡散や溶解などの物質移動があり、また圧跡の各面に沈積がある。
宗宮重行ら「焼結-ケーススタディ」内田老鶴圃
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■ 加圧焼結法
 加圧焼結法の分類は、焼結時に作用される圧力の大きさによって分けられる。圧力が増加すると、反面均一に加圧加熱される容積は小さくなる。
名称 圧力発生装置 圧力範囲[MPa] 型材
ホットプレス法 ダイとパンチ 40以下 黒鉛
高圧力焼結法 ピストン-シリンダー型 20-200
200-2000
Al2O3, SiC, 鋼, WC
超高圧力焼結法 多面体アンビル型
ベルト型
2000-5000 WC
熱間静水圧焼結法 不活性ガスの圧力媒体型 100-300 Ar, N2ガス媒体
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■ 粒界偏析
 個々の微結晶の結晶方位は、あらゆる方向に分布しているため、単結晶のような異方性はなく、そのうえ粒界角に応じて粒界には、格子歪を緩和し、粒界電荷を中和するために不純物イオンが凝集しやすくなる。
 すなわち、焼結過程で、空孔が不純物イオンを粒界まで運び、不純物粒界偏析が生じる。
 不純物濃度が固溶限を超えると、粒界には結晶質あるいはガラス質の第二相が析出する。
石田恒雄「焼結材料工学」森北出版
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■ 偏析
 750℃で格子定数が一度下がったことは、合金表面の銅の濃度が低くなったことを示している。
 この効果は試料表面から銅が優先的に蒸発したためであるとは考えられない。
 なぜならば、さらに焼結を続けると格子定数は戻り、また蒸発ならば800℃の方が顕著なはずなのに全く起こっていないからである。
 従って、以上のような格子定数の変動は750℃において表面拡散の寄与が大きいためであると考えられる。
 つまり、800℃における金の体積自己拡散係数は、750℃における銅の体積自己拡散係数よりも大きいが、粒子表面における原子の移動を考えると、銅のほうが金よりも速いわけである。
 このような、一見逆のような現象は、他の合金を焼結させる際にも観察されることがある。
 例えば、Ni-Fe系では、体積拡散はニッケルよりも鉄の方が速い。しかし、温度が低くなると、表面拡散は逆にニッケルの方が速くなる。さらに、合金の場合、このように体積拡散と表面拡散の速さが逆転する温度は一般に高いことが知られている。
宗宮重行ら「焼結-ケーススタディ」内田老鶴圃
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■ 気孔濃度の局部的変動
 気孔径の分布幅よりも重要なことは、気孔濃度の局部的変動である。焼結データを解析的に評価するときは常に気孔が均一な大きさであると仮定するだけでなく、均一に分布していると仮定する。しかし、これはほとんどの場合正しくない。
1)通常は、出発物質の粒径に不均一性があり、これは、しばしば100倍ぐらいの幅である。
小さい粒子が大きい粒子の間を詰めるように成形すると、気孔の大きさは均一になる。しかし、気孔の分布は均一ではない。
2)金型の壁の摩擦のために、かさ密度の分布があり、これは気孔濃度の変動に対オする
3)成形の不均一性や、原料材料の不均一性により、しばしば局部的に気孔率の高い領域ができる
4)表面近傍の気孔はいろいろな理由により、焼結中に最も早く消滅する傾向にある。
 一番重要な理由は、試料の中の温度勾配である。この勾配は表面を内部より高い温度にする。
 厚さの半分がxである板では、表面と中心の温度差は、
 Ts - Tc = x^2*(dT/dt)/(2*α)
で与えられる。ここで、dT/dtは一定加熱速度、αは熱伝導率である。
 例として、x=1cmのAl2O3(良い熱伝導率)お1000℃/hの加熱速度で加熱した時を考えると、Ts-Tc=15℃となる。これは、表面の焼結速度が内部より50%増加していることに対応する。
 他の熱伝導の悪い材料ではこの効果はさらに大きくなる。また、表面直下では、表面拡散や気体を通した物質移動により初期の開気孔時から緻密化が進行する。このようなことは内部では起こらない。
 気孔を含む部分が収縮しようとするが、他の気孔を含まない部分によって収縮がおさえられているとき、粒界から気孔への物質移動が粒界に引張り応力を引き起こす。この事実から、気孔濃度の局部的変動の重要性がきている。この引張り応力は粒界の化学ポテンシャルを引き下げ、ついには物質移動が停止する。1μmの気孔の曲率半径から生じる引張り応力は100psi(〜0.7 MPa)程度である。
 弾性係数が50x10^6psi(〜3.5x10^5 MPa)ならば、それ以上の物質移動が起こらないようにするのに必要な歪み(粒界に垂直)は2x10^-6程度である。
 収縮を続行させるにはこのような歪み差を取り除くことが必要である。このような過程は通常、Nabarro-Herringの拡散クリープで起こるが、そこでは焼結中よりも何倍も長い距離の物質移動を伴う。
 気孔分布の変動を引き起こすこれらの要因の一つ一つは試料の大きさが増すにつれてより重要になる。
 さらに発生した応力を緩和するのに必要な距離は試料の大きさに比例して大きくなるので、巨視的に観察される焼結速度は、例えばMarerandとEudierが述べているように、試料の大きさの(および加熱速度)の関数であると予想される。
宗宮重行ら「焼結-ケーススタディ」内田老鶴圃
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■ 焼結雰囲気
 大半の金属では、酸化物や他の汚染物が拡散接合や十分な特性の発現を妨げることから、酸化から保護する必要がある。適切な雰囲気は、圧縮時に用いられた潤滑剤やバインダを取り除く。
酸化物が存在する場合、還元雰囲気はさらなる酸化を防ぐばかりでなく、存在するいかなる酸化物をも還元することができる。
 雰囲気は、焼結材料における侵入型原子の量も制御することができる。
 金属粉末は、焼結行程中に1.5%近く重量損失を示す。主として、重量損失は酸化物の還元に起因している。
水素還元から形成される水分(もしくは一酸化炭素還元雰囲気での二酸化炭素)は水蒸気である。つまり、気相によって容易に取り除かれる。もし最大限の特性を焼結材料で得ようとするならば、十分に表面酸化物を還元することが不可欠である。(多くの金属酸化物の水素還元に関する平衡露点温度依存性をプロットした図があり、この状態図から、正常な金属表面を得るために必要な相対水分量と温度を求めることができる)
 露点は水素分圧に対する水の比の尺度であり、水蒸気が凝縮する温度を示す。それは雰囲気の還元能力の一般的な目安となる。7℃の露点は雰囲気中の1vol.%の水分量に相当し、-42℃は0.01vol.%の水蒸気に相当する。
酸化物の還元が、温度上昇とともに徐々に高い露点で起こることに注目する必要がある。
 従って、焼結温度が高くなればなるほど、酸化物の還元は助長されることになる。
 製品が焼結温度まで加熱される場合、気孔が空気で満たされていることから、まず初めは酸化域に存在することになる。高温で、それは還元条件に変化する。
 しかしながら、冷却に際し、成形体は再び酸化還元境界を超えることから、冷却中に酸化されることになる。もし高温でこのようなことが起こるならば、成形体は変色し、あるいは腐食される可能性がある。
 一般に用いられる雰囲気には6種類ある。すなわち、水素、分解アンモニア、不活性ガス、窒素ベース、真空、および天然ガスベースである。それらすべての雰囲気のいて、主に焼結温度における相互の平衡時の反応物と生成物の分圧が問題となる。酸素、窒素、炭素(一酸化炭素およびメタン)、および水の分圧は、焼結の容易さや得られる特性に影響を及ぼす。
・水素(相対価格 1.0)
 還元特性という観点から見ると、純水素雰囲気は最も好ましい。純水素雰囲気への水分添加は酸化物の還元能力を低下させ、鉄基材料に関しては脱炭雰囲気となる。
・分解アンモニア(相対価格 0.4)
 分解アンモニアは、純水素の代わりに用いられる比較的安価な雰囲気である。アンモニア分子は窒素と水素成分に分解される。水素は酸化物を還元する。この雰囲気は多くの材料の焼結に有効であるが、窒素が酸化物を形成するような反応を起こす場合もあり、それにより有害となることもある。
 わずかに還元性を持つ雰囲気を作るために、少量の水素またはメタノールが低水分の窒素へ添加される。真空焼結は清浄で再現性があり、反応が起こらないように制御された雰囲気を維持するために用いられる。多くの金属では、酸素分圧が低いと酸化物は還元される。真空中ではほとんどの材料や発熱体を用いることができる。
・窒素(相対価格 0.6)
 窒素は窒化が生じるような場合を除けば、ほとんどの場合中性と考えられる。
・不活性ガス
 アルゴンやヘリウムのような不活性ガスは、十分に低い水準まで乾燥させることで無反応性となる。ほとんどの金属はその酸化物を安定化させるために必要な酸素の過剰平衡圧力を有していることから、中性の雰囲気でもいくらか還元を生じる。
・発熱性ガス(相対価格 0.1)
 酸化には不活性であり、浸炭、還元、および脱炭特性を制御するため、広い範囲で変化させることができる。
・吸熱性ガス(相対価格 0.2)
 還元から脱炭まで変化させることができる。
雰囲気の正確な制御と操作は、粉末冶金学者にとって、焼結の程度や焼結時の材料の組成でさえ変えることができる機会を与える。焼結中、雰囲気は一定ではないということが強調されるべきである。成形体は炉中に汚染物(酸化物や炭素、および捕捉されたガスなど)を持ち込む。成形体が加熱されている間に放出される不純物は、雰囲気の組成を大きく変化させる。
 このため、雰囲気の種類だけでなく、流量、焼結温度、材料の種類、および汚染物なども重要となる。さらに、焼結雰囲気はただ酸化物を還元するとうよりも大きな影響を持つ場合がある。
 還元雰囲気中のハロゲン化物の添加は、焼結時の表面輸送を促進する。その結果、気孔形状を大きく変化させることが可能となる。そのような場合、焼結品は、高強度、高延性を示す。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
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■ パラメーター間の関係
 二つの重要なパラメーターの関係を理解することは、成形を議論する上で必要である。まず第一は、圧粉密度の成形圧力依存である。第二は、密度もしくは成形圧力による圧粉体特性の変化である。圧粉状態において、延性のようなその他の特性にはほとんど注意を払う必要はない。

◇加圧力の関数としての圧粉密度
 圧力が増加すると成形体密度は増加するか、もしくは気孔率が減少する。粉末の圧縮性は、あらかじめ設定した成形圧力で得られる密度と関係している。圧縮性は、粉末の成形のしやすさに関する比較のための基礎を与える。金型成形に対する第一近似として、圧力による緻密化の進行は次のように残存気孔率に依存する。
 dε = -dP*Θ*ε
ここでPは加圧力、εは相対気孔率、Θは基本的な材料の挙動を反映した比例定数である。上式を再び整理して積分すると、次式が得られる。
 In(ε/ε0)=-Θ*P
ここでε0は成形初期の見かけの気孔率である。上式は成形機構を無視している。しかしながら、100から700MPaの圧力範囲における金属粉末の圧縮に対して、経験的には適用できることが知られている。初期の固化再配列への移行と多様な成形機構を説明することが必要である。従って、上式は次のように修正される。
 In(ε/ε0)=B-Θ*P
ここでBは再配列を表すものである。上式に類似したその他の式を下記で表にまとめる。
ρ=密度、ρ0=初期密度、ε0=初期多孔率、P=圧力、A, B, Kおよびmは定数
ρ = A*P^(2/3) - B
ρ = ρ0 + A * P^(1/3)
ρ = ρ0 + A * P^(2/3)
ρ = A*P^m - B
ρ = ε0 * exp(-KP)
ρ = ε0 * exp(-KP + A)
ρ = 1 - ε0 * exp(-KP - B)
ρ = ρ0*(1 + A*P) / (1 + B*P)
ρ = [A + B*log(P)]^(-1)

上式に代表される形は、大部分の粉末で得られる成形挙動と一致する。およそ300MPaの圧力でその挙動は変化し、降伏から加工硬化へ成形を制御する機構が変化することを暗示している。銅は最も低強度の材料であり、すべての成形圧力で最小の気孔率を示すことは特筆すべきことである。一方、ステンレス鋼はプレアロイ化した粉末であり、最も高い強度と最も速い加工硬化を示すため、気孔率も最も高くなる。多くの金属粉末にとって破砕工程は重要ではなく、むしろ加工硬化がより重要となる。高圧力側および低圧力側の両者とも、上式より予想される挙動を示す。圧縮時の成形圧力がおよそ300MPaより低いとき、材料の降伏強度が支配的となる。成形圧力が高い場合には、真密度に近づくにつれ成形効率は減少する。この領域では、材料の加工硬化挙動に支配される。破壊が起こらない場合には、加工硬化の度合いにより成形に限度が生じる。

◇密度による圧粉強度の変化
 粉末成形において、二番目に重要なことは圧粉強度である。気孔は成形体における有効耐荷重域を減少させる。すなわち、全体の強度は断面積低下によって減少する。また気孔は応力集中源として作用し、有効な亀裂開始場所となる。従って粉末成形体は、同じ組成で作製された溶製(100%密度の)材料より低い強度を示すことが予測される。圧縮時における問題の一つは、亀裂、層状欠陥、大きな密度(強度)勾配、取り扱い性の悪さなどに代表される圧粉体構造の不健全性である。つまり、密度による圧粉強度の変化は実用上、考慮すべき問題である。成形は、粒子の寸法や形状および粒間摩擦のような種々の粉末特性に依存している。潤滑と成形寸法は、また固化のしやすさに影響する。圧粉強度は下記に示すように、
成形体の相対密度とともに変化することが予測される。
 σ = C*σ0*f(ρ)
ここでσは強度、Cは定数、σ0は緻密材の強度、そしてf(ρ)は密度依存性の関数である。多くの研究では、様々な形でf(ρ)と強度を結び付けている。それらのいくつかが下記の表に収集されている。
σ=圧粉強度、ρ=圧粉密度、ρ0=無加圧密度、A, B, Kおよびmは定数
σ = A * ρ^m - B
σ = A * (ρ-ρ0) / (1-ρ0)
σ = (A*ρ + B) / (C - K*ρ)
σ = A*[(ρ - ρ0) / (1 - ρ0)]^2
σ = A * exp[K*(ρ - 1)]
σ = A*(1 - ρ)^(2/3)
σ = A - B*(1-ρ)^(2/3)
σ = A + B*ρ^(2/3)
σ = (A + B*ρ)*ρ^(2/3)
σ = [A*(1 - ρ)^m]*exp[K*(ρ - 1)]
σ = A - B*exp(C*ρ^m + K)

第一近似では、気孔は比例的に有効断面積を減少させることから、f(ρ)は相対密度と等しくなるであろう。しかしながら、それは成形体の性質を無視している。なぜならば、粒子間の接触領域は脆弱な場所であるためである。粒子間の接触面積とその接触特性が圧粉強度を決定する。単一寸法の球の場合、強度は接触面積の大きさと直接関連しており、接触面積は圧縮密度に依存している。たいていの場合、強度は相対密度のべき関数とともに変化する。すなわち、
 σ = C*σ0*ρ^m
ここで指数mは約6である場合が多い。高い圧粉強度は、圧縮時に大きな粒子間接触を得ることと関係している。粒子粗さの増大は、粒子同士の機械的結合により圧粉強度を大きくする。同様にして、粒度が小さくなれば、圧粉密度が同じでも粒子間結合はより多くなり、それにより圧粉強度は高くなる。ただ、小さな粒子を形成するのはかなり困難である。清浄な粉末表面は、粒子間の冷間圧接を助長するのに望ましい。そのため、粉末に混合される潤滑剤は、しばしば圧粉強度を減少させる原因となる。成形体の強度は最も弱い結合によって決まることから、粒子間接点に存在する薄膜は逆効果となる。

◇成形圧力による圧粉強度の変化
 強度の密度依存性や密度の成形圧力依存性を議論するとき、強度と圧力の関係への橋渡しは二通りの方法で処理することができる。経験的な結果は、次のような簡単な等式を提案している。
 σ = β*σ0*P
ここでσ0は緻密材の強度、Pは成形圧力、βは材料と粉末に依存する定数である。成形圧力が増加するにつれ、圧粉強度も増加する。しかし大きな成形圧力では、成形体強度の増加割合は上式から予測される値より通常小さい。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
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■ 成形の現象論
 圧縮工程の初期においては、粉末は見かけ密度にほぼ等しい密度を有する。粒子間に空隙が存在し、たとえ振動を加えても得られる最大の密度はタップ密度までである。ゆるやかに充填された粉末に関しては、空隙量が過剰となり強度はなく、低い配位数(近接粒子の接触数)となる。圧力が加えられると、最初の反応は大きな空隙を満たすように粒子の再配列が生じ、充填配位が高くなる。このことは粉末を振動することと類似している。再配列は滑らかで硬い粒子表面によって促進される。圧力の増加は、良好な充填と新しい粒子接触の形成による気孔率の減少をもたらす。気孔率が接触数と粒子間の接触領域の増加につれて減少することを示している。点接触部は弾性変形を受け、圧縮工程におけるすべての接触点で残留弾性エネルギーが成形体中に貯えられる。高圧力は塑性変形を介した接触部の増大によって密度を増加させる。このようにして、圧力は接触点での局部変形を引き起こし、加工(歪み)硬化や粒子間隔がつぶれて形成される新しい接触点を生じる。粒子間の接触領域は、円形の輪郭を伴った平滑面となる。圧粉密度ρと円形面の直径Xは次式のように関係している。
 X = D*[1-(ρ0/ρ)^(2/3)]^(1/2)
ここでDは粒子直径、ρ0はX=0に対応する初期密度である。以後の結合強度は、粒子接点における剪断量に強く依存している。最大剪断応力は接触点の中心で生じ、接触点が小さいとき非常に高くなる。変形時では、粒子接点での冷間接合が圧粉体における強度の増加に寄与する。圧縮後の強度、つまり焼結前の強度は圧粉強度と称される。成形圧力が増加するにつれて、塑性変形を受ける各々の粒子の相対体積は増加する。低圧下では、塑性流動は粒子接点に局在化する。圧力が増加するにつれて、均一な塑性流動が接点から広がり粒子全体が加工硬化する。大きな気孔がまず減少し、粒子配位数はさらに荷重を分配するように増加する。その結果、圧縮密度(圧粉密度)のさらなる増加には、外部圧力源からのより多くのエネルギー量を必要とする。配位数は一般に緩やかな充填状態では、6から7近くで始まる。圧縮時では、配位数Ncは下記に示すように相対気孔率εとともに変化する。
 Nc=14-10.4*ε^(0.38)
高密度では配位数は14に近づく。これは14面体に相当することを意味しており、体積に対する表面積の比が低い多面体で空間を有効に満たしたものである。真密度における実際の配位数は13.4から14.2の範囲にある。かなり加工硬化する材料もしくは脆性材料では、緻密化は破砕によって生じる。圧粉体の表面積は破砕によって増加するが、強度はほとんど向上しない。硬度や加工硬化挙動はともに、圧縮に影響を及ぼす。また、粒度が小さい場合、粒子間摩擦と粒子の加工硬化率が高くなるため圧縮は阻害される。1Gaを超すような高い成形圧力においては、小さな気孔のみを残しながら大きな変形が生じる。続いて、そのレベル以上の加圧はほとんど効果がない。材料の反応は緻密な固体の場合と同様である。全ての場合において、圧力の解除は、寸法的にはスプリングバックで表される保存弾性エネルギーの解放を伴い、材料の緩和を起こす。弾性緩和のため、圧粉体を取り出したのち再び型内へ戻すことは困難となる。スプリングバックの程度は、ほぼ成形圧力の2乗で増加する。一般には、真の再配列は0.03MPa以下の圧力で生じる。再配列による密度の変化は粉末特性に依存するが、
気孔率における最初の5から10%の減少が再配列によるものである。圧力が高くなると、金属粉末に関しては塑性変形が緻密化の主な形態となる。塑性流動の段階では気孔率は10%以下に減少する。大きな加工硬化がほとんどの金属では50から100MPaで生じ始める。加工硬化のため、理論密度の90%以上の圧粉密度を得ることは困難である。初期の粉末硬さが増加するにつれて、また加工硬化能が減少するにつれて、破砕が生じる可能性がある。これら固有の材料特性は、成形の容易さを決定する結晶学、化学結合、摩擦、そして、表面状態と関連している。粒子の大きさや形状のような外因性の粉末因子は、成形に際して大きな影響を持ちうる。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
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■ 多面体の情報
 14面体は14の面を持つ多面体である。それは8つの六角形面と6つの正方形面からなる。辺の数は36で、角の数は24である。これは変形粒子の充填モデルとして有効である。多面体の辺の直径の長さがLで、体積がV、表面積がS、そして粒度がGであれば、次のような関係になる。
 V = (128)^(1/2)*L^3 = 11.31*L^3
 S = (432^(1/2)+6)*L^2 = 2.78*L^2
 G = 8^(1/2)*L = 2.83*L
これらの関係式は、焼結や熱間静水圧成形時の粒子形状について議論するときもまた有効であることを示している。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
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■ 粉末の潤滑
 圧縮時における型壁と粉末の間の摩擦は、根本的な問題でもある。成形圧力が増加するにつれ、金型からの粉末成形体の抜き出しは困難になる。そのため潤滑剤が、金型の摩耗を最小限にし、抜き出しを容易にするために用いられる。
 圧粉体の潤滑には二通りの方法、すなわち型壁および粉末の潤滑がある。型壁の潤滑は理論的には好ましいが、自動成形装置に組み入れるのは容易ではない。従って潤滑剤は通常、圧縮前の最終段階として金属粉末に混合される。
 一般的な濃度は0.5から1.5wt.%である。金属粉末の場合、Al, Zn, Li, MgあるいはCaを基とするステアリン酸塩粉末が一般的に用いられる。分子鎖は12から22の炭素原子を含む。この鎖は表面活性で、比較的低温で溶ける。ステアリン酸塩は、金属粉末に小さな球状の形(一般的にはアトマイズされた)で添加される。平均粒度は10から30μmが普通である。いくつかの一般的な潤滑剤の性質を下にしめす。
一般名 酸化物 酸化物の% 軟化温度(℃) 融点(℃) 密度
(g/cm^3)
ステアリン酸亜鉛 ZnO 14 100-120 130 1.09
ステアリン酸カルシウム CaO 9 115-120 160 1.03
ステアリン酸リチウム Li2O 5 195-200 220 1.01
ステアリン酸塩以外の潤滑剤としては、ワックスやセルロースの添加物がある。変形時、潤滑剤は液相を形成し、この液相が高粘性重合体の厚い層を形成し摩耗を低下させる。低粘度の液体は、粉末の成形に用いられる高圧により摩擦点から押し出されるため、効果的ではない。
 いくつかの潤滑による効果が調べられている。ガスアトマイズにより製造された100メッシュのステンレス鋼粉末に関するものがある。この粉末は、三種類の異なる濃度のステアリン酸リチウムを用いて、所定の混合時間処理されている。見かけ密度は、潤滑剤の濃度が高くなるほど低下する。
 これは、体積増加分が密度の低い潤滑剤で占められているからである。流動時間(Hallの流量計、試料50g)は、潤滑剤の量の増加とともに減少している。圧粉状態(圧縮後で焼結前の粉末の状態)において、潤滑は強度を低下させる。圧粉密度は、還元鉄粉の場合、潤滑剤の量と成形圧力に対して複雑な依存性を示す。密度は強度の主要な決定因子である。そのため圧粉密度の低い状態は、低い圧粉強度に対応することになる。圧粉密度のピークは、成形圧力が増加するにつれ潤滑剤の低濃度側に移動する。この挙動は潤滑による荷重伝達の改善に起因しているが、潤滑剤が占める体積により金属粉末の充填効率は劣る。抜き出し力(金型から粉末成形体を抜き出すために必要な力)は、潤滑剤の存在により劇的に低下する。その結果、金型の摩耗は減少する。実際、適度な量の潤滑剤を用いることにより、粒子間摩擦、圧粉強度、圧粉密度、および抜き出し力の間に平衡点がある。粉末の硬度あるいは金型の摩損の可能性が増加するにつれ(タングステン粉末の場合のように)、潤滑剤の必要量は増加する。粉末成形時の最終相対密度fにより、添加可能な潤滑剤の最大絶対量は求まる。潤滑剤が多すぎると空隙を埋め尽くし、希望する密度が得難くなる。潤滑剤の体積割合は、潤滑剤の重量割合WLと、粉末と潤滑剤の理論密度ρPとρLに依存する。WLの計算は、相対密度と理論密度から得られる。
 WL=(1-f)*ρL/[ρL*(1-f)+ρP*f]
例えば、ステアリン酸亜鉛(1.09g/cm^3)が、銅粉末(8.9g/cm^3)の潤滑に用いられ、理論密度の85%の密度になるように成形された場合、最大の潤滑量の量は2.1wt.%になる。

◇ 粉末の集塊
 セラミックス(例えばアルミナ)、金属間化合物(NiAlのような)、高融点金属(WおよびMo)、およびその他の化合物(WC, TiB2)のような小さくて硬い粒子は、自由に流動せず、見かけ密度も低い。このような粉末は圧縮が困難である。さらに、これらの微細な粉末は粉末間摩擦が大きいため、取り扱いが困難である。そのため、流動性をよくするために大きな集塊が作られる。粉末には、スラリーを作るために有機物と揮発性の薬剤が混合される。スラリーは加熱された自由落下容器中に噴霧あるいは遠心アトマイズされ、表面張力により球状の集塊が形成される。自由落下中の加熱により揮発性薬剤は蒸発し、硬くて密に充填された集塊となる。ポリビニルアルコール、セルロース、あるいはポリエチレングリコールを含む水溶性溶液が、一般的な集塊用混合物である。典型的な集塊の大きさは200μmである。噴霧乾燥によりモリブデンから製造された集塊は、球形で直径が大きな集塊は、流動性が極めて良くなる。噴霧乾燥は、高生産性の製造装置で小さな寸法の粉末を取り扱う手段として一般的である。
 噴霧乾燥に代わる方法としては、造粒と呼ばれるものがある。粉末と有機物のスラリーを噴霧する代わりに、加熱により揮発性薬剤を取り除きながら連続撹拌が行われる。その他の方法としては、造粒機、ロール、押し出し機があり、流動床法も小さな粒子を造粒するために用いられている。
 混合、配合、潤滑、分級、焼鈍、清浄化、被膜、接合、解砕、および集塊は、粉末製造と固化工程との間に行われるいくつかの典型的な処理である。これらの処理はそれぞれ、粉末特性と固化工程の反応性に影響を与える。圧粉特性と処理のしやすさは、成形前の処理に大きく影響される。種々の特性を最適化するためには、粉末の取り扱いにおいてつり合いが必要である。成形および焼結を最適化するための、所望の粉末特性を得る唯一の方法はない。
三浦秀士ら「粉末冶金の科学」内田老鶴圃
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◇ Cu2Seでの焼結の経験
・Cu2Seの転移温度が493Kであるが、その下の温度373Kでアニールすればよいというわけでもない。
 XRDで高温相かまたはCuSeと考えられるピークがみられている。
  検量線はとっていないのでその問題が考えられるが、SEM&EDXの分析ではCuSeとなる。
・Seの融点が493kであるため、その7割を超えた400K,5min,50MPaで焼結を行ったが、完全にCu2Seにならなかった。
 XRDでCu2Seのピークが残っている。ピークの強度は他のものと同程度。
・Cu2Se単相の4μm程度の粒子を493k,5min,50MPaで焼結したが、完全にCu2Seにならなかった。
 XRDでCu2Seのピークが残っている。ピークの強度は他のものと同程度。
・純金属の粉末から750k,5min,75MPaで焼結(論文に記載の方法と同じ)した場合、試料長さの減少が終わり、長さが再び増加する。
 これは結晶化が終了し、それ以降は熱膨張したために長さが再び増加した可能性が考えられる。
 この場合には、不思議なことに炉冷であるが、XRDで低温相のCu2Seが単相で得られている。
 アルミナ乳鉢での粉砕で細かくできる粒径は誰でもほぼ同じ10μm程度だと考えると再現性が得られやすのは当然かと思っています。573kで長さの減少が飽和し(100秒後に長さが増加へ{その間も昇温を続けていたため45K増加している})、573k以上で長さが増加する。その後の温度と長さの変化がほぼ相関している(温度が高くなると長さが減少、逆もまたしかり)。私の場合では0.4-0.5K/sで昇温している。
※ 元素ごとの拡散の違いで、生煮えの状態では非平衡相の状態になっているのではないかと考えている。多相でのリートベルト分析では重量分率およびモル分率を議論できるのは3%程度までと考えられているので(3%以下になるとバックグラウンドの影響を受ける可能性がある。主成分と少量成分を別々に分析すればよいという話もある)、XRDで他の相のピークが見えているということは3%以上存在している可能性がある。ピークが主相と同程度の場合は他の相がかなり多く存在している可能性がある。
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